ネタバレしすぎない程度に
ネタを放出するのが難しくなってきました()
バレバレ感あるのはきっと優しい読者の皆様はスルーしてくれるはず!と信じてます。その上で楽しんでもらえたら嬉しいなと!
我慢するのって、タイヘンだー。
今回もよろしくお願いします!
カルマside
「……なるほど。リツさんとイトナさんはそのインターネットというものをうまく扱えば、有人・無人関係なく不意をつける兵器を扱えそうですね」
「ああ。だが、地上版をこれまでに15機は作ったが標的が空を飛べるせいで射程範囲外になりやすい。壁に粘着、ジャンプ程度のギミックはもう試したんだが……」
「……でしたらこのドローンを使った方法はいかがでしょう?はじめからフィールドを空中にしつつ……」
「……!そうか、ここに律が介入できる回路を組み込めば……いい案をもらった、早速実践してくる」
「はい、お役に立ててよかったです」
『教えていただいた方から情報のハッキング、完了しました!ただ、追いかけてきたこの《
「事前にヨナとレンさんに協力を頼んでおいた甲斐がありました。ハッキングをして情報を得た代わりに盗られたり書き換えられたりしていたら意味がありません。リツさんはそれを得るためにダミーをどう配置し、どう追い込みましたか?リツさんはAIだからこそ人間には不可能な情報処理スピードがあり、それを蓄積するだけの容量があり、それがあなたの長所です。必要なものと不必要なものを選り分ける練習が大切かと」
『うーん……私がまだ学習しきれてなくて、人にとって……いえ、皆さんにとって必要・不必要という基準がなかなかわかりません』
「でしたら今回の場合、この情報にプロテクトをかけつつフェイクとしてこの情報を……」
……うわ、何アレ。専門的すぎる。
俺は烏間先生が言っていた通り俺自身を知るために目当ての人……ティオさんの所へと来ていたんだけど、スタートが遅れたのもあってか先客としてイトナと律がアドバイスを貰ったり実践を通して学んでいる真っ最中だった。
ティオさんはゼムリア大陸と日本とで文化や技術に差があるはずなのに、全くこちらの専門家として知識が劣ってないんだろう。イトナなんて無表情ながら活き活きとしてるし、律なんてメモを取りながら真剣に聞いてる……俺は聞いてても半分くらいしか分からなかった。
会話内容があまりにも専門的すぎるからなのか、ティオさんに師事しようと来ているのはこの2人しかいない。……もしかしたら、この勢いにおされて諦めた奴もいるかもしれないね。
何となく既視感のある人だな……と思いつつ、とりあえず1度会話が落ち着くまで待つべきかと踵を返そうとした時だった。
「来ないんですか?そこの人」
ティオさんの方から声をかけられたのは。
「……、……俺、結構気配を消してたつもりだったんだけど」
「ああ、アミーシャの恋人さんでしたか……それなら聞いてなくて納得です。他の方へは少しだけ話したんですが、私はとある事情から感応力が人間の限界を超えるほどに高められています。それこそ、分厚い壁の向こうの音を聞き、他人の感情を読み取れるほど」
「……そっか、なるほどねー、俺の気配云々より音や感情でバレバレだったわけ」
「はい。『うわ、何アレ』という呟きと困惑と同時にありえないものを見るような感情を向けられましたから」
「場が専門的になりすぎてて入れなかったんだよ……」
声をかけてもらえたことで、足を向けやすくなる。一応周りを見て俺の方を見て待ってくれているんだと確認してから、彼女の方へと歩き出す。邪魔をしないようにと極力消していた気配に容易く気づいた理由は、聞けば納得できるもの……
自分の中で納得できたからそこを気にせず、いつも通りに返事を返せば、ティオさんは少しだけキョトンとした表情をした後にふわりと微笑んだ。……突っ込まれると思ってたんだろうか?
「ふふ……では、イトナさんとリツさんはひと段落つきましたし。アミーシャの恋人さん、私の所に来たご要望は?」
「カルマでいいよ、ティオさん。……ティオさんが言ってた情報解析って、俺自身の身体能力とかを測れるってことなんだよね?俺自身を知るためにも、詳しく知りたくてさ」
「ふむ……可能ですが、それだけですか?」
「……、……アミーシャの戦術
「!アミーシャの人を選ぶエニグマを発動させたんですか?……わかりました。でしたらそちらに立ってもらって……」
ティオさんの指示の通り少しだけ離れたところに立つと、彼女は傍らに置いてあった羽のついた杖のようなものを手に取った。あれが自己紹介にあった魔導杖ということか。
蒼い光がティオさんの周囲を囲むと同時に、電子的なターゲットマークが俺の前に現れ、何やら文字の書かれた文字盤が彼女の前に表示される。仕組みとかは全然わからないけど、やってることの流れからしてアレが俺の情報ってことか。
しばらく黙ってそれに指を走らせていたティオさんだったけど、チラッと俺の方を見て開口一番に、
「……本当に一般人ですか?」
と怪訝そうに言った。どういう意味だ。
「力の数値がありえません。あと命中率に回避率、移動も……防御はまだ一般的ですけど」
「……えっと」
「……見せた方が早いですね。カルマさんは頭がいいとアミーシャに聞いてますから。写真に撮ってもいいですよ」
手招きされるがままにティオさんの近くへ行くと、表示されている画面をのぞき込むように指示される。そこにはいつかアミーシャから見せてもらった導力器の手引書に書かれていた数値の指標がずらりと並んでいて……1つ1つ説明されるそれを聞いていると、彼女の言いたいことが何となくわかった。
つまりあれだ、暗殺訓練を受けている俺等だとしてもここまでの戦闘力は普通つかないということ。俺、ちゃんと強かったんだなー……うん。
「……2年前の、支援課発足時のロイドさん並みの数値がありますよ、これ」
「……俺、昔から喧嘩ばっかりしてたからそのせいかな……」
「じゃあロイドさんというよりワジさんですね。あの人、あのヒョロっとしたナリで不良グループのトップ張ってましたから」
「嘘でしょ!?」
信じられないことを聞いた気がするけど、自己紹介の内容を聞いた烏間先生の反応やティオさんを見る限り本トなんだろう。
色々話を聞いてもらいながら身体能力的にはロイドさんに傷付けず守るための武術を学ぶより、体の動かし方が近いからこそワジさんの
次は俺としてのもうひとつの本題の
「……どう?」
「……適性があるとしたら《火》属性……完全に攻撃特化ですね。あ、《幻》属性にも適性があります。耐性としては《風》属性……。ふむ、だからアミーシャの《幻》に調整した導力器をある程度扱えたんでしょう」
「……じゃあ、もしかして《火》以外でも《幻》属性だったら俺でも使える可能性がある……?」
「……可能性はありますが、アミーシャのはオススメしませんよ。あとでランディさんの導力器を借りてみてください。ラインが短いですしカルマさんと同じ《火》属性ですから、アミーシャのよりは発動が楽なはずです」
「……俺、可能なら次にクロスベルへ行った時……ナインヴァリ、だっけ?戦術導力器買いに行こうと思ってるんだけど。そこなら未登録のオーブメントが買えるんだよね?」
「……裏ルートのをですか?まあ、犯罪ではないですけど……」
「アミーシャも冬休みくらいに里帰りするでしょ、多分。その時に着いて行って覗きに行きたいんだよね〜……無理だと思う?」
「……お土産にみっしぃグッズを添えてあげてください。ジンゴさんが食いつきます」
「ジンゴさん?」
「ナインヴァリの店員です。みっしぃファンなので融通がききやすいですよ」
私からも伝えておきます、そう言われて頷く。あの時は初挑戦だったから体の使い方とかが分からなくて失敗しただけなのかもしれない……全く適性が無いわけじゃない。それが分かって思わず小さく掌をにぎりしめた。
それに
「…………どこまでも、あの子が中心なんですね」
「え、何か言って「ません」あ、はい」
「さあ、さっさと次に行ったらどうですか?時間は有限……私達は今日から数日アミーシャの所に滞在するとはいえ、ずっと指導できるわけじゃないんですし」
「……わかった、ありがとう」
ティオさんが俺に対して何か言った気はしたけど、内容までは聞き取れなかった……誤魔化されたし。でも彼女が言うことはもっともで、まずはアドバイス通りワジさんのところに行こう。
ちょうど中村や岡野さんに杉野、木村なんか機動力のあるヤツらを同時に相手してるみたいだし、混ざるのもいいかもしれないね。
この後、近くで見れば見るほど渚君並に女性と勘違いしそうな容姿のワジさんを相手にタイマンを挑んで、……俺的に油断してたつもりは一切無いんだけど、なんてこともないくらい軽々と投げ飛ばされる事になる。
いや、ガチで喧嘩強すぎるんだけど。なんなのあの人。
◆
カルマside
3年E組の生徒が思い思いに特務支援課の人達に師事を受け、ボロボロになっていたりやり足りなくて悔しそうだったり思いがけない収穫で満面の笑みを浮かべていたりと、それぞれが充実した時間を過ごした夕方。日が暮れて、グラウンドにいた生徒は全員最初の集合場所へ集まっていた。
「全員揃ったか?」
「烏間先生〜、あーちゃんの姿が見えませーん!」
「ん?うちもリーシャが戻ってきてないな……」
点呼をとる烏間先生の声に磯貝と片岡さんがそれぞれ男女の人数を数え始めるが、アミーシャの姿がどこにもない……倉橋さんもすぐさま気づいて手を挙げながら報告している。キョロキョロと周りを見ているロイドさんの様子からリーシャさんも。
そういえば俺がティオさんを訪ねる前に、渚君がアミーシャはリーシャさんの元へ走っていったと言っていたような……
「渚君、もしかして」
「あ、そうか。烏間先生!僕、訓練が始まってすぐくらいに、アミサちゃんがリーシャさんと裏山の方に歩いてくのを見ました!もしかしたらまだ帰ってきてないのかも……」
「なに……?」
「あー、やっぱりアミ姫はリーシャを選んだかぁ」
「ノエルさんと私は分野が違うから来ないだろうとは思ってたけど……」
「他の人も含めて懐いてくれてるとは思いますけど、こういう時に頼られた事ってホントに無いですよね……」
渚君が烏間先生に心当たりを話した瞬間、彼等の間にやっぱりかとでもいうような雰囲気が漂った。あの人達、ヘコんでるというか落ち込んでるというか、地味に傷ついてない……?
言ってる内容から察するに、普段から頼ってくれないアミーシャが、こういう専門的に教えられる場をお膳立てすれば来てくれると期待してたけど、彼女はなんの迷いもなくリーシャさんを選んだことにヘコんでるってところかな。
「……まあしょうがないだろう、アミーシャの能力を完全に理解してるのはリーシャしかいないんだから。……ティオ」
「……了解しました、生体反応を追います。《アクセス》……、……ヒットしました、ここから裏山へ入って少しの所にある開けた場所にいるみたいです」
「わかった。……えっと、多分あの姉妹は訓練に集中しすぎて時間を忘れてまだやってるんだと思う。さすがにもう暗くなるし今から迎えに行こうと思うんだけど……君達も2人の訓練風景、見に行くか?」
「「「!!!」」」
「ホントですか!?」
「え、リーシャさんって舞台アーティストなのに訓練も何も……」
「バカ、真尾が言ってただろ、魔物と戦う力を持つ人は普通に戦闘とかやってるって。リーシャさんもそうってことだろ?」
ロイドさんの誘いに皆が盛り上がる。俺も烏間先生との暗殺訓練の様子でしか彼女の動きを見たことがないから、見れるものならぜひ見てみたい。しかも、アミーシャが尊敬し、絶賛しているリーシャさんと一緒に行っている訓練……気にならないはずがない。
だけど、誘った張本人であるロイドさんがどこか迷っているような表情で……困ったように頬をかいている。曰く、ここまで乗り気になるとは思わなかった、と。
「誘った手前悪いんだけど……正直、彼女を見る目を変えない覚悟がないなら見ないことをオススメするよ。着いてきたら、多分君達が見たことのないあの子を見ることになるからさ」
「あの子達も僕達も望まないから全部は教えてあげられないけど……ここまであの子を人らしく成長させてくれたキミ達に免じて、少しだけ情報をあげようかな。……あの姉妹は特務支援課の誰よりも、段違いに強い。もちろんリーシャ1人でもアミーシャ1人でもそれこそ一騎当千……僕達6人がかりでも勝てるか怪しいね。2人がかりで来られたら早々に全滅してもおかしくないんじゃない?」
「「「え」」」
「あ、ちなみに間違ってもアミーシャは今実力を隠してるとか、手加減してるわけじゃないから安心して……記憶の話、したでしょ。アミーシャがあの歳、あの成長途中の体で枷を外すと命に関わるから、最初のは僕がやったんじゃないけど記憶と一緒にちょっとした蓋をしてるんだ。要はアミーシャ自身の自己暗示と法術による枷の二重の縛りで、あの子は自分を保ってるってこと」
「……1度だけ機会があって、ワジ君立ち会いの元アミーシャちゃんの本気を見た事があるけど、……終わったあとほぼ瀕死って状態だったものね……命の危機でもない限り、二度と見たくないのが本音よ」
「ホントにね。リーシャとあの子はそれをちゃんと分かってるから早々本気を出すこともないんだけどさ」
「そうだな……いやちょっと待て。スルーしかけてたけどワジも1人で俺達以上だろ。サラッと自分を抜くなよ」
「いやだなぁ、僕は
「どうだか……」
「嘘くさいです」
……アミーシャが、リーシャさんが、ロイドさん達以上の実力者……?俺なんてついさっきまでワジさん相手に組手をしてもらって、避けれるかわりに全く技を仕掛けさせてもらえなかったんだけど。涼しい顔で繰り出される拳と蹴りは、烏間先生よりも柔軟すぎて目で追うのがやっと、頭で理解してもギリギリ体が反応できるってレベルだったんだけど、……それ以上?
そのワジさんもロイドさん達が言うには、子ども相手なのもあったかもしれないけどまだ全力には程遠いらしい。そんな彼等にそこまで言わせる実力が、彼女が隠していることの一端なんだろうか……
「まあ、今はワジの実力どうこうは関係ないしおいておくぞ。今のを聞いても来る気がある子だけ、着いておいで」
「私が先導します。……やめるなら今ですよ」
そう言って、ロイドさんとティオさんを先頭に彼等は俺等を待つことなく裏山へと歩き出してしまった。俺等は何も言えず、困惑とともに固まっていた……だって、この人達は俺等にどうして欲しいんだ。何が正解なんだ。
誘っておきながら、来るのに難色を示す。
情報を開示しながら、全ては教えてくれない。
知ってほしいのに、知らないでほしいと言う。
まるで正反対の言動は、なんと言うか……ロイドさん達もなにか迷っているんじゃないかって感じがする。アミーシャ達は知られたくないと思っているけど、彼等としては知ってもいいんじゃないかと考えてるというか、教えたいけど知って欲しくないというか……あー、ダメだ、考えれば考えるほど何が言いたいのか分からなくなってきた。
せっかく誘ってくれたんだし遠慮なく着いていかせてもらおう、聞いてすぐにそう思ったはずなのに。ダメ押しのように告げてきたティオさんの言葉に迷いが出てきて……俺は先を歩く彼等のあとを追いかけることが出来なかった。
++++++++++++++++
日が落ち始め、茜色に染まる椚ヶ丘中学校3年E組校舎の裏山。マオ姉妹を迎えに、未だ訓練をしていると思われる場所へ向かっているのは、特務支援課の6人と……追いかけてきたキーア
「……誰も、来ませんでしたね」
「
「他の子はまだしもあの赤髪君は来ると思ってたわ……意外ね」
「最後のダメ押しでが諦めたっぽいな」
「……迷っては、いたみたいですよ」
「でも、動けなかった。それが答え、選択なんだよ……ね、ロイド」
「……そうだな。これも1つの選択、か……」
彼らが見つめる先には、夕焼け色に染まっていく森の景色と……そんな周りの様子なんて絶対に目に入ってないだろう、集中して訓練に取り組み続けている姉妹の姿があった。
◆
「お、遅くなりました……っ!」
もう1回、あと1回……と繰り返し続けているうちに、次で最後にすると決めたはずの『あと1回』が際限なく続いてしまい……ロイドお兄ちゃんが乱入……介入?してこなかったら、今日はE組のみんなで特務支援課の人たちに訓練をつけてもらってるんだってことを忘れたままだったかもしれない。
実際、だいぶ日が沈んでリーシャお姉ちゃんどころか手元が見えなくなりつつあったのに、全く気にせずに続けていたから。
ロイドお兄ちゃんによる捨て身の静止でようやく私たちの世界から帰ってこられた私とお姉ちゃんは、慌ててみんなが待っているグラウンドまで戻ってきた。ペコペコ謝る私とお姉ちゃんに、みんなは久しぶりに会えたお姉さんなんだから気にするなって言ってくれた。
だけど、ちょっとだけ……ホントにちょっとの事なんだけど、みんなが1歩引いているような……戸惑っているような?そんな感じがした。……なんて、私にはティオお姉ちゃんほどの感応力はないから、そんなの分かるわけないのにね。……あれ?そうだったっけ……?……うーん、まあ、いいか。
「さて、真尾さんが帰ってきたことで今度こそ全員揃ったわけだが……どうだ、君達は何か彼等から得ることは出来たか?」
「なんていうか……烏間先生は『人間である烏間先生に当てれないなら人外である殺せんせーなんて到底無理だ』っていう教え方だけど、特務支援課の人達は『当てれなくてもいいからその分体の動かし方やコツを掴む』ってことを中心に教えてくれた気がしました」
「『軽く力量が見たいから1人ずつ手合わせしよう』って相手してくれたロイドさんに対して、ランディさんなんて開口一番『とりあえず全員相手するから一気にかかってこい』だったからなぁ……」
「いや、単に言葉で教えるより集団戦は体で覚えた方が手っ取り早いと思って。どうせ実際戦闘するとしても1人で挑まず
「ランディ……教師役なのにそれはどうかと思うぞ……」
「堅い事言うなってリーダー」
烏間先生からの問いかけに対して、真っ先にロイドお兄ちゃんのところへ向かった磯貝くんと、ランディお兄ちゃんの一斉指導を受けたらしい前原くんが口を開く。同じように力のある人たちなのに、いろんな意味でタイプは真逆だからなぁ……この2人。
『ティオさんのおかげで、死神さんを相手にした時の私の弱点を補う方法がある程度掴めました!協力者の方々にも感謝でいっぱいです!』
「……イトナ16号を作る足がかりだけじゃなく、導力機関についても教えてもらった。アミサ、お前の導力器に不具合が起きたら言え。多分俺でもなんとかなる」
「……えぇ!?」
「はい、イトナさんにはざっくりとですがオーブメントの仕組みを説明しておきました。さすがに
「かなり興味深かった」
「あ、あはは……イトナくんはどこを目指してるんだろう……」
ニコニコ笑顔で花を飛ばしている律ちゃんと、表情にはあまり出てないけどかなり満足気にしているイトナくん。ティオさん、専門分野を高めようとする熱心な2人に嬉々として色々教えたんだろうなぁ……
でも律ちゃんのネット回線についての課題はともかく、イトナくんへの指導が若干導力技術士への道を歩ませようとしてないか不安が……本人が日本のメカ以外に触れて嬉しそうにしてるし、いいのかな。
「遠距離
「私も。あとは移動式の射撃ね……今度自主練するわ」
「俺も付き合う」
「勝負よ、千葉」
「……おい仕事人、いいのかそれで」
千葉くんと凛香ちゃんの行った先は、やっぱりエリィお姉ちゃんとノエルお姉ちゃんだったんだ。早速今後の予定を立て始めた仕事人たちに、近くにいるクラスメイトは生温い視線を向けている。
でも、コツを掴んだ
「で、はぐらかされて終わったんですけど、結局ワジさんは男性なんですか、女性なんですか」
「アミサがお兄ちゃんって呼んでるからとりあえず男性って見てますけど怪しすぎるんですよ」
「いやだなぁ、僕に一発当てれたら何でも答えてあげるって言ったじゃないか」
「正面から向かっても背後から狙っても躱される、一斉攻撃しても回し蹴りで一蹴、しかも攻撃後に動けなくてうずくまってる俺等を笑顔で回復して『さぁもう動けるよね、次やろうか』って煽ってくるような人を相手にどうしろと」
「赤子の手を捻るかのごとく全員を相手にしてきたわよね〜……唯一最後まで立ってたのって途中参戦してきたカルマ1人だったし」
「俺、攻撃は避けれたのに、逆に仕掛けさせてもらえなかったんだけど……」
「それだけでもかなりすごいよカルマ君」
ワジお兄ちゃんは近接戦闘に特化した人だから……というか、みんなお兄ちゃん相手にそんな賭けをしてたんだね。お兄ちゃんのことだから、なにかしら面白がってやるとは思ってたけど、結構ゲスいE組メンツに対しては有効な手段だったみたい。ていうかカルマ、ワジお兄ちゃんの所に行ってたんだ。
なんとなく戦闘方面よりも戦略方面を聞きにロイドお兄ちゃんかノエルお姉ちゃんの方に行くと思ってたんだけど。……案外誰かの入れ知恵、とか?……まさかね、カルマは自分の意見じゃなくて他の人の意見を聞いて簡単に動くような人じゃないし。
と、それぞれの感想を聞いていたティオお姉ちゃんがカルマが話すのを聞いた瞬間、何かを思い出したようにランディお兄ちゃんの方を向いた。
「……あ、忘れるところでした。ランディさん、カルマさんに戦術導力器を貸してあげてください。適性を見る限りランディさんのが彼に一番近そうです」
「あん?別にいいが……俺用に調整されたのを他人が使えるのか?」
「理論上は。もちろん正規の持ち主ではありませんから使用者に対してかなり負担はかかりますけど……カルマさんはあの扱いにくいアミーシャの導力器で発動できたとの事でしたので」
「マジか!リーシャともども上位属性縛りのアレを……、アミ姫、そん時の状況教えろ!」
「《アナライズ》で簡易的に情報見たら《火》の適性があったから、下位属性の中でも1番初級アーツなら行けると踏んで、……多分カルマのことだから念の為って若干属性値を盛れる『龍眼』を使って《ファイアボルト》撃ってるはず」
「待ったアミーシャ、なんで手元見てないのにそこまで分かってんの」
「あれ、あってた。んー……カルマならもしものためにって属性値積んでそうな気がしたから。積みゲー感覚で」
「そこまで考えられんのか……適性って事は俺と同じ《火》属性ってこったな。……んじゃカルマ、こっち来い!」
「……、え。今じゃなきゃダメなの?」
「俺が横でアドバイスできた方がいいだろ!ほら」
「はー……あとからこっそり行くつもりだったのに……」
しぶしぶといった様子で前に出ていくカルマ……そういえばカエデちゃんのプリン爆殺計画の時にも、彼には私のエニグマを貸したんだっけ。たしかその時は、発動準備完了まではいけたのに、いざ発動!となったら不発に終わったんだよね……いけそうだったのに失敗だったから結構ヘコんでたし、今もみんなの前ではやりたくないんだろう。
しぶしぶな表情はしつつもランディさんの言葉にはしっかり耳を傾けているみたいで、時々クオーツに指を走らせたり確認するように顔を見上げたりしている。
「おっしゃ、1度やってみろ……撃つのは《ファイアボルト》、いやこれは成功してるんだったか?……あー、いっそのこと別の攻撃アーツにしてみるか」
「ちょ、ここ学校よ!?どこに跳ぶか分からないのに!」
「初心者に初級アーツ以外はちょっと……ここは誰に当たってもいいよう無難に補助アーツにする所でしょう」
「俺も警察学校で散々導力器の研修受けたけど、最初は対象を狙うのってかなり難しかったぞ……」
「まあまあ、コイツも一発勝負のアーツでしっかり当てたんだろ?ならイケるイケる!それに対策も考えてるって。……アミ姫、導力器持ってきてるよな?お前は水のアーツ準備しとけ!」
「わ、私……!?えと、水のアーツでどうするの……?」
「いざとなった時の消火を頼んだ!」
「……って、結局アミーシャに消火を丸投げしてるだけじゃないか!?」
消火って、
……かと思ったら小さく口角を上げて目線がどこかへ向く……それを追いかけて、私は彼が望んでいることを察することができた。この場面でも遠慮も躊躇いもなく手を出そうとする彼は度胸があると思うし、さすがだとも思う……だったら、私も協力しよう。
隣に立っているお姉ちゃんの手に軽く触れてこっちに気づいてもらい、小声で私からのお願いを伝える……お姉ちゃんは一瞬驚きを顔に出したけど、しょうがないって顔で私の頭を撫でた。
「俺はいいよ、それで。アミーシャと一緒にヤるなら失敗しない自信しかないね」
「わ、私も……!カルマ、器用だからきっと平気……それに、いざとなったらフォローするから……っ」
「ほら」
「……~~っ、あー、アミーシャがついてれば心配はだいぶ減るけど、無茶はするなよ……」
念の為にと特務支援課の面々がE組生徒をいつでも庇える位置に立ち、ティオさんはいざと言う時のために《
みんなが見守る中、カルマと目を合わせ頷き合う……私たちが確認するのに、合図し合うのに声はいらない……これで十分。
「エニグマ駆動!」「エニグマ……駆動!」
彼と同時の駆動宣言とともに青い光に包まれた私たちの身体……ランディお兄ちゃんの導力器が
特徴的な青い光がカルマの身体の中に溶けていった……発動準備が整った証。直後フワリと彼の足元に赤色の光の陣が現れた……発動成功だ!対して追いかけるように私の足元に現れた光の陣は、ランディお兄ちゃんに指示された《水》属性の青……ではなく、
「……燃やせ、《
「……吹き荒れろ、《
「はあぁぁっ!?」
「え、なんで《風》!?」
《風》属性を示す緑色。私のアーツは地点指定型……それも標的をの周囲を囲うように描くもの。カルマの発動させた火球は対象指定型……対象を地面から吹き上がるマグマが襲うそれは、私の生み出した風の檻が包み込む……当然燃え盛る炎に風なんてぶち込んだら爆発的に火力が上がる。
そしてその対象は、
「にゅやぁぁっ!?なんでせんせー!?」
「……チッ、外したか」
「むぅ、地点指定型だからバレたのかなー……」
「ちょっと!そこの元凶悪魔2人!せんせーちょっとかすったんですけど!?」
「「なんだ、だったら成功だね」」
「にゅやぁぁぁぁああッ!!!」
この訓練をするにあたって烏間先生によって追い出され、それでも気になったのか私とお姉ちゃんが合流した時くらいから、こっそり木陰でニコニコと傍観に徹していた殺せんせー。
ちゅどーん、と軽い爆発を起こしたのに軽く煤けた状態で飛び上がり、ぷんぷんと怒りながら私とカルマの元へ文字通りすっ飛んできた殺せんせーはあんまりダメージを受けていなさそうで少しがっかりした。……だから、かすったと聞いた瞬間思わず2人でハイタッチをして喜んだんだけど、殺せんせーは地団駄を踏んで怒ってる。ちなみにあの爆発地点は、事前に頼んでおいたリーシャお姉ちゃんが《水》属性アーツで消火済みだ。
ちなみに危険な攻撃アーツをカルマに使わせるかどうかでお兄ちゃんたちが揉めている裏で、殺せんせーが見ていることに気づいていた私とカルマのあの時の会話には、
『俺はいいよ、(殺せんせー狙いの)それで。アミーシャと一緒に(暗殺)ヤるなら失敗しない自信しかないね』
『わ、私も……!カルマ、器用だからきっと平気……それに、いざとなったら(風アーツで威力底上げついでに軌道)フォローするから……っ』
という含みがあったりする。
「こら、アミーシャもカルマ君も。勝手なことはするんじゃない」
「……だぁーってさ、皆は気付いてなかったみたいだけど殺せんせーいたし。俺と適性が近いっていうランディさんのなら上手くいく気がして」
「イタズラは全力でやると楽しいもん。これもカルマが教えてくれたんだよ?殺せんせー狙ってるのはすぐ分かったし、お姉ちゃんもいいよーって」
「あのなぁ……」
「はっはっは!やるじゃねーか、ウチのお姫様と王子様は!あの一瞬で俺等の想定飛び越えてやらかすとは思わなかったぜ!カルマ、いつでも手ぇ貸すから声かけろよ!」
「……え、」
「……ランディも、キミの事を認めてくれたんだと思うよ、カルマ君。……アミーシャは俺等にとっても離れて暮らしてる妹分であり、娘のような存在なんだ。特務支援課にとって、アミーシャはもう他人じゃないし心配してたけど……うん、ちょっと2人で暴走しそうな感じはあるけど、安心したよ。……って、けしかけたのはお前だろランディ!」
カルマと2人で殺せんせーをからかってたら、何かE組のみんなと話していたロイドお兄ちゃんがいつの間にか抜け出してこっちに来ていたらしい。軽く私たちの頭を叩いて説教し始めるロイドお兄ちゃんに、全く反省する気のない私たち、ロイドお兄ちゃんの後から着いてきて豪快に頭を撫でて髪の毛をぐしゃぐしゃにする勢いのランディお兄ちゃん……そんな光景を見てたみんなは、暗殺を仕掛けられたはずの殺せんせーまで一緒になって笑っていた。
最後の最後にちょっとした
「ね、アミーシャ」
「……どーしたの?キーアちゃん」
「アミーシャは、幸せ……?」
「……?うん、みんなと一緒にいられて、私は、……アミサは……ホントに幸せ。今までだって、ホントに、……幸せだったよ」
「……そっか!」
──幸せ、うん、幸せだった。大好きな人たちに出会えて、一緒に過ごすあたたかさを知れて。だから、この幸せな気持ちのまま、スベテを終わらせるから……だから、私は何も知らないままでいい。それが、みんなの望みだから。
※2人が殺せんせーをからかってる裏では
「どうせカルマ君が誘ったんだろうけど、ここでイタズラ心を発揮させないでよ……」
「ていうか殺せんせーいつ来たの?」
「いつもながらすごいコンビネーションですね」
「……えーっと……アミーシャ達のアレっていつもの事なのか?」
「はい。というよりカルマが殺るなら徹底的にってくらいイタズラ好きで……突発的に仕掛けてくるんで」
「カルマ君は参謀向きだよね、かなり穴をついた戦略を考えてくるし、私達じゃ思いつかないような事を言い出したりするから」
「むしろカルマのあのイタズラや戦略に、何の相談もなくすぐに察して動けるのは真尾くらいだよな」
「ふふ、これを褒めるべきか、兄貴分として止めるべきか迷うところだね」
「止める気ないでしょう、ワジ君」
「バレた?……それに、リーシャが彼の事を認めるのも分かる気がしてさ」
「確かにね……カルマ君の近くにいる時が、1番彼女の素に近いもの。安心してそばに居るっていうか」
「あとはキーアの心配がどうなるか、か。……とりあえず俺はあの小悪魔2人を止めてくる。なんだかコロセンセーさんがかわいそうになってきた……」
「俺も行くか……そういや、『お嬢』に『ティオ助』、『キー坊』に『シュリ蔵』ときたから『アミ姫』って俺は呼んでるが……ホントに姫だとしてもあいつが守られるだけのお姫様でいるわけが無いもんなぁ」
「ですね、見た目も普段の行動も小動物並で、こっちが守りたくなるのにこうと決めた時のあのギャップ……毎回予想外です」
「……多分、平気ですよ。アミーシャには王子様がついてますから」
「カルマ君か……大物だよね、彼。いろんな意味で」
「そういえばワジさんが相手したんでしたよね、どうでした?」
「うーん……常に獲物をギラギラと狙ってくる……身軽な猫?」
「……それ、褒めてます?」
「もちろん。可愛いよね」
「「「(違う意味で可愛がってる)」」」
「アミーシャ」
「!お姉ちゃん……」
「冬休み、一度帰っておいで。きっとその頃には答えを出してるだろうし……アミーシャの気持ちを教えて欲しいな」
「……」
「今は公演があるし忙しいけど私がいるから強制なんてしない……当代は私だし、あの時貴女を連れていくと決めたのは私なんだから。カラスマさんの様子を見てる限り、私の代わりに動いてくれてるんでしょう?どの時代にも1人だけって言われてるけど、どんな在り方でもきっと父は許してくれるわ。『お前はお前だけの』って言ってくれた父なら」
「……わかってる」
「それに……」
「うん。でも、きっと変わらないよ。お姉ちゃんも、ロイドお兄ちゃんたちもみんな無事ってわかったから。もう心置き無く私は私の道を歩く……父様の遺してくれたこの道を、力を、私はみんなを守るために使いたいの。もうすぐ、お姉ちゃんと同じ歳だから、私にも資格はあるよね?なんて……、……これって、わがままかなぁ……?」
「……いいんじゃないかしら。それが、アミーシャの決めた道だったら。……ごめんね、他の道もあったはずなのに」
「選んだのは私だよ。……むしろ、ありがとう、お姉ちゃん」
「……私こそ。あと、法術が緩んできてるのはワジさんから聞いてるし、夏休みに約束破ったでしょ。完全に枷は外れてないと思うけど……それも含めて、少しくらい心配させてね……たった1人の家族には違いないんだから」
「…………うん、だいすきだよ……リーシャお姉ちゃん」
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今回は代表としてティオを師事した組の様子とその後のお話を書きました。ここでインターミッションはおしまいとなります。作中でティオも言っている通り、この日から数日は、このメンツがオリ主の家に泊まることになりますので、少しお時間貰って閑話を書こうと思います!
そして読んでくださった読者さんは何となく察していることでしょう……作者はティオとワジが好きです。次いでランディ。なのでどことなく出番が多い多い……見逃してください愛ゆえです。
今回、結構専門用語とか描写しきれなかった部分があると思います。もし気になる部分やわかりにくい部分がありましたら、遠慮なく質問してください。作者で答えられるものは全てお答えします!(ネタバレ以外)
次回は期末テスト編ですね……!ここでも一波乱の予感。
では、また会いましょう!