暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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筆がのって前ほど期間開けずに投稿できてます。
それもこれも見てくださる、待ってくださる方がいるからです。ありがとうございます!!

今回もよろしくお願いします。




113話 進路相談の時間

 

 私がずっと会いたかった人たちの顔を見ることができて、知らないうちに進んでいた計画がE組に共有されたあの放課後から、気づけば数日経っていた。

 あれから烏間先生は、私たちが学業に向き合うことを制限しないようにしつつ特別カリキュラムとして特務支援課のみなさんから学べる時間の確保と、向こうとのスケジュールの調整で度々連絡しあってるみたい。

 

〝真尾さん、改めて……君に断りもなく君を、君の(えにし)を利用するような形になってしまったことを、国の代理としてお詫びさせてほしい〟

 

〝わ、え、烏間先生……防衛省の人たちも!?そ、そんな……頭下げないでくださいっ!わ、私はあの、ロイドさんたちの顔見れて、嬉しかったですし……っ!あの人たちも、私に連絡する暇もなかったでしょうから、私が知らないのも仕方なくて、〟

 

〝いえ、これはケジメなんです。すみませんでした〟

 

〝国としては早くカタをつけたいと焦る重鎮も多く……言い訳でしかないのですが、防衛省の上層部だけで既に動いてしまっていたようで、私達まで情報が降りてくるのが遅れてしまい……〟

 

〝え、えと、……気に、しないでくださ、〟

 

〝いや、真尾さんは気にしなくてはいけない。何度も言うが、君はこのE組に在籍する以上非公式扱いだろうがクロスベルの英雄の1人ではなく……ただの生徒、子どもでいていいんだ〟

 

〝……ぁ、……、……わ、かりました〟

 

 私も知らなかったけど、私が特務支援課と縁があることから殺せんせーの暗殺に繋げられないか、協力を得られないかって日本政府が前々から打診だけは進めていたみたいで、防衛省の人から謝られちゃった。烏間先生たちがそのことを知ったのは向こうに連絡がいったあと……なんでも利益を優先する職員さんによって、関係者()が直接関わっているのだからそちらも、みたいな若干の脅しが入ってたらしくて……気づいた烏間先生が急いで一手に引き受けて、落としどころをまとめてくれたみたい。

 一応謝罪は受けとったけど……その人たちと烏間先生たちは別なんだから、謝られても、というのが正直な感想。しかも、烏間先生や話を聞いたクラスメイトが私の代わりに怒ってくれてるから私自身は逆になんか感情が落ち着いちゃったというか……そのおかげであの人たちの無事を早めに知ることができたんだから、そう思えばよかったのかも、なんて思ってしまったからあまり深刻だと思っていなかった。

 

「アミサちゃん、今日は誰からのメッセージが来たの?」

 

「あ、有希子ちゃん。今日はね、エリィさんから……えと、髪が長くて大きなリボンしてる……」

 

「エリィさん……あぁ、灰色の髪のお姉さんだね」

 

「お、今日の分届いたのか!クロスベル通信……内容的に大丈夫そうならまた教えてくれよ!」

 

「こっちではありえないこととか、向こうでの生活とか書いてくれるから、俺らまで楽しみになってきてるよな〜!」

 

「エリィさんって確かお嬢様って感じの人だったと思ったけど……合ってるか?」

 

「うん、あってる。えと、ね……ん、今日のはみんなに教えちゃってよさそう……久しぶりに市民の依頼ってことで不在住居の確認に行ったら魔獣が住み着いてて、みんなで討伐したんだって。そしたら思ってたより室内がボロボロで、ランディさんが床板を勢いあまって踏み抜いちゃった、……って書いてある」

 

「不在住居の確認……こっちの警察とやっぱ違うことしてんだな」

 

「え、警察が調べちゃダメなの?」

 

「ダメって言うか……これって要するに家宅捜索みたいなもんだろ?日本じゃ令状なしにやるのは基本的に違法なんだよ。真尾の言い方じゃ緊急性は無さそうだし、令状を発行して行ってるというより直接オーナーに依頼されて中に入ってるのかなって。近所の人に「ちょっとあの人の様子見てきて〜」って軽く頼まれて入りましたーって感じがするんだよな」

 

「ほほう、さすがは両親が警察の木村、詳しいな」

 

「じゃあ、やっぱり特務支援課って場所は他の警察の部署と色々違うのかもね」

 

「ん?あれ……住居の確認ってことはこれから人が住むかもしれないんでしょ?壊しちゃったんだランディさん……動画みた限り確かにでかい人だなーとは思ったけど」

 

「ランディさんの使う武器、かなり大きくて重いから……それもあるかも……」

 

「てか人が不在になった家にオバケならぬ魔獣が住み着くとかあるの!?」

 

「たまにオバケも住みつくよ……?」

 

「やだそんなの〜っ!」

 

 殺せんせーの暗殺自体は世界規模での暗殺任務(ミッション)だからクロスベル警察の中でも特殊な立ち位置である特務支援課へ早々に情報が来ていたみたい。あちらとしても私がいるならって協力に前向きで、状況が落ち着き次第協力する……な感じの段取りはあったみたいなんだけど。通信でもロイドさんたちが言っていた通り、また新たにクロスベルが荒れてしまった上、説明しきれないくらい色々なことがあったからクロスベル警察も動けなかったらしい。……あの、カルマが偶然烏間先生に聞きに行った日の、まさに数日前。再独立を宣言した調印式があったんだとか……なんて偶然で、奇跡だったんだろう。

 あの日以来、毎日代わる代わる特務支援課のみなさんからメッセージや通信が来るようになって、当たり障りのない内容の時はクラスメイトにも教えてあげるのが日課になってきた。あの人たちと連絡が取れるようになったことをみんなには話してなかったのに、私の雰囲気から何かを察したらしいカルマによって聞き出されたのを境に、いつの間にかみんなもう知ってたんだよね。広まるの早いよ……興味をもってくれるのは嬉しいけど。

 

「なんていうかさ、みなさん個性的だよね」

 

「だなー……動画とかメッセージの内容みた限りじゃロイドさんなんてかなり真面目で正義感の強い人って感じたんだけど、先に会話してた渚達としてはタチ悪い人認識なんだろ……?」

 

「あー、うん、傍から聞いてただけでも誰よりも信頼されてるけどそっち方面ではやばい人認識もされてそうだなって思ったよ……」

 

「マジで自覚なさそうだったもんな……あのキーアって子が「いつか刺されそう」って言ってたけど、多分本トになっても驚かねーもん」

 

「そもそもあの動画に映ってた女性陣全員から言われてる時点で相当でしょ」

 

「本トそれ。で、あの会話の後でやっと思い出したんだけど、前に女子だけで恋バナした時にアミサちゃんが言ってた「弟系草食男子を装った喰いまくりのリア充野郎」って、もしかしなくても……」

 

「え、あ、うん、ロイドさんのこと。お兄さんがいたし年上キラー?って言われてたから前半はわかるんだけど、後半はいまいち意味わかんなくて……」

 

「分かんなくていい分かんなくていい」

 

「そのあだ名が既にヤバいってみんな思ってることだけ何となく分かってればいいよ」

 

「う、うん……?」

 

「ワジさんとか基本的に掴みどころがないし、なんかメッセージも主観より客観的に見た内容で根幹は内緒、みたいなもんばっかな気がするな」

 

「逆にエリィさんはさっきみたいにちょっとした出来事とかも教えてくれることあるよね」

 

「ティオさんとノエルさんはお仕事とかよりキーアちゃんとの日常とか、猫の写真とか一緒に送ってくれるんでしょ?」

 

「ランディさんはアミサちゃんだけじゃなくて、俺らも内容知ること前提で関わってる人みんなのお兄ちゃんしてる感じあるよね、おおらかに受け止めてくれる兄貴分っていうか!」

 

「ただ、この人とワジさんだけ大抵カルマか俺ら宛にもなにか添付してくるのが面白すぎるよな。しかも真尾が添付ファイル開かないように書いた上で的確にいろいろ突っつく形ってのが」

 

「毎度毎度さぁ……ありがたいと思えばいいのか迷惑って思えばいいのか困ってるんだけど、俺。俺宛とかE組宛ってことだけ分かったら、内容理解しないまますぐ端末渡してくれるからこの子……」

 

「え、だって私宛じゃないのに読んだり開いたりしちゃまずいかなって……?」

 

「うん、まぁ、……うーん……ああ書けばこの子絶対勝手に開かないし見ないから、絶対に知られること無いって分かってやってるんだとしても内容を素直に受け取れないんだよね……余計なお世話……でもさぁ……はぁ〜……

 

「あらら、悩んじゃった。でも仕方ないよね……ちょっと踏み込んだ大人の男からの提供される話、みたいなのも普通に紛れてたもんね前……」

 

「ま、今後も宛先があるならそのまま渡してあげなさいな。男の人同士で会話したいしアミサちゃんには見せたくないけど、情報共有するにはアミサちゃんを経由するしかないってことかもしれないしね」

 

「ん、わかったそうする」

 

 近いうちに直接会うことになるからって、みんなも特務支援課の人たちのことを覚えようとしてくれて、たくさん話を聞いてくれる……それがすごく嬉しい。

 ただみなさん、E組のみんなや何故かカルマ単独とも話したそうなんだよね……私経由でしか連絡手段がないから仕方ないんだけど、私には言わずみんなには言いたい話とかあるような気がするから何とかできたらいいのに。直接会える日に希望する人とは連絡先を交換できたら……いいのかな、うん、頼んでみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこともあって、私や烏間先生を介してE組とクロスベル側との交流が進むようになってきたある日の6時間目。いつもなら教科の授業が入るところだけど、殺せんせーは筆記用具だけ用意して座ってればいいって言っていて……これから何するんだろう。

 教室に入ってきた殺せんせーは教卓の前に着くなり、配っちゃいましょうか、なんて先生が言った時には、既に先生のマッハで机の上に1枚の紙が置かれていた。

 

「進路希望調査?」

 

 ……それは自分の名前と志望校、なりたい職業の第2希望までを記入する、いわゆる進路希望調査、というものだった。

 

「君達は中学3年生。もし誰かが先生を殺せて地球が無事なら、皆さんは中学卒業後も考えなくてはなりません……ま、殺せないから多分無駄になりますが」

 

 緑と黄色のシマシマに顔色を変えてナメた表情でそう言った殺せんせーは、これから1人ずつ教員室を使って相談に乗ってくれるらしい。ただの相談じゃなくて1対1の暗殺もやっていいと笑いながら教室を出ていったけど……相談相手が地球を滅ぼす宣言してる存在って……手厚い待遇だと思えばいいのかナメてるだけなのか。

 そもそもこういうのって事前に考えて書いておくものなんじゃないのかな……学校調べたり、その職業に必要なものを知っておかないといけないんじゃ……。案の定、さっさと書き終わった人は1人もいなくて、やっぱりみんな悩んでるみたいだ。

 

「……中村さん、何で勝手に人の進路歪めてんの?」

 

「渚ちゃん、君には(おとこ)の仕事は似合わんよ」

 

 と、思っていたら莉桜ちゃんが渚くんをからかっている声が聞こえた。チラ、と顔を上げてそちらを見て見たら、莉桜ちゃんが渚くんの調査票へ『女子校』とか『ナース』とか『メイド』とか、女の人向けの進路を勝手に書き込んだみたい。……というかナースとかメイドはともかく、女子校は男の子の渚くんが進学できないと思う。

 面白そうだと思ったのか、いつの間にかそこへ便乗しに行ったらしいカルマは嬉々として何か旅行用のパンフレットのようなものを見せて笑っている。一応莉桜ちゃんは冗談として書いてたみたいだけど、嬉々として勧めている姿を見てる限り、カルマは本気で渚くんを連れて海外旅行したいんだろうな。

 

「ていうか!僕の進路云々でいじるよりも自分のやつは埋めたわけ!?」

 

「もち。ほら」

 

「ふーん……ジャスミン附属、第1志望は外交官、ねぇ」

 

「そっか。中村さんは英語成績トップ、それにビッチ先生にいろんな言語とか教えてもらいに行ってる1人だもんね」

 

「にしし、これでも天才小学生って言われてたのよ?あたし。……ま、色々道踏み外して、バカやってきちゃったけどさ」

 

「……中村さんは馬鹿なんかじゃないよ。そりゃ、こうやって悪ふざけはするけど、ちゃんと場はわきまえてる。いっつも僕らのことを考えて、空気を変えてくれてるのも知ってる」

 

「そーそー、それに言いたいやつには言わせとけば?E組(ここ)にいる今の中村は、なんでも将来(さき)を選べるんだしさ」

 

「……あんがとね」

 

 明るく、友だちをからかって楽しんで、何も決めてないように見せてる莉桜ちゃんも……ちゃんと、進路を考えている。

 

「私は特になりたい職業っていうより、立派な主婦になりたい。結婚していざって時に家を守って、戦友のように背中を預けて貰えるような主婦……料理の専門学校もありかもしれないわね」

 

「俺はやっぱバイク好きだし家継ぎたいわ。村松もだろうしやっぱ専攻は経営だよな……」

 

「まーじで思いつかん……磯貝〜、俺何が向いてると思う?」

 

「俺が決めれるわけないだろ。俺も将来の職業までは思いつかないからとりあえずバイトしつつ奨学金も狙える高校を目指すのがいいかなって。要は自分の武器と家庭環境との相談だろ」

 

「自分の武器ねー……ジゴロ系会社員とか書いといたら、せんせーどんな反応するかな……」

 

「ほどほどにな……;」

 

「俺はやっぱ美大だな」

 

「高校は?」

 

「……美術に専念できるとこがいいなぁ……」

 

「やっぱこの、今と大学の間っていう進学先ってよく分かんないよなぁ」

 

「私は研究の道に進みたいって言ってきます……ついでに言葉巧みにこの毒コーラ盛れたらいいな。茅野さんは決まりました?」

 

「うーん、まだ未定……多分、この教室で殺る事殺れたら初めて答えが見つかる人、結構いると思うんだよね」

 

 ……、すごいな、みんな。莉桜ちゃんみたいにもうある程度の道筋を描いてる人もいれば、これだけは譲れないけどその他は悩んでる人、何も決められないなりにとりあえず埋めてる人……いろんなタイプの人たちがいるけど、それでもみんながキラキラして見えて。流されるように生きてきた私からすれば、すごく、すごく眩しい。……だから心が痛くなる。

 ……そんな風に考える権利なんて、私には無いのに。E組のほとんどが、漠然とした夢を書いて殺せんせーとの進路相談のために教員室へ代わる代わる向かっていく中、私は何も書かれていない白紙の進路調査表を見つめ、右手でなんとなしに髪をいじりながら自分の将来を想像する。

 

「あら、あのタコ進路相談なんてやってんの?」

 

「うぉっ!?ビッチ先生がフツーの服着てる……!?」

 

「な、なによ!あんたたちの価値観に合わせて安モンの服を着てきてやったのよ、感謝しなさいよねっ!」

 

「出しとけばいいやーって感じだったあのスーツもエロかったけどさ……隠したことでなんか、なぁ?」

 

「ビッチ先生も大人になったんだね……」

 

「ちょっと色々聞き捨てなんないわよッ!?」

 

 思考の海に沈もうかとしていた時、教室にイリーナ先生が……昨日までの丈の短いスーツじゃなくて、落ち着いたロングスカートとセーターっていう服装で現れた。髪の毛も一つにまとめてて、……なんだろう、すごく落ち着いたお姉さんのように見える。見慣れない姿に戸惑っていたのは最初だけで、からかいに行った男の子を筆頭にイリーナ先生の周りには人が集まっていた。

 なんとなしにそれを見ていたんだけど、ふと、イリーナ先生の背中……髪の下あたりにサイズシールが付きっぱなしになっていることに気づいた。動かなければ髪の毛で隠れてしまうし、珍しい格好のイリーナ先生と話したいからみんな背後なんて見ない……イリーナ先生本人も、慣れない服装にしたからそんな所にサイズシールが付いてるなんて思ってもないんだろうな。

 

「ただいま、あと相談まだなのアミサちゃんだけだって」

 

「あ、うん……ありがと、いってきます」

 

 私の進路調査表を誰にも見えないように持って立ち上がった時、ちょうどタイミングよく進路相談に行っていた渚くんが帰ってきた。お礼を言ってイリーナ先生の背後を通りながら彼とすれ違う……そのまま教室を出て、左手で握っていたそれをポケットに入れた私は、殺せんせーの待つ教員室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「…………」」」

 

「……見た?」

 

「うん、ビッチ先生の服についてたサイズシール……アミサちゃん、取ってった、……よね?」

 

「僕も戻ってきた時に気づいて外そうかと思ったんだけど、アミサちゃんの動きが自然すぎて手が出せなくて……」

 

「最初からあのシールに気づいてたあたしらしか見てないんじゃない?ほら、矢田ちゃんとかビッチ先生のすぐ近くにいたはずなのになんにも気付いた様子もないし」

 

「ビッチ先生も……あの様子じゃ触れた違和感とかすらなんにもないんじゃ……」

 

「気付けない、……いや、意識が向かないから()()()()()……つまり警戒できない、か。……あ」

 

「どうしたの?」

 

「なんかあったん?」

 

「いや。……相談行く前に聞けなかったなって」

 

「……、……あ、そっか。……アミサちゃん、こっちに進学するとは限らないもんね」

 

「紙配られてから、アミサちょっと変だったしね……あたしも話しかけらんなかったわ」

 

「追いかけないの?今ならまだ相談始まってないんじゃない?」

 

「……どうしよっかな。俺、一応この国の官僚志望って考えてるけど……でも、アミーシャは絶対に反対するから言わないけどさ、俺としてはちょっと考えてもいいんだよね、向こうでの進路。殺せんせーにもそう伝えてある」

 

「え、そうなの?」

 

「うん、だって面白そうじゃん?まだ中学生なんだから進路なんてどうとでもなるし、俺なら余裕だし」

 

「カルマならマジで何とかしそうなのが怖いわ」

 

「もう、だからってまた慢心してたら痛い目見るよ」

 

「分かってるよ。でもそれ以上に……あの子と同じ世界を見てみたいなって」

 

「……そっか」

 

「……とりあえず、俺のことは抜きにして教員室前で待つよ。今日はもうこれで終わりでしょ?アミーシャのカバンも持ってってそのまま帰るわ」

 

「あ、うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、次はアミサさんですか。あなたの進路を……にゅ?」

 

 教員室に入ってすぐ殺せんせーの言葉を遮るように、私は自分の進路調査票を……進学の欄に×を付け、職業の欄は空白のままな紙を差し出した。当然それを見た殺せんせーは目をぱちぱちと不思議そうにしてる……それはそうだ、進学先に迷って空欄にしているわけでもなく、なりたい漠然とした夢もない。でも、私の進路をここに書くわけにはいかない。

 

「……殺せんせー。私、日本での進路は考えてないの。……椚ヶ丘を卒業したら……あっちに戻ろうと思ってる」

 

「あっち……ゼムリア大陸、もしくはクロスベルですか。それはお姉さんがいるから、ですか?」

 

「…………」

 

 殺せんせーが、適当に私たちの話を聞いてすぐに相談を終わるような相手ならこれだけでよかっただろうけど……先生は期待を裏切らない手厚さで真剣に相談に乗ろうとしてくれてる。それが感じられる分、答えを出さずにこのまま何も言わなかったら、きっと殺せんせー的に認めてくれないし反対されるだろう。

 ポケットにしまっていたスマホを取りだして、タイマーをセットし、その画面を先生に見せながら顔を上げる。

 

「ねぇ、殺せんせー……今から1分だけ、ほんのちょっとだけ本気だした暗殺、しかけても……いい?」

 

「え?……ええ、もちろん構いませんよ」

 

「ありがと。──────それじゃ、……参る

 

 ──────バラバラバラッ

 

「にゅや、き、消え……ッ!?」

 

 殺せんせーに許可をとってすぐにタイマーを動かし、その場で《月光蝶》を使い姿を隠す。そのまま机に飛び乗って持参した大量の対先生BB弾を殺せんせーの頭上、触手の位置するところに落ちるように計算して大量にバラ撒く。ステルス性があるのは私自身だけ……つまり殺せんせー視点ではいきなり何も無い空間から対先生BB弾が出現し、降り注いだことになる。

 殺せんせーは急激な環境の変化に弱い……さすがに突発的に始めたこの暗殺で教員室を改造するわけにはいかなかったから、私が変化する環境になればと思って思いつきで実行した。案の定、数本の触手を溶かされるまでは動くことすらできずに固まってたけど、すぐに適応して慌ててその場で弾を避け出した先生……を目掛けて私は机から飛び降り、手に持ったナイフを振り抜けば、私にかかったステルス状態は解除される。殺せんせーが私を見て、触手を弱点である心臓に寄せつつ回避行動を取ろうとする……けど、それを気にせず新しいクラフトを発動させるため、ナイフを構える。

 

……水面に映るは、月の如し……《水月》

 

「ッ、にゅ、う……!」

 

 あの時、クロスベルを出てから一緒に歩いて、何度も見たエステルさんの棒術での連続突き、ヨシュアさんの双剣による高速の一点集中攻撃。それを同時に再現しながら先生の心臓を狙って、左手を掲げ、右手は握ったナイフを引き、心臓を狙って思い切り突き出した。

 

 

 

 そして──────

 

 

 

 

 

 ──────ピリリリリリリ

 

 

 

 

 

 タイマーが、鳴った。

 

───ッ……はぁ、はぁ、……はぁっ、……1分って、……ケホッ、……はぁ……短いね、……殺せんせー」

 

「ええ、……そうですね。ほらゆっくり深呼吸してください、今の1分間、ほとんど息を止めていたでしょう?」

 

 私のナイフは、先生のネクタイの三日月に触れる寸前で殺せんせーの触手に突き出した右手首を絡め取られて止められ、届かなかった。身体にも先生の触手が向けられて、それ以上接近できないようにされている。掲げていた左手は邪魔こそされなかったけど、戦いながらの同時進行では導力を集束しきれなかった、な……不完全な銀燿に輝く刃が霧散する。あと10秒もあれば教員室に大穴を開けれていたかもしれないそれが消えていくのと一緒に、ズキリと頭に響く痛みと、体にかかる得体の知れない重さには気づかないフリをした。

 何の準備もしてない、計画も何もない暗殺で、しかも極限の時間制限付きで殺せるとは思ってなかった。それでも、ブランクのある私にここまでできることが分かっただけ、十分だ。先生の言うとおり、たったの1分間だけと極限まで集中するために呼吸も制限していたから……目を閉じて大きく呼吸することで落ち着かせる。

 

「……ふー、あの日に確信したつもりでしたが体感すると震えますねぇ。……先生はあのアルカンシェルを観劇した日にお姉さん……リーシャさんが当代であること、一子相伝であるが故にアミサさんは暗部に関わらずに生きてきたと聞いていました。ですが……違ったんですね」

 

「……うん」

 

「これまでE組に姿を見せていたのは……」

 

「……イリーナ先生がE組の先生に認められた時に挨拶に来たのも。夏休みに殺せんせーがいない間を見計らってみんなに指導したのも。イトナくんを探して居場所や行動範囲を律ちゃん経由で教えたのも。わざと『死神』さんと契約することで動きを制限してたのも。……全部」

 

「なるほど。このことを知っているのは烏間先生と?」

 

「……だけ、じゃないかな……多分、イリーナ先生も気づいてない、と思う」

 

 やっぱり殺せんせーは、あの《碧の大樹》について話してる間に気づいちゃってたか。少ない言葉で確認するのも、先生の想定通り烏間先生以外はこのことを知らないから……つまり、なにかしらの盗聴や盗み聞きを警戒してくれている。ありがたく私も乗っかって、静かに続ける。

 

「……あと、3ヶ月……ううん、4ヶ月くらいで私は当代が継いだ時と同じ、15歳になる。……ちょうどいいと、思わない?」

 

「……アミサさん、あなたの言い分は分かりました。そして今の暗殺を通して伝わってきましたよ……この狭い場所でも器用に跳び回れる身体能力に加え、相手の感情を読み五感を駆使して得る情報収集能力に加え、それを処理するその処理能力と精度、気配を隠し相手の隙を見つける観察力、これまでに学んできたことを生かす応用力、……君にはとてつもなく大きな才能があることは否定できません。今まで影として活動する中でもその才能は活かしてきたのでしょうし、あなたがリーシャさんを支えればこれまで以上に確固たる立場を固められる。……ですが、この件は少し保留にします」

 

「……え……?」

 

 殺せんせーは保留と告げると私の進路調査表をファイルにしまいこんでしまった。……なんで?ここまで力を見せて、筋道を立てて話せば、わかってくれると思ったのに。背中を押してくれると思っていたのに。

 

「あなたは、1つのレール以外目に入っていないでしょう。祖先から継がれてきた道……それから外れることすら考えたことがないのでしょう」

 

「それはっ、……だって……私もお姉ちゃんと同じように道を継げるように、修行してきて……父様が亡くなって、お姉ちゃんが襲名して……お姉ちゃんが動けない時は私が……」

 

「なぜ、あなたも一緒に修行を受けることになったのかは知っていますか?」

 

「……え?」

 

「一子相伝……つまり、あなたは本来受けるはずのない修行をしている。過去から継がれてきた業の歴史を継いでいる。おかしいと思ったことは?」

 

「それは……、でも、私が始まった日からもう修行も、口伝を受けるのも当たり前で……」

 

「ですがアミサさんの話とアミサさんの経験してきたことにズレが生じてます。先生も分かりませんが必ずしも、道の継承者でいる必要はないのではありませんか?」

 

「…………」

 

 考えたこと、なかった。だって、それが、()()()()()()()から当たり前のことだったから。

 

「まあ、多分アミサさんが失った6年間の記憶に秘密はありそうですが、先生にも分かりかねるのでここは話を戻しましょう。……同じように生きてきたリーシャさんは、アルカンシェルでアーティストになるという光の当たる道を、暗い闇の道だけでなく一緒に進むことを受け入れたのでしょう?アミサさんだって同じように光の側面を手に入れてもいいはずです」

 

「!……でも、私にはそんなの……」

 

「1つくらいあるでしょう。このE組で過ごしてきた1年だって、……まぁ先生の暗殺が絡んでますから綺麗な光の世界かと言われると迷いますが、暗い世界しか知らなかったアミサさんからしたら、充分眩しいものだったでしょう?その中で、アミサさんがやりたいと、離したくない思ったものはありませんか?」

 

「……………離したく、ないもの……」

 

「まだ、悩んでいいんです。それからでも答えを出すのは遅くない。悩んで、あなた自身の『譲れないもの』と向き合って、心からの本心を見つけて……それからもう一度相談しましょう。それでも道を進むと決めたなら先生は先生の技術をも教え込むつもりで協力します」

 

「…………」

 

 私が先代の後を継ぐということは理由も意味も分からないし積極的になれるわけでもない。だけど、それが過去に大きな役割を果たしてきた実績を考えると無くてもいいとは言い切れなくて……私には、そんなずっと昔から脈々と受け継がれてきた道が、もう用意されているから。

 私が生きる道は、そういうものだと思っていたのに……『譲れないもの』、私が捨てたくないもの……それを手放さなくてもいいとしたら……

 

「あの夏休み……鷹岡先生の操り人形となることを受け入れようとしていたアミサさんが心の底から願った『みんなと一緒にいたい』という言葉……あの時点で凶手として、道具として生きる道以外を見出してしまったあなたは、もう一本道からは外れているはずです。……先生としては、生徒であるアミサさんだけでなく、あなたを想うリーシャさんの想いも尊重したいんですよ」

 

 殺せんせーの言葉は、まるでお姉ちゃんからも認められているかのような口ぶりで……私の中に迷いが生まれる。既に暗い世界で生きてきた私が、光の当たる場所を当たり前にしてもいいの?だけど、私がいることで誰かを引きずり込まざるを得ない日が来たら、きっと私は私を許せなくなる。でも……

 

「……ぐちゃぐちゃで、わかんない、よ……」

 

「いいんです。今は悩みましょう……絶対に答えは出ますから」

 

 そうとしか言えなかった私の頭を、ぽにゅん、と先生の触手が優しく撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アミーシャ相談終わった?」

 

「──────」

 

 教員室の扉のすぐ横に、カルマが座っていて心臓が止まるかと思った。まさか、そんな出入口で……違う、たった今私は今まで誰にも話してこなかったことを殺せんせーに対して見せて、話してきたから緊張が高まっているんだ、そうに違いない。驚きすぎて強ばったのを隠すように私が出てくるのを見て立ち上がった彼に視線を移す。

 次の相談を待つ人が座って待てるようにって、殺せんせーが用意していた教員室の回転椅子があったから、カルマはそこに座っていたみたいなんだけど……立ち上がって私を正面から見つめる彼の、顔色が悪いような気がする。……まさか……、

 

「……、カルマ、いつからいたの?」

 

「いつからって、……多分相談始めた頃にはいたかな。……殺せんせーの暗殺、1人でやるとか水臭いじゃん」

 

「…………ぁ、……ッ」

 

「荷物もってきたし、帰ろって誘おうと思ったんだけど……ちょっと、寄り道していい?」

 

「……う、うん……」

 

 ……けっこう、暗殺のために大きな音を立ててたし、ね。正直殺せんせーへの暗殺は聞かれても見られてもいい。他のクラスメイトだって相談がてらほとんどの人が暗殺を仕掛けてるはずだから。

 私が、人前で、本気で殺せんせーに暗殺をしかけたのは4月が最後だし……見られない場所で少し本気を出したのだと言い訳すればいいだけから。

 

「……、……その、……もしかして、聞こえ、た……?」

 

「…………」

 

 問題は、その後。教員室での相談内容がみんなに広まらないように、生徒は小さい声で話してるし殺せんせーだってそうしてる……私に関しては明言はしなかったし、重要な部分は避けて伏せながら話した、けど、……このカルマの様子では、もしかしたら私が中学を卒業したら《銀》として暗殺業に就こうとしてることを知られたかもしれない。聞かれてなくても、この人はとても賢いから……断片的なワードを組み合わせて、察してしまったかもしれない。

 できればこの人には、……さいごまで私の秘密は知られたくない。大好きだからこそ、離れなくちゃいけなくなる時までただのアミーシャとして隣にいたい。……だけど……、……何も言わない彼に手を引かれるまま連れてこられたのは、いつかの木の近く……一学期末に彼が隠れていたあの場所だった。

 

「………………アミーシャ、」

 

「な、ん……っ!?」

 

 今まで黙っていた彼が静かに近寄ってきて、名前を呼ばれたかと思ったら……いきなり片手で頭を抱え込まれてそのまま、……カルマにキスを、された。

 慌てて抵抗しようとしたけど唇を合わせるだけ、なのに頭を押える手も、合わせた唇も離してもらえなくて、空いた手で痛いくらいに抱きしめられて……動けないし、わけが分からない。

 

「……、息、止めないで……口開けて」

 

「は、あぅ、ぇ、……──────ッ」

 

 さっきの暗殺とはまた違った意味の酸欠になりそうでぼーっとした頭のまま、何も考えず彼の言う通り軽く口を開けたら、そのまま舌を入れる深いキスに切り替わった。イリーナ先生にはされたこともある深いキスだけど、カルマから初めてされたそれは、まるで私を飲み込むように熱い炎のようで、ゾワゾワとする感覚と頭の中に響くような水音に逃げたくなる。なのに逃げても追いかけてくる彼の舌に、私の声も、息も飲み込まれて、ついには私の心より先に体が耐えられなくなった。

 かく、と上手く立てずにバランスを崩した私を抱きとめた彼は、私と同じくらい熱くて荒い息をしばらく吐いていたけど、そのまま私を強く抱き締めてズルズルと木にもたれかかったまま地面に座り込んだ。もちろん私も彼の上に乗る形で一緒に座り込むことになって……お互いに何も言えなくて、黙った静かな時間が過ぎていったけど、その空白を割いたのは小さくゆっくりと落とされていく、彼の声だった。

 

「……アミーシャの仕掛けた暗殺は、ごめん。……結構大きい音だったし、殺せんせー慌てて触手でそこら中ぶにょんぶにょん殴ってくからさ、多分その時に扉に隙間できて……机の上からアミーシャが飛び降りるところから、タイマーの音で殺せんせーの心臓にナイフを寸止めさせるところまで……見てたし、聞いてた」

 

 ……見られた原因、殺せんせーじゃんか……結構しっかり最初から見られてた。

 

「アミーシャが、あの暗殺の後で呼吸を落ち着かせようとしてる間にさ、俺が扉の隙間から見てんのに殺せんせーが気付いて……多分、みんなには言うなってジェスチャーかな、それだけして、扉を閉められたから……そっから先の相談は、聞いてないし聞こえてない。……それは、安心してくれていいよ」

 

 それなら、私の正体がこれまでE組の前に姿を見せてきた《銀》だとは、確証を持ってるわけじゃない……?それを問いつめたいわけでも、これまで積極的に動いてこなかった暗殺に対して不満をもってるわけでも、距離を置きたいわけでもないのだとして……なんで、いきなりこんな……

 

「……いきなりキスして、ごめん。俺、今の暗殺の最後に……アミーシャが触手に貫かれたように見えた。せんせーの触手なんて、あんな先が丸まってて、……ありえないのにさ?……鎌みたいな触手で、体に穴が空いて、血が止まらなくなって……明らかに致命傷、みたいな……そんな感じのが見えた気がしたんだよ……」

 

「……、……ぇ……?」

 

 ……、なに、それ。幻覚?私が殺せんせーを攻撃するために集めていた銀燿の力で場の認識と因果はもしかしたら歪めてたかもしれないけど……現実とは違うものを、彼は見ていたのか。

 

「アミーシャが決める道だから、こっちに残ってもあっちに帰っても自由だと思う。でも俺はこれからもずっと、アミーシャから離れる気も、離す気もないから、俺は俺でどんな手を使ってでも隣にいる。こっちで結果残してから迎えに行ったっていい、着いてってアミーシャの近くで仕事したっていいんだよ」

 

「カルマ、それは」

 

「だけどさ……お願いだから、死んだりしないでよ……」

 

「…………」

 

「アミーシャに触れて、抱きしめて、キスして……やっと安心できた気がするけど……、やっぱりあの変な不安だけ拭えないんだ。……アミーシャが、消えるかもしれないって……、あは、何言ってんだって思ってるだろうけどさ、……ごめん、もうちょっと付き合って……」

 

 そう言ってまた黙って私を抱き直した彼は、今の、たったの1分間だけの暗殺で、何を見たんだろう。私を抱きしめて胸に押付けたまま離さない彼の腕の震えを、不安と焦りの色を感じる……これは、嘘を言ってる感情から来るものじゃない。何らかの形で……私が、死ぬところを()()……って、こと……?

 腕までしっかり押さえつけて抱きしめてくるから、私から手を回して抱き返すことも、……私の話せない秘密を伝えてしまうこともまだできない、でも。

 

 

 

 

 

「……私、そんな簡単に死なないよ。私だって意外と強いってカルマは知ってるでしょ?……1人にしないよ……ここにいるから、ね?……ちゃんと、いるよ……」

 

 そんな言葉しか今は言えないけど、……これは、これだけは私の本心だから。ぎゅ、と抱きしめる力が強くなった気がした。

 

 

 

 

 

 





「……落ち着いた。お待たせ、帰ろっか」

「……カルマ、泣いてたの?」

「ばっ、なわけっ、……、……泣いてない、心臓痛くて死ぬかとは思ったけど、ここにいるアミーシャが嘘じゃないって実感できたから、もういいや」

「!……わ、私に死なないでって言ったのに、カルマがいなくなっちゃうのもヤダ、からね、」

「例えだから。でも……本ト、なんだったんだろ……めちゃくちゃ鮮明でさ、マジで死んだかって思うレベルだった」

「……私が教員室出てきてからさっきまで、すごい顔色、だったよ」

「マジ?……でもさ、あの一瞬見えたやつではアミーシャが紫色のチャイナドレスのような服着てて、……超体操服ですらないとか、笑えるよね」

「……ぇ……なんで……」

「なんでって俺も知らな……え、って待って引かないでよ?見たことをそのまま言ったただけで願望とかそんなんじゃなくて、いや見たいか見たくないかでいえばそりゃ見たいけど……ってあれ?えーっと、……何言ってんだかわからなくなってきた」

「う、ううん、大丈夫、……でも、それなら……今度ある学園祭でなにか衣装着る時に提案するとか……で、みんなで着れるかもよ?」

「……そーだね、考えとこっかな。いっそチャイナマフィアとかで揃えるのはどう?色つきサングラスつけてさぁ……」

「……ふふ、似合いそうな人と似合わなそうな人がいると思う」

「たしかに……でさぁ、──────」





「(ミスコン、茅野ちゃんと渚くん推薦してもいいかと思ってたけど、衣装着てくれんならアミーシャもあり?……いや男連中に見られんのは嫌だからやっぱなしか)」

「(……紫色のチャイナドレス……それって、……でも、私がこっちに来てからみんなに見せたことがあるのは黒衣だけ……なんで、カルマはそれを知ってるんだろう)」











 ……あの暗殺で、胸騒ぎがした。かなり強引な手で、アミーシャが生きてること、俺の腕の中にいることを再確認したけど、あの赤い光景が離れない。

 結局俺が何を見たのか、あれが何だったのかは分からないけど、あれは万が一にも現実になってはいけないものだ。あれがこれから起きる可能性だとして、どんな手を使ってでも、あの最悪の未来には辿り着かないようにしないといけないよね。

 あのごまかしで納得したらしいアミーシャを見て、俺は改めて決意を固めた。



++++++++++++++++++++



今回は全てにおいて同じことが起きてる中、違う道筋をたどっている描写が多くなったかなと思ってます。

前半は前回からの続きで、特務支援課とE組の交流が少し深まってます。再独立がかなったからこそ今まで遠慮するしか無かった連絡を結構積極的にとってる感じです。近況報告をし合うことは当然として、前回の通信でオリ主とカルマの関係はさっせられてるからこそお節介をやく人、見守る姿勢の人がいるイメージ……積極的にお節介を焼くのはやっぱりランディ兄貴だと思ってます。ワジは積極的にからかいたいタイプ。

中盤はループ元では渚の進路相談前から一緒に進路を考えてましたが、今回は自分一人で悩むオリ主……そうしたら色んな順番が入れ替わりました。つまり、今のところオリ主は、カルマが渚からとろうとしてる事実を知りません。なんてこった(?)また、殺せんせーが正体を察しているため急遽オリ主による簡易的な本気の暗殺が発生しました。進路相談の内容もちょっと深まったものに。

終盤、カルマと初めてのディープキスをする流れは同じなのですが、起こった要因は全く違うものになりました。幸せな理由じゃなくてすみません。オリ主の正体に疑惑はもってますがまだカルマは確信してるわけじゃないので、これからもオリ主は隠していくことになります。当然オリ主はカルマが見た光景が何なのか分からないので、カルマ目線も謎の心にくるただの嫌な光景と処理するしかなくなります。




















カルマが見たものはもちろんループ前の最後の光景です。
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