第21話「接触」〜角龍獣ピュラゴン登場〜
「……おいで!」
右腕を水平に伸ばした少女の後方には、大きな時空間の扉のようなものが開いていた。その中から、額から、サイのような立派な1本角が生えた、1つ目の怪物の頭部が姿を表す。ゆっくりゆっくりと、その身体がこの地下世界へと侵入していく。
『リィィィィィィ…!!』
甲高いツンとした鳴き声が、AM-13地区に響き渡った。この声を聞き、市民達はようやく異変に気がついたようだ。
「お、おい!なんだあれは!?」
声の正体を突き止めようと、周囲を見渡していた人々の1人がその怪物の頭部を発見し、そう叫んだ。
「か、怪獣だ!!」
誰かがそう悲鳴をあげた。丁度、夕方の帰宅時間と重なっていたため、メインストリートはもちろん、昼間は人気の少なかった道でさえ、人で溢れかえっている時間帯だったのだ。怪獣から少しでも離れようと、大勢の人間が一斉に同じ方向へと動き始めたため、当然だがパニックが発生する。
「どけ〜っ!邪魔だ!!」
このような状況下では、人間の本性が表に出てくるとよく言うが、確かにその通りのようだ。まだ暴れ出してもいない怪獣を前に、既に人間の一部が暴れ始め、街に迷惑をかけているという光景は実に滑稽で、キュリは吹き出してしまった。
「馬鹿ね。」
遂に空間移動を完了させた怪獣が、キュリの隣に降り立った。
『リィィィィィィ!!』
「私の目的は、あくまで基地を混乱させて、その間に情報を盗むこと…ではあるのだけど、この子は違うかもね。怪獣兵器でもないし、私には爺さんのように怪獣を操ることはできない。」
キュリはトンっと怪獣の頭上に乗り、そこに跨った。
「で、言うこと聞いてくれるか?ピュラゴン。」
ピュラゴンと呼ばれた怪獣は、それへの返事なのか、ただ興奮しているだけなのか定かではないが、再び大きく吠えた。
「あんまり期待しない方がいいかも。ま、結果は同じよ。関係ない。」
ピュラゴンは図太い二足の脚の膝っこぞうにグッと力を込め、次の瞬間、思い切りジャンプをし、空中へと躍り出た。続いて大きな翼を広げ、滑空状態に入る。超低空飛行で逃げ惑う人間たちを衝撃波などで巻き上げながらある程度進み、急上昇をした。今度はある程度の高度を取り、先ほどと同じような行動をとる。
『リィィィィィィ!!』
混乱しながら逃げてゆく民衆の頭上を通過し、基地へと近づいていく。ここまではおとなしかったピュラゴンであったが、彼にとっては初めて見る地下の世界だ。興奮も高まりの限界を迎えたのか、突如として火球を吐き散らかすように暴れ始めた。
「あー、やっぱり始まったか…。基地までたどり着くかな…。」
やれやれと溜息をつくキュリ。その真下では、至る所で爆発や火災が発生し、多くの建物が音を立てて崩れていくという地獄絵図が広がっていたのだが、それもまた、溜息の要因の一つだった。
「この服気に入ったのにな。もう買い物できないのは残念ね。」
昼間世話になった街並みが崩壊していく様子は、彼女の心を僅かではあるが締め付けたようだ。
その時、ピュラゴンの首元に数発のレーザー光線が命中した。ピュラゴンは悲鳴をあげ、その身体も大きく揺れる。
「…!?」
振り落とされそうなところをどうにか踏ん張ったキュリ。視線を上げると、2機の戦闘機がこちらへと接近していた。アイリスバードだ。
「目標捕捉!攻撃も命中!ここで奴を仕留めます!これ以上好きにはさせない!」
「…流石に早いね…。」
彼女はキッとアイリスバードを睨みつける。
「おい!怪獣の頭の上に誰かいるぞ!?攫われたのか!?」
先ほど威勢良く発言した隊員とは別のもう1人が、キュリに気づきそう言った。キュリはいつもの黒ローブではなく、この地区で売られていた市販の服を着用していたため、駆けつけた隊員たちにとっては、ぱっと見では連れ攫われた一般人に見えたのだ。
「本部!目標の頭上に少女あり!攻撃を続けますか!?」
「待て!!その情報が確かなら攻撃はまだだ!市民の避難の援助を優先せよ!」
これが本部からの指示であった。
「…しかし、この短期間でここまで街をめちゃくちゃにした奴です。早急に、まずは大人しくさせなければなりませんよ!」
最初に発言した隊員が、攻撃中止の指示に抗うように言った。
「そんなことはわかっておる!だが市民の命が優先だ!」
「放っておいたら、その市民の命がさらに失われますよ!!」
「…その通りだが!…怪獣の頭上には…!」
キュリは吹き出しそうになった。敵の小娘への配慮に関して大真面目に口論しているのだからそれも仕方がないだろう。
「これは長くなりそうね。5分で終わらせるって言ったし、ここでゆっくりしている暇もない。能力の無駄遣いは控えろとは言われてるけど、ローレンのための浪費に無駄はない。」
キュリは怪獣だけを残して、フッと姿を消した。
「…!!本部!少女が突如姿を消しました!すぐに索敵に…!」
報告と同時に、驚きつつもしっかりとレーダーを起動させ確認を怠らない隊員たち。おそらく、結構な場数を踏んでいる手練れなのだろう。
「落下したのではないのか!?」
「ずっと怪獣を目視していました!そのようなことを見落とすはずはありません!」
「…だか、これで怪獣には思う存分攻撃できる。すぐに援軍もよこす。無茶はするな、とりあえず、あの翼を叩き落とせ。間違っても基地には近づけるな!!」
改めて、本部の意向が固まったようだ。
「了解!」
時を同じくして、キュリは本部基地のとある建物内に侵入していた。ここは本部の主要施設の中でも、敷地の奥にある場所だ。彼女の推理では、ここが一番怪しかったのだ。彼女は廊下の天井に張り付くように待機し、様子を伺う。視界に入る隊員や職員たちは、慌ただしく縦横無尽に駆け回っているようだ。
「…確実に見つけ出してやるわ…。データの保管場所を!」
キュリはパッと廊下に降り立ち、駆け回る人々の行く手を阻んだ。
「な、なんだお前は!?」
戦闘員が咄嗟にアイリスリボルバーを抜き、非戦闘員である職員を庇うように立った。一瞬でこの動きができるのだから、やはり本部の人間は違うようだ。
「…安心しなよ。殺すつもりはないからさ。」
「どうやってここに入った!?返答次第では、子供だからと容赦はせぬぞ!!」
隊員はキュリから漂う、ただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、こめかみに一筋の汗を流しながらそう叫んだ。
「そうだな、怪獣をこの街に運んだのと同じ方法、と答えればいいか?」
「貴様!地上人か!!」
隊員たちは、すぐに銃の安全装置を取り外し、引き金を引いた。遠征計画失敗以降、黒ローブの者は発見次第射殺との命を受けていたのだ。
ズガガガガガ…
特殊弾丸ではない、実弾の幕が彼女に襲いかかる。だが、彼女の身体に風穴は一つも開いていなかった。銃弾は全て、何らかの方法で回避したようだった。
「どうやって…この狭い空間であれだけの数の弾を避けたというのだ…!?」
驚きを隠せない顔の隊員たち。中には、すでにすっかり青ざめてしまった者もいる。
「…また質問なの?私はさっきあんたらの質問には答えたばっかりだぜ?今度はー」
キュリは大きく両腕を広げた。それと同じタイミングで、戦闘員たちの足元に小さなゲートが開いていく。突然その穴から、無数の弾丸が飛散した。
「うがぁぁぁ!!」
隊員たちは1人残らず両足に多くの弾を被り、その場に倒れこんでしまった。
「私の質問に答えろ。本部にはIRISの管理している重要機密があるはずだ。その保管場所を教えてくれるだけでいい。簡単だろ?」
「こ、この弾は…さっき俺たちが撃ち込んだ…な…んで…?」
何が何だかわからず、思わずそう声に出てしまった隊員の頭を、キュリは苛立った様子で蹴り飛ばした。
「だーかーらー!!…ほんっと、わかんねえ奴らだな。私の質問に答えろって言ってんの!!」
「地上人!!そこまでだ!!」
その背後に、銃声を聞き駆けつけた他の戦闘員たちが、すでに攻撃態勢を整えていた。
「…はぁ…。ほら、お前、お前だ!」
キュリは側に倒れていた男を担ぎ上げ、顔を近づけた。
「ここで死ぬのと、ひとまずは知ってること言って助かるの、どっちがいい?」
「動くな!そいつを離せ!」
駆けつけた隊員たちの中でも一番偉そうな男が、血眼で吠えた。
「うぅ……言えない…」
捕まった男は、今にも消え入りそうな声を振り絞ってそう答えた。
「…あ、そ。悪いけど時間もないし、もう用はないわ。」
キュリは男を渾身の力で殴り飛ばした。駆けつけていた援軍たちの方へと数メートル宙を舞ったあと、壁に激突し、動かなくなった。
「き、貴様ぁ!」
ズガガガガガ…
再び銃弾が彼女を襲う。
「ったく、怒りたいのはこっちだっつーの…!」
キュリは瞬間的に、利き腕である右腕に力を込め、異人化させた。ゲフールと戦った時のイクタのように、等身サイズで身体の一部だけを完全異人態に変化させたのだ。腕が廊下を塞ぐ大きな盾のような役割を果たし、全ての弾丸を弾ききった。
盾としての役目を終えた腕はみるみると、異人態のまま縮小し、等身サイズにまで縮まった。隊員たちは、皆揃って口をポカーンと開いているだけだった。威勢の良かった偉そうな男も、腰を抜かしている。
「この現状を見て、まだ戦う意思があるってんのなら、かかってきなよ。」
キュリはそう捨て台詞を吐くと、腰を抜かしている連中の側を堂々と歩きながら、廊下を進んで行った。この建物で正解だろう。怪獣の襲撃という、ほとんどの戦闘員が駆り出されるはずの非常事態で、この奥地の小さな施設にこれだけの戦闘員が待機していたのだ。守るべき何かがあるからである。先ほどの派手な歓迎のおかげで、それを確信することができた。
「私って天才な上にラッキーだな。山張ったらいきなり正解だもん。まぁ問題は、それがどこかってことね。ウザいのは粗方戦闘不能にしておいたし、虱潰しでも大丈夫だな。」
キュリは小走りに駆けながら、廊下に接している全ての部屋の扉を開いていく。何度か同じ動作を繰り返すうちに、突き当たりに大きな扉を見つけた。何やら、重要な部屋のようだ。入室できる者が限られているのだろう、個人認証システムらしき機械が何重にも仕掛けられている。
「臭うね。あからさまにここじゃん。」
部屋に入るため、異人化させていた右腕で、機械を御構い無しに叩き潰していく。
「てやーっ!」
全てを破り、部屋へと入ることができた。彼女の目の前には、多くの大きなコンピュータが並んでいた。全部で13はありそうだ。試しに、一番近くにあったモノを弄ってみる。ちょうど顔くらいの高さに設置してあるモニターに、様々なデータが浮かび上がってくる。
「…これよ!これがIRISの機密情報…!」
これはCH地区にある支部のデータらしい。その座標、マップ、抱えているスタッフや戦術兵器の数、年間予算から何から何までが出てくる。パスワードのようなものは必要ないらしい。まぁ、これだけ奥地の施設のさらに最奥部、選ばれし者しか入れない場所なのだ。ここにくるまでの過程がパスワードとも言えるし、不思議ではのかもしれない。
「これが全部で13…つまり、IRISの基地の数は13…。って、ボーッとはしてられない!全部回収よ!」
キュリは全てのコンピュータに片っ端からUSBのような電子端末を突っ込み、データを抜き取っていく。だがどうにも引っかかることがあった。妙に、うまく行きすぎている気がするのだ。
「…ま、私のやり方が鮮やかすぎたってだけよ。現に、こうして情報盗れているんだし。」
一瞬脳裏をよぎった違和感をすぐに振り払い、作業に集中していったのだがー
時を同じくして、昼寝の最中であったローレンは、何かを感知したのか、目を覚ました。
「キュリめ…余計なことを…。任務は情報の横奪だったはずだが…。」
起きるやいなや、そう口にした。
「…と、いうと?」
近くでリハビリのためか、ダンベルを持ち上げていたダームが訊ねる。
「…いや、こちらが不利になることではないからいい。…それに、今まではうっすらとしか見えていなかった未来がはっきりと見えてきた。…どうやら、ちんたらしている暇はないようだ。」
ローレンはそのまま立ち上がると、歩き始めた。ダームの側を素通りし、外の方へと向かっていく。
「どちらへ?」
「準備運動だ。しばらく身体を動かしてなかったからな、異人化の身体は、この俺とて慣らしておかなければ、いざという時に本領が発揮できなくなる。」
そう答え、彼は部屋から出て行った。
「…ローレン殿が戦わなければならない事態が迫っているということですかね…。まさか、そのようなことが本当に…。あの口ぶり…敵は地下人だけではないと…そう仰りたいのでしょうかな?…ふぅ、面白くなりそうですねぇ。」
ダームは血が騒いだのか、武者震いをした。どうにも地上人というのは、好戦的な輩が多いようだ。とても、ついこの前の戦闘で死にかけた爺さんのセリフとは思えない。
「さて、どうやら後始末や次の策も考えなければ、ならないようですね。」
ダームはダンベルを投げ捨てた。ゴーン…という重い金属音が、静かな室内に反響し、そして徐々にまた静けさを取り戻していった。
「AM-13地区に怪獣の襲撃!?」
TK-18支部へと帰還中だったイクタ隊のもとに、その情報が伝達されたのはピュラゴン出現より2分後のことだった。
「そうだ。」
通信機の向こうで、司令官が短く答える。本部のある都市が襲われている状況にしてみれば、やけに落ち着いているようにも思える。予め、ある程度の規模の襲撃の想定はしていたのだろうか。
「ということは、本部の部隊の援護に回るのが、我々の新たな任務でしょうか?」
イイヅカがそう訊ねる。
「いや違うな。そもそも、今から本部に向かい、戦闘し帰還を果たすだけの燃料はもう残っていないだろう。どのみち、どこかで補給を取らねばならない。怪獣は待ってはくれん。」
「そうみたいだな。じゃあ、なんでわざわざ連絡を?急用でないのなら、帰ってからの通達でよかったじゃん。」
イクタがそう言った。
「お前らの帰還を待っている暇はない。別の案件が浮上した。お前らには、今からそちらに送る地図の、指定された箇所に向かってもらう。補給はその道中、CH地区で行え。」
「CH!?結構遠いな…。しかも俺らを向かわせるのか。何事?」
「お前の作ったあの何とかコンピュータというのが、また大きな生物エネルギーを探知したのだ。おそらく、地下に眠っていた怪獣とやらの1体のはずだ。どうやら、これが最後の反応のようでな。そのエネルギーの発生現場のデータを叩き出した後は、すっかり静かになってしまった。」
司令官は、これまでの経緯をそう説明した。
「なるほど。最後の大怪獣か。これも俺たちの戦力にしない手はない。了解した。イクタ隊は支部からの命令に従い、現場へ急行する。」
イクタの機体が大きく旋回し進路を変更するのに従い、部下たちも後を追うように飛行していく。「しかし、本部付近に現れた怪獣は大丈夫でしょうか?エレメントという巨大戦力のバックアップなしに怪獣と戦闘するのはリスクが高いのでは?」
ホソカワが遠い地にいる同士の身を案じてそう呟いた。
「IRIS現有戦力のみでの怪獣との戦闘なんて、エレメントが現れてからのこの約半年以前は普通にやっていたことだ。特に、本部となればあらゆる分野での凄腕のベテランが集まっている。本部が壊滅したら、それこそ地下世界は終わりだ。だからあそこだけは、ほかの基地とは比べ物にならないほどの数の戦闘マニュアルや戦闘員、戦術兵器まで何でもある。心配はいらんよ。この俺も、単身での攻略は不可能だと悟ったほどだ。」
「…なるほど、確かにそれなら余計な心配でしたね。」
納得いったように、安心して胸をなでおろすホソカワ。
「…というか攻略って…。つまり、本部以外の基地なら、イクタ隊長はたった1人で落とせる自信があるんですか…?」
アヤベが恐る恐る訊ねる。
「当たり前だ。この俺を誰だと思っている。地球有史史上最強とも謳われるこのイクタ・トシツキ様だぞ。」
『…その肩書きはたった今初めて聞いたがな…。怪しいものだ。』
エレメントが水を差した。それを合図に隊員たちに笑顔が零れる。
「うるさいな。事実だろ。」
イクタは少しだけ頬を膨らませると、機体を急加速させた。
「ちょ、ちょっと待ってください!隊長!!」
慌てて、部下たちが後を追う。
『全くそんなことで拗ねるとは、君らしくも…いや、むしろ君らしいとも言えるか。』
「…ま、そんなことはどうでもいいんだ。急いでいるのには別の理由もある。」
すぐにいつもの顔に戻ったイクタが、真面目なニュアンスでそう語る。
『…ほう。』
「あんたも薄々感じているはずだ。どうにも嫌な予感がする。」
『…今度こそ、奴らが来たというわけだな。』
エレメントもやはり勘付いていたのか、すぐにそう答えた。
「本部周辺の厳戒態勢っぷりは半端ないぜ。タダでさえ、AM地区は地中にも空中にも、地区境には、管轄下以外の何かが触れたら反応する磁力線を結界のように張り巡らせてるんだ。IRISの隊員や乗り物だって例外じゃない。本部に行くときは、そいつに引っ掛からない為に、解除用の暗号を打ち込まなければ、直ちに迎撃ミサイルが飛んでくる仕組みだ。加えて、対黒ローブ用にさらに警戒を強めているはずだ。今は地中のミミズ一匹の動きすら逃さないだろう。」
『だが、怪獣は突然として街に現れた。それも本部が構える場所だ。間違いなく、キュリだな。』
2人はそう確信しているようだ。
「それしか有りえない。…でも、このタイミングで仕掛ける攻撃にしては物足りないよな。本部のある大都市を壊滅させるくらいで満足するあいつらじゃない。それに、確認されている怪獣は一体だけだ。確実に、ほかの目的がある。」
『私なら、怪獣の攻撃を陽動に使い、本部に侵入するだろう。目的はそうだな、情報収集ってところじゃないか?我々はお互いに、得ている情報が少なすぎるからな。君が地上のことを知りたがって遠征を果たしたように、ローレンたちも何かを仕掛けてきてもおかしくない。』
エレメントはそう分析しているようだ。
「なるほどね…。だとすると、IRISの情報は既に抜き取られていると思って間違いない。どれだけ厳重な警備でも、御構い無しに空間を捻じ曲げるあいつは防ぎようがないからな。」
イクタはお手上げ、という表情でそう嘆いた。
『それはどうかな?私は、むしろ良い方向に事が運んだかもしれない線を予想しているが。』
エレメントはニヤリと笑った。
「何…?」
『どういうわけか、IRISは私の想像以上に、リディオ・アビリティに関する情報を得ているようだ。本部長は、私の存在さえ知っていた。まだ多くの何かを隠しているようだよ、この組織は。』
「何が言いたい?」
イクタは少し苛立ったような口調でそう言った。焦らされるのは嫌いなようだ。
『本部ともあろう重要拠点だ。いつ襲撃を受けてもおかしくはないからな。組織は地上人の存在も、当然知っていたはずだ。空間操作の使い手がいることもな。あの何を考えているかわからない本部長のことだ、最も侵入されたくはない情報の管理庫には、特殊な細工を施していても不思議じゃない。』
「だから、結局何が言いたいんだ?IRISが隠し事してることくらいは俺だってわかってるよ。」
『キュリはおそらく、情報入手のために最奥部の管理室に侵入する。他にわざわざ忍び込む場所もないからな。上層部も、そのケースは想定していたはずだ。さて、君はトップレベルの科学者なわけだが、IRISの強みはなんだ?軍事力か?』
「…それもだが、最高峰の科学力だろ。他のどの企業にもない技術をいくつも抱えてる。」
『そうだろう。本部には、まだ君にさえ公開されていない技術がある。私はそう確信している。…話が逸れたな、そのことはまた別の機会に議論しよう。その最奥部の部屋だ。組織だって、わかっててみすみす情報を奪われるようなアホの集まりではないはずだ。今頃、泣き目を見ているのはキュリの方だ。』
エレメントは、いつもの様子とは何かが違った。憶測だけで物事を話すということは、相変わらずなのだが、一言一言に確信を抱いているのか、自信満々に話していく。こんなこと、初めてかもしれない。
「…空間操作に制御を加える特殊空間の設置。それっぽいものが施されてるってわけか?」
イクタは、エレメントの話からそう推測し、訊ねた。
『流石だな。いくらリディオ・アビリティと雖も、所詮はちょっと特殊になった人間の扱う能力だ。機械的な操作ではない。特に空間操作は、この地下を作った能力でもある。地下と最も縁のある力だ。その研究は、組織発足時からされているだろうな。その技術を手に入れるまでは至らなかったようだが、空間の弄りを妨害する手段は身につけているはずだ。』
「相変わらず、だろう、だとかはずだ、ばっかりだが、その自信の根拠はなんだ?」
『…珍しく、私の考えが的を射ているのではないか、と思ってるだけだ。特に根拠はないさ。』
「ふーん。それだけなら、良いんだけどな。」
イクタはエレメントを横目で見つめながらそう言った。こいつも、IRISと同じだ。絶対に何かを隠している。そもそもだ、こいつは俺の生い立ちから、今に至るまでの経緯まで知っていたのだ。俺の両親のことだって、本当は何かをー
「…もう一回だけ聞いていか?あんたは、どこまで知っている?」
『…言ったはずだ。君の全てをーいや、もっと多くのことを知っているさ。伊達に、君より150年以上も長く生きているわけじゃない。』
「そういうことが聞きたいんじゃないんだよ!」
イクタは大声で怒鳴った。エレメントは予想外の事態に驚いたのか、しばらく口を開かなかった。
「…悪い。有益なことを知っているのなら今すぐ教えろ。教えたところであんたにメリットはないかもしれない。だが、教えなかったことで生じるデメリットはあるはずだ。なぜ隠す?」
『…知りたいことは己で調べ尽くす。それが君のはずだ。私は君の言う通り、全てとは言わないが、この世界の核心をつけるところまでは知っているつもりだ。しかし、もし仮に私が全てを教えたその時、君の成長は止まる。』
「…あんた一体何様のつもりだ?俺の成長が止まるだと?現に本部が襲われている今、悠長なことは言ってられないだろ。じっくりと真実の探求をしている暇はないんだよ!」
『…そうかもしれないな。でもやはり私は、君に真実を直接伝えることはできない。』
エレメントは頑なであった。
「なんで…」
『私は、君と初めて会った時に言ったな。とある人物に君を救うようにと頼まれ、やってきたと。その人物との契約だ。私の口から伝えることはできない。今はイクタ、君を拘束している身分でもあるからな、本当は君の望みには答えなければならないのだろう。だが、その人物との契約は私の命よりも重いのだ。破ることはできない。』
彼はそう言った。確かに、そのようなことを聞いた覚えはある。
「そんなこと言って、言いたくないだけじゃないの?…まぁこれ以上聞いたところで口を割りそうにもないし、別に良いさ。真実とかは、地上と平和を手に入れてからでもいいことだ。」
イクタも少し冷静さを取り戻したのか、自らにも言い聞かせるようにそう話した。
『やはり君は賢い。それが最善だろう。』
「それに、あんたの誤魔化し癖にも慣れてきたし…な。」
頬を少し膨らませ、横目でミキサーの中にいる彼を睨みつけながら、そう言った。
『はは…悪いとは思っているよ…。』
エレメントは苦く笑った。
「さて、と。任務は完了ね。」
全ての情報を抜き取り終えたキュリは、そう呟くと、端末をポケットへとしまった。先にこの端末だけでも、ローレンの元へと届けようと、ポケットの中に小さなゲートを作ろうとするがー
「…あれ?飛ばない…?いや、そもそもゲートを開けてないのか…?」
自身の意思通りに空間を操作できないなんてこと、初めての経験である。だが彼女は焦らず、他の行動に出る。
「ま、慌てることはないね。ピュラゴンを回収して、そこからでも遅くはない。」
今度は、ピュラゴンの方へ飛ぼうとした。しかし、彼女の身体がその場から動くことはなかった。
「…どうなってやがる……そうか…!まさかこの部屋に何か細工が!?」
異変に気付いたキュリは、急いで部屋を出ようとするが、破ったはずの扉が、さらに頑丈そうな鉄板に置き換えられているのを発見した。おそらく、非常用のシャッターか何かであろう。
「…舐めた真似しやがって…!道理で上手くいきすぎていると思ったんだ…。けど、それで捕まえたつもりなら笑っちゃうぜ。こんなもの、すぐにぶち壊して…。」
右腕を異人化させていく彼女は、ふと背後に何かの気配を察知し、背を低くして緊急回避した。同時に、ズキューンという音が響く。今の今まで彼女が立っていた場所に、銃弾が刺さっていた。
「…驚いたな…。まさか伏兵がいたなんて、全く気付いてなかったぜ。大した気配の殺し方じゃないの。」
キュリは、姿の見えない狙撃者に向かってそう言い放った。しかし、返答ない。
「…でも殺気だけは消さなかったみたいじゃん。」
もう一度言葉を投げかける。
「驚いたのはこちらの方よ。地上からの侵入者が、昼間の小娘だったなんて。」
ようやく返答があった。その声は、キュリの記憶にも新しいものだったのだ。
「……確か、ハーパー、だったっけ?あんたがここの警備にいたとはね…。」
「覚えてくれていて嬉しいわ、キュリ。随分と好き勝手やってくれたじゃない。でもここまでよ。
「あぁ、好き勝手にさせてもらったさ。全部、あんたの丁寧なご案内のおかげでね。礼を言わせてもらうわ。」
キュリは挑発するように言った。
「やけに強気みたいだけど、状況わかってるの?お得意のコソコソと動き回る力は封じさせてもらってるんだけど?」
「そうみたいだな。でもそれも、この部屋の中だけだ。ならば、脱出するだけの話!」
キュリは中断していた右腕の異人化を再開。みるみると大きくなっていく怪人のような腕を振り回し、出口を無理やり生み出す策のようだ。
「そう簡単に、できるかしらね?」
ハーパーのその声を合図に、隠れていたさらに多くの隊員が姿を現した。合計で15人はいるだろう。
「…ちっ…!」
彼女は思わず舌打ちをした。いくら異人化した右腕という絶対的な武器があるとはいえ、敵にはある飛び道具がこちらにはない。いつもなら、迫り来る銃弾を相手に浴びせ返すという防御と攻撃を一体同時に行えて、さらに部が悪くなったら緊急脱出できるという便利この上ないアビリティが使えるのだが、それもない。大きくなった右腕を動かすには、その分大きなモーションが必要になるが、隙が生まれることにもなる。狭い空間で15人を相手に大きな隙を見せるわけにもいかない。戦況は明らかに不利だった。
「こうなったら…まずは全員殺す…!そうするしかない…!」
キュリは腰を低くし、戦闘態勢に入ると、まずは勢いよく飛び出し、最も近くにいた隊員に襲い掛かった。小回りが利くように、腕のサイズを少し縮小化している。
「うおりゃぁぁぁ!!」
怒鳴るように吠えながら、一直線に向かってくる。だがそんな彼女にも臆することなく、冷静に銃を構え続ける隊員。決定的なダメージを与えるために、ギリギリまで惹きつける作戦のようだ。
「狙うは0距離…!」
銃を握る腕に、自然と力が入る。
「無駄だ!」
懐に潜り込んできたキュリが、隊員が引き金を引くよりも僅かに早く、その胴体を引き裂いた。
「うわぁぁぁ!」
即死した彼の返り血を浴びながらも、彼女は止まることはなく、次の標的へと飛びかかっていく。
「やるわね…。」
身構えるハーパー。ここにいる伏兵たちは、今頃本来ならば怪獣と戦っていなくてはならない、優秀な戦闘員なのだが、ハーパーが無理を言って、ここに予備の待機兵として掻き集めていたのだ。本部周辺での怪獣出現=敵の侵入とも予測していた本部長との意見も合致し、その無理が通ったのだがー
「15人で足りるのかしら…。」
こう考えている間にも、また1人がやられた。僅か数十秒で2人が葬られたのだ。圧倒的不利な状況下でもこの暴れっぷり。流石に、想定の範疇の外である。
「…でもここで仕留めなきゃ、取り返しのつかない犠牲が出る……。奴は空間操作ができないわ!0距離とか惹きつけとか、考えなくていい!とにかく痛手を負わせるのよ!」
「了解!!」
隊員たちは作戦を切り替え、とにかく向かってくるキュリへと銃口を向け、弾丸を発射する。
「小賢しいんだよ!!」
それらを全て、右腕で弾いていく。やはり、ある程度距離を縮めなければせっかくの飛び道具も優位性を取れないのかー
誰もがそう思ったその時、キュリの右腕の動きが止まった。最後に弾く動作をしたその場所から、腕が動かなくなったのだ。その僅かな隙を、彼らは見逃さなかった。
「今よ!!」
数発の弾丸が、彼女の身体に命中した。遂に攻撃が通った瞬間だった。
「グハッ…」
数メートル後ろに飛ばされ、壁に衝突する。
「何が…」
突如として麻痺してしまった腕を見つめるキュリ。彼女自身も、何が起こったのかわかっていない様子だったが、原因の候補には、いくつか心当たりがあった。
「……消耗か…。ここにきて異人状態での実戦不足が祟ったか…。」
右腕の異人化を解除し、左腕でそれを支えるような格好になったキュリ。
「どうやら、相当なリスクが伴う変身だったようね。無様な様子だわ。」
痛みが走るのか、右腕を抑える彼女の姿には、先ほどまでの勢いや威勢は感じられなかった。
「ここではあなたは何もできない。観念することね。」
生存した隊員たちに囲まれ、身体のあらゆる箇所に直接銃口を当てられるその姿は、取り押さえられた凶悪な連続殺人犯の様だった。
「……」
キュリはうな垂れる様な素ぶりを見せたが、その顔つきは敗者のものではなく、むしろニヤついていたのだ。
「…何がおかしいのかしら?」
それに気づいたハーパーが不審がり、警戒してそう訊ねた。
「いや…これで私の勝ちだと思うと、笑いが止まらなくてよ…」
「あなた、状況がわかっているの?」
「あぁ。わかってないのは、あんたの方だぜ…。」
キュリは咄嗟に、素早く左腕を、スカートのポケットへと突っ込んだ。しかしその動作を易々と見逃す彼らではない。
「動くな!!」
すかさず、今度こそ0距離からの発砲を行う。
「ぐっ!…。」
身体の数カ所に風穴が空いたが、御構い無しに左腕を動かし続ける。そして何かを手に取ったのか、ポケットから腕を出すと、次は側にいた隊員から銃を奪い取り、手に取った何かをセットし、引き金を引いた。
「私にここまでの傷を負わせたのはローレン以外ではあんたらが初めてだぜ。でも、終わりよ。」
発射された弾丸がピカリと光り、目映い閃光が狭い室内を照らし出す。
「な、なんだ!!」
突然の強い光に、一時的に視力を奪われてしまった彼らは、銃をこぼし、彼女を取り逃がしてしまう。
「目眩しの閃光弾…!?」
「いや、違います!この質感…噂に聞く怪獣兵…」
そのセリフがそれ以上続くことはなかった。その場に出現した怪獣によって、踏み潰され、一瞬にして全員が絶命してしまったからである。
『ゴオォォォォォォォ!』
登場と同時に、多くの人命とデータ、資料を建物ごと粉砕したその怪獣は、大きな鐘を鳴らした時の様な重さがありかつ広範囲に響き渡り、余韻を残す大きな咆哮をあげた。
「ふぅ、持ってきて正解だったな…。」
その頭上には、キュリが寝転がっていた。右腕は麻痺し、胴体は風穴だらけ。どうやら、もう立っていられるだけの体力は残っていないらしい。
「地の覇獣グランガオウ、地下デビューだぜ。」
先の遠征計画でIRISに甚大な被害を与えた、最強と名高い怪獣は、今もなお吠え続けていた。
「な、なんだ!?また怪獣か!?」
本館では、崩壊していく建物から現れた巨大な怪獣に目を疑っていた。市街地では、まだピュラゴンとの戦闘が続いている。いかに本部の力を持ってしても、二体の怪獣を相手にするのは厳しいだろう。エレメントを助っ人に呼びたいところだが、彼は今別の地点へ向かっている。まさに、絶体絶命とはこのことを言うのだろう。
「…くそっ!…直ちに各支部の最高の部隊をここに向かわせるんだ!IRIS始まって以来の危機だ!一歩間違えれば地下世界が終わる!!ちんたらするなよ!!」
いつになく怒声を撒き散らす本部長。本部だけは、絶対に落とされてはいけない要なのである。是が非でも、この危機を乗り越えなくてはならない。
「…イクタもだ!奴だけ別行動でここへ連れてこい!」
TK-18支部へと、そう指示を出す本部長。
「し、しかし!イクタの部隊は全員新人です!イクタ抜きに怪獣との戦闘は危険すぎます!」
フクハラ支部長は、そう抗った。
「その新人の安全と、この本部の、地下の未来!どちらが大切だと思っているのだ!」
「それは……!」
「いいから今すぐイクタだ!エレメントが必要なのだ!奴の存在の意味を分かっているのか!?」
「……わかりました。すぐに手配を…。」
フクハラはこれ以上抵抗しても無駄と思い、そう判断した。
「あーいや、あたしたちもう帰るしその必要はねーぜ。これ以上続けたら私が死ぬわ。」
会話に割り込んできたのはキュリであった。
「何?」
「ピュラゴン!」
そう叫ぶと、市街地で戦闘中だったはずのピュラゴンが猛スピードで彼女の元へと飛んできた。怪獣兵器ではなくとも、ある程度の制御はできる様だ。
『リィィィィィィ…!!』
「さて……今の身体でもどうにか、二体とも連れて帰れそうだな…。久々に楽しい思いをさせてもらったよ。じゃ、次に会うときは本気で殺しにかかるから、よろしく。」
そう言い残し、1人と二体は姿を消した。
「…レーダーにも反応はありません。地上に空間移動したものかと思われます。」
「念には念だ。世界中のレーダーというレーダーをしばらく監視しておけ。被害の確認も速やかに行え。」
本部長はそう命令すると、司令室を退室し、自室へと戻って行った。
「地上人共め…!好き勝手してくれたな…!……情報も盗まれたようだし、すぐに本格的な侵攻が始まるだろう。受け身ではいけない!」
1人でそうブツブツと呟きながら、歩いていく。その瞳には憎悪の感情が見て取れた。
「イクタ…イクタだ…!やはりあいつがいなければ…。何の為にこの世に生み出したのか、全ては、この時のためだ!」
地上のある一角に、キュリと二体の怪獣が突如として現れた。
「…ぐっ!…やっぱ結構いてーな…。」
リディオ・アクティブ・ヒューマンでなければ即死していてもおかしくないほどの重傷を負っているのだ。よく怪獣を二体も同時に飛ばすことができたものである。
「…グランガオウまで持ち出していたとはな。もし何かの間違いで奪われたとしたらどう責任を取るつもりだった?」
その目の前には、既にローレンが立っていた。
「……私に任せると言ったのはローレン、あんただぜ。それに、結果オーライだろ。」
キュリは、抜き出したデータが詰まっている端末を投げ渡した。
「ふん、まぁいい。早くダームのところへ行って、傷を治せ。お前の身体がそんなものでは、計画や作戦に影響が出る。」
「わかってるよ。……ローレン、異人化したのか?」
キュリはローレンの姿に違和感を覚え、そう訊ねた。よ全身から微かに異人特有のオーラを感じたのだ。
「あぁ。備えは怠るな。さっきのお前のように、戦闘中に身体が制御できなくなる可能性がある。相手が人間だったから命拾いしたが、エレメントだったら終わっていた。そうだろ?」
「そうかも…ね。それに、ちょっと派手にやりすぎた。私も、ピュラゴンも。」
「全くだ。情報さえ持って帰ってくればよかったのに、必要以上に憎悪の感情を買ってしまった。復讐心は強さの根源。この俺のようにな。気をつけておけ。これで、戦場の場所が地上になる可能性も浮上することになった。そのルートの未来が見え始めたからな。」
「…悪かったよ。でも、どのみちエレメントはローレンに勝てない。結末は同じ、でしょ?」
「ふん。」
ローレンはキュリに背を向けると、そのまま去って行った。あの寝てばかりのローレンが自ら体を慣らし始めている。エレメントと戦う未来が見え、血が騒ぎ出したのだろう。
「…まぁ、ローレンに勝てる奴なんかいないし、心配はしてねーけど。不安なのは私だぜ。たかが一般兵にここまでしてやられたからな…。油断はできねーみたいだ。」
キュリはグランガオウをカプセルに戻し、ピュラゴンに口笛で合図を出した。アジトまで乗せてもらうことにしたらしい。
『リィィィィィィ…!!』
静かで広大な地上に、ピュラゴンの鳴き声が響き渡って行った。
続く。