陽だまりシリーズ:小日向未来<放浪>   作:インレ

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長らくお待たせしました。
新年一つめのお話は、まさかの仮面ライダー1号との戦いです。


chapter42.立花麻由vs桜島1号

「プロトタイプとスノーマンは撃破されたか」

 ショッカー基地にて、死神博士は報告を受けていた。戦力が減少したことは、あまり好ましい状況とは言えない。しかし博士は大して気にしてはいないようだった。

「しかしトンネル掘削の為の人員は確保できたのだろう?」

「はっ、そちらに関しては恙無く」

「ならば良い。ゴースターを鹿児島へと向かわせる。お前達も予備の人員確保の為に動け。いいな」

 

 

 

 

 

 

 えびの高原で朝を迎えた。空気がとても美味しい。

 親父さんに見送られて一っ走りしに行く。少し気晴らししてこいって言われた。気を遣わせちゃったな。思う存分楽しんでリフレッシュするぞー!

 サイクロン号を緩やかに加速させて、高原の道を下る。入り組んでいるから走りがいがありそうだ。

「いっけー!」

 やっぱりバイクに乗るのは、気持ちがいい。嫌なことが全部吹っ飛んじゃうから。

 

 

 

 

 

 

 

 2時間くらい乗り回して宿に帰ろうとした。すると一台のマイクロバスが横を通り過ぎていった。中には親父さんや滝さんがいた。ただ二人とも、こっちに何か叫んでいる様子だった。それだけじゃない。他の乗客もだいたい同じだった。

「観光地行きのシャトルバスにしては、様子がおかしい」

 急いでUターンして後を追った。穏やかな旅じゃなくなりそうだが、仕方がない。遊びに来たわけじゃないから。

「一体どうしたんだろ」

 サイクロン号を加速させて、強化服を装着する。奇襲をかけられたら怖いしね。

 そんなことを思っていたら、後ろから何かが飛んでくる音がした。ミラーを覗くとロケット弾が飛んできている。

「早速来るとは…」

 慌てずに車体を左右に動かして避ける。これくらいならどうという事はない。

「さて次は何かな?」

 これだけでは終わらないよね。ショッカーさん?

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは一本取られた。この展開は読めなかったよ…」

 まさかね。仮面ライダー1号が襲い掛かってくるとは、思わなかった。これは予想外だ。

 何をされたのかは知らないけど、参ったね。こっちの事を敵と認識してるよ。通信装置で呼びかけてはいるけど、全然反応がない。

 それにしてもショッカーめ、よりにもよってこの人を嗾けてくるとは。この人、力に関しては後期生産型の一文字さんに劣るけど、戦闘技術に関しては上だからなぁ。それにショッカー側だって、何もしないで送り込んでくるはずがないから、恐らく中身はアップデートされている。考えてみると状況は非常に悪い。

「何とか気絶させて取り押さえないと」

 やらないとこっちが殺されてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 1号がこちら目掛けて突っ込んでくる。速い!

 避けるのが間に合わず、体当たりをモロに食らいひっくり返る。

 1号は更に私の脚を掴んで、ジャイアントスイングを仕掛けてきた。3回くらい私を振り回して、近くにあったプレハブ小屋目掛けて投げ飛ばされた。壁に穴が空き、小屋の内側の壁に叩きつけられる。

「何のこれしき…」

 痛む身体を起こして立ち上がろうとしたとき、1号が穴から飛び込んできた。ライダーキックを叩き込もうとしている。でもキックなら!

「これで…どうだぁ!」

 両腕についているコードを伸ばして、ライダーの脚に巻きつける。そして一気に腕を右に振るう。

 1号が壁に叩きつけられて、小屋の壁をぶち抜き吹っ飛んでいった。

「う、上手くいった」

 しかし一息ついている間はなかった。プレハブ小屋にロケット弾が飛んできたからだ。

「またこのパターンか!」

 扉を壊して外に抜け出す。入れ違いでロケット弾が直撃した小屋が木っ端微塵になった。危ない危ない。それよりも1号は何処に行ったんだろう。

 辺りを見回しているとバイザーに反応が出た。後ろから突っ込んでくる!スピードからして多分、サイクロン号に乗っている!

 こちらもサイクロン号を呼び出して飛び乗る。そしてレーザーガンを展開して連射する。1号には悪いが脚になるものを壊さないと危なくてしょうがない。

 しかしレーザーは全く当たらなかった。小刻みに車体を揺らしたり、ほんの少しだけ動かれたりして避けられてしまった。一流のオートバイレーサーというのは、伊達じゃない。こうなったら。

「いっけえぇぇぇえ!」

 サイクロン号をドリフトさせて、体を投げ出す。かなりのスピードで走らせていたから、その勢いで身体が投げ出される。

「アーマーパージ!」

 脚についている装甲の一部を吹き飛ばす。サイクロン号の前輪に直撃し、体勢が崩れた。私は空中で一回転して両足で1号の頭を蹴り飛ばした。

 もんどりうって1号はサイクロン号から転げ落ち、頭をぶつけて、そのまま動かなくなった。慌てて駆け寄りヘルメットを外して確かめたら、呼吸はしていた。気絶しただけみたいだ。あんなやけっぱちな作戦で、どうにか気絶させられた。

「や、やっと終わった」

 何とか1号は止められた。

「おーい、麻由!無事か!」

 あ、一文字さん。来てくれたんだ。遅いよ……。

 そのまま私も倒れてしまった。そこそこダメージ入ってたものなぁ。




あの1号を何とか気絶させた麻由。
とはいえ麻由の方もかなりダメージが入っているから、圧勝ではないです。むしろトータルのダメージは1号の方が少ないかも。
次回、乞うご期待!

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