「ふぅ〜弾いた弾いた」
「とってもいい演奏でした」
「そうか?間近で褒められると照れるな」
沙嗣は頭を掻いた。清姫に褒められるとは想像もしてなかった。否、訂正ちょっぴり期待はしていた。夜這いも少しは期待しているような…。と、沙嗣はブンブンと頭を横に振り我に帰る。自分は清姫が好きになった相手ではないと確認する。地元でどれだけ清姫の伝説を言い聞かされたと思っているのだと自分に問う。
バーサーカーとは思えないが…まぁ、ヤンデレ思考だからというので狂戦士という役割を与えられたのだろう。確かに龍に変化する様は怖い。
ピアノの弟子にしていた雪菜の家に世話になっているがまぁ、「ピアノを弾いてるだけでいいから家賃はいらない」と彼女は言ってたがそうはいかない。この闘いが終わったら何かお返ししないとと思った。師匠、沙嗣はメラメラと心の中で火を灯す。
清姫は満足してくれたのか落ち着いた表情を見せる。今夜のピアノも終わりだ。なんか前より上手くなっている気がする。自分でも解った。そりゃ弟子に指摘されるのだから僕が解らなきゃダメかと沙嗣は苦笑いする。
「もう、寝るのです?」
「あぁ、今夜は疲れたからな。そんな奇襲とか気にしなくていいから清姫も休みなよ」
「あら、お優しいのね」
「昔から優しいよ」
「おやすみ」と沙嗣は清姫に挨拶をした。清姫は挨拶をした後静かに霊体化する。そりゃそうかと沙嗣は思いつつ布団に入った。けして夜這い等期待していないのだから。まだ下心という心が自分の胸にあるのかと絶望する。
無論、沙嗣は独り、部屋で寝ている。女子の部屋にお邪魔してはいけないだろうという考えからだ。秋菜には「一緒に寝よ!」と言われたが。いつか昼寝とかで誤魔化そうかと思ってた刹那、腹に何か違和感を感じた。
「ゴバッ!?」
奇襲か?と思い起き上がるも起き上がれない。金縛りでもあったかのように動けなかった。
しかし、この感触は…匂いは…。まさかと沙嗣は恐る恐る携帯に入っている機能の懐中電灯を点灯。
「清姫ぇ!?」
期待していた夜這い。約3日目の早い段階で体験できるとは思わなかった。しかも、向こうから。清姫は何もすること無く綺麗ないびきをたてている。変だな、サーヴァントは寝ないはずだと思いつつもこの光景は微笑ましかった。
幸せそうな顔を清姫はするものだからこっちも釣られて幸せそうな笑を返す。
「安珍…殺してやる…」
と聞こえた気もするが気のせいか空耳だと沙嗣は清姫の寝言をスルーした。