暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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UA137000、お気に入りやコメント、感想をいつもありがとございます!

挿絵も頑張って描きました。
買い物回以来にイラストを描いたんですが、そこまでオリ主の見た目や絵の質が変わってない……と信じます。真ん中辺りにあるので、ぜひ言葉で説明しきれない部分を見て、作者とイメージを共有できたらなと思います。



今回もよろしくお願いします!



【絵】119話 ミスコンの時間

 

渚side

 アミサちゃんの家族が来日して、メンバーが入れ替わりながらE組に顔を出すようになって数日経ち、気が付けばミスコンの衣装を試着してみる日になっていた。店の準備以外でE組全員で取り組む企画ってこともあってみんな楽しそうだね……僕も見てる側になりたかったよ、切実に……

 

「律、前に相談した演出についてはどう?」

 

『はい!お一人3種類ずつ考案しました!ここから各ポテンシャルと実現可能な演出を選択すれば盛り上がること間違いなしです!ただ、アミサさんだけはレンさんが全面的に監修したいとのことで削除しましたが……私は映像編集でお手伝いすればいいのでしょうか?』

 

「ふむふむ……映像だからできる処理とかもあるもんね、あの人達にも何か考えあっての事かもしれないし、それでいいと思うよ!それに本校舎の人達はただ動画を撮ることは出来てもここまで動画を作れる人はいないだろうから、ここはE組が有利だよ!頑張ろうね、律!」

 

『はい!』

 

「盛り上がってるところで申し訳ないんだけど、なんで茅野さんがプロデュース側に……?」

 

「茅野も出る側のはずなのにね……いつの間にか律と結託してたよ……」

 

「あーもうほら顔上げてシャッキリして!次はコレ!渚のティアラはこっちで、神崎さんはこっち付けてみて!」

 

「それ見て手直しするから着け心地とか正直に教えてちょうだいね」

 

「はぁい」

 

「わかったよ……」

 

 出演側のはずなのに何故か走り回ってる茅野……確かに殺せんせーに指名された時もサポートに回りたいって言ってたけど、有言実行過ぎないかな。あーでもないこーでもないって楽しそうだし、よくそれぞれに似合いそうなセットを見つけてきたなと思う。衣装はレンさんのドレスを使うことになったアミサちゃんと、これまでにパーティへ行く機会があって自前で持ってた茅野と神崎さん、データだからこそ何万着のデータから選べる律は問題なく用意できたから、僕が着る用のドレスと、その他装飾品だけレンタルで借りることになっている。

 いつもの如くE組だからってただでさえいろいろ制限があるし予算もそんなに降りなかったわけだけど、僕1人分のドレス代と装飾品で済むから、残りは演出に回せるだろうって考えらしい。それでも装飾品を全部借りると似合わなかったり使わなかったりしてもったいないからって、原さんや手先の器用なクラスメイトに協力してもらって一部作ることになっている。……これ、後からまた追加されるってことだよね、うーん怖い。

 

「ヌルフフフ、みなさんが意見を出し合い、それぞれの魅力を引き出し飾っていく、いやぁ完成形が楽しみですねぇ!」

 

「なんで1番楽しんでるんだよこの元凶」

 

「しかも殺せんせーは出ないんだから必要ないのに女装してるし……」

 

「いいじゃないですか!女性の中に放り込まれて、渚君だけでは不安だろうと……恥ずかしながら〜、先生も一緒に女装を〜」

 

「照れんなよイロモノ枠!」

 

「そもそも渚を放り込んだのはカルマ君と殺せんせーだからね?」

 

「それに殺せんせーは女性限定のケーキバイキングに明らかにサイズのおかしい女装で参加してたくらいだし抵抗ないでしょ?」

 

「今それを蒸し返さないでください三村君ッ!!」

 

 そして元凶である殺せんせーは、なぜか一緒になってドレスを着てて……みんなに総ツッコミを食らっていた。合うサイズなんてないしとにかく人外なことを隠せるような服装にする必要があるからとか何とかで、なんか自前でいろいろと作ったらしい……お金ないからっていつもながら何気にすごいことしてる。

 今は終わるまで完成形は内緒にしたいという意向を汲んで、理科とか家庭科で使う特別教室をアミサちゃん含むみなさんに使ってもらい、女子2人はドレスの着替えだけそこでして教室で合流、みんなであーだこーだ言いながら着飾ってるって感じかな。せっかくだから写真や動画じゃなくてちゃんと見たいって、ロイドさん達男性陣も今日は来てくれてて、時々大人目線での意見を貰っていたりする。

 

「そういえば、アミサちゃんはどんな感じなんだろ?お姉さん方が遊びたいっていうから完全におまかせしちゃってるんだけど……本トに手伝いいらないのかな」

 

「んと、今ねー?レンがすーっごく楽しそうにリボン結んでたから大丈夫だよ!」

 

「あらキーアちゃん、何か取りに来たの?」

 

「うんっ!コームかアイロンがあれば貸してってエリィが言ってて借りに来たの!こっちにある?」

 

「じゃあこれ持って行っていいよ。まだちょっと熱いから気をつけてね」

 

「はーい!」

 

「ま、安心していいと思うよ。アーティストとして活躍するリーシャは元よりエリィは立場上お嬢様みたいなものだから感性はしっかりしてるし、ノエルとティオに関してはキーアを着飾ることで慣れてるはずさ」

 

「エステルとアミーシャは2人とも動きやすい服装を好むから、ここまではやっても抵抗ないってボーダーを理解してるし、レンは衣装の提供者だからね。上手くやってくれると思うよ」

 

「せっかくだから他の4人の誰ともタイプが被らないように飾るって言ってたよな。……コンセプトは人形のような暗殺者って言ってて若干不安だけど」

 

「いや物騒なコンセプト……」

 

「だいぶ極端じゃないですかそれ。ドレス着た暗殺者って……殺し屋でもいいけどギャップが……」

 

「ロリータ……殺し屋……ッこれは男の子バージョンも必要ね!?アミサちゃんには銃を持たせて、男の子の方には斧を持たせればッ」

 

「不破さん、それ別作品!それにやるなら渚を双子コーデにしなきゃいけなくなるでしょ!」

 

「僕!?」

 

「今回は諦めるからいつかコスプレしてもらうわ!」

 

「……ふむ」

 

「ふむ、じゃないよ殺せんせー!殺せんせーが本気にして準備しそうだからやめて不破さんッ!!」

 

 ジャンプじゃないよ、その作品……それにその作品だと僕ら相当悲惨な過去持ちな上に最期2人とも死んじゃうんだけど。しかもバラバラの場所で。

 ……そわっとしてる殺せんせーは警戒しつつ……ロイドさんの言う通り僕ら4人と系統が違うものにアミサちゃんの衣装をまとめてもらえるのは、正直楽しみだ。

 

「ロリータ系か姫系かでだいぶ雰囲気も変わるよね。お人形みたいってことはロリータ系なのかな……あの子がふわふわな格好してたら抱きしめたくなっちゃう予感しかしない」

 

『えーと、ロリータ、姫系……どちらもリボンやフリルを多用したものですね!』

 

「そうそう!本人に言ったら拗ねちゃいそうだけど、アミサちゃんって顔立ちも性格も幼い方だから、大人っぽいのより似合いそうなんだよね!」

 

「……絶対かわいい」

 

『ですがアミサさんは普段からシンプルな服装を好みますよね?抵抗ないんでしょうか?』

 

「そんなこと言ったら僕だって抵抗していいならするよ……?なんで僕は女装して参加してるんだっていまだに思ってるから」

 

「あー……殺せんせーが主犯とはいえクラス全員納得の人選だから……」

 

『渚さん、お似合いですよ!これも渚さんの強みですよね?』

 

「嬉しくないなぁ……」

 

「……、……」

 

「カルマ、どうかしたかぁ?」

 

「え、あ?その……E組だから我慢できるけど、やっぱ着飾ったアミーシャを人前に出すのって複雑だなーと……」

 

「……はっはっは!アミ姫はお前に可愛いって言ってほしいからってあいつらから着飾られることを受けいれてんだ、ちゃんと見てやれよ」

 

「……、俺、に……そうなの?」

 

「おうよ。最初は着せ替え……いくつも服を着替えたり好みじゃないものを着させられるかもしれないって難色示してたが、お前の好みの服装が分かるかもって聞いたら、コロッとやる気出してたからな。他の奴らの事は考えちゃいねーよ」

 

「……、そう……って、ちょっとそんな強く頭掴まないでくれるランディさん!?ぐっしゃぐしゃになるでしょ!」

 

「してんだよ、可愛いヤツめ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神崎さん、似合ってる……!というか清楚感が増して綺麗すぎる……」

 

「さっすがE組のマドンナだな!」

 

「ふふ、ありがとう。色々案を出してくれた茅野さんと律のおかげだよ」

 

「その茅野さんと律も自分の魅せ方をわかった衣装を着てるからすごく映えるのよねーっ」

 

「このティアラのアイディアも茅野さんなんでしょ?さすがね!」

 

「えへへ、案だしてたら色々やりたくなっちゃって」

 

「かわいい〜っ!いやー、ある意味E組が写真と動画参加でよかったわよ、律も堂々と参加できるし!」

 

『はい!私もみなさんと出られるイベントがあるだなんて嬉しいです!編集もお任せ下さい!』

 

「頼もしいわ〜」

 

「渚……アンタは違和感仕事しなさいよ」

 

「なんで女子に混ざって普通に可愛いのよ……」

 

「僕に言わないでくれない……?ていうか、本トなんで僕までこんな本格的に飾られてるの……?」

 

「今更でしょ。恨むならエントリーの要項に【※公共良俗的に問題のない女装なら参加可能】とか書いた運営にいいなさい」

 

「運営は本校舎じゃんか、無理だし誰なのさ許可した人ッ!」

 

「殺せんせー……まさかと思うけど今も参加しようとしてるとかないわよね?」

 

「ランウェイに出したら一発アウトだからね」

 

「にゃや!?渾身の変装なんですが!?!?」

 

「そもそも殺せんせーのは女装でいいのか……?」

 

 ガヤガヤと先に着替えを終えた5人……5人でいいのかな?渚くんたちは、廊下と教室の入口を上手くランウェイに見立てて軽いファッションショーのようにお披露目をしていた。手直しをしたら写真と動画に残して本校舎に送るし、2日目にもしかしたらこの格好で動くこともあるかもしれないから一度しっかり動いてみて、引っかかるところとか動きにくいところがないか確かめるんだって……本格的だよね……

 まだ呼ばれてないのと、もうちょっといじりたいという支援課のお姉ちゃんたちに捕まっていた私は、部屋の外のザワザワを聞いてどんどんみんなの前に出ていく気を無くしてるんだけど……うぅ、やっぱり私にはこんなかわいい服は似合ってない気がしてきちゃって怖い。

 

「さて、最後はアミサの番よ!」

 

「どうなったんだろうね?楽しみ!」

 

「あれ、茅野さんと神崎さんはあっちで着替えてたから見てないの?」

 

「私達もアミサちゃんが着る衣装は見せてもらったけど、……着てるとこは見てないよね?」

 

「うん!なんていうか……ふわふわのドレスなのに若干の不穏さを感じるデザインというか……ロイドさんの言ってたコンセプト、すごく納得すると思うよ!」

 

「見たヤツが言うと説得力あるなぁ……」

 

「カルマも見てないんだろ?」

 

「あー、うん。今日を楽しみにしてて欲しいって言うし、事前にレンさんの服を借りるってことくらいしか聞かされてないね……」

 

「……不服そうだね?」

 

「だって、見るなら早く見たいじゃん……用意する間は置いてある部屋にも入れてもらえないしさ……」

 

「そこまで徹底してたんだ、支援課の人達……;」

 

 ……、呼ばれたけど、一歩が踏み出せない。みんなのお墨付きがあるとはいえ、それでもやっぱり今になってしり込みしてきたというか……

 

「アミサー?隠れてないで出て来なさーい?」

 

「……や、やっぱ着替えたいぃ……」

 

「準備はできてるっぽいわ」

 

「ワンチャン逃げそうな声色してるけど」

 

「ほら……私の鎌捌きも改めて見せてあげたでしょう?アミーシャならできるわ」

 

「うぅ……」

 

 そうだよね、ここまで手伝ってくれたんだもん……やっぱり無しで、にはできない。1度思いっきり深呼吸をして私は着替えに使っていた教室から廊下へ足を踏み出した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 この服装に決めた時点で、パフォーマンス用の動画を撮るならお姉ちゃんから借りた鎌を剣舞のように扱って服の動きと一緒に魅せると決めていた。そのために私のコピークラフトで取り込んだのは、レンお姉ちゃんの鎌の扱い方……本家のお姉ちゃんの動きはさすがに無理だけど、私の得物も大きいから似たような重心なこともあって、少し回したり投げて取ったりするくらいなら私でもできる。

 今は試着ってこともあって撮影用のカメラは回ってないし、室内だから大きな動きは危なくてできないけど、本番と同じように動いてみせる。足を踏み出し、腕の上で鎌の持ち手を回し、体の周りで数回転……最後に軽く振りぬいたあと、片手で鎌を構えながら、もう片手でドレスの裾を持ちあげてカーテシーをして見せれば、クラス内から拍手をもらうことができた。

 

「おぉー!!衣装は天使なのに持ってるのは死神の鎌ってギャップがいいね!」

 

「お人形さんみたいで似合ってるじゃない!」

 

「これ、お姉さん達の監修なんですよね、アミサを着飾るの絶対楽しかったでしょ?」

 

「すっっっっっごく楽しかったです!!」

 

「アミーシャちゃんって体つきが大人っぽいだけで元々がシンプルだから、少しいじるだけでかなり化けるのよね。今回はレンちゃんの服に合わせて人形のようなお姫様をイメージしてみたわ」

 

 レンお姉ちゃんがジェニス王立学園に入学する前まで着ていた、白地に黒のアクセントやフリルのたくさん入ったふんわりとしたドレス……いわゆる、ロリータ?って言うらしいものを貸してもらい、髪の毛にはそれに合わせた白のヘッドドレスにそれを縫い付ける赤いリボン、みんなには小道具って説明してるけど本物の武器の鎌……

 もうサイズアウトしてて着ないからって提供されたそれを少し手直ししてリボンを入れ替えたり体型に合わせてリメイクされてるとはいえ……ヘッドドレス以外、完全にレンお姉ちゃんのコスプレをしてる気分だ。

 

「ふふん、あたし達渾身の出来よ!ヨシュアを女装させた時並みに楽しかったわ〜!いじればいじるほど化けるんだもの!」

 

「そこで僕を引き合いに出すことないだろ……というか僕が女装したのだって依頼と潜入のためだったし、その時より身長も伸びたんだからもう流石に似合わないからね?」

 

「いや……これは……」

 

「この人、女装できるんか……」

 

「……黒髪のウィッグあったかしら」

 

「あの、君達?」

 

 ヨシュアお兄ちゃん、女装したことあるんだ……エステルお姉ちゃんの全く隠さない暴露に触発された何人かがゴソゴソと備品を探し出してて、お兄ちゃんが少し焦っている。

 お兄ちゃんって男の人にしては華奢な方だし、顔立ち綺麗だし、服装と髪型で上手く骨格とか誤魔化せば大人しい女の人なら化けれそうな気はするんだよね。正直殺せんせーの女装よりしっかり女の人っぽくできそう……あ、教室の外でイリーナ先生が目を光らせてる気がする。

 

「さ、女装させられそうなヨシュアさんは置いておいて」

 

「切実に放置しないで欲しい……」

 

「アミーシャの恋人さん?感想をどうぞ」

 

「…………………………」

 

 そうだ、私は彼に褒めてもらいたくてこの格好をすることを受け入れたんだ。ティオお姉ちゃんに背を押されてカルマの前に連れていかれる。

 正面に立って彼の様子を見ていれば、少しポカンと口を開けたまま視線が私の頭の上から足元まで行ったり来たりしてるのは分かるんだけど……ずっと無言だ。いいとも悪いとも言ってくれず、どんどん不安が膨らんでくる。

 

「カルマー?お前が何も言わねーなら他の男子が先に褒めちまうぞー?」

 

「男子全員、感想くらい言いたいのに、お前のために我慢してやってんだからさー」

 

「…………………………」

 

「……おい、カルマ?」

 

「…………………………」

 

「……こいつ、この状況処理できてる?」

 

「う、うーん……元々すぐ褒められるようにいろいろ考えてたんだろうけど、あのアミサちゃんを見たら真っ白になっちゃったんじゃない?」

 

「カルマ君って、アミサちゃんに対してはかっこいいところ見せたいだろうし絶対事前に色々考えてきてると思う……その用意すら無にするほど衝撃だったんだろうね、アレ」

 

「まぁ、シンプルで体のラインが出る動きやすい服装を好む真尾があんなロリータで固めてきて、しかもそれが似合ってるんだから分からんでもない」

 

 教室に顔を出したあとから、カルマはピシッと固まって一言も話さない。絶対に褒めて欲しいとまでは思ってない、でも何も言われないまま目を離されないのは正直怖いから、なんでもいいから何か言って欲しい。

 ……のだけど、いつもすぐに悪口とか感想とかツッコミとか言うカルマが無言って、そういうことじゃない?

 

「や、やっぱり似合わないんだよ……レンお姉ちゃんのかっこよさなんて、私には合わないもん……っ」

 

「あ、違っ……」

 

「あら、そんなことないと思うんだけど。私の動きのコピーも完璧だったわよ?外でもうちょっと大振りにした方が動きやすそうだけどね」

 

「だ、だって、なんにも言ってくれないもん……いっそお姉ちゃんの舞台衣装のがなんか言ってくれるかも……ねぇ、着替えてきていい……?」

 

「あー、待って待って待って!」

 

「あららー、いつものふにゃふにゃのあーちゃんに戻っちゃった〜、よしよし」

 

「アミサってちょっと頑張って演じると別人みたいになれるけど、中身は変わらないもんねぇ……カルマが反応くれなくて不安になっちゃったんでしょ?」

 

「それで出てくる選択肢がもうミスコン出ないとかじゃなくて、普段着より過激な衣装を改めて着るって言うあたり何がなんでも褒めて欲しいのねアミサ……」

 

「アルカンシェルのファンって知ってるから出た案でもある……の、かな?だとしてもミスコンとしては攻めすぎなのよね;」

 

「おいでー、なんにも言ってくれない彼氏じゃなくて私達がいい子いい子してあげるからー」

 

 つい弱音を吐いて着替えてた部屋に戻ろうとしてたら、女の子たちに全力で出入り口を塞がれた上に外に出ないように止められるんだけど……陽菜乃ちゃんとひなたちゃんが抱きしめて頭の飾りが崩れない程度に撫でてくれるから、出れないならそのまま引っ付かせてもらう。

 

……ちょっと、何も言わないのはないんじゃないの?

 

……言おうとしてたんだけど、……あれは想定外。何アレ、何、……ああいうのも、似合うんだって思ったら……何て言おうか分かんなくなっちゃって

 

ふふ、気に入ったようで何よりだわ。それよりあなたのために着たようなものなのよ、分かってる?

 

う……けど、さぁ……

 

私の服はアミーシャの好みと違うから、最初は着るのを躊躇ってたの。あなたが何も言わなかったら落ち込むに決まってるじゃない……ほら

 

……、あーもう、なるようになれか。……怒んないでよ?

 

あら、妹分を泣かせて私達保護者全員から詰め寄られるより恐れることあるの?

 

分かったよ……

 

 ボソボソとレンお姉ちゃんと何かやり取りしていたカルマが、意を決したようにこちらに足を向けたのに気づいて、ひなたちゃんと陽菜乃ちゃんがそっと私から離れた。

 2人から顔を上げた私、多分笑えてないんだけど……不安ばっかりのまま彼の方を見れば、……あれ?ちょっと顔を赤くしていて、目線がウロウロ揺れてるから私と合わない。と、ようやく目が合うと、彼は一度目を閉じたあとふわ、と私の好きな笑顔になって……

 

「……似合ってるよ、アミーシャ。すごくかわいい」

 

「……!ほ、ホント……?……えへへ、よかったぁ……わっ?」

 

 やっと、1番かわいいと言って欲しい相手に似合ってると言われてホッとしたのもつかの間……ぎゅ、と正面から思い切り抱きしめられて私の視界は真っ暗に。髪とか装飾とかを崩さないようにするためだろう、頭はほとんど触らない分体に回された腕が力強くて……、……あれ、ぼそぼそとではあるけど、なんか言って……?

 

「……、……ッかっわいい……なんなのこれ、めちゃくちゃかわいい。差し色でリボンとかに赤入れてくれてるのも俺の色だからでしょ?レンさんなら紫だもんね……いつもかわいいけどこの格好だと本トにお姫様みたいだし、……~っあー、もう人前出したくないんだけど……なんなのかわいい……」

 

「ぷ、む、……く、くるしいよカルマ……1回離れて、」

 

「無理。ダメ。このまま」

 

「えぇぇ……」

 

「……彼、家に来てアミーシャといる時もずっと抱えて離さなかったんだけど……いつもあんな感じだったりするのかい?」

 

「え、私は彼なりにアミーシャちゃんを私達のそばにいさせてあげようとしつつ、それでも取られたくなくて妥協案として離さなかったんだと思ってました……」

 

「えーと、ノエルさん、多分それであってます……」

 

「あと普段は飄々としてて余裕な態度ですし、アミサちゃんがやらかさない限りは離れなくなることもないんですけど……アレはさすがに想定外だったみたいですね;」

 

「本心ではE組にも見せたくないんだと思いますよ、明らか独占したそうですもん」

 

「おーい、いつもの豊富な語彙力どこ行ったお前。ほぼかわいいしか言ってねーぞ」

 

「諦めろって、真尾が関わるとカルマはバカになるんだから」

 

「多分この服装じゃなくてもアミサが着飾ってたら褒める(こうなってた)でしょ。刺さりすぎて」

 

 何も言わなかったのは、私にかける言葉を探してくれてたからなのか。思っていた以上に彼には気に入ってもらえてたみたいで、一気にたくさん言われたかわいいの褒め言葉に、今更ながらに照れてきてしまう。ちょっと苦しいくらいだから1度離れようとしたのに、即答で拒否、というより無理って……;単語で断られた挙句、余計力を入れて抱きしめられてて顔があげられない。

 ……でも、それくらい、私を求めてくれてるってこと、だよね。それは嬉しい、のかもしれない。

 

「かわいい以外にも色々褒めようと思ってたのに、実際見たらいい感じのが思いつかなくてさぁ……もう頭ん中真っ白、責任取ってこのまま俺のもんでいてね」

 

「……?もうカルマのものなのに、これ以上どうやって責任取れば……?」

 

「……あ゛ー……本ト好き……」

 

「……?え、……え?むぎゅ、」

 

 だからって、頬を擦り合わせるように寄せられるのは、恥ずかしいんだけども。思ったそのままに返事をしたら唸るように一言だけ言ってまた黙っちゃった。でも私じゃ抜け出せないし、周りも助けてくれなさそうだし……イヤではないけど苦しいのは、彼が満足するまではこのままかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「;」」」

 

「アミサ……本トあの子は……」

 

「一切躊躇いもせず疑問にも感じないであの返しをするアミーシャちゃんはさすがですね……」

 

「カルマはもうちょい自重しろって思うけどな;俺らみんな見てんだわ……」

 

「ふふ、でもカルマさんも嬉しいですよね。アミーシャは何に喜んで貰えてるのかわかってないでしょうけど、カルマさんもそれでいいって感じなのがあの2人らしいです」

 

「誰にでもやってたらさすがに、ですけど、カルマさんにだけなら……うん、問題ないですね!」

 

「リーシャもノエルも、楽観的すぎないか?;」

 

「いいなー、キーアもギューってしに行きたい……」

 

「……このまま、アミーシャも可能性を受けいれてくれたら……」

 

「……、リーシャ……」

 

「……ううん、私が諦めちゃダメですよね。……ごめんね、キーアちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。

 

『動画、完成しましたー!』

 

「「「お疲れ様ー!」」」

 

 無事に本決まりとなったドレスや装飾品を身に付け、律ちゃんを筆頭にいろいろ演出を考えて試し、1番いいと思えるもので撮影をし……たった今、ミスコンに提出する写真と動画の編集が終わった。

 構成としては軽くランウェイを歩くパート、それぞれの参加者のアピールポイントを短時間で録画する、というもの。律ちゃんは、編集だと思われる範囲で衣装の早着替えを披露し、カエデちゃんはいつぞやのプリン計画のノートを見せて企業との連携含めて実績として公開し、有希子ちゃんは華道部に所属してたことを活かして花を生けるダイジェストを録画、渚くんは何故か男の子の服装と女の子の服装をいくつか着替えて簡単なダンスを撮影していた。私はといえば、E組のみんなからの提案を受けてワンコーラス、恋愛ソングをアカペラで歌っている。

 

「律、本ト編集ありがとう!大変だったでしょ?」

 

『いえ、途中からは映像編集に三村さんのお力を借りましたから!三村さん、助かりましたっ』

 

「いいよいいよ。大部分は律だし、俺は俺で確認したら人間の構造上ありえない動きしてるとこがあったのを見つけちゃって、それを直したくらいだから……」

 

「ありえない角度に曲がってるのとかあったもんね……多分編集中に間違って触ったか何かで変にできちゃったんだと思うけど」

 

「現実で実現可能な範囲でとどめてるもんね?」

 

『はい!ただ、少しでも目にとまりやすくするために序盤の登場シーン付近は少し光らせてみたり、エフェクトを入れたりはしましたが……やめた方がよかったでしょうか……?』

 

「……いや、この程度なら『編集で付けました』ってちゃんと説明がつく範囲だからOKだろ」

 

「僕のあの演出、どうにかならなかったの?」

 

「いや!あれは律の計算上絶対上手くいくから!殺せんせーにも手伝ってもらってるしね!」

 

「そうですそうです、最悪女装だからこそちょっと過剰に編集したと見てもらえれば御の字です!」

 

「不安なんだけど!?」

 

 みんなで鑑賞会もして、その時に見つかったちょっとした粗も修正したし……先生たちにも確認してもらった上でGOサインが出た。あの堅物な烏間先生でさえ「……ほう、」って声が出てたし、イリーナ先生と殺せんせーもすごく嬉しそうな顔して見てくれてたし……とてもこんな予算もなくいろいろ不利な条件が詰まった中で、よく素敵な作品を完成させられたと思う。

 ただ、すごくいい物ができたけど……E組ってレッテルでまともに見てもらえない可能性も捨てきれない……そんな怖さはどうしてもあるけど、少しでもたくさんの人の目にとまればいい。それで、E組に興味が向いてくれたら……元々E組のお店を知ってもらうのが目的なんだから、私たちの作戦は成功だ。

 

『では、こちらで運営に提出してしまいますね!』

 

「よろしく!」

 

「さて……ミスコンが片付いた今、俺達がやることはE組の店の最終準備だ。看板、メニュー、ホームページや麓から足腰の弱い人向けに使う乗り物はできてる」

 

「あとは注文が入ってすぐに食材を集められるよう、場所のピックアップ作業と当日のシフトの確認……まだまだやることはあるわよ!」

 

「E組らしくいこう。この山の武器で、今回も勝つぞ!」

 

「「「おー!!」」」

 

 学級委員2人の音頭にあわせて、みんなで気合を入れる……学園祭まで、あと3日。

 まずは勝負の1日目……本校舎ではミスコンの映像と写真の公開がされるし、E組の校舎では1番の目玉である「どんぐりつけ麺」のお店が開店し、そして私はA組の出し物への出演、と。……1日目からやることはたくさんある。それでも、1人で戦う必要はないから……私たちは私たちのやれることをやりきって、結果を残すんだ。

 

 

 

 

 

 





「ヨシュアさんの女装姿、写真とか動画とかって持ってないんですか!?」

「持ってるわけ……」

「あ、あはは……実はセシリア姫の写真なら1枚持ってたり……」

「エステル!?あ、ちょっと!?」

「「「…………」」」

「……違和感……;」

「めちゃくちゃ美人ですね……?」

「渚なみに似合いすぎてるぞこの人」

「なんでこんな何年も前の写真を蒸し返されてるのさ……というか後生大事に持ってないでよ……」

「や、……つい、買っちゃって……あ、あとジルとハンスに押し付けられたのよ!これしか持ってないって!」

「本当かな……」

「(クローゼも多分持ってる、とは言わない方がいいわよね……黙っとこ……)」





「……大鎌かぁ……斧か銃でもいいじゃんね?」

「不破さん、諦めてなかったんだ……」











「おい浅野!E組のミスコンデータは来たか?」

「……」

「……?浅野?」

「あ、ああ!……万が一、E組だからとデータを握りつぶされないように僕へ送るよう伝えてはおいたが……これは……、……ふむ」

【真尾さん(2)】
《浅野:真尾さん、ミスコンのデータは
    間違いなく受け取ったよ
    これで運営に提出で構わないね?

《Amixia:はい、よろしくお願いします

《浅野:時に……これ、保存して大丈夫かい?

《Amixia:へ……?あ、バックアップ?
     だいじょぶ、だと思うよ
     外にだけ、流れないようにお願いします
     渚くん、女の子って勘違いされちゃう

《浅野:了解した

「……君の写真を、と聞いたつもりだったんだけどね。まあ言質はとったし……いいか」



++++++++++++++++++++



ミスコンは一旦ここまでとなります。
公式からミスコンの詳細が出てるわけじゃないので結果を書くかものすごく迷いますが……筆が乗れば、そして各余力があればねじ込もうと思います!

「殲滅天使レン」の服装と、カルマの言う差し色やヘッドドレスなどのリメイクを言葉で説明しきれないなと思ったので、思い切って挿絵を描きました。ほぼレンの服ですが、全く一緒だとあれなのでリボンの色とか変えてます。頑張って描いたので見てほしいです!

では、次回のお話でまたお会いしましょう!








補足:途中出てきた不破さんのメタ発言は「ブラックラグーン」のヘンゼルとグレーテルのことです。サンデー作品だったはずなので、思いっきりライバル誌。


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