陽だまりシリーズ:小日向未来<放浪>   作:インレ

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ものすごく駆け足になってしまいました。
出来はあまり良くないかもしれません。
それではどうぞ。


chapter40.私は私だ。

 光線が一直線にこっちに突っ込んでくる。すかさず身体を反らしてこれを躱す。それほど大きいものじゃないから避けるのは簡単だ。この程度で…!

「甘いよ」

 こっちの考えを読んだようにあいつの声がした。同時に後ろから光線が跳ね返ってきた⁈

「うわっ!」

「増えている⁉︎」

 ただ跳ね返ってきたのではなく、何本かに分かれてこっちに突っ込んできた。咄嗟に飛びのいて避ける。

「今のは…」

 なんなんだろう。

「あらあら、自分の戦法すら忘れてるとは……、それで今までよく生き延びてこられたね、あなた…」

「煩いよ…」

「まあ、いいわ。こんなのでやられちゃつまんないから…」

 あいつは今度は両脚から何か展開してきた。

「何をするつもりだ?」

 一文字さんも困惑している。

 頭上で足から出てきたものが接続し、両腕のコードをそれに繋げた。なんかエネルギー溜めてるみたいだ。察するにさっき以上の威力の攻撃がくる。これは喰らうとキツそうだが…、

(多分避けやすいね…)

 予想通り、さっき以上の太さの光線が来た。私の身体を吞み込めるくらいの直径のものだが、上に飛んで避ける。向こうもそれを見越していたのか、身体を傾けて此方に当てようとする。しかしその動きは妙にゆっくりしたものだ。私に当てるというより私を誘導しているみたいな。

「後ろがお留守だよ」

 後ろ?振り返ってギョッとした。タンクローリーが走ってきている。あれに当てられたらえらいことになる!動くに動けない!

「そうそう。良い子だから大人しくしていてね。サービスでもうちょっと出力を上げるから」

 セコいこと考える奴だ。でもこのままだと光線で溶かされるしかない。

(どうする、私!)

(麻由!後ろだ!)

  テレパシーで一文字さんが呼びかけてきた。指示に従い飛び退くとドライブインの看板が倒れてきた。

「これくらい…!」

「甘いな!」

 看板は避けたが、後から飛んできた鉄骨には避けきれなかったのかあいつの側頭部に命中した。

 ふらついている。今だ!

 全速力で突っ込み、ショルダータックルを喰わせる。

 そしてその勢いを利用して、地面に叩きつける。あとはとにかくマウントポジションを取り首を絞め上げる。こいつを空にあげたら駄目だ!

「な…め…る、な」

 向こうも黙ってやられてはくれなかった。私のお腹を蹴り上げて地面に転ばすと、浮き上がって距離を取ろうとする。わざわざ距離を取るということは、もしやこいつ接近戦は弱いのか?

 急いで周りに転がっていたコンクリート片を拾い、投擲する。

 バイザーに命中し、下半分がガチャリと外れた。顔が見えた。見るからに動揺している。

 それを見て飛び上がる。そして両脚で…

「これで…、終わりだぁぁぁあっ!」

 あいつの土手っ腹を蹴っとばし、

「こ、この…に、せ…」

「黙れ!私は私だ!私がお前の言う小日向未来かどうなのかは知らないが、私はお前の偽物なんかじゃない!偽物だと言い続けるのなら、お前なんか…、お前なんか消えてなくなれぇぇぇえ!」

 ぶち抜いた…。

 あいつは…、信じられないものを見るような目をしながら、口から血を吐き、息絶えた。

「う、う、う…うああああぁぁぁぁあああああっ!ああああぁぁぁぁあああああっ!」

 終わった。私は…、私は決して偽物なんかじゃない…。だって私は…、仮にあいつの言う小日向未来じゃなかったとしても、立花麻由としては本物なんだから…。

 

 

 

 

 

 

 

「プロトタイプ一体目が撃破された…、近接格闘は不得手か…、そこは改善させねばな…」

 響達の住む世界の何処かの廃工場で……、小日向未来が先ほどの戦闘を視聴していた。

「ふん、まあ、まだ焦らずとも良い。シンフォギア・システム 神獣鏡の生産ラインも軌道に乗ったところなのだし、それに…」

 未来が後ろを振り返るとそこには…

「これの生産も進めねばならんからな」

 培養液で満たされたカプセルが何台もあり、その中で小日向未来が眠っていた。

 

 

 

 

 




さて未来さんが感情を珍しく剥き出しにしました。
これで良かったのでしょうか。

次回乞うご期待!

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