馬鹿4人によるFGO SS 1週間1本勝負 作:作家活動から逃げるな。
ちっとばかし遅れましたがなんとかなりました。
注意点
・案の定独自解釈
・終章のネタバレあり
・今回半分オリジナルキャラと化したキャラが出てる
その他にも色々とあるかもしれませんが思いつく限りはこんな感じです。
では、拙作お楽しみいただければ。
アルトリア・ペンドラゴンは、ゆっくりと瞼を開く。
その視界には、多くの黒い靄が映っていた。
それらは総じて人の姿をとっているが、しかし人と違い、完全な闇で形造られていた。
表情も無く、衣服などですら闇でしかない、異形の存在達。
それらは、手にした剣を、斧を、槍を、様々な武器を構え、臨戦態勢をとる。
(……これは、シャドウサーヴァント、ですか)
アルトリアは特に取り乱すことも無く、冷静に目の前の存在を睥睨する。
シャドウサーヴァント。
サーヴァントの残留霊基であったり、霊基を模した偽物であったり、その時々に応じて正体は異なることが多いが、確実に言えることが一つだけある。
それは。
「――シャァァ!」
奴らは、アルトリアの敵である、ということ。
先頭に居た三体が跳躍し、アルトリアに斬りかかる。
見た目は年若く見目麗しい少女でしかないアルトリアのことを、シャドウサーヴァント達は舐めていたのだろう。
事実、この時はまだアルトリアは私服の白いYシャツに青いロングスカートしか身に着けていなかったため、舐められるのも致し方ないことであろう。
だが、それは愚かを通り越した行為。
「――甘い!」
瞬時に、アルトリアの姿が、鎧に包まれる。
その右手に、何かを――見ることが叶わない何かを、握りしめ、大きく振るう。
彼女が振るった右腕の動きに合わせて、突風が巻き起こる。
そうして、アルトリア・ペンドラゴンを舐めてかかった代償を、シャドウサーヴァント達はその存在を失い事によって払わされることとなった。
「さぁ、来るがいい。私は一人だが、簡単にやられるつもりはありません」
アルトリアがそう言うが否や、残っていたシャドウサーヴァント達もアルトリアに襲いかかった。
アルトリアは、風を巻き起こし、襲いかかるシャドウサーヴァント達に立ち向かった。
ザン、と斬り裂く音と同時に、目の前に居たシャドウサーヴァントが霧散する。
アルトリアは周りを見回し、敵の所在を確認する。
「……これで最後でしょうか」
数十を超える敵を斬り裂いた結果か、目に映る範囲にシャドウサーヴァントは映らない。
故にアルトリアは、張りつめていた気を緩め、改めて自身の置かれている状況を確認する。
(……ここは、夢の中、に近い感じでしょうか)
先ほどまでは戦闘に集中していたため、周囲の風景などに意識を向けることが無かったが、落ち着いた今、周囲に目を向けられる。
そうして周りを見てみれば、そこは灰色と黒のもやもやとしたオーラのようなものだけしか存在していなかった。
遮蔽物となりうる建造物はおろか、樹木や岩の一つも無く、空と地面は同じ色のオーラになっており、そもそも足をつけている地面が、本当に地面なのかどうか怪しく感じられる。
このような光景を、アルトリアは今まで見たことが無い。少なくともカルデアに召喚されてから、幾度となく向かった特異点では、一度も、である。
故に、アルトリアはここが夢の中、あるいはそれに準じる結界的空間内であると判断した。
(そもそも私がここで目を覚ます前の記憶が、食堂に向かおうとしていたものですから、どこかにレイシフトしたわけでもない。ならば、やはりここは夢か、何者かの作った空間)
出口がわかるわけでもないため、あてもなく歩き回りながら思案を続ける。
そうやって歩いているが、不思議なことに最初にあれほど襲ってきたシャドウサーヴァント達は現れることは無く、アルトリアはひたすらにあてもなく突き進んだ。
どれほど歩いただろうか。
サーヴァントであるため、肉体的に疲労することはないが、それでも全く変わり映えの無い景色によって、進んでいるのかどうかもわからなくなり、結果的にアルトリアの精神は疲弊していた。
「いったいどこまで進めばいいのでしょうか……」
思わず口に出してぼやいてしまう。
とはいえその言葉に反応する存在はいない、とアルトリアは思っていた。
しかし。
『この空間に出口は無い』
突如聞こえてきた声に、アルトリアは精神的疲労すらも忘れて戦闘態勢をとる。
「何者だ! 出てくるがいい!」
アルトリアが声の主に対して叫ぶ。
その声に、ソレはアルトリアの前方の地面から、闇を纏って現れる。
その姿は。
「――貴様、は」
『そう驚くことでもあるまい? お前も見慣れているだろう?』
「――ええ。カルデアの、特殊な召喚システムだからこそ、見慣れてしまった顔ですよ――私の」
その姿は、身に纏う服の色が闇色である以外、アルトリアと全く同じものであった。
「……貴女も、私の別側面というものでしょうか?」
アルトリアの問いに、アルトリアと同じ顔のソイツは、くっくっ、と笑いながら答えた。
『そうだと言えばそうだし、そうではないと言えばそうではない』
「……押し問答をするつもりはありません。答えなさい」
『とても王とは思えない短気さだな。いいだろう』
そう言うと、その表情から笑みを消して話し始める。
『そもそも、この空間はかつて貴様らが人理修復の為にレイシフトした先にて失われたモノによって作り上げられた空間』
「失われたモノ……?」
アルトリアがオウム返しに呟く。
それに返された答えは、彼女に驚愕をもたらすものだった。
『たくさんあっただろう、失われたモノが……多くの、人命だ』
「なに……!?」
『ある日突然、死んだはずの聖女が竜の魔女として甦り、ローマ皇帝が反逆し、海賊が集い、ロンドンが霧に包まれ、ケルト・アメリカ間で戦争が始まり、救われぬと断じられた者たちが聖伐され、原初の母が襲撃する。それらの奇怪で本来起こり得ぬ、否、起こってはならぬ、人理焼却の副産物によって死ぬこととなった、多くの、多すぎるほどの無辜の命の無念、怒り、怨み。それが闇となり、この空間を生み出した』
彼女は、更に続ける。
『最初はごく僅かな空間だったここは、お前たちが人理修復を成せば成す程、相対的に拡大していった。それでも、人理焼却を成そうとしたゲーティアが滅ぼされたことにより、この空間は失われるはずだった。しかし、そうはならず、むしろこの空間は拡大を続けた。なぜかわかるか?』
アルトリアはその問いに、数瞬考え込み、そして答える。
最も、導き出したくなかった、答えを。
「……いつしか、怨みの、怒りの対象が変わったのですね。人理焼却を目論んだゲーティアから、人理修復を成すために、ゲーティアに対抗することで、結果的に各特異点で戦った、私たちを、カルデアへと」
『そうだ』
彼女は、顔色一つ変えず、口のみ動かして、真相を説く。
『人間の心は脆弱だ。どこかの誰かがこの空間に辿り着いてからか、辿り着く前からかは知らんが、怨みの対象をゲーティアではなくカルデアに向けてしまった。そこからは連鎖反応で、カルデアへの怨みが増していった。皮肉なことに、ゲーティアが倒されたことが、一番怨みの増す要因になったよ。ゲーティアが倒されようと、自分たちは生き返ることが無い。ならばやはりカルデアが余計なことをしなければ自分たちが死ぬことは無かった、とな』
「それは違う! ゲーティアが人理焼却を成そうとした時点で、各特異点での出来事は起こることになっていた筈! ならば、私達カルデアが向かわずとも、いずれは事が起こっていた筈です!」
『そうだ。その通りだ』
「ならば!」
『だがそれに納得ができると思うか? お前たち英霊となった者ではない、意志も薄弱で、とても戦うことなど出来ない、ただの、弱い人間が。果敢に戦い、誉れをもって死んだ者ですら、今この空間では、カルデアに対して怨みを持っているというのに?』
顔を顰めて怒りをまき散らすアルトリアと似た彼女に、アルトリアは何も言い返せないでいた。
『亜種特異点が発生してからは尚のことだ。それこそ、カルデアの戦いが無ければ発生し得なかった死者なのだからな! あぁそうだ、これが逆恨みだとわかっていても! わかっていようとも、この怨みを、闇を止めることなど叶いはしない!!』
だから。
『だから、特に優れたサーヴァントであり、その中でもトップクラスの知名度を誇るお前をこの空間に呼び出し、その姿を写す。そうして、私は――アルトリア・グラッジは復讐者として、顕現できた。後は貴様を倒し完全に取り込むことで受肉するだけだ。真の意味の受肉でなくて構わない。カルデアに顕現さえできれば、それでいいのだから』
そうして彼女は――アルトリア・グラッジは、闇を纏っていた剣の闇を払い、アルトリアに突きつける。
グラッジに剣先を向けられたアルトリアは――
「確かに、私たちが力及ばなかったために失われた命が多くあった。それは覆しようのない事実です」
一歩。
「私たちが力及ばなかったから。私たちが間に合わなかったから。私たちが抗ったから。だから、亡くなった人はいる」
二歩。
「故に、元凶たるゲーティアではなく、私たちを怨む。それはもう、どうしようにもないことかもしれない」
三歩。剣の切っ先が、喉に触れる。
グラッジが少し前に突き出せば、それであっけなくアルトリアの首が落ちる距離。
けれども。
「でも」
グラッジは、剣を突き出せなかった。
「あの人は、あなたたちと同じただの無辜の市民だった。でもあの人は、時に傷つき、時に絶望的状況に立たされ、時には死ぬのと同じような状況に陥った」
アルトリアは、突きつけられた剣を、左手で握りしめる。
手が切れ、出血しようと、構うことなく。
「それでもあの人は、絶対に諦めなかった。怒りを覚えても、怨みはしなかった。支えとなった人たちは居よう。それでも、支えがあったとしても、絶望的状況であったことに変わりはない」
『だ、黙れ……』
グラッジを、力強く睥睨する。
「死ぬことの辛さは、きっと凄まじいものなのでしょう。現に私は、傷つこうとも、苦しんで死を迎えようとしたわけではないから、貴方達の辛さは、理解はできない。それでも」
『黙れ』
そうして。
アルトリアは、叫ぶ。
「あの人はどんなに辛かろうとも、どんなに絶望的な状況に立たされても! 絶対に、諦めなかった! 立ち止まりは、しなかった!!」
『黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!』
グラッジの剣から、闇が噴き出す。
その闇に押されるように、アルトリアは吹き飛ばされた。
すぐさま受け身を取り、視線をグラッジに戻せば、グラッジは頭を抱えて、叫び続けていた。
『黙れ!黙れ!黙れぇぇぇぇぇ!! 私は、俺は、僕は、ウチは、あたしは、儂は……私は!!!!!』
闇を増幅させて、グラッジは、慟哭する。
『私はアイツのように、強くは無いんだ!!!!!』
そうして、剣に闇が集まっていく。
その意味をわからないほど、アルトリアは愚かではない。
だから。
「――ならば私が、貴方達の光となりましょう」
アルトリアもまた、右手に持つ剣を、剣を包む風を、解き放つ。
そこにあるのは、金色に輝く、至高の聖剣。
「貴方達が、闇を打ち払えないというのならば、私が打ち払いましょう」
その聖剣に、風が、魔力が、光が、集う。
「私が、貴方達の闇を照らす者と、なりましょう!!」
聖剣を頭上に掲げれば、剣から延びた光が、灰色の空を、貫こうとしていた。
『黙れ、黙れ、黙れぇぇぇぇぇ!! お前に、お前なんかに、この闇が打ち消せるものかぁぁぁぁぁ!!!』
グラッジが先に、剣に溜まった闇を撃ち放つ。
それに動じることなく、アルトリアは高らかに、彼女の剣の名前を叫ぶ。
「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。受けるがいい。そして散れ、民を苦しめる、邪悪なる闇よ!」
その剣の名は。
「
そして。
闇は、光に呑まれ――
「こうしているからわかります。貴方達は、本当は怨みをもって、カルデアを攻めたかったわけじゃないということを」
「本当は、救ってほしかったのですね」
「痛みから、苦しみから。このような空間に捕らわれて、救われることがないことから」
「でも、もう大丈夫です」
「だって」
「貴方達の闇は、すでに光によって照らされていますから」
「……リ…………リア…………アルトリア!」
誰かが呼ぶ声が、聞こえてくる。
アルトリアはゆっくりと目を開く。
そこに映ったのは――
「あーよかった!! このまま目を覚まさないかと思った! 本当に心配したよ!! 大丈夫!? 何があったの!?」
「――ふふっ、いえ、なにもありませんでしたよ。マスター」
アルトリアは、そう答える。
彼女の、光に向かって。
改めまして、こんばんはお久しぶりですライター・スプラウトでございます。
なんか先週ぶりだかの気がしますが……(
はい、思いっきりスランプ入ってました。
今回もネタが浮かんだのが土曜でしたし……
もっと早く決めたかったんですがうまくいきませんでしたわ……
特に今回はオルタを出す訳にはいかなかったので今回のパターンしかなかったのです。思いっきりスランプしてたのでうまく書けませんでしたし……
近いうちに少し書き直すかもしれません。その時はご了承ください。
先日牙狼 神ノ牙を見てきた影響が多大に出ております。めっちゃ良かったです。
お金に余裕があればもっかい見に行きたい……
語りたいこともありますが今回はここまで。
ではまた次回!