「先日のアルラウネ散布作戦の成功は見事だったぞ。大佐」
「光栄です」
ショッカー箱根基地にて首領からお褒めの言葉を預かった。
「この調子で首都圏各地での攻撃を緩めないでもらいたい」
「仰せのままに…、うぐっ」
「どうした?」
不味い、こんな時に。人工心臓の不調からくる発作だ。
「いえ、大したことではありません。私の命数が間も無く尽きようとしている。それだけのことです」
「そうか、お前は改造人間としては旧式だったな」
「はい…、確か改造手術を受けたのがドイツ敗戦から間もない時期でしたから…」
あの頃の技術では驚異的な戦闘力を手に入れるのと引き換えに自分の寿命を削らねばならなかったから仕方のない話ではある。それにしても寿命に関してはリスクが殆どない最近の改造人間の方が先に居なくなっていくとは、これを皮肉と言わずして何というべきか。
「そうか、あの頃に改造されたのならそろそろ寿命が来る時だな。わかった。大佐、君の後任の日本支部の大幹部をこちらで選ぶことにしよう。長い間、ご苦労だった」
「ありがとうございます。首領、一つお願いがあるのですが…」
「何だ?」
『謎の殺人植物?都内で死傷者多数』
「今度ばかりはショッカーにしてやられましたね」
朝刊を読みながらそんなことを言った。まさかあの怪人達が全部囮だったとは。ショッカーの作戦は基本的には怪人をメインにして立てているから、怪人を倒せばいいと思い込んでいた。
「あぁ。今迄は怪人を主軸にして作戦が進められていたからな。双方を切り離して動かされたのは盲点だった」
一文字さんは苦虫を噛み潰したような表情でそう返した。
「今回のようにショッカーが怪人を動かしている隙に手を打たれてはどうにもならない。何とかしてショッカーの基地を叩くことができれば…」
「基地ですか?」
「拠点さえ叩けば、作戦を立てるのにも支障をきたすはずだからな」
「確かに」
ショッカーの基地を叩くのなら、それなりに効果は出そうだ。問題はそれが何処だかわからないことだ。
「関係はないかもしれんが参考程度に話しておく。俺が改造されたのは確か箱根にあった基地だ。前に話した本郷もそこで改造されたらしい」
「まさかとは思うけど、一文字さん。今回の作戦拠点もそこ?」
「そうかもしれないが、確証がないんだよ。しかし奴らは人に場所を知られている基地を放棄していなかったから…、可能性としてはあり得る」
居場所が知れている基地を放棄しないって…、本当に秘密結社か?
とりあえずその箱根基地の辺りを2人で見て回ることにした。
「箱根基地の入り口って…、本当にこの辺り何ですか?」
箱根付近まで来てはみたけど、一文字さんがいう入り口らしい場所は土砂で埋もれてしまっている。
「確かにこの辺りにあったはずなんだけどな。もしかしたら放棄されたのかも…」
「Was suchen Sie?」
聞き慣れない言葉に振り返ると、そこには黒い服を着た男の人が立っていた。それも金髪碧眼で背が高い30歳ぐらいの外国人だ。
「誰だろう。一文字さん」
「今のはドイツ語だからドイツ人のようだが…、随分と古めかしい格好をしているぜ」
古めかしいと言われてみれば、あの人の服は映画で見たことがある。あれは軍服だ。
しかも帽子と胸につけてあるのは…、ショッカーのシンボルに似てるけど違う。鷲のマークの下には地球じゃなくてひっくり返した卍があった。あれは確か、ハーケンクロイツとかいったような。
「そんなに古めかしい格好に見えますか」
「え、あ、いや」
日本語喋れるんだ。しかもかなり流暢だ。
「お若い方にとってはそうかもしれないが…」
「あなたは誰です」
一文字さんが聞いた。
軍服のドイツ人はこう答えた。
「私はアドルフ・ファン・ケーニヒ大佐。ショッカーの大幹部です」
ショッカーの大幹部!これはとんでもないのが来た。
「別にそんなに緊張しなくても…」
「ショッカーの大幹部が俺たちに何の用だ」
「別に大した要件じゃないですよ。ここの基地は放棄することが決定したと伝えに来たことです…、それと」
無線でサイクロン号を呼び出しぶつけてみた。
「何をするんですか。人が話しているときに…」
全くこたえていない。時速500キロでぶつけたのに…。
「まあ、これからひと暴れするつもりですから気にはしませんが…」
その言葉とともに煙幕が出て、大佐の姿を隠した。次の瞬間、金色の光がいきなり飛び出してきた。
「何だ!」
何とか躱して振り返るとそこには…、
見惚れてしまうほど綺麗な金色の毛をした狼がいた。
「さあ、始めようか。お二人さん?」
さて黄金狼男と対峙した仮面ライダーと未来!
次回乞うご期待!