目を覚ました時には、私は青い作業着を着せられて、寝台に寝かされていた。そして今……。
「ぎゃあああああ‼︎い、いダい、イだい、痛い!」
身体中に電気を流されている。もう何十分になるのか、いや何時間になるのかもわからない。でもとても痛い。そして電気は少しずつ強くなっている。
「もう一度、聞く。君が装着していたものは何だね」
この部屋でずっとそのことを聞かれている。当然答えられるわけがない。こんな人達に、シンフォギアの事が知れたら恐ろしいことになる。だからさっきからだんまりを決め込んでいるのだけれども、相手も私から情報を引きずり出そうと必死なのか、なかなか諦めない。
「うぎゃああああ‼︎や、やめでェ…」
それで私に流される電気がますます強くなる。酷い悪循環だ。
(誰か…、誰か助けて…)
このままだと死んじゃうよ。
「ここに入ってろ!」
小さな部屋の中に放り込まれた。後ろで荒々しく扉が閉められ、鍵をかけられたのが聴こえた。
「あ….う、あ」
何とか耐えきった。神獣鏡のペンダントも取り上げられずに済んだ。
でも体はボロボロになってしまった。今日みたいな拷問が続けば、そんなに経たないうちに死んでしまうだろう。
「うぅ、ぐすっ」
逃げ出したいけど、ここがどこだかわからない。扉が鉄格子だから、多分、刑務所みたいな場所なんだろうけど。それにこの建物自体、どういう構造になっているのかもわからない。
「怖いよ、助けて、響、ひびきぃ…」
硬いベッドらしきものの上で横たわりながら、私は泣いた。響が助けに来られる筈もないのに。
朝が来た。起きたくないけど、起きなかったらどんな目にあわされるかわからない。だから起きる。
起きると目の前に何か置いてある。
「食べ物だ、あぁ朝ごはんか」
そういえば昨日ここに来てから、何も食べてなかった。
「何かな」
見てみるとそこにあったのは、黒パンと何だかよくわからないスープだった。これ食べて大丈夫なのかな。
食べてみるととても不味い。でも他に食べ物はない。
「とりあえず口に押し込んでおこう」
本当に酷い味だ。前に作った失敗作のビーフストロガノフの方が味あるよ。
そういえばマリアさん達が収容された先の食事は、非常に良かったんだっけ。トップアーティストと一般人の格差を感じるよ…。
酷い味の食事が済んだ後、私は2人の銃を持った看守に外へ連れ出された。連れ出されるときに目隠しをされて、両腕を後ろ手に縛られた。
(ま、まさか、このまま殺されるんじゃ)
何も喋らなかったから、いっそのこと始末してしまおうなんて向こうが考えているかもしれない。
(喋ってもよかったかな…、どうせこんなところでシンフォギアなんて作れるはずないし)
どうしよう。死にたくないよ。
でも逃げることができない。銃を持った看守が2人も付いている以上、逃げ出す隙がない。
今の私にできるのは、看守に連れられてただ歩くことだけだった。
どのくらい歩いたのかわからないが、急に歩くのをやめるように言われた。目隠しを外されて、腕の拘束を解かれた。でも今度は両脚に何か付けられた。ガチャガチャ音がする。
目の前には、だだっ広い荒野が広がっていた。あぁ、もう駄目だ、お終いだ。きっとここで殺されて、埋められるんだ。響、ごめんね。そっちには帰れそうにないや…。
「おい」
「は、はい!何でしょうか!」
「ここを畑にしろ」
「はい?」
「聞こえないのか。ここを畑にしろと言っているんだ」
殺されるわけじゃないらしい。一先ず安心だ。
「私1人でですか」
「そうだ。さっさとやれ」
畑にしろと言われた土地は物凄く広い。1人じゃ畑にするのにかなりかかりそうだ。
「何をしている。早く始めろ!」
看守が銃をこちらに向けて来た。慌てて作業に取り掛かる。
荒地を開墾して畑にしていくのは、響の帰りを待っていたときに見ていた番組(水曜どうでしょうって名前だった。見たのは土曜日なのに)で見たことあるけど、実際にやることになるとは思わなかった。
荒地はかなり広い。ここを畑にするには骨が折れそうだ。それにロクなものを食べてないのと昨日の拷問で身体がフラフラだ。しかもさっき取り付けられた足枷のせいで動きにくいったらありゃしない。
でも作業している中で荒地の周りにはただ鉄条網があるだけで壁があるわけじゃないことがわかった。しかも監視している人は殆どいない。
(何とか逃げ出せないかな)
作業しながらそんなことを考えていた。一応、逃げ足には自信があるし。でも…、無理かなぁ。
(脚にこんなもの付けられたんじゃ走るに走れないよ)
さっきから歩く度にガチャガチャガチャガチャうるさい枷を見やった。これさえなければ逃げ出せそうなのに。ああ、成る程。だだっ広いからそうしたのか。それとも私の足が速いことが知られているのかな。
こんなこと考えてるなんて、我ながら随分と呑気だ。
未来の運命やいかに!
次回乞うご期待!