ハリポタの公式スタンプが出ていたことを知り、速攻買いました。あれはネタですね。有用です。
もう一つ、この二次創作のお気に入り件数が700件を超えました!
皆様には、日頃からご愛読いただき、誠にありがとうございます。
両親を夢に見た翌日、レイラの機嫌は良くなるかに思えたが、目に見えて不機嫌だった。そんな様子ながらも、薬草学が休講になった分空いた時間でお菓子作りに精を出していた。
まるで毒物でも作るんじゃないかというような雰囲気を醸し出しながら、生地をこね、伸ばし、型を取る。
興が乗ってきたのか、鼻歌交じりでクッキングシートを敷いたトレイの上に型取った生地を置いていく。予め予熱しておいたオーブンにトレイごと生地をいれ、焼きを開始した。レイラが不機嫌なこと以外は、とても微笑ましい光景だ。鼻歌まで歌って、年頃の少女そのものだろう。鼻歌の曲が、ワーグナーの『ワルキューレの騎行』でなければだが。まずありえないが、オーブンの中身がナパーム弾のように炸裂しないことを願おう。
どうしても何かさせて欲しいと主張してきた屋敷しもべ妖精たちに紅茶を入れてもらい、出来上がりを待つこととなった。
「うん、美味しい」
屋敷しもべ妖精たちは歓喜の表情を浮かべ、それぞれの仕事へと戻っていった。ゆっくりとカップをソーサーに戻したレイラは、目頭を揉んだ。
「なんで、みんなハリーが継承者だって思うんだろうな」
「昨日の決闘クラブのことを思い返せば、そう思われても仕方ないだろう」
昨日、ロックハート主催で行われた決闘クラブで、ハリーが観衆の目の前で蛇語を話してみせた。本人は全く意識していなかったようだが、口をついて出たようだ。問題はさらに、蛇が近くにいたジャスティンを襲うように見えたと主張する生徒がいたことだ。レイラに言わせれば、「手を出すな」と言っていたようだが、そんなことは生徒たちが知る由も無いだろう。
そんなことがあり、今朝方レイラが朝食に向かうときや授業に行くときに「グリフィンドールのポッターがスリザリンの継承者では?」という話で持ちきりだった。さらには、ハリーが蛇をけしかけようとしていたなどという噂まであった。
「誰が噂し始めたか分かれば、そいつに呪いをかけてやるのに」
香ばしい匂いを発し始めたオーブンを眺めながら、レイラはなんでもないことのように言った。ため息をつく代わりに、苦笑を浮かべて、アルフレッドは紅茶に口をつけた。
その数時間後。人で溢れかえった廊下で、肩を震わせて怒りを露わにするレイラをどうなだめたものかについて、アルフレッドは思考していた。目の前で起こる騒動など、もはやどうでもよかった。そもそも、誰も騒ぎ声を
騒動は、出来上がったクッキーをハリーに上げようと思い立ったレイラがアルフレッドを伴って、適当にホグワーツを歩いている時に起こった。
「襲われた! 襲われた! またまた襲われた! 生きてても死んでても、みんな危ないぞ! 命からがら逃げろ! おーそーわーれーたー!」
遠くから響いてくるピーブズの声が聞こえたのはアルフレッドたちだけではなく、続々と他の生徒たちが廊下に顔を出して声の出所を探った。
レイラは止めていた足を動かし、他の生徒が道を塞ぐ前に、声のした方へと急いだ。
廊下の角を曲がって、レイラはその場にハリーがいることを確認して、次いでそのすぐ側にいた者を見て察した。新しい犠牲者が出たのかと。
「ハリー」
「れ。レイラ……違う、僕じゃないよ」
石になったようで、床に横たわるジャスティンと、空中に静止している首なしニックがそこにいた。慌てた様子のハリーに、「大丈夫、分かってるよ」と声を掛ける。
空中を愉快そうに漂っているピーブズを見て、先ほどの声を出した張本人だと理解したレイラは、笑いかけてくる彼に対して睨みつけた。
ちょうどそこへアルフレッドが早足で駆け付け、それに続くようにして生徒や先生がなだれ込んできた。
ハッフルパフ寮のジャスティンと同じ寮のアーニー・マクラミンが、押し寄せた人をかき分けて前に出てきた。息せききった様子で、顔面を蒼白にしながら芝居の仕草のようにハリーを指さした。
「現行犯だ!」
その声を皮切りに、ざわめきが広がっていく。先生たちは生徒を鎮めようと注意するが、誰も聞く耳を持たない。みんなハリーを見て、避けるように距離を取った。
避けるくらいなら早くこの場を去ればいいのにと、うるさい声に顔をしかめるアルフレッド。そして隣のレイラを見て、やはりとばかりにため息をつく。赤みがかった髪がかかる肩を震わせ、怒っていると分かるレイラに、他の者は気づかないでいた。
レイラはゆっくりとローブからトネリコの杖を抜き放った。アルフレッドが止める間も無く、レイラは杖を振るっていた。
「黙れ……」
最初にアーニーが口を開いても声が出ないことに驚き、慌てふためくが誰もそのことに気づかない。
「黙れ!」
レイラがもう一度杖を振るったとき、生徒たちの声は聞こえなくなり、あたりはシンと静まり返った。困惑した表情で友人同士顔を見合わせる者、自分の喉を触ってみる者など様々な様子の生徒たち。
「マクゴナガル先生、ハリーではありません。きっと、校長先生もそうおっしゃります」
レイラの訴えに、マクゴナガル先生は目を白黒させながらも、自分がなにをするべきかを理解して、背筋をピンと伸ばした。
「そうだとしても、この件は私の手には負えません。……ミスター・ポッター。理由はどうあれ、付いてきてください」
そうしてハリーはマクゴナガル先生に連れていかれ、残ったジャスティンと首なしニックを、フリットウィック先生たちが医務室へ運んで行った。
ハリーと先生たちが見えなくなってから、レイラは掛けた魔法を解いて、さっさと寮へ向けて歩き出した。再びざわめき始めた生徒たちの声を背に、廊下の角を曲がったレイラは、力強く壁を叩いた。
「なっにが現行犯だ! よくて第一発見者だろうに! ハリーは杖も抜いてなかったのに。そもそも、あの場にスリザリン生のわたしがいたんだから、わたしを指せばいいものを。……ああ、もう!」
もう一度、今度はさらに力強くドンと音が鳴るほどに壁を拳で叩いた。叩いて、うずくまってしまった。アルフレッドはここでようやく気を楽にした。この反応なら、自分が何かせずともレイラが立ち直るだろうと踏んだのだ。しかし態度は平気になっても、今度はレイラが怪我していないかと心配になってきた。
「大丈夫か?」
壁を叩いた手は赤く腫れていて、レイラはフルフルと首を振った。
「……痛い」
アルフレッドは苦笑して、携帯している薬の中から軟膏を取り出して、レイラの手に塗ってやった。薬効は十分にあるので、おとなしくしていればすぐに治るだろう。
痛みで頭が冷えたのか、それ以上悪態をつくことはなく、レイラはゆっくりと歩き出した。
ジャスティンと首なしニックが同時に襲われたことで、これまで以上に、不安になる生徒が多かった。ゴーストであり、一度死んでいるニックに危害を加えるなど、どんな恐ろしい力を持っているのだろうかと、多くの者が怯え、クリスマス休暇にホグワーツ特急へと殺到した。
ダフネ達姉妹も、ホグワーツ特急で家に帰るらしく、レイラに挨拶をしていた。
「すみません、私たちだけこのような……」
「いいって、気にしないで。帰って両親を安心させてあげなよ。ほら、もうすぐ汽車が出るよ」
本来は残る予定だった生徒たちも、家から帰宅を促す手紙が来て、帰ることにした生徒が大半だった。残ったのは両親が忙しいから帰れないドラコ、クラッブとゴイル。もちろんレイラとアルフレッドも残る。スリザリンの寮では、他に上級生が一人程度だ。
ダフネとアステリアを見送って、レイラは図書館に籠ることにした。外は雪が降っていて寒いが、学校内は何かしらの魔法なのか、多少冷えるくらいだった。
薄いブランケットを膝にかけ、習ったことの復習や、予習を行う。クセが出始めてきた自分の髪を気にしつつ、羽ペンを走らせる。魔法薬の調合法を紙にまとめなおしている間、レイラの思考はハリーのことについて向かっていた。
結局この間は、ハリーとまともに話せないままだった。その後もハリーがあまり堂々と城内を歩いていないことから、レイラはハリーをつかまえられずにいた。
——ダンブルドアはハリーを悪いようにはしないし、ハーマイオニーやロンがついてるから、ある程度は大丈夫だろうけど……。
自分のやっていない事をやったと言われ、周りからもそう思われることがどれほど苦痛か。やはり今度会いに行こうと、レイラは考えていた。
使う人が誰もいなくなった図書館の窓際に立ち、降りしきる雪を眺める。せっかくなら雪だるまくらい作った方がいいのだろうか、などと楽しい方向へ思考を持って行こうとしたが、レイラは自分が雪だるまを作るところを想像してやめた。
——いやいや、ほとんど人がいないからって、はしゃぐのは良くないよな。うん。
「……あぁ、そうだ」
頭を振って邪念を飛ばそうとして、レイラは思い出した。
「そろそろ、ポリジュース薬が完成する頃だな」
果たして、調合はうまくいったのだろうか。レイラは荷物を片付けながら、女子トイレに鎮座する鍋を思い浮かべた。彼女が珍しく腹を抱えて笑うまで、あと少し。
更新が遅れてる間に、グリッドマンのアカネちゃんを見てたりとか、マリモさんとかいう方を調べてナーバスになってたりしない。ないったらない。
予約投稿して、床に就きます。