陽だまりシリーズ:小日向未来<放浪>   作:ヨザリイコイ

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さてさて麻由に怪しい影が忍び寄ります。


chapter43.怪しい影

 目を覚ますと病院のベッドの上だった。流石に無理をしすぎたかな。身体もなんだか軋む。

 ベッドの隣の棚に手紙が置いてある。一文字さんからだった。一連の騒動の黒幕であるゴースターを叩くために、本郷さんと出撃したらしい。

「あの二人なら大丈夫だよね…」

 情けない話だけど、私はこうしているしかないし…。親父さんは無事かな。

「気になっているのならば、何故出撃しない?」

 何処からともなく聞き覚えのない声がする。誰だ?

「誰?」

「いずれ分かる。お前が元の世界に帰ればな」

「元の世界に?」

 声の主は私が居たところから来たのだろうか。こんなところまで来たとすれば、私の知り合いなのか?

「俺はお前の知り合いなどではない。それに味方というわけでもない」

 何だって。味方じゃないということは、私を襲いに来たのか。だとしたら今は万全の状態じゃないからどうしようもない。

「心配するな。身体の動かん奴を甚振る趣味は、俺にはない。それよりも何故動こうとせん」

「怪我をしているから動けないんだ…」

「ならば今直ぐ治してやる」

 左手の甲に何かが刺さった。見てみるとトランプだった。引き抜いてから暫くすると、狼男の時のように意識が遠のいてきた。今は必死に踏ん張っているけど、多分長持ちしそうにない。

「細胞活性剤だ。それで身体は治るだろう。尤もお前の意識まではどうなるかわからんがな。では…、元の世界に早く帰ってこい…」

 さ、細胞活性剤…。とんでもないもの身体に入れられた。

 身体を見ると刺さったところから左腕が変化し始めていた。ここにいると色々な意味でまずい!

 慌てて窓から飛び降り、強化服を装着する。ここからなるべく離れないと!あの時はまだギリギリ正気でいられたけど、今度ばかりはそうはいかないかも…。

 

 

 

 

 

 

 本郷とともにショッカーのトンネルを襲撃して、親父さん達を助け出した。

 しかし奴らもただでは帰しちゃくれなかった。ライダーキックを跳ね返した怪人ゴースターと再生怪人2体をけしかけてきた。

 親父さん達を滝に任せて、俺達は怪人3体を相手に立ち回った。

「中々堅いな…」

 再生怪人2体は一蹴したが、ゴースターという奴はそうはいかなかった。ライダーキックを跳ね返しただけあって、中々頑丈に作ってある。そして離れれば、火炎放射。中々攻めにくい。

 ただ攻めにくいのは向こうも同じなのか、下手に動こうとはせずにお互いの出方を睨み合っている。

 3分経った時にゴースターの様子がおかしくなった。何か急な指令でも入ったのか?

「仮面ライダー!貴様らとの勝負は一時お預けだ!」

 そういうなり姿を消してしまった。何かあったのか?

「おい、本郷。ゴースターの様子がおかしかったが、一体何があったんだろうな?」

「分からん。ただ妙に慌てていたな。計画が破綻したからというわけではなさそうだ…」

 2人で首を傾げていると目の前に何か落ちてきた。トランプだ。それもスペードのキング。

「何だこれは?」

「何だっていい。それよりも早く枝手久島に行け」

「トランプが喋った⁉︎」

「驚いている場合か。はやく行け。ショッカーの基地がある」

「おい、お前は誰だ!」

「誰だっていいだろう。立花麻由がそこに向かった。急げ」

 そういうとトランプは地面に溶けてしまった。

「本郷どうする?」

「行ってみることにしよう。しかし…、麻由君が向かったというのが引っかかるな…」

「兎に角、急ごう」

 親父さんに連絡を取り、俺達は島に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 チャーターした船を降り、島に上陸するとあちこちで火の手が上がっていた。どうしたんだ、一体⁈

 島の奥に進むとそこには戦闘員の死体の山が出来ていた。50体以上はいる。何があったんだ。

 辛うじて生き延びていた1人から話を聞くとバッタが襲いかかってきたと。お前らみたいなのじゃない。そう言って生き絶えた。

「バッタの怪人なんて、麻由君が暴れ回ったというのか。しかしこれは酷いな…」

「こんなに大量の仏さんを作れるような子じゃないぜ。何かされたとしか考えようが……」

 そこまで言った時だった。目の前にゴースターが飛び出してきた。身体中傷だらけでフラフラになっている。

「おい!どうした!」

「か、かめん、ライダー…、に、逃げ」

 ゴースターの言葉が終わらないうちに一本の腕が奴の腹を貫いた。鉤爪のついた緑色の腕だ。

 ゴースターはそのまま横に放り投げられ爆散した。そしてそこに立っていたのは…、

「麻由…」

 髪を振り乱し、何時ぞやのように真っ赤な眼をして、より飛蝗のような怪人に変異した麻由だった。

 

 

 

 

 

 

 

 麻由は何も言わずにこっちに近づいてきた。

「麻由、俺だ!一文字隼人だ!わからないのか?」

 麻由からの返事はない。本郷もテレパシーで呼びかけているが、応答がないようだ。洗脳されているのか?

 答えを出す前に麻由が飛びかかってきた。普段よりも素早い。本郷目掛けて拳を突き込んできた。

 本郷は両腕でガードしたが、後ろに吹き飛ばされていた。パワーも上がっているのか。これは油断できん。

 麻由がマウントポジションをとり、殴りかかろうとしたところを両腕を掴んで本郷から引き離して投げ飛ばす。

 麻由はすぐに起き上がり俺を標的にして襲いかかってきた。俺の頭をひっ掴み後ろに引き倒して、胸に肘打ちを喰わせてきた。

「ぐぶっ」

 これはかなりきつい。

 無造作に腕を振るい、麻由の側頭部を叩く。仰向けに倒れたところを寝技で抑え込む。何とか動きを止めないと原因を探ることもできん。

 ふと見ると左手のあたりに、緑ではなく黒く変色している部位があった。これはもしや…。

「本郷!麻由は俺が抑えているからショッカー基地に直行してくれ!細胞活性剤の解毒剤があるかもしれん!」

 本郷が頷いて、ゴースターが来た道を走っていった。

 そのすぐ後に麻由が俺を跳ね除けて押し倒した。そのまま掴みかかろうとするのを巴投げで投げ飛ばす。そのまま着地したところを近づき持ち上げて、ジャーマン・スープレックスをする。多少は効いたようだが、それでも立ち上がってくる。とんでもないタフさだ。

 

 

 

 

 

 

 殴り合うこと30分。どっちもヘロヘロだ。

「中々キツイな……」

 ふらふらになっていると麻由がゆっくりと歩いてきた。そしてずっと手を出してきた。

 意図がわからず困惑していると一気に身体をぶつけてきた。

「ぐおっ」

 避けきれずまともに喰らい倒れてしまった。胸の上に乗った麻由が俺の首に手をかけて物凄い力で締め上げてきた。これは不味い。本郷、まだか⁈

 体力を消耗していたせいで抵抗できずにいると不意に麻由の力が抜けた。どさりと倒れた。肩のあたりに矢が刺さっている。誰が撃ったのか。見ると狙撃銃を持った本郷がいた。

「すまん、一文字。中々見つからなかったせいで、遅くなってしまった」

「いや、助かった」

「取り敢えず何者かが麻由くんを人為的に暴走させたのは確かみたいだ。ただそれがショッカーの関係者かどうかは怪しいな」

「ショッカーの関係者かどうかか…。確かに麻由が基地を壊滅させたことも考えると、ショッカーの仕業だとは一概には言えないのは事実だな。麻由を改造した連中が、わざわざ暴走させるような真似をするとは思えん。すると第三勢力か」

「ショッカーだけでも手一杯なのに、第三勢力まで出現するとなると厄介だぞ。その連中は、今回の件から考えて改造人間の構造を熟知していると踏んでも良い。無論、存在していればの話だが……、警戒しなければならないな」

 麻由を抱えて、男2人で頭を抱えた。困ったことになったぞ、ショッカーとは別の勢力がいるかもしれないというのは…。

 

 

 

 

 

 

 

「あれのどこが陽だまりだ。ただの野獣ではないか…」

 しかしながらあのパワーとスピードは中々良いな。一度手合わせ願いたいものだ…。無論、制御できなければ、大したことはないがな…。

「まあ、現時点での彼奴の状況を見てくるという俺の役目は終わったわけだ。帰るとしよう」

 魔法陣を開けてその中に入る。その時に後ろを振り、もう一度仮面ノ世界を見る。

「立花麻由…。こんな所で油を売っているんじゃない。早く帰ってこい。仲間の死に目にも会えなくなるぞ…」




如何でしたか。
最後に出てきた怪しい影の正体。何やら未来のことを敵ながら気にかけているような様子ですが、何者でしょうか。
次回乞うご期待!
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