ハリー・ポッターと不死鳥の姉   作:駆華野 志想之介

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最終章!(秘密の部屋が)
これで物語は終わり!(秘密の部屋が)

早くくっつけ……

お気に入り、感想。ありがとうございます。テンションが上がったり、構成を考え直したりするいい機会になったりと良いことづくめです。
たくさんの方に見てもらえていると思うと、感無量です。目から出汁が出ます。


マグルの世界へ

 秘密の部屋から帰還したハリーが、戻ってきたダンブルドアと話しているのを、レイラとアルフレッドは校長室の外で黙って聞き入っていた。傷を負って力の抜けたレイラを、アルフレッドが透明マントをかぶりながら支える形だ。

 ハリーがどのように秘密の部屋から無事に戻ってこれたのか、その時に何が起きていたのか。ジニーが犯した事について、咎めは一切なし。ハリーとロンにはホグワーツ特別功労賞が授与されることとなった。

 ダンブルドアはハリーと話があると言い、他の者たちに部屋から出るように言い渡した。

 

「俺たちも、医務室に行こう。お前の体を診てもらわないと」

「もう少し待って。ダンブルドアがハリーに何を言うのか、聞いておかなきゃ」

 

 そうして再度、部屋の中から聞こえてくる声を聞く。会話の内容から、ハリーは不死鳥がレイラだったとは気がつかなかったこと、ヴォルデモートと自分が似ているのではないかという疑問を持っていたことが分かってきた。

 ダンブルドアが必要以上にハリーに教えないかとハラハラしていたレイラだったが、ダンブルドアは人にものを教えたがらない性質のようで、上手くぼかしながらハリーに説明してくれた。レイラとハリーの中にある魂にも触れはしたが、それがハリーに影響を与えたことまでしか話さないでくれた。ほっと一安心したところに、ドラコの父親であるルシウス・マルフォイが校長室へとずんずんと入って行った。

 どうやら話の流れから、ジニーの手に何者かの手によってトム・リドルの日記が流れ着き、それをジニーが両親がくれたものだと勘違いして使用するに至った。ということらしい。

 しかしそのことよりも、レイラは驚いていたことがあった。ルシウス・マルフォイの背後を何か小さいものが付き従っていると思って見れば、なんとドビーではないか。つまりあの屋敷しもべ妖精は、マルフォイ家に仕えていたのだ。

——マルフォイ氏も苦労してそうだな。

 そんな氏が、ドアの外にドビーを蹴っ飛ばしながら出てきたときには、レイラもアルフレッドも目を丸くした。まさかダンブルドアが見ている前でそんなことをしてくるとは、夢にも思わなかったのだ。その二人を、なんとハリーが追いかけてきた。

 

「マルフォイさん、これはあなたのでしょう」

 

 そう言ってハリーがマルフォイ氏に差し出したのは、トム・リドルの日記だった。マルフォイ氏は目もくれずに、それをドビーに投げつけた。

——あー……ハリー、多分それやっちゃだめなやつだよ。

 

「ご主人様がドビーめに服をくださった。 これでドビーは、自由……」

「なんだと」

 

 ハリーが持ってきた日記には、彼自身の靴下が挟まれていたのだ。それを見過ごしたために、ルシウス氏は気づかずに日記をドビーに投げてしまった。主人から服を渡された屋敷しもべ妖精は、仕える家から去ることができる決まりがある。しかし、家を去ったからと言って、屋敷しもべ妖精は魔法使いを害することはしないらしいのだが、どうやらドビーは他とは異なっていたようだ。使用人を奪われて怒り心頭のルシウス氏の腹に魔法をかますと、腕組みをして見下ろしていた。

 氏は悪態をつきながら、さっさとその場を逃げるように去って行ってしまった。

 そしてハリーは、解放してくれた礼になにかできる事はないかと言うドビーに、二度と助けようとしないでとお願いした。

 

 

 

 というのが、昨日起きた事の顛末だ。他には、マンドレイク薬か完成したので、石にされた生徒が治ったくらいだろう。お陰で医務室のベッドには、一人を除いて誰も寝転んではいなかった。

 寝間着に着替え、ベッドに横たわるのはレイラだった。昨日、ルシウス氏が帰り、ハリーも自分の寮に戻った後に、ダンブルドア校長が隠れていたレイラとアルフレッドに声をかけたのだ。いつまでも聞き耳をたてていないで、早く医務室に行きなさいと。

 医務室に行きたくなかったレイラは、懸命に怪我をしていないアピールをしたが、それを聞き入れないダンブルドア校長とアルフレッドによって医務室に担ぎ込まれた。

 バジリスクの毒を不死鳥の涙で相殺し、いくらか傷を塞いだといっても、完璧に治っているわけではない。特に内臓はまだ痛んだままであった。それを見透かしていたダンブルドアは、レイラに医務室行きを勧めたのだった。

 

「ほら、レイラ。早く飲んでください」

 

 ベッドの上で上半身だけ起こし、差し出されたスプーンから顔を背けるレイラ。苦笑しながらスプーンを差し出すのは、ひと学年下のアステリア・グリーングラスだ。マダム・ポンフリーから、すべて飲ませるようにと言われて渡された深皿には、まだたっぷりと飲み薬が残っていた。

 絶対においしくないことが分かっているものを、誰が好んで飲むというのだろうか。

 

「ほら、口を開けてください。あーん」

「い、いや。アステリアさすがにこの歳でそういうことは、恥ずかしいんだけど」

 

 両手を胸の前で振りながら、再度差し出されたスプーンを拒むレイラ。アステリアは拒否するレイラを見て、次第に強引になり始めた。

 

「私、姉上から呪文を教わってきたんです」

「へえ、何の呪文だい」

 

 スプーンをいったん下げて、アステリアは自分の杖を抜いた。そしてそれを、薬を下げられて気を取り直したレイラに向ける。

 

「レイラを動けないようにして、お薬を流し込めるようにする呪文ですよ」

 

 くいくい、と。杖を振って見せるアステリアの笑顔に、ようやくレイラは屈した。すべて一気に流し込まれるよりは、少しずつ飲んだほうが良いと判断したのだった。

 

「あーん」

「え、結局このままのまされ――むぐぅ」

 

 決意を固める間もなく口に突っ込まれた薬は苦く、渋かった。それが胃に流し込まれて体にいきわたる感覚が、とても不快だった。けれどレイラのプライドが、下級生の前で恥ずかしい姿を見せるまいと、必死に表情を繕わせていた。

 その結果かどうかは怪しいが、レイラは五分とかからずに薬を飲み切ることに成功したのだった。

 恐ろしいのは、アルフレッド、ドラコ、ダフネがこうなることを見越してアステリアに見舞いに行かせたことだろう。三人とも、自分たちが行けばレイラを甘やかして薬を飲ませないだろうと考え、一番レイラが抵抗しなさそうなアステリアを選んだのだった。

 そんなことを二日も続ければ、レイラの体調はすっかり元通りになった。

 秘密の部屋の事件が解決してからは、のんびりとした時間が過ぎた。あまりにのんびりしすぎて、何もしていないかと錯覚してしまう程だった。

 闇の魔術に対する防衛術の授業は、担当であるロックハートが聖マンゴ病院に入院することとなり、来年度まで無しになった。どうやら忘却術を悪用して、他人の行ってきた偉業を、自分のこととして本に書いていたようだった。

――まあ、そんなところだろうと思った。

 時間のできたレイラは、また以前のように、自分の家系を調べてみたり、アルフレッドと必要の部屋で呪文の練習をしたりしていた。また今回の一件から、不死鳥の状態で何ができるのかの検証を行った。最近のブームは、アルフレッドが見せてくれた守護霊を出す呪文の練習だった。まだうまく形が形成できないながらも、アルフレッドは守護霊の呪文をレイラに見せ、その銀色の光にレイラが目を奪われたのが理由だった。

 時折クッキーを焼いては、ダフネとアステリアを誘ってお茶をしたり、図書館で勉強しているハリーに課題のヒントを上げたりと、充実した時間を過ごした。

 そうしてまた、ホグワーツにきて一年が経とうとしていた。

 

 

 ホグワーツからそれぞれの家に帰る日、レイラは私服に着替え、ホグワーツ特急のコンパートメントに腰かけていた。対面にはアルフレッドが座るだけで、二人きりだった。途中で一度ドラコが来て、ルシウス氏が起こした事件について、すまなかったと謝罪をしてきた。レイラはそれを笑って受け取ると、「来年もよろしくね」と返したのだった。

 緑が広がる車窓を時折見ながら、手元の本に目を落としていた。かっちりと着た白い長袖シャツと緑のスカートの下には、傷跡を覆う包帯が隠れていた。いまさら巻いても意味はないだろうが、万が一ハリーに見られても誤魔化せるようにと考えての処置だった。

 キングス・クロス駅も近づいてきたころ、アルフレッドが口を開いた。

 

「なあ、レイ」

「うん、なんだい」

「もしまた、何かあったら、遠慮なく連絡を寄越してくれ」

 

 どこか気難しい顔をするアルフレッドを見て、レイラはおかしくなってくすくすと笑いが出てしまった。

 

「いったい何の話をするのかと思えば、そのことか。ふふ」

「おい、俺はまじめなはなしをだな――」

「わかってるよ。ありがとうアルフレッド」

「……ふん」

 

 顔を窓へと向けてしまってうかがえない、アルフレッドの様子がさらにおかしく、レイラは笑みが絶えなかった。

 そんな中で、レイラはほんの少し、気まぐれから、疑問をぶつけてみた。

 

「今回はそんなにひどい怪我を引きずっているわけじゃないのに、どうしたんだ」

「はあ?」

 

 アルフレッドは意味が分からないといった様子で、窓の外を見ていた顔を、レイラに向けた。しかし、アルフレッドがそんな顔をする理由が、レイラにはわからなかった。

 

「そんなもの」

 

 否、知ろうとしていなかっただけかもしれない。

 

「お前が大切だからに決まっているだろう」

「うぇ…………」

 

 突然のことに驚き、レイラの口からおかしな声が漏れ出てしまった。次いで、いたたまれなくなり、今度はレイラが窓の外へと顔を向けてしまった。

 アルフレッドは「まったく」とあきれたように腕組みをして、ため息をついていた。このときレイラの顔を覗き込んでいれば、今の彼女がどんな顔をしていたのかを知ることができただろうが、そうはならなかった。

 結局その後、二人は駅に着くまで口を利かず、別れ際も、

 

「アルフレッド、また、ホグワーツで」

「ああ、レイ。またな」

 

 などとぎこちなくなってしまった。

 別れた後も、もう少し話していればよかったと後悔し、ダーズリーの家で騒ぎを起こせば家からたたき出してくれるだろうかと半ば本気で思案したほどだった。

 駅を歩くうちにハリーと合流した。

 

「聞いたよハリー、大活躍だったって」

「あー、うん。とってもスリリングだったよ、二度とやりたくないかな」

 

 そう言って苦笑いするハリーと連れ立って、レイラはバーノンおじさんが待つ駐車場へと向かったのだった。

 

――Fin――




やっと、終わりました。
ここまで続けてこられたのも、日ごろからご愛読くださる皆様のおかげです。
今まで拙作をご覧になってくださり、まことにありがとうございました。

さて、これで投稿が終わるはずもなく、次には「アズカバンの囚人」が控えています。
いやあ、腕が鳴るなあ。はは。

それでは、またお会いしましょう。
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