会議には、もちろん参加せず、そこらへんで暇潰しをすることに。
女神達の会議中、私達はラステイションのとある喫茶店で暇潰しをしていた。
「3年もどうして旅してるの?」
「迷子になっちゃったの?」
「ま、まぁ……、迷子かな……。いい歳して恥ずかしいけど……」
ルウィーの女神候補生のロムちゃんとラムちゃんから質問ぜめにあって、私はもうタジタジ。こういうことには、慣れてないから。
「どんな所に行ったの? お菓子の国? 遊園地でいっぱいの国?」
「いや、そんなに楽しそうなところは無かったよ。場所によっては、酷い目に遭うことだってあったし……、でも楽しいこともあったね……」
ほんの小さな良い事は、どの世界でもそれなりにあった。その分、悪い事や訳の分からない事は、どぎついのが一気に来たけど。
しばらくして私に飽きたロムちゃんとラムちゃんは、ピーシェを連れて喫茶店の前にある公園に遊びに行った。残ったのは、ネプテューヌの妹のネプギアちゃんとここの女神候補生のユニちゃんと私。
「子供達は元気でいいね……」
氷が溶けて、味が薄くなったアイスコーヒーにマドラーを突っ込んでかき混ぜながら、外を見やる。子供達は、ブランコで3人乗りして遊んでいる。私にもあんな時があったのだろうか。
「妙に年寄りじみた事言うのね。見た感じ、私やネプギアとそんなに歳は変わらない筈なのに」
「まぁね。少し前まで正義の味方ごっこしてたから、その反動かもね」
「正義の味方ごっこですか?」
「そう……、まぁ世間様から見たら正義の味方に見えるだけだよ。実質、ただの殺し合い。益になる事なんて全く無い無い……」
「テレビの特撮モノみたいなものかしら?」
「ユニちゃん、察しがいいね。大体そんなもんだよ。ただヒーロー物との違いは、ぶつかり合うのが人間同士ってこと…………」
だから人間の感情が混じって、時には凄惨な結果を招くパターンもあった。そういうの見ていると、塩を振った青菜みたいに萎びてしまう。
「ああ……、ごめんね。面白くない話をしちゃってさ。話題を変えようか」
そう言っておきながら、自分からは特に話題らしい話題が出て来なかった。自らの社交性の無さを、この時ほど恨みに思ったことはない。
ユニちゃんが新しい銃を見に行きたいとのことで、ガンショップに行くことになった。ネプギアちゃんは、子供達の面倒を見に公園へ行ってくれている。
「こういう所、初めて来たよ」
「あんた拳銃持ってるのに、行った事がなかったの? ネプギアが言うには、2丁とももうお目にかかれないような旧型だったらしいけど、それでも骨董品屋では売ってないでしょ」
「さっき言っていた悪の組織からの戦利品」
「悪の組織と言う割には、随分とちゃちなもの使ってる連中だったのね」
言われてみれば、妙な所であの連中はお金をケチっている。怪人には、億単位のお金がかけられるのに、銃は、第二次世界大戦の頃のものをそのまま使っていた。私が使っているワルサーP38だって、1941年に作られた代物だ。PPKに至っては1936年製。文明が飛躍的に発展しているここじゃ、骨董品同然。
本当に世界征服がしたければ、その辺りもお金をかけると思うのだけれど。
「あーあ、お金が足りなかったわ……」
「結局、2人で冷やかしに行っただけになっちゃったね」
お目当ての物はあるにはあったけど、懐が寒くて買えなかった。この子は、月末はいつもこうみたい。見てわかったけど、銃は本体だけじゃなくて、部品もかなり高いから。私の場合は、いつもショッカーの基地から奪っていたからタダだったけど、この子にはそういう方法は使えないよね。
「ま、元気出そうよ。お小遣い貰える日も近いんでしょ」
「そうね」
公園に行くと舌の長い怪物がいた。よだれを垂らして、ロムちゃんとラムちゃんを追いかけ回している。言っていることからして、所謂ロリコンという奴らしい。
「彼奴! まだ懲りてなかったの!」
「あれ、前にもこんなことしてたの?」
「一度、ロムとラムを攫ったことがあるのよ」
「なるほどね。だからロムちゃんとラムちゃんは、攻撃せずに逃げているわけだ。さっきから見ていたら、ネプギアちゃんだけしか、まともに戦ってないもの」
そりゃ、あんな気持ち悪いのとは、関わり合いになりたくないよね。
それにしても、ピーシェはどうしたんだろ。特に追いかけられている様子はないけど。
「ちょっと、ミク! あれ!」
怪物の真ん前でとろーんとした目のピーシェが、ロムちゃんとラムちゃんを追いかけていた。あれは……、洗脳でもされた? ネプギアちゃんの呼びかけにも応えてないし。
兎にも角にも、あの怪物なんとかしないと。でも神獣鏡のアームドギアだと周りに被害を出しかねないし。何か得物になりそうなものは……。
「とりあえず私はネプギアを援護してくるわ。あんたは?」
女神化したユニちゃんの問いかけに、私は近くにあった登り棒を見つけて、こう返した。
「私は彼奴の動きを止めるよ」
ネプギアちゃんとユニちゃんが攻撃しているのを見て、状況を確かめる。2人とも池の方に誘い込むように攻撃している。ピーシェにも当たっていない。よしよし、その調子、その調子。
「登り棒の長さも太さも申し分ない……」
神獣鏡のステルス機能を使って、欲望のまま2人のちびっ子を追いかけるのを見て、登り棒を片手にほくそ笑む。
狙いをバイザーのスコープでつけ、やり投げの要領で構える。
「さあ、来い。お前が倒れないとピーシェが帰ってこないんだ……」
本当に彼奴が原因なのかはわからないけど、これまでの経験からしてあの怪物をどうにかしないといけないのは、確かだろうから。
いい塩梅で近づいてきたところで、怪物の右目めがけて登り棒を投げつける。
登り棒が直撃した其奴は、右目を押さえて横にあった池の中に落ちた。
それを見て、ロムちゃんとラムちゃんが魔法で池を凍らせて、彼奴を動けなくした。それからは女神候補生全員で総攻撃。
私は何をしていたのかというと、邪魔しようとしていたピーシェを抱え上げて、安全な所へと下がっていた。勿論、総攻撃の瞬間は目を塞いで見えなくすることを忘れずに。
暫くしてピーシェは正気に戻った。で、神獣鏡を見て大興奮。まぁ、子供受けはしやすい見た目だしね。
「おーッ! それかっこいい! 今度からそれ着てきて!」
「う、うん。出来る限りね……」
正直、身体のラインは浮き出るし、手術痕も浮き出るから、あまり装着する気はなかったけど、ピーシェが喜んでくれるなら別にいいかな。
ちょっとサービスして、宙返りとコークスクリューをしながら遊覧飛行した。これも毎日して欲しいって頼まれた。それは流石に無理って断ったら、ほっぺを膨らましてむくれてしまったけど、勘弁してね。偶にならしてあげるから。
「公園の方は……、無事片付いたみたいだね」
池の周りが季節がわからなくなるくらい荒れていた。冬じゃないのに氷が張ってある。あの怪物がいたところだけは違うけど。
「おーい、みんなー! 終わったー?」
「ついさっき終わりましたー」
多分、ピーシェが正気に戻った時に倒されたんだろう。影も形も無くなっていた。モンスターは倒せば消えるのが、この世界では普通のことみたいだから。
「ピーシェも元に戻ったよー。ほらこの通りー」
地面にふんわりと降り立ち、ピーシェを離す。すぐにテテテと走って、何事もなかったかのように、ロムちゃんとラムちゃんと遊び出した。一方、私達、年長組はというと……。
「これ……、どうしようか……」
荒れた池を見て、後始末のことを考えて頭を抱えるのだった。
後始末は、通報で駆けつけた警察官の人に任せる事になり、ショッカーと戦っていた時のように、自分達でどうにかする羽目に陥ることは無かった。
ラステイションの教会へと戻ると、女神達も会議も終わってひと段落した様子だったけど、ちょっとしたトラブルが発生していた。
空から人が降ってきたんだって。それでここの女神のノワールさんと正面衝突。でもその子は無傷だったみたい。ノワールさんを下敷きにしてたから。まぁ、ここまではどうでもいいことだ。
問題はその子の素性。尋ねてみると、名前はプルルートで
そう思っていたら、こんな言葉が出てきた、
「別の次元のプラネテューヌから来たんだー」
如何でしたか?
神獣鏡は子供には人気ありそうですね。見た目が他よりもロボットに近いから。
最後に少しだけ触れられたプルルートは、「smile」でも登場したキャラクターです。ただ完全に同一人物という訳ではありません。あの作品に登場したのは、後に闇未来さんになる未来に会った子です。
次回もお楽しみに。