馬鹿4人によるFGO SS 1週間1本勝負 作:作家活動から逃げるな。
本来であれば明日以降が私の割り当てになる予定が、アイアムメイデンが今週多忙だったため急きょ交代になりました。謹んでお詫び申し上げます。
今回の注意点
・七章、17夏イベ、17クリスマスイベのネタバレ多数
・今回も今回で滅茶苦茶な独自解釈・独自設定
・約8000字いったので前後編
・へたくそな伏線の張り方
・ぐだ男マスター
それでも良い方は
Are you ready?
「ふっふっふっ……」
とある冬の日の朝(11時)。
その女性は、マスターの部屋の前に立って、一人意味深な笑いを零していた。
「ついにこの時が来たわ……」
女性はマスターの部屋の前で歓喜に震えている。決して寒いからではない。
確かに、彼女の普段着を思い出せばいや寒いだろと言われても仕方が無いのだが、今の彼女は、夏の事件の時よりもなお厚着をしているのだ。
「今度こそ、今度こそは……!」
太股を半分くらい隠すほど長い赤い外套には、裾などに白いモコモコがあり、手袋はこれまた真っ赤なミトン型。外套に隠れているのか、はたまた本当に履いてないのか、スカートやらズボンやらは確認出来ず、膝頭ちょっと上までの黒ニーソが余計に映える。
極めつけは、白いボンボンの付いた、赤い三角帽子。
「よし!」
そう。今日の彼女ーーイシュタルは。
「起きなさいマスター!プレゼント配りに行くわよ!!」
サンタクロースだった。
*****
「えー、どうも。今年二人目のサンタに強制連行されてただ今夜のロンドンと思しき都市の上空を飛んでおりますこちらカルデアのマスターです」
「誰に話してるのかしら?」
イシュタルはマアンナ・サンタクロースのソリverでプレゼントに埋められているマスターと共に、ロンドン上空を飛び回っていた。
勿論元特異点……と思いきやなんと特異点ではないらしい。
正確には特異点未満の観測点。僅かに魔力が不安定になっており、観察対象となっている観測点であった。
もしかしたら何か起きるかもしれない、程度で特異点とすら言えないほど微小な地点であるため、カルデアとしても大きく気にとめている訳ではなかった。それがこの有様である。
「はぁぁぁぁ……」
「もう何よマスター、そんな大きいため息ついちゃって。これからプレゼント配りに行くのよ?そんなんじゃ配られる子供たちが幻滅しちゃうじゃない」
ため息をこぼすマスターをイシュタルが窘める。それに対して、マスターはプレゼントの山に埋もれながら質問で返した。
「それでさ、なんでまたイシュタルがサンタになっちゃったの?なんか夏に似たようなことになってやらかしてるよね?」
「うぐっ、た、確かに……」
そう。イシュタルは夏、特異点の修正を名目に巨大な規模のレースを提案・企画したのだ。しかしそれは彼女の本来の目的を隠すための隠れ蓑であり、彼女の真の目的は、消失した天の雄牛<グガランナ>を集めた魔力で作り直すことであった。紆余曲折あったものの、彼女は結局グガランナを作り直すことが出来ず、折檻を受けて終わったのだった。
そんなことがあったため、疑われるのも無理はなかった。
「いやまぁ確かに夏の時のことあるから信頼しにくいのはわかるけど!でも今回は本当に違うのよ!」
「えぇ~?本当にござるかぁ〜?」
「うわどっかの侍の真似ウザっ!本当よ本当!」
サンタ帽の白いボンボンが何故かピッカピッカ光りながらブンブン揺られるのを目で追っかけるマスターをよそに、イシュタルは説明を始めた。
「いやあのね?こないだのシュメル熱の一件あったじゃない?」
「あー、あったねえ。あん時いきなりイシュタルが上から来たのは流石にちょっと驚いたよ」
「驚きが薄すぎないかしら……まぁともかくよ!」
ビシィ!とマスターを指差し、力強く、イシュタルは叫ぶ。
「あん時の私が全力出し過ぎて、今の私がちょっと善性足りなくなっちゃったの!」
「自業自得では?」
ゴスッ、といい音をたててマスターの頭に振り下ろされるチョップ。
マスターはあえなく撃沈した。
「と!に!か!く!今の私はいつもの私と違って秩序・中庸くらいになっちゃってるの!そうすると霊基が不安定になっちゃって、下手すると英霊の座にサヨナラバイバイなのよ!だからこうやって善性の塊みたいなサンタクロースになることで自身に善性を取り戻そうとしてるわけ」
サンタ帽のボンボンを揺らしながら話すイシュタルに、マスターは力の篭ってないため息を零しながら話を整理することにした。
「つまりあの時……2016年の時のイシュタルが悪魔みたいになったせいで、なぜか今の……2017年のイシュタルの善性が失われたから善性取り戻すために思いついたのがサンタだったと」
「悪魔じゃなくて本気!それ以外はだいたいその通りよ」
「しかしなんで今になって?」
「さぁ?まぁ契約している貴方が当時の私を知覚したのが今だからじゃないのかしら?」
「じゃあ別にグガランナがどうとかする気は無いんだ」
「当たり前じゃない。てかボンボン眩しっ」
ボンボンをピカピカ光らせながらイシュタルは答えた。
「グガランナを作り直そうってするにはいくらなんでも集まる魔力なんかが足りないわよ。ちゃんとした術式とか作るのだって一日二日で出来るもんじゃないし。それこそ、まだちょっと気にしとけばいっかな程度の魔力上昇しただけの現代ロンドンでなんかそんなことできないわよ……てか急に光おさまったんだけどなにこれ」
イシュタルは光を収めたボンボンを弄りながら話す。
「ふーん……わかった。そしたらもう一ついい?」
「何かしら?」
「なんで俺を連れてきたの?」
「え?だってあなたこれまで3回もサンタクロースと一緒にプレゼント配ってきたんでしょ?冥界でも素晴らしいものくれたし。ならプレゼント配布のプロじゃない」
「え」
ふふん、と満足げというか自信ありげにしているイシュタルの言葉に、マスターは思わず呆けた声を出してしまった。
「なによー?」
マスターの声に、イシュタルは訝しげに問いかけた。
その結果。
「いやあの、別に俺がプレゼントを選んだことほとんどないけど」
「は?」
「俺が直接プレゼント選んだのって多分2回とか3回だったはずだけど」
「は?」
イシュタルの詰めの甘さが露呈するのであった。
*
「こちら『A-E』、只今到着した」
「お待ちしておりました、『A-E』」
「おう、遅かったな」
「全く……よもや貴様らと共に作戦に当たらねばならんとはな、『L-C』、『C-G』」
「仕方あるまい。奴を止めるためだ。我とて弓の我ほどではないが貴様と組むのは少し抵抗があるわ」
「では早く終わらせるために速攻でいきましょう」
「私も『L-M』の意見に賛成だわ。いけ好かない『A-E』やら『C-G』やらと長く組んでたくないわ」
「何はともあれ目標が到達するまでは某らも動けまい。今はゆったりと待つしかあるまいよ、『C-M』」
「『A-S』……!」
「いえ、実際彼の言う通りです。とにかく今はマシュらからの連絡が来るまで待機するしかありません」
「一刻も早い連絡を期待するとしようか、『S-A』」
「ところでよ、この呼び方めんどくさくねえか?」
「たわけ!こっちの方が格好いいだろうが!!」
「まさか貴様と意見が合うとはな。全く、『L-C』もケレン味がわかっておらんな」
「え、俺がわりぃの?」
突如現れた謎の集団。
プレゼント配りを始めることになったマスター。
急にサンタになったイシュタル、彼女は果たして本当に善性を取り戻したいだけなのか?
彼らの夜は、まだ終わらない。
後編に続きます。