戦姫絶唱シンフォギア -聖遺物に取り憑かれた太陽-   作:ぬヰ

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この話は5話となっています


礼と言う人物、そして月の決意

本部へ戻ったクリス、調、切歌そして礼の4人は事情を説明して、調はエルフナインと切歌の面倒を見るためメディカルルームへ向かった。

 

「まさか、そんな事があったとは……」

 

「気晴らしのはずが、逆効果だったな」

 

「きっといつもなんとも思ってない雰囲気を出してたが気に持ってたんだな、いじめとか色々」

 

弦十郎とクリスと礼は司令室で話していた。

 

「うーむ、切歌君は無理してでも元気にいつも話しているからな、その精神が崩れたらネフィリムも自由ってことか……」

 

「ゆきねぇも調たんもペンダントを持ってなかったもんな、持ってたとしてもそのペンダントの力では到底沈められなかったかもしれないけどな」

 

「あ、そうか、お前はまだシンフォギアの存在を知らないのか…」

 

「それより、礼君」

 

「ほい?」

 

弦十郎は鋭い目で礼を見つめる。

礼はそれに怯えること無くいつものように返事した。

 

「お前の名前は利奈坂 礼じゃない。そうだな?」

 

クリスは弦十郎のその言葉の意味が分からずに冷静に話を聞く事にした。

 

「俺は利奈坂 礼だ。学生証にだってそう書いてある」

 

そう言うと礼は学生証を出して見せた。

確かに学生証の名前のところには利奈坂(りなざか) (れい)と書かれていた。

 

「かつて、風鳴家に1人の男の子がいつの間にか誕生していた。少しは成長していたが誰の子かも分からなかった当時はそいつの名前を【ぜろ】と付けた。そのぜろは育てられ、中学生ぐらいの時には育て親に反論し、家を出ていってしまった。そいつはそれっきり帰ってきていない。そんな事が起きたんだ」

 

「なるほど?」

 

礼は動揺せずに弦十郎の話を冷静に聞いている。

 

「お前の名字、【りなざか】は反対から読めば【かざなり】となる。そして、名前の【れい】は数字の0と於けば別の読み方をすれば【ぜろ】となる。つまり、お前は風鳴家を出た【風鳴(かざなり) (ぜろ)】そうだな?」

 

クリスはその話を聞いて嘘だろと言う顔をしながら礼を見つめる。

 

「流石風鳴弦十郎、鋭いな」

 

礼は話の風潮も態度、表情何一つさっきと変わらずに話す。

 

「確かに俺は風鳴家に小さい頃住んでいた。弦十郎のおっさんにも()()()とも会った事がある。言った通り【りなざか】という名前は風鳴家から見つからないように考えた名前だ。【れい】も同様。安直過ぎたけどな」

 

「何故お前はまた俺のところに現れたッ?」

 

「それは偶然だ。デスガールに異様なオーラを感じたから助けてあげたい一心で上の奴に会いに行けばまさかの風鳴弦十郎あんただったってワケダ」

 

「だが謎だな…何故お前は切歌君にこだわる…?」

 

「………なんとなくだ」

 

弦十郎に正体を見破られた利奈坂 礼、いや風鳴 零はここで初めて目が少しだけ泳ぐ。

 

「これが事実ならば風鳴家に伝えなければならない。それでもいいならそのまま黙っててくれ」

 

弦十郎がそういい、発信器に手をかけようとした時礼の口が開く。

 

「あんたの答えはまだ20点だ」

 

「なんだと…?」

 

「その答えは俺の正体の20%ぐらいまでにしか至っていない。あんたは分かるか?俺が何故風鳴家に突然現れたか」

 

礼はそう言うと凍りつくような空間が作り出された。

クリスは口を開く事も出来ずに話を懸命に聞いている。

 

「お前は何が言いたい」

 

「それが分からないなら伝えても無駄だろ、それは俺にしか分からない事。誰にも知られる事は無い」

 

「お前は一体何者なのだ…?」

 

「時が来たら教えてやるよ、俺は調たんの特訓に付き合う事になってんだ。デスガールも気になるしな、だからここら辺で御暇するよ」

 

そう言うと礼はポケットに手を入れながら司令室を後にした。

 

「利奈坂………礼………」

 

「まさか風鳴家に関係してたとは、真剣に聞いちまった」

 

クリスがふぅーっと息を吐き、落ち着いた所で話し出す。

 

「アイツはまだ何か隠してるって事だよな?」

 

「あぁ、間違いないだろう」

 

このあとクリスと弦十郎の間で言葉が飛び交う事は無かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「これで大丈夫でしょう、休めばきっと目が覚めると思います」

 

「ありがとう、エルフナインちゃん」

 

「しかし、気絶するぐらいの腹部へと衝撃がありながら骨が1つもひびすら入ってないとは、驚きました……」

 

「切ちゃんを傷付けずに守ってくれたんだね…」

 

調とエルフナインが話していると扉がウィィンと開いた。

 

「よぉ、調たん。デスガールは大丈夫か?」

 

外からは利奈坂 礼が入ってきた。

 

「はい、休めば元気になるらしいです」

 

「おーそれは良かった良かった」

 

「調さん、この方は…?」

 

エルフナインは礼と会うのが初めてで誰だか把握していなかった。

 

「俺は利奈坂 礼。ただの高校生だ」

 

調が紹介する前に礼がエルフナイン自己紹介し、彼女は名前を聞いて納得した。

 

「あなたが切歌さんを守ってくれたんですね。僕はエルフナインです。よろしくお願いします」

 

「ほぇーボクっ娘かぁーんじゃぁ……エルくんだな!」

 

「える…くん?」

 

「この人、人にあだ名を付けたがるんです…」

 

「ま、まぁ呼びやすい名前でお願いします…」

 

エルフナインはペコっと頭を下げる。

 

「それはそれとして、調たん。さっき言った特訓をしたいんだが、今から出来るか?」

 

礼は調に特訓を誘った。

 

「い、今から…!?まぁ、できますけど…」

 

「じゃあ決まりだ、トレーニングルーム借りよう」

 

そう言うと礼は調の手を握り、トレーニングルームへ走っていってしまった。

 

「なんか…凄く好かれそうな性格ですね……」

 

エルフナインが微笑すると切ちゃんが起きた時用のお粥などを作り始めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ、あのー礼さん」

 

「礼でいい、あと敬語じゃなくてもいい、そんでなんだ?」

 

「本当に私にもあなたみたいな力を手に入れられるの…?」

 

動きやすい格好になった調は20メートルほど離れて立っている礼に向かって話す。

 

「お前さんなら行ける。そんなオーラがあるからな」

 

「でも、どうやったら……」

 

「まず、自分の体にオーラがあると思い込むんだ」

 

調は言われるがままに想像した。

目を瞑り、自分の体全体に光があるように、その光が血液と共に体を循環しているように想像する。

 

「ん、いい感じだな」

 

調は徐々に想像を膨らませ、何色のオーラがあるのか、どんな雰囲気のオーラがあるのかを想像した。

 

「その調子だ、次に右手にオーラを集めるようにしてみて」

 

調は右手にオーラが集まる事を想像し、右手に力を入れる。

しかし、上手く調が考えてる光を右手に持っていくことが出来ない。

 

「無駄に力を入れちゃだめだ、力を抜いて、水みたいに少しずつ溜めていくイメージで」

 

調は力を抜き、言われた通り水を溜めるみたいに少しずつ指先から光を溜めるイメージを膨らませた。

 

「そして、目的を決めよう。その力をどのようにして使うのかハッキリした方が力が溜まりやすい……そうだな……まあ物を壊す目的にしようか」

 

調はこの力で机や椅子を壊せるようなイメージを持った。

そしてやがて調の右手にオーラが溜まる感覚を覚え調は目を開く。

すると、右手にだけ力が溢れているような感覚だった。

 

「遠慮なくその右手を俺にぶつけてみな、走る時もさっきのイメージだ。両足にオーラを集め目的を決めるんだ、俺はそれを全力で受け止めるから躊躇する事はないぞ」

 

調はこれも言われるがままに行動する。

精神を研ぎ澄まし、脚に光を集め、速く走ると言う目的を決めた。

そして調が走り出すと本人も驚く程のスピードが発揮し、礼に近寄る。

礼も調と同じように行う。

調は思いっ切り右手を礼の顔目掛けて繰り出すと、礼の前には何か光が集まり、何かを作り出した。

調の右手は礼が作り出した光の塊に受け止められるが、5メートルほど礼の体を後ろへ持っていくことが出来た。

 

「ぐぁッ…はぁ……はぁ……」

 

調は感じた事の無い感覚に驚きを隠せなかった。

 

「結構な手応えだな…」

 

「自分の限界を……遥かに越えた……感じがした……」

 

「あー、それは違うな」

 

「え……?」

 

「調たんの限界がコレだ。普段はこんなに思いっ切りやらずに体力を温存しつつ戦うだろ?」

 

「つまり、これは私の体力を力にしている…?」

 

「そう、体力を削り、一瞬にしてその体力分の力をぶつける。それがこの戦い方(スタイル)だ」

 

「でも、私の限界を…あなたは止めた…でも息切れ1つ……してない……それは体力が多いってこと……?」

 

「こればっかりは鍛錬だな…調たんはまだ駆け出しだ。最終手段として使うまでだな」

 

「想像してる時、自分の事を忘れて、目的のままに動いていた……それが少し怖かったかも…」

 

調は礼の言われた通りに動いていたのは調の脳は礼の声と目的しか受け付けていなかったからであり、傍から見ると何かに取り憑かれたような雰囲気だった。

 

「調たんのガチな目、魅力的だったなー!」

 

「これからも少しずつ教えて欲しい……これで切ちゃんが守れるのなら、私は習得してみせる…!」

 

「無論だな、調たんが俺ぐらいになるまできっちり特訓させてやる!」

 

その時、メディカルルームでは切歌が何事も無かったかのように目を覚まし、エルフナインから貰ったお粥を美味しそうに食べていた。

 

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
今回は主人公、礼の明らかになった過去と調の特訓をメインに書きました。
今回は2本立てという事もあり話が長くなりました。
基本は2500文字程度なのですが今回は3500ほど書いてしまいました(汗)
調たんと礼の下りは次回に回そうとしたんですが、調たんと礼の絡みを書きたかった、まあ書きたかった、書きたくてしょうがなかったので書きました(笑)
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