ライダーは神出鬼没なアサシンを倒そうと話を投げてきた。マスターともう提出済みらしい。清姫は手際が良い事で…と敵ながら天晴れと内心思った。
「…で?アサシンは2人、それ以上で倒さなきゃいけないものなの?」
「あぁ、あいつは厄介だ。少し追っかけたがいなくなる。気配が消滅するのだろう」
清姫は数少ない情報でへぇ、照れ屋さんなのですね…と楽観的に考えた。ライダーは?と清姫のうっとり顔に疑問を抱きながら説明を再開する。
「そこで君だよ。君が必要なのさ。マスターと初期会議の時は誰でも良いんじゃないか?と話をしていたのだが…君は裏切らないとマスターが言っていたよ。一体、どんな自信があるのか……不思議不思議」
「そんな、私達を捨て駒みたいに…」
「いやいや、そんな事は無いよ!君みたいな有能な戦士を見つけた!素晴らしい日だと思わないか?」
「なんか、私そういうのついてけなーい…」
清姫はすっかりテンションが下がっていた。もう1人いるのならともかく2人でアサシンを倒すのか…ライダーがヘマをしそうで怖いのだ。賢そうに見えるが実は…って事を想像するとお茶漬けも通らなくなる。もう一度ため息をついてしまった。
1に清姫をそんな目で見られても困る。自分で言うのもなんだが呪いの塊。いつこっちが裏切るか解らない。いつ暴走するか解らない。なんでライダーのマスターは自分を選んだのか…そんな狂気に満ちている脳みそを覗いてみたいものだ。
「バーサーカーの君がいれば!百人力だと!!マスターが言っていたから間違いない!」
「…マスターマスターって、うるさいわね…あんたの考えは無いのかしら??」
「そっそれは…」
1分、沈黙。意外だった。考えているのか体が硬直している。能無し??まさか、こんな貴族みたいな格好をしている人が???眉を顰める。目を疑う。霧だと思っていた天気が実は晴れだったと思ってしまう。
「無いなら組めないわ。マスターの指示だけで動いてる人と…なんか、見た目の割にはヒョロね。ヒョロ」
「そんな事ないっ!私には私なりの考えがあるっ!!」
急に強気になる。へぇ…と清姫はニヤリとした。内心、楽しんでいる。そんな予定じゃ無かったが聞こうじゃないかと清姫はベンチに上品に座った。
「考え、ね」
「私はあのめんどくさいアサシンを倒したい!だが、あなたのバーサーカーの力があればっ!!百、いや!私の言葉で表せば1兆越え力!もう、相手は怯んで動けなくなるでしょう!!マスターと同じ考えになった……!ただそれだけのことですっ!」
「へぇ、嫌いじゃないわ。そういうの。正直でよろしい!!好きになりそう…まぁ冗談はさておき……私も熱くなってごめんなさいね。あなたの作戦、飲むわ」