カルデアの白い死神   作:疾走する人

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ローマ!(挨拶)


ローマ

「まぶしっ…。」

 

レイシフトしてからすぐに自分の目に入ってきた日光に、立花は思わず声を上げる。

 

「確かに眩しいな…。ここはどこなんだ?」

 

『今君たちがいるところは、ローマだよ!』

 

通信から聞こえてくるロマニの声に立花、マシュ、沖田、有馬の四人は怪訝な顔をする。

 

「ドクター、こんなところが本当にローマなんですか?」

 

「そうだよ、こんな草原がローマなわけないじゃん!」

 

マシュと立花の言葉にロマニは少し考えてから言う。

 

『いや、僕等はちゃんと君たちを特異点に送ったんだ。だから、きっと君たちがいるのは、ローマの近くのどこかだと思う。いきなりですまないけれど、辺りを歩いてローマらしき町を探してみてくれないかな?』

 

「了解です、ドクター!」

 

「ほら、早く行こうよ、有馬さん!」

 

「ああ、すまん。少しあの円環を見ていてな。」

 

「それじゃあ仕方ないね!アレ、最初に見た時は私もビックリしたもん!」

 

「それはそうだ。アレを見て驚かない奴はどうかしている。」

 

立花に言葉を返してから光り輝く円環を少しだけ見て少し目を細め、その後に有馬は立花たちの方へ向かう。

 

「おーい、有馬さん、早くしないと置いてくぞー!」

 

「早くしないと斬っちゃいますよー!」

 

「沖田さん、それはやめて下さい!」

 

燦々と輝く太陽の光を浴びる立花たちが、どことなく眩しく映って見えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ん?」

 

突然立ち止まった沖田にマシュが問いかける。

 

「沖田さん、どうかしましたか?」

 

少しの間目を瞑ってから沖田は答える。

 

「ええ、その、何やら戦いのものらしき緊張感が漂い始めまして…。」

 

「あ、ホントだ!戦いの音が聞こえる!」

 

「先輩、デミサーヴァントの私にも聞き取れないような音を聞き取れるんですか!?」

 

『よし、それじゃあ、その戦いの方向に向かってみようか!』

 

ロマニの指示に従って立花たちは草原を戦いの起こっているであろう方向へと急ぐ。

 

十五分ほど走り続けた後に立花たちが見たのは、衝撃的な光景だった。

 

「討ち取れ、敵の皇帝を討ち取れっ!」

 

「余は、負けん!ローマの皇帝として、ローマを守る者ならば!」

 

数え切れないほどの兵士をたった一人で相手取っている少女。

 

その顔に、立花たちは見覚えがあった。

 

「特異点Fで会ったアーサー王だ!」

 

「確かに!顔がそっくり、というかもろそのままです!」

 

『アーサー王だって!?おかしいぞう!古代ローマにアーサー王がいるわけがない!』

 

「でもいるってことは、あの子がこの特異点の元凶?」

 

「いや、待ってください、先輩!確かに見た目はアーサー王に似ていますが、声とかはどことなく違いませんか?」

 

「そう言われると、確かに!」

 

立花たちがそうこう言っている間にも、少女はドンドン追い詰められていく。

 

その様を見ていられなくなり、立花は命令を出した。

 

「有馬さん、あの子を助けてあげて!」

 

「しかし良いのか?特異点の元凶なのかもしれないのだろう?」

 

「そんなの関係ないよっ!困っている人がいるんだもん、助けないと!」

 

「フッ…、そうか。了解だ。それでは、駆逐を開始する。」

 

「うん!有馬さんの実力を見るための戦いにもなるから、頑張ってねー!…、って、駆逐はダメだよ!?殺し、ダメ、ゼッタイ!」

 

真っ直ぐに他人のことを想える立花にカネキケン(息子)の姿を視て微笑みながらも有馬は戦場に向かう。

 

「むっ、そなたも敵か?見たところ、変わった服装をしているが…。」

 

自分の後ろに立った有馬を警戒して少女は有馬に問いかける。

 

「いや、俺はお前の味方だ。お前もかなり疲れているようだな。少し後ろで休んでいるといい。その間に俺が敵を全滅させてやろう。」

 

少女を抱きかかえてニ十メートル程後ろに跳んで敵から距離を取ってから有馬は前に出ていく。

 

そんな有馬に後ろから少女が悲痛な声をかける。

 

「待て、そなた、武器さえ持っていないではないか!そんな状態で戦場に出たら、死んでしまうぞ!?」

 

丘の上から自分を信頼しているように見ている立花とその隣で自分を心配しているマシュと沖田を見てから有馬は言う。

 

「いや、負けないさ。負けないし、死なない。そんな事をしていたら、立花に怒られてしまうさ。」

 

「ま、待て!」

 

引き止める少女の声を無視して有馬はそばにあった70センチほどの木の棒を手に取る。

 

その瞬間、木の棒の筋に赤黒い光が走り、木の棒は元と同じくらいの長さをしたクインケへと変化した。

 

「え?」

 

後ろで少女が困惑したような声を上げる。

 

それもそうだ。いきなり木の棒が強そうな武器に変わって、驚かない者など数えるほどもいないだろう。

 

これは、有馬の宝具が関係している。

 

死神の傘鎌(レインハンド・クインケ)』。有馬の逸話である「クインケを修理に出していたので傘で喰種を駆逐した」という話が宝具になったもの。

 

ランスロットの宝具である騎士は徒手にして死せず(ナイトオブ・オーナー)と同じような効果だが、その効力はランスロットのそれを大きく上回る。

 

「グッ、どうなっている!」

 

「ダメだ、あの武器、硬いだけじゃなく、切れ味も半端ないぞ!」

 

有馬の宝具によってクインケにさせられたモノは、最低でもBランク以上の力を持つ。

 

Bランクの宝具を持った無敗の捜査官。

 

敵が勝利できる可能性は1%にも満たなかった。

 

「くっ、退却、退却ー!」

 

逃げ帰っていく兵士たちを見て、有馬は小さな溜め息を吐いた。




ちなみに、この作品にはヒロインがいます。

さあ読者諸君、当てて見給え!
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