夢の中で恨まれる者
魔術を無くす。…それは魔術師にとって『いけない』事。退屈という圧を貰う行為と一緒だ。沙嗣は夜な夜なうなされこんな夢をみた。
「…本気かい?全世界の魔術師から敵を回すことになるが?」
「…お前は…」
1本の長い剣を持っていた。身の危険を感じ取る。
「いやいや、そんな警戒しなくていい僕は至って普通の魔術師だ。これは護身用だよ」
護身用にしてはデカすぎやしないか?沙嗣はお茶目に首を傾げる。
「そうなるのも無理はないかな。まぁ、僕自身どっちの味方でも無いけどね‥こう話し合えるなら少しばかりの助言をしようと思う」
魔術が無くなれば魔術師は無くなる。そんな簡単な事だと思っていたが残りは存在する。残りは魔術師の生き残りをさす。
もし、沙嗣が勝ち残り聖杯をとり願った場合彼ら魔術師は沙嗣を無論マークするだろう。マークするに違いない。命の賭けというわけだ。
「さぁ、この選択は君にかかってるがね…どうだろう?すこし時間を繰り上げて観るのは?」
「繰り上げ?」
魔術師は手を沙嗣の頭にあて問答無用で硬直させる。そこには聖杯戦争後の世界が広がっていた。悠久な土地…平和を感じさせる鳥々…しかし、沙嗣は追われていた。鳥肌が立ち恐怖を感じ魔術師の生き残り世代に目を向けられパパラッチ状態。魔術を継承出来ない憎しみを魔術師は沙嗣の死でストレスを発散させようとしている。そうなれば暮らすことは出来ない。
「これは一体」
沙嗣は汗まみれの手を見ながら今の現状を見つめる。都合よくさっきの魔術師が現れた。
「これはこの時のためだけの能力なんだけどね、本来なら僕は使えないはずだから。だから助言したと言ってるんだよ、よくよく考えて行動する事だね」
…起きた。沙嗣は額の汗を拭いながらさっきの夢の内容を振り返る。
「クソっなんて、夢だ」
あの魔術師の名を知りたいと思ったが後の祭りだ。前に戻れない。
清姫は相変わらず沙嗣の横で気持ちよく寝ていた。それが精神安定剤になって助かると沙嗣は思った。
目が覚めてしまったので清姫と2人を起こさないように茶をくみにいった。
台所で考え事をするなど思いもしなかった。それも命に関わる。まるで、映画の世界じゃないかと沙嗣はため息。
「ちくしょう、あの魔術師のお陰で怖くなっちまった…清姫の願いと少し似てるから清姫の願いを…」
少し考え沙嗣はある事を思い出す。うちの親も寺だという事を。クソっと台所のタイルを蹴った。少し痛い。台所はこんなに痛い所なんだと改めて理解出来ただけ良かった。しかし、あの魔術師のお陰で考える事が出来た事に感謝…したくはないがするしかなかった。