戦姫絶唱シンフォギア -聖遺物に取り憑かれた太陽-   作:ぬヰ

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この話は最終話、11話となっております


最高な人生 -終-

「さあ、殺してみろよ。デスガール」

 

「グルルァァ!!」

 

切歌、いや切歌の姿のネフィリムは礼に鎌を振りかざす。

 

その瞬間礼は両手の指先にオーラを集める。

そして攻撃を受け流す目的を持ち、目の前に展開する。

これは調がクリスとの特訓の時に見せた技だ。

盾のようなものを作り出す、切歌の攻撃はその盾によって防がれる。

 

「おらァ!!」

 

礼はすかさずカウンターで右足を横にして切歌の腹部へ直撃させた。

切歌はかなりのスピードで石の塀にぶつかるが、何ともなかったように立ち上がる。

 

「ギャァアア!!」

 

切歌は又しても礼に突進してくる。

礼はそれを一つ一つ完璧に避けてみせた。

礼は切歌を見つめながら心の中で切歌に聞いた。

 

……なぁ切歌。覚えてるかよ、昔お前、「人を助けられるような強い力を手に入れたい」って、言ったんだぞ。

 

『にぃ!』

 

『んー?どしたー?』

 

『私、にぃみたいに大きくなったら人を助けられるような力を手に入れてみせるデス!!』

 

『ほぅー、それは心強いなー。じゃ切歌が俺を守れるようになるまで俺が絶対に守ってやる!』

 

『えへへー』

 

「くっ……」

 

礼は切歌が知らない記憶を蘇らせていた。

知らない間に礼の目は水面のように潤っていた。

礼は目に溜め込んだ涙を我慢し、切歌を見つめる。

 

『切歌君だって強い。多少は解決出来るだろう』

 

『自分でなんとかするデス!』

 

風鳴弦十郎と決闘した時の事を思い出す。

 

……お前はまだ強くねぇよ……俺が守ってやる…

 

その時切歌の左足の踵蹴りが礼の右肩に当たり、礼はバランスを崩す。

 

「ぐあッ!!」

 

右肩を抑えていると次は腹部を蹴り飛ばされる。

 

「がはぁッ!」

 

礼は地面に叩きつけられ、動きが鈍くなる。

しかし、そんな事お構い無しに切歌は倒れている礼の上へ飛び乗った。

 

「クソがァ!!」

 

礼は上に乗った切歌を振りほどき、調の前で立ち上がる。

 

「礼!私も……!」

 

「2対1は好きじゃねぇ、それにもう、終わらせる……」

 

「え、礼それってどう言う………」

 

礼は暴走している切歌の近くへ寄ると切歌はそれに気づき手を出して来た。

 

近づいた切歌を礼は足をかけて倒れさせる。

暴れる切歌の両手を片手で抑えた礼はもう一つの手で切歌の胸へ手を乗せる。

 

「ちょ、礼!?こんな時に何を…」

 

調は状況が理解出来ずに混乱していた。

 

「切歌の中のネフィリムのオーラだけを俺のモノにする!」

 

「そんな事出来るの!?」

 

「弦十郎のおっちゃんと戦った時に言ったはずだ、人のオーラを吸い取って自分の物にも出来る、とな」

 

切歌の胸に触れている手から礼独自のオーラが溢れ始める。

 

「こんな力、俺がめちゃくちゃにしてやる」

 

「アアアアアァァァ!!!」

 

悲鳴を上げる切歌を必死に抑え込んでネフィリムのオーラだけを引き抜く。

すると時期に切歌の変色した皮膚は元の肌色に戻った。

その代わり、礼の体が変色していた。

 

「な、なるほど……こりゃすげぇ力だ……少しでも気を緩ませたら飲み込まれちまいそうだ……」

 

「礼!!」

 

「ゆきねぇと調たんは切歌を安全な場所へ移動させてくれ」

 

「お前はどーすんだ!」

 

「俺は、ここで死ぬ」

 

「何で!せっかく切ちゃん、いいや妹に会えたんでしょ!?もっとそばに居てあげたいと思わないの!?」

 

「俺の目的は昔っから変わらねぇよ、切歌が楽しく生きることが出来ればそれでいい」

 

「礼………」

 

「さぁ、早く行け。俺はここでオーラを完全放出させる、つまり自爆だ」

 

「切ちゃんにはなんて言えばいいの!?」

 

「適当に帰って行ったとでも言っとけ」

 

「調、行こう……」

 

「でも……!」

 

クリスが調をじっと見つめると調は分かったといい、振り返ること無く全力で礼の場所から離れる。

 

礼はクリスと調の姿が見えなくなったことを確認すると空を見上げる。

見上げた空は雲一つない快晴で、西の空の方は紅く染まっていた。

 

「さて、終わらせるか……」

 

礼はゆっくりと瞼を閉じる。

 

「俺の人生はロクな事が無かった。なぁ切歌、もし俺とお前が別れてなかったらどーなってたんだろうな。きっとそうなってたら切歌は弱いままだったか…まぁそれを守るのが俺の生きがいになったかもしれないな……」

 

「ハァァァァッ!!」

 

礼はオーラを暴走させ、礼の体をグルグルと循環する。

そのオーラの中にはネフィリムの力があるオーラもあり、それを礼のオーラとぐちゃぐちゃに混ぜ込んだ。

そして礼は自爆出来る準備を完了させた。

 

「なぁネフィリムさんよ、今どんな気持ちか聞いてみたいもんだな……」

 

『………サイアクナキブンダ……』

 

礼はネフィリムの声だか分からないがそう聞こえた。

 

「ハハハッ!、俺もだ」

 

礼の体が黄色に光り始める。

次第に光力が上がり、眩しいほどにまでなった。

 

「切歌、最高に人生、楽しめよ……」

 

ドオォォォォォンッ!!!!

 

と遂に巨大な爆発が起きた。

爆風はかなり遠くに居たクリスと調にも伝わってきた。

 

「礼……!」

 

轟音が鳴り響くと同時に調が礼が居る方向を見た。

その方角には黒い煙がもくもくと上がる。

その瞬間に調は礼との特訓の日々を思い出すと涙が止まらずに流れ出した。

しかし、調は止まることなく切歌を抱えたまま本部へと戻った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「切歌君の様態は!?」

 

「礼の奴がなんとかしてくれた」

 

本部へ戻ったクリスと調はそれぞれ別行動していた。

クリスは弦十郎に報告、調は切歌をメディカルルームへ。

 

クリスが起こったこと全てを弦十郎に話すと、なるほど。と呟いて、それ以降話が進むことは無かった。

 

 

ベッドの上に切歌を寝かせた調は、切歌を見つめながら目を覚ますのを待った。

エルフナインが調のために紅茶を持ってくると同時に切歌が目を覚ました。

 

「おはよう、切ちゃん」

 

調はエルフナインからカップを受け取りながら切歌に話しかける。

 

「ネフィリムは……」

 

「礼が、全部終わらせてくれた」

 

「そう、デスか…、礼は何処に?」

 

「………帰っちゃったよ、切ちゃんを助けてすぐに…」

 

「お礼……言いたかったデス……」

 

調は紅茶を口に含み、カップを卓上電気の置いてあるテーブルにそっと置くと、調が予想もしなかった話を切歌か始めた。

 

「調、これは私がとても小さい頃の、まだ孤児院にも居なかった時の話なんデスけど……」

 

調は目を大きく開き、切歌の話を聞く。

 

「多分、信じては貰えないんデスけど……ね……」

 

「私には兄が居たデスよ、強くて逞しくて私をいつでも守ってくれた大好きなお兄ちゃんが…」

 

「そう、なの?」

 

調はこの時点で全てを察してしまい、涙が流れそうになるがぐっと堪えながら切歌の話を聞き続ける。

 

「そのお兄ちゃん、きっと礼なんデスよね……強くて、逞しくて、私を守ってくれて……まぁ、礼自身は覚えていないと思うデスけどね」

 

切歌が微笑しながら言うと、調は静かに涙を流していた。

 

「し、調!?えぇ?ど、どしたデスか?どこか痛いとか……?はっ!まさか私が記憶無いところで調に傷付けちゃったデスか!?」

 

「ううん……そぉんなんじゃないぃ……そんなんじゃなぁいんだけど………うわぁぁぁぁぁぁぁぁ………」

 

 

礼、あなたの人生はロクな事じゃなかったよ!あなたの事を覚えていた妹が居る!あなたの事を大好きな妹が居る!出会い方が間違っていなければ、とっても裕福な暮らしが出来たのに………

 

「あー、切歌ちゃん調ちゃん泣かしてるー!」

 

丁度ギャラルホルンから帰ってきて事情を把握した翼、マリア、響が顔を出した。

 

「珍しいこともあるものね、切歌が調を泣かすなんて」

 

「泣かすやつは許さなそうな奴なのに」

 

3人は笑いながら切歌の無事を確認した。

 

「ええええ、私は泣かせてないデスよー!調ぇぇぇ泣かないでぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はは、だっせぇ……」

 

とある男はコンクリートの上で仰向けになって呟いた。

 

 

 

 

ーTo be continued

 

 

 




ご覧いただきありがとうございました!!
これで『戦姫絶唱シンフォギア -聖遺物に取り憑かれた太陽-』は完結となります!
しかし、毎度恒例キャラクターによる感想という枠を作らせていただきますので、本編11話+1話、計12話で完全に終わりとなります。
読んで下さった皆様本当にありがとうございました!!!

To be continued、という事は………?
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