戦姫絶唱シンフォギア -聖遺物に取り憑かれた太陽-   作:ぬヰ

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この話は9話となっています


礼の過去

「切歌は、死んだと思っていた俺の妹だ」

 

「え………?」

 

調は言葉を失った。

孤児院に居た時から一緒だった切歌に兄が居た事、その事を調に一切言わなかった事。何故かと考えれば考えるほど分からなくなってしまう。

 

「場所を変えよう、着いてきな…」

 

礼がそう言うと外に出て一際目立たない場所、建物の裏側に来た。

 

「さて、色々疑問に思っているだろうけど、最初から話すぞ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は昔、普通の家で産まれた。

1つ特徴があるとしたら父親が情緒不安定だったぐらいだった。

俺が産まれた当時は充分に可愛がられた。

 

その2年後、切歌が産まれた。

切歌は色々な事に好奇心を持ちすぐに実行する行動型の子供だった。

俺は物心が付いた時、大体6歳ぐらいの時に父親が遂にやらかした。

母親を殺したんだ。

その後自分は自殺、一気に普通の暮らしからおかしな方向へ向いてしまった。

当初切歌はまだ4歳、物心が付いているか付いていないかの狭間だったため、切歌はあまり覚えていないだろうと思う。

取り残された俺と切歌は追いかけてくる大人から逃げていたが逃げ場が無くなり俺と切歌は無理矢理離されてしまった。

そして1人になった俺に時期に切歌は死んだと告げられたんだ。

 

「とまぁ、これが俺と切歌が離れ離れになった所だ」

 

「切ちゃんはその頃からデスデス言ってたの……?」

 

「あぁ、今程ではないが殆どの語尾には《デス》を付けていたな」

 

「その後、どうしたの……?」

 

「あぁ、その後は武道を知れば切歌を殺した大人に復讐出来ると考えたんだ」

 

「それで風鳴家に侵入したの?」

 

クリスと弦十郎から話を聞いていた調はこの話に繋げた。

 

「あぁ、当分はそこで暮らしたよ。小さい時の翼やまだ若い弦十郎のおっちゃんだって居た。だけどその風鳴の武道は俺には合わなかった」

 

「それで独自の戦闘スタイルを…?」

 

「勘が鋭いね、そうだ。俺はこの戦い方をマスターし、風鳴家から脱出した」

 

俺は13歳ぐらいになると風鳴家から逃走したのだ。

元々風鳴の人じゃないから優しくしてくれた人の温もりとかいうものは一切感じていなかった。

しかし、風鳴家は俺を探すのを諦めずに何処までも着いてきたため、風鳴という苗字を利奈坂にして零という名前を礼にして、考えれば簡単な事だけど聞いただけでは風鳴だとは思わないような名前を名乗った。

俺は随分と長い時間さまよい続けた。

3年間はさまよったな。

突然、俺の人生が変わる出来事が起きた。

パソコンで父親の仕事の事を調べていると、切歌の情報が僅かだが載っていた。

娘は孤児院に送られた。と

 

「それで……」

 

「あぁ、俺は切歌は死んでいないと気付き、切歌を探すために探し始めたが、その時はもう既に俺は15歳、切歌は13歳だ」

 

「大体離れてから10年経って、切歌が死んでいないと分かったんだ。遅いだろ?」

 

礼はクスッと笑い話のように言った。

しかし、調はその話を笑って聞ける状態ではなかった。

 

 

俺は毎日特訓した、この力を完璧に得る為に。

そして毎日3時ぐらいまで切歌について調べに調べた。

 

「3時………」

 

「そして遂に、遂に見つけた…」

 

礼は右手を強く握りしめる。

 

「でも、切歌には月読 調という存在があったから俺は必要なかったんだ」

 

約2年、切歌を求めて俺は探してきた。

結局切歌を探して見つけたらどうしたかった?

もしかしたら死んでいるかもしれなかったのに何故諦めなかった?

ただの俺の自己満足だったのかもしれない……

 

「でも、なんで切ちゃんだって分かったの?」

 

「それは初めて会った時だ、語尾に《デス》を付けていたからもしかしてという期待が高まったんだ」

 

「あ、それで自己紹介した時……」

 

「あぁ、名前を聞いた時は泣きそうだったさ」

 

礼は続けて話をする。

 

「でも、この力は必要だったのか、もう普通の人間に戻れなくなった俺はここには居る事が出来ない……」

 

「切ちゃんを守るって言い張ったのは兄なりの妹を助けようと…」

 

「後は調たんに任せるよ、俺の無理矢理な特訓をこなした人物だ。相当強い」

 

「切ちゃんに言わなくていいの?」

 

「アイツ自体兄が居ることを知らない、これまで兄が居るという事言わなかったろ?それは覚えていないからだ、今更俺がお兄ちゃんだとか言うと変な目で見られるに間違いないからな」

 

そう言うと礼は調に背を向けて歩き出す。

 

「切歌を、助けてやってくれ……」

 

そう言うと礼は制服のポケットに手を入れて、1枚の写真を調の足元に飛ばした。

調がその写真を拾い上げるとそこには切歌と礼が二人並んで笑顔で写っていた。

 

「妹の為にここまでする兄って、相当居ない……」

 

調は礼が報われない人生だった事を改めて感じた。

去っていく礼の姿を調は姿が見えなくなるまで見つめていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

調が司令室に戻るとそこには切歌、クリス、弦十郎の3人の姿があった。

 

「あ、帰ってきたデス!」

 

「あれ?アイツは?」

 

「後はよろしくって帰っちゃった」

 

「調君と俺の特訓がもしかしたら最終だったのかもしれんな…」

 

「ネフィリムに対抗できるように頑張らないとデス!」

 

切歌は気合いを入れてネフィリムに対抗することを決めた。

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
今回は礼の過去の回でした!
調子が良かった礼がいきなり冷めてしまう回でもありました!
残り2話3話程で話が完結します!
残り僅かですがよろしくお願いします!
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