馬鹿4人によるFGO SS 1週間1本勝負   作:作家活動から逃げるな。

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皆さんどうもお久しぶりです、MKDNです。
順番が一巡したので約一か月ぶりの投稿ですね。
先々週は一週間以内に投稿できず申し訳ありませんでした。
期限を破りやがった件の馬鹿はこちらの方で罰を与えて「粛正」しておきましたので何卒ご容赦いただければと思います。


さて、堅苦しいのはこれぐらいにして。


今回のお話もこの前と同じ、ほんわかとしたものとなっております。
僕自身が大好きなキャラのお話です。
それではどうぞ。
 


優しい復讐者のお話 (MKDN)

 

 

それは人理修復も終わったある日。

止まっていた時が動き出し、一時期は「空白の一年」についての多くの考察がニュースを賑わせていた世間であったが、時が流れるにつれ芸能界・政治関連の話が話題に多く昇るようになり、ようやく一年前と同じ、普段通りの日常が帰ってきた。

季節もいつしか冬から春へ、春から夏へ、夏から秋へ。

そして人理が修復されてから初めてになる二度目の季節である冬を迎えようとしていた。

 

「せんぱーい!どこにいったんですかー!」

 

カルデアの内部で声をあげながら自身の「先輩」を探しているのはマシュ=キリエライト、通称マシュ。

自他ともに認める、彼女のマスターである「先輩」こと藤丸立香の後輩系マシュマロサーヴァントである。

 

「せんぱーい?……むぅ、ここにもいらっしゃいませんか…」

 

「どこ探してんのよアンタは…。流石のマスターちゃんでもゴミ箱の中(そんなとこ)には入んないと思うわよ?」

 

廊下に置いてあるゴミ箱の蓋を開けて立香を探すマシュにそう話しかけたのはジャンヌ・ダルク〈オルタ〉。

第一特異点のフランス、オルレアンで立香達カルデアと戦った後に召喚されてからは共に終局特異点まで駆け抜けた、頼れるサーヴァントの一人である。

 

「あ、邪ンヌさん。ちょうどいいところに、先輩を見かけませんでしたか?」

 

「マスターねぇ…。見てないけどどうかしたの?」

 

「そろそろ最近新しく召喚されたサーヴァントの方々の再臨素材を集めるためにレイシフトする予定の時間なんですが、パーティの方達は準備万端でいらっしゃっているのに先輩だけ姿が見えないんです。またどこかでレムレムされているのかと思い探してるんですが…」

 

「一向に姿が見えない、と」

 

「そうなんです……はっ、まさか外に出たあとにレムレムされて今頃極寒の寒空の下で…?!こうしてはいられません!先輩!今助けに行きます!」

 

「いや、ちょっとあんた落ち着きなさい、ってもう居ないし…」

 

心配のあまり暴走するマシュマロサーヴァントを引き留める気にもならず、そのまま外部へつながる扉に向かって駆けていくのを見送ることになったジャンヌ〈オルタ〉であった。

 

「…けど、確かに気になるわね……。あのマスターがマシュ(あの娘)にも何も言わずにどこかに行くなんて…」

 

先程はマシュを見送ることになってしまったが、彼女も自分のマスターである彼のことが心配でないわけではない。

 

「…そうね、特にこれといってすることもないし、あの娘の言う通りなら寝てるであろうマスターちゃんの間抜けな寝顔でも拝みに行きましょうか」

 

起きるまでその場にいて、起きたあとの慌てふためく彼の顔を見るのも悪くない。

そんなことを考えながらマスターを探して歩く。

しばらくそうして歩いていると、ジャンヌ〈オルタ〉はある光景にふと違和感を覚えた。

 

(…あの場所って確かもうほとんど使われてない書庫みたいなとこじゃなかったかしら?何で電気が付いているの…?)

 

警戒をしつつ、件の部屋に近づいていく。

 

(…Il faut prendre le taureau par les cornes.(虎穴に入らずんば虎児を得ず)、ね。さて、一体何が出てくるかしら……)

 

何が来ても対応できるように体勢を整えつつ、扉を勢いよく開ける。

扉を開けて目に飛び込んできたのは、床に横たわって苦しそうに息をする彼女のマスター、藤丸立香の姿であった。

 

「っ!マスター!」

 

敵がいるかもしれない。彼をこんな目に合わせた輩がいるかもしれない。

そんな考えもまったく浮かばないほど、彼女は動揺しつつもすぐさま彼に駆け寄った。

 

「マスター!聞こえてる?!聞こえてたら返事しなさい!」

 

抱きかかえて声をかけるも反応はない。

 

「ちょ、ひどい熱じゃない…!えぇと、こういう時はどうしたらいいんだったかしら…!?」

 

自身の記憶や知識を探るも、解決策は一向に出てこない。

それもそのはずで、元々彼女はジル・ド・レェ元帥の願いによって形作られたサーヴァント。

つまりは「生前のない」サーヴァントであり、病気になどかかったことがない。

召喚されてから蓄えた知識にも残念ながら病人への看病の方法は無かった。

 

「…えぇい、まどろっこしい!とにかくこんな埃臭いところよりマスターの部屋のほうがいいことは確かでしょう!」

 

そう言うや否や、彼女はマスターを背負うと、背中の彼に極力振動が伝わらないよう配慮しつつ彼の自室であるマイルームに向けて全速力で駆け出すのであった。

 

 

 

 

 

「ただの風邪…?」

 

「うん。この万能たる天才が言うんだ、間違いないよ」

 

マイルームにて、あれから少しは落ち着いた様子のマスターを診察したレオナルド・ダ・ヴィンチがそう診察を下した。

 

「ちょっと待ちなさいよ。あの全身毒のアサシンの毒も効かないマスターちゃんがただの風邪でぶっ倒れてるって言うの?」

 

「その通りだよ邪ンヌくん。彼が持ってるのは『対毒スキル』であって『対病スキル』じゃないって訳さ。つまり…」

 

「『毒は効かないけど病気には係る』、っていう訳?」

 

ダ・ヴィンチの診断に納得がいかないところがあり、そのことを問いかけるジャンヌ〈オルタ〉。

当然といえば当然だろう。

毒の技術で暗殺教団のトップに立っていた静謐のハサンの強力な毒でさえ「ちょっと痺れるだけ」である人間がその辺の何処にでもあるような風邪の菌に罹って寝込んでいる、など誰が想像できるだろうか。

 

「そういうこと♪診たところ本当にただの風邪が悪化したもののようだし、命に別状はないから安心してくれたまえ。あ、勿論後遺症なんかもないよ?」

 

「ハッ!私は別に心配なんてこれっぽっちもしてませんから。最初から至って冷静でしたし?」

 

(さっき泣きそうなを顔しながら汗だくで『マスターが死んじゃう!』ってマスター君を抱えて管制室に飛び込んできたことは……ここでは言わない方が良いか)

 

「…まぁあれだね。マスター君もそこまで人間辞めてたわけじゃなかったってわけだ。私印の抗生剤と解熱剤も打ったからそのまま安静にして寝てれば明日にはケロッと治ってるだろうさ」

 

それだけ言ってマイルームを出ていくダ・ヴィンチ。

実質的にカルデアのトップも受け持つ彼女は多忙なのだ。

残されたのはマスターとジャンヌ〈オルタ〉。

 

「ったく、人騒がせなマスターちゃんだこと。柄にもなくちょっとだけ焦っちゃったじゃない」

 

そう言いつつ彼のベットの横にある椅子に腰掛けるジャンヌ〈オルタ〉。

熱もだんだん下がってきたのか、まだ顔は赤いもののさきほどまでの苦しそうな呼吸ではなく穏やかな寝息をたてて眠っている。

 

「…本当に、人騒がせな人。」

 

その頭を撫でながら呟く。

思えば、出会った時からそうだった。

一瞬で縊り殺されるような立場にあっても立ち向かい、抗い、打ち倒し、最後にはこの血に塗れた自分に手を差し伸べてきた。

そんな弱くも強い、優しい彼だったからこそ彼女は差し出された手を取ったのだ。

 

「早く治しなさいよ。アンタは私と一緒に地獄の炎に焼かれるんでしょ?こんなんじゃ、私を焼く炎には耐えきれないわよ?」

 

しばらくそうした後、彼の頭にのせていたタオルが温まってしまったことに気付いた彼女は、

 

「ちょっと待ってなさい。新しいの持ってきてあげるから」

 

そう言いつつ部屋をあとにしようとする。

が、それは引き止められることになる。

 

「ごめん…もうちょっとだけ、傍に居てくれないかな…?」

 

他の誰でもない、彼女のマントの端を掴むマスターの手によって。

 

「…っち、性格が悪いわね。いつから起きてたのよ?」

 

「いや、今起きたとこ。誰かが頭撫でてくれてるなーって思って目を開けたら邪ンヌが出てこうとしてたからさ…」

 

忌々しそうな表情で睨んで来るジャンヌ〈オルタ〉にも彼は全く気圧されない。

今までの付き合いから彼女が本気で怒っていないことが分かるからだ。

恐らく照れ隠しだろう。事実、彼女の頬は少し赤くなっている。

 

「そ。ならもう良いでしょ。私じゃなくあのあなたの可愛い後輩でも呼びなさい。あの娘なら喜んで付き合ってくれるでしょ」

 

「いやぁなんていうか、僕は邪ンヌがいいんだよ。……ダメかな?」

 

熱のせいか、はたまた恥ずかしさのせいか、少し赤い頬を掻きながら問いかけてくる彼としばらく見つめあう。

根負けしたのは彼女のほうだった。

 

「……はぁ。今回だけですからね」

 

「うん。ワガママ言ってごめんね、邪ンヌ」

 

「全くです。ほら、これ以上迷惑かけないように病人はベットで大人しくしてなさい」

 

その言葉に従ってベットの中に潜るマスターを見て、近くの椅子に再度腰掛けるジャンヌ〈オルタ〉。

そして彼女はおもむろに近くにあった果物が入った籠の中からリンゴとナイフを手に取り、皮を剥きはじめる。

 

「…あの、邪ンヌ。何してるの?」

 

「はぁ?見てわからないの?リンゴ剥いてるんじゃない」

 

そう言っている間にも慣れた手つきでリンゴを剥いていく。

ちなみにうさぎさんカットだった。

 

「いや、それはさすがに見たらわかるけどさ…。ぶっちゃけイメージと違うって言うか…」

 

「病人にはリンゴって昔っから決まってんのよ。いいから黙って食べてなさい、ほら」

 

「しかもめっちゃきれい…ありがと、邪ンヌ」

 

「ハッ、感謝してる暇があるならとっととその風邪治しなさい」

 

一旦そこで会話が終わり、部屋にはリンゴの皮を剥く音と、咀嚼する音が響く。

無音の空間が嫌だったわけではないが、マスターは彼女にずっと前から気になっていたことを聞いてみることにした。

 

「邪ンヌってさ、なんで僕みたいなやつの所に来てくれたの?」

 

「はぁ?何よ急に」

 

「いや、そういえば聞いたことなかったなー、と思ってさ。ちょっとした疑問だよ」

 

「別になんででもいいでしょ、アンタが気にすることじゃないわ」

 

それに、とそこで一旦彼女は手を止め、彼に向き直ってこう続けた。

 

「『アンタみたいなやつ』、じゃなくて他の誰でもない『アンタだったから』来てやったのよ。そこんとこ履き違えてんじゃないわよ」

 

「……そっか。うん、ちゃんと覚えとくよ」

 

「そうしなさい。…剥いたやつここに置いとくから気が向いたら食べなさい」

 

そう言うと今度こそ彼女は席を立ち、マイルームから出ていく。

その後ろ姿に彼は感謝の言葉をかけた。

 

「邪ンヌ、ありがとね」

 

「…フン」

 

かけられた声に対し、こちらを見たあと鼻を鳴らし出ていくジャンヌ〈オルタ〉。

しかし彼は見逃さなかった。

彼女の耳が真っ赤に染まっていたのを。

 

「……素直じゃないなぁ…」

 

流石はアヴェンジャー。と呟いた独り言はマイルームの虚空へと消えていくのであった。

 





という訳で邪ンヌのお話でした。
楽しんでいただけたでしょうか?

来週中にはもう一本の方もあげようと思っておりますので、よろしければ読みに来ていただければと。

では次回はクリスマス特別編(予定)でお会いしましょう。
今週の担当、MKDNでした。
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