陽だまりシリーズ:小日向未来<放浪>   作:ヨザリイコイ

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今回は鏡写し戦直後のお話です。
自分と戦って、正気でいられる人がいるでしょうか。


chapter41.お前はお前だ。

 私の鏡写しとの戦いが終わった。結果は私の勝ちだ。そう勝ったんだ。勝ったんだけど………、

「私が私を………殺した。あの子は私、ここにいる私も私。どっちが私?あの子と私、名前が違う。私は立花麻由、あの子は小日向未来。私は間に合わせ、じゃああの子は?私は改造人間、でもあの子は普通の人間だった?じゃあどっちが本物?」

 私は元々人間じゃなかったの?私にはその()()自体がないの?私は彼奴が、いやあの子がいう通り、ただの偽物?

 それじゃあ、それじゃあ、それじゃあ、それじゃあ…

「いや、違う!そんなはずない!そんなはずはない!彼奴は偽物だったんだ!だからあんなこと言って私を混乱させようとした。きっとそうだ。そうなんだ!もしそうじゃなかったら…!今の私は一体何なんだ!」

 頭を抱えてそう泣き叫ぶ。少しでも嫌な可能性を否定しないとやってられない。私が本物じゃなかったら。そのことが不安で不安で仕方がない。私はそんなこと何もわからないし、知らないからだ。もし単なる模造品でしかなかったら…、親父さんに拾われてからの私が壊れてしまいそうで…。

「麻由!」

「麻由君!」

「だ、大丈夫か!」

 親父さんとダブルライダーがこっちに来た。本郷さん、遅かったなぁ。怪人と戦っていたのか、スーツが少し破れている。

「みんな…、私、私は一体?私は誰?」

 頭の中がぐちゃぐちゃで訳の分からないことしか言えない。

 親父さんが私を抱きしめた。

「今のお前は、俺の娘の麻由だ!誰が何と言おうと麻由は麻由だ!だから何も不安がらなくていい。ここにいるお前は本物のお前なんだから」

「おやじ…さん…、そうだよね…、私の本当の名前が何だって…、私に今までがあったって無くたって……、今生きている私は……、麻由は……、本物……だもの」

 ちょっとだけ胸が楽になった。私が誰であろうと麻由としては本物。それもそうだ。立花麻由は私以外誰もいやしないもの。

「今日はもう引揚げよう。こんな状態で戦うのは危険だ。宿でゆっくり休もう、な?」

「さっき一体怪人を片付けたときに、取り押さえた戦闘員から本隊はまだ来ていないと聞いている。だから多分、今晩くらいは休んでも大丈夫だろう」

「後は俺たち2人で何とかするから心配はいらん」

 お言葉に甘えて戻る事にした。流石に疲れてしまった。身も心も。

 私は立花麻由。今はそれだけでいい。だって……、

 今の私を……、立花麻由を壊したくないもの。小日向未来なんて誰だか知らないし、私のことかもわからない。

 何より…、小日向未来として生きようとしたら本物どうこう難癖付けられる。そんなの嫌だ。偽物呼ばわりなんてされたくない。されたくない。それならば、本物の、私以外の誰でもない、立花麻由でいたい…。

 もし私が単なる作り物で、今までなんてものが無かったがらんどうだったとしても、だとしてもだ。親父さん達に拾われてからの私は、間違いなく本物なのだから。




一応、未来としては今は麻由で良いと落ち着きました。
ただ偽物という言葉が本人には弱点になってしまいましたがね。
次回、マグマ怪人ゴースターの登場です。
なおスノーマンは、本郷さんに撃破されました。
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