戦姫絶唱シンフォギア -聖遺物に取り憑かれた太陽- 作:ぬヰ
「手合せって………確かに今の調君ならシンフォギアよりつよいと思うが、流石に普通の女の子相手に全力で殴れねぇぞ」
「だーいじょうぶだっての、トレーニングルームのシステム使えばなんとかなるし、調たんだって逃げる気ないし」
礼はそうやって調の方を向くと調はやる気満々に司令を見つめていた。
「うーむ、仕方が無い…手伝ってやろう」
「よしゃきた」
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毎度お馴染みトレーニングルームに来た3人はいつも通りシステムを起動させ、弦十郎と調は向かい合って立った。
調はツインテールの髪を解き、後ろに一纏めにした。いわゆるポニーテールにした。
「は?え?調たん?可愛い」
礼が素直な感想を述べた。
そんな事よりと礼は顔を横に振り、正気に戻った。
「んじゃ始めるぞー」
礼の始め!の合図で調は動き出した。
まず調は礼が響に向かってやって見せた細くて鋭いパンチを喰らわせた。
弦十郎はそれを的確に手で受け止めるが調に押されてしまう状態だったため、多少は反撃しながら調の攻撃を受け流していく。
その時がしばらく続き次の動きが出た。
弦十郎の繰り出した拳が調の右頬に直撃したのだ。
まともに喰らった調は後ろへ吹き飛ばされ、壁に激突した。
その場にたおれた調はピクリとも動かない。
「……だからあまりやりたくなかったんだが…まあしょうがない、早くシステムを解除してくれッ!」
弦十郎は礼にそう呼びかけるが礼は1ミリも動こうとはしない。
礼は倒れた調をただ見つめているだけで弦十郎の話を聞こうとはしていなかった。
「おいッ!聞いているのかッ!?」
弦十郎はそう叫ぶと礼が反応する。
「調たんは負けちゃいねぇ、だから俺は止めないんだ」
「なんだと…ッ!?」
その時調の指がピクリと動く。
それに気付いた弦十郎は調の様子を伺う。
「調たんに俺の戦い方を教えたが、そればっかりに頼ってしまうのが癖だ。ならば格上の弦十郎のおっちゃんと手合わせする事によって普通の状態でも多少は戦える力を引き出しているんだ」
「その為に俺に頼んできたというわけか……しかし、調君はまだ高校生で容姿だけで見るとか弱い。そんな力が出せるとは思えないが……」
「調たんは孤児院に居たろ?なら多少の力はあるはずだと俺は踏んだ。今その力を出せるか出せないかが問題だ」
「出せなかったらどうするんだ…?」
「その時はその時でそこまでの力が無かったとしか言い様がない。その時はまた別な方法を考えよう」
そう話しているとフラフラとしているが調が立ち上がった。
「調ー!!」
壁に手を付けながら辛うじて立ち上がった時切歌がトレーニングルームの外から調を呼んだ。
「きり……ちゃん……」
「もういいデス!!調はもう頑張らなくていいデス!!そうじゃないと……調が……壊れちゃうデスよー!!」
クリスからこの特訓の話を聞いた切歌はメディカルチェックを終えるとすぐ様調の元へ向かっていた。
「お前もやり過ぎデス!!幾ら調を強くさせると言ってもこのやり方は傲慢デス!!」
「………ッ」
礼は何か思ったのか唇を噛み締めた。
後から着いてきたクリスも中に入ってきた。
「今すぐ調を辞めさせるデス!!」
「じゃあさ…………」
切歌は礼の返答を待つようにこれ以上声を出さなかった。
「お前……1人でネフィリムの力を制御出来んのかよ……」
「そ、それは…制御出来るようにするデスよ!!」
「学校であんな事あったのにか……?」
「学校の時は仕方なかったんデスよ!」
「仕方なかった………だと………」
礼は硬く握りしめるとその手から血が滴り落ちる。
体も細く震え、初めて礼はこの場で怒りを爆発させた。
「調たんを落とした事が仕方無かっただとッ!?意識を失ったから何しても仕方ないってかッ!?綺麗事ほざいてんじゃねぇぞッ!!」
「ひっ……」
礼の怒号に切歌は少しずつ後ずさる。
「お前に落とされた調たんはなぁッ!自分の力不足だったと誰も調たんを責めやしないのに全て自分が悪いかのように思い詰めてたんだよッ!少しでも切歌の事を守りたいって必死に思ってたんだッ!」
「おい!やめろ!!」
礼は切歌の元へ歩き出すとクリスが何とかして礼を止める。
正気に戻ったのか礼は状況を確認する。
「…悪ぃ…ちょっと気が狂った……」
礼は落ち着いて、切歌に話す。
「悪いとは思ってんだ、ってか悪いとしか思ってない。調たんを無理矢理特訓させて強くさせて、俺みたいに強くしてやろうと必死だった……」
「で、でも今回はやり過ぎデス…調が可哀想デスよ……」
「これを乗り切ればお前を助ける事が出来るかもしれない…そう焦ってしまったのかもしれない……」
礼は切歌に目も合わせず俯く。
「調たん、おっちゃん終わりだ。焦り過ぎた…今日は休んでくれ……」
「…いやだ……」
誰もが予想しなかった事を調が呟いた。
「私は続ける……切ちゃんが止めようと……私は最後までやる……」
「どうしてデス!!調はもう頑張ったデスよ!!」
「もう、自分の力不足で切ちゃんを困らせたくない……なら、私が強くなって……礼ぐらいになんでも守れるようにならないと…ッ!」
調はその途端に弦十郎目掛けて今までの2倍以上の力で殴り掛かる。
その拳は弦十郎の腹部に直撃し、爆発するように弦十郎は宙に舞い上がる。
まだ気を確かに持っていたため足からしっかりと着地した。
「はぁ……はぁ……」
調たんの姿を見ていた礼は過去の自分と無意識のうちに照らし合わせていた。
「俺も……昔はこんな感じに………」
弦十郎は調の力に驚きを隠せなかった。
その後、礼がシステム解除し何も言わずにその場から去った。
それを見た調はトレーニングルームを颯爽と出ていってしまった。
「礼……どこ行くの……?」
廊下を歩いていた礼を調は呼び止める。
「俺はもう用済みだ、あれだけの力があれば……切歌を助けられるだろ…」
「あなたは何故…切ちゃんをそんなに大切に思うの……?切ちゃんもあなたといるとどこか安心しているような感じだった。そしてさっき切ちゃんに怒った事、あれだけ怒れるのは普通に知り合った人じゃ出来ない……」
「はは……もう隠す必要も無くなってきたな………」
「隠す……?」
「暁 切歌は……死んだと思っていた俺の妹だ……」
ご覧頂きありがとうございます!
投稿大幅に遅れました、すみません!
今回は礼が後悔をして、正体がわかった回でした!
切歌の兄、誰も予想していなかった展開かなと満足気な表情で書き終えてみました(笑)
次回は礼の過去の回です。
そしてそろそろこの話もラストになってきます。
つまり最終回も近くなってきたということです。
前回と同様10話で物語を終わらす予定です。
残りわずかですがよろしくお願いします!