私が入院している間にオセアニアはみるみる変わっていった。
保守派が一網打尽にされたときに大量の不正蓄財が発覚したらしい。そのお金を使って、水道だのプロレタリアト用のアパートだの作るんだとか。
それと党そのものもかなり小さくなって、ゆくゆくは解散するらしい。今回の一件で改革派の人ももう党を潰した方がいいって考えてるんだとか。
私が今読んでいるタイムズ紙にはそんなことが書いてあった。
3週間経ち、私の退院の日が来た。
「おーい、迎えに来たぞ」
ハンナさんが迎えに来てくれた。自慢の愛車で。
私の入院中にロンドン市長に抜擢されて、車が買えるほどの収入を持ったらしい。
「ほらほら乗った乗った」
車の助手席に乗せられて私は病院から去った。
ロンドン市内はかなり変わった。
あの4つのピラミッドは取り壊しになり、空港や駅が建てられている。ハンナさんが住んでいたプロレタリアトのスラムも再開発され、綺麗なアパートや一戸建てが建てられている。
古い建物もまだ残ってはいるが、いくつかは補強工事をして使うらしい。
「そこそこ住みやすくなると思うぜ」
「たしかに私が知っているロンドンに近いかも」
「そうか?」
「多分ね」
「ああ、そうだ」
「何?」
「ミクはここに来た時さ、地下道を通って来たとか言ってたよな」
「そうだけど」
「その地下道、見つかったよ」
「本当⁈」
「ああ、知り合いが瓦礫を退けていたときに見つけたらしい。気味悪がって誰も近寄らなかったらしいけど」
「良かった」
「どうする。明日にでも出発するかい?」
「いや、もう暫くここにいるよ。流石に病み上がりだし」
「そりゃそうだ」
「それじゃ、忘れ物はないかい」
ハンナさんの家の玄関で私はリュックサックを背負っていた。
あれから2週間経ち、やっと私も本調子になってきた。もう出発しても大丈夫だ。
「大丈夫。半年間ありがとう、ハンナさん」
「いやいや、こっちも楽しかったよ。もし来ることがあったら、またここに来てくれよ」
「うん、それじゃ」
「So long」
「Sayonara」
ハンナさんの家を発って、私はあの地下道へ行く。
「地図によると、ここを曲がって…」
地図を見ながら行く。この辺りは再開発でかなり変わってしまったからだ。
「こっちを東に行くと…、あった!」
確かに地下道はあった。爆撃で崩れているかと思ったけど、なんともなかったみたいだ。
「さよならロンドン、さよならオセアニア!」
そう言いつつ、私は地下道へ入った。
その地下道がもう花立村には繋がっていないとも知らずに。
まさか着いた先で
さて少々強引ですが、次回から新章です。
次回、未来の身体が…。
お楽しみに。