暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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UA146600、ありがとうございます!

オリ主が《銀》としてE組に手助けしてたことがバレちゃった!もう、誤魔化しきれないオリ主は、かねてから考えていた誰も喜ばない選択をしようと覚悟を決める。

……という感じのところからスタートです。雑導入でした。

今回もよろしくお願いします!



★133話 彼女の時間・2時間目

 

渚side

 ロビーの入口へ姿を表したアミサちゃんは、さっきまで起き上がれなかったのもあってか壁を支えにしながらも、自分の足で立っている。けど壁から離れてもう一歩、僕らの待つ部屋に足を踏み出そうとした瞬間、フラ、と地に足がつかないまま体が前に倒れ、

 

「──────ッ」

 

「ッ間に合ってよかったわ」

 

「っ、ごめ、なさ……」

 

「大丈夫。さ、座るわよ」

 

 彼女が姿を見せた瞬間に席を立っていたカルマ君が支えに入る前に、後ろから追いかけて来たんだろうレンさんがアミサちゃんの体を捕まえて後ろへ引き戻した。そのまま立たせるのではなくレンさんが支える形でその場に座り込んだ彼女達へ、当然僕らも駆け寄った。

 

「アミサちゃん!」

 

「真尾、起きて平気なのか!?」

 

「……うん、まだフワフワするけど、へーき」

 

「それは平気って言わないんだよ……現に転びかけたでしょ」

 

「むしろ一人で歩けてないんだからアウトだよ!」

 

「ホントにそうよねぇ。リーシャが《銀》だってことを話し始めたあたりで目を覚まして、こっちに知らせようかと少しだけ目を離した隙にベッドから消えてるんだもの……焦っちゃったわ」

 

「へーきだよ、レンお姉ちゃん。……アミサは動けるから、だいじょぶ」

 

「動ける=大丈夫じゃないのよ。まったく、アミーシャのそういう認識にはホント困っちゃう」

 

「あ、ティオ、あそこだよ!」

 

「アミーシャ、急に出ていかないでくださ……っ!ああもう、起きて直ぐに動くからですよ、……リカバリーモード起動、《エナジーサークル》」

 

 僕らはホッとした。顔色が最悪だったさっきまでと違って少しスッキリした表情にはなっていたから……とはいえ、彼女の後ろから焦った表情のティオさんとキーアちゃんも追いかけて来たことから、彼女達を振り切ってここに来てしまったことは容易に想像がつく。そして、僕らが話していた内容を、……アミサちゃんが僕らに隠し続けていた彼女の正体にカルマ君が気付いてしまったのを、聞いてしまったんだろうっていうことも。

 ティオさんが魔導杖を構えて軽く振り下ろすと、彼女を中心に輝く陣が広がり、陣の中にいたアミサちゃん達…… と、ついでにその近くにいたクラスメイトの体の中に青い光が吸収されて消えていく。リカバリー、ってことは多分回復技で……アミサちゃんで見慣れた光の感じからアーツかと思ったけど、戦術導力器を出してる様子がなかったってことは、クラフト、なのかな。

 

まさか、導力器の構造を根拠にされるとは。

……ふふ、素顔を見せたわけでもないからこんなバレ方するのは想定外だったわね、アミーシャ」

 

「……ホントに……気をつけてたつもりだったけど、まさか《銀》の時に見られてるとか……しかも夏休みに1回しか見せてないオーブメントの内部機構まで覚えられてるなんて思ってもなかった……」

 

「……俺だって、気になって見せてもらったものを別人だと思ってた《銀》が持ってた時、導力器の構造は人によって違うって聞いてたし、まさかとは思ったよ。……でも、確信するほどの証拠は揃ってなかった。平然と話しかけてくるし、言動の全てが別人にしか見えないから、根拠を出せないあの場では無理やり納得するしかなかった」

 

「じゃあカルマ君の言う通り……アミサちゃんが今までE組を助けてくれてた《銀》さん、なの?」

 

「リーシャさんが演じてた、とかじゃなくて……?」

 

「……、……うん、そう、だよ」

 

 アミサちゃんがこの場に来たことでリーシャさんは《銀》としての体裁を保つ必要がなくなったんだろう……リーシャさんは僕らの目がアミサちゃん達へ向いてる間に、いつの間にか元の私服へと姿を戻していた。リーシャさんの言う通り隠していた素顔を見られるのもバレる原因になりそうだけど、今回のバレ方はあまりにも偶然が重なりすぎた結果だと思う。

 偶然カルマ君がアミサちゃんの導力器を見せてもらっていて、偶然構造まで覚えていて、『死神』事件の時に偶然《銀》の導力器を目撃し、偶然アミサちゃんとリーシャさんの使う戦術導力器にバージョン違いがあることを知って……どれか1つでも知らなかったら絶対確証は持てないまま、【リーシャさんがこれまでE組をサポートしてくれていた《銀》】だと、カルマ君を含めて全員が思い込むところだった。

 

「……なんで、気付かなかったんだろう、俺ら」

 

「違うってつい思っちゃうミスリードにまんまと引っかかってたのよ、私達」

 

「……言われてみれば俺らが《銀》と顔を合わせてる時って、真尾がその場にいなくても説明がつく時だった。夏休みは風邪をひいて熱を出して寝込んでるってカルマから聞いてたし、イトナの時はメールだったから時間を設定すればその場にいても問題ない。『死神』の時は、《銀》によって隔離されてると思い込まされていた……毎回真尾がいない理由がしっかりあるから違和感を感じてなかったんだ」

 

「アミサちゃんが運動できるのも、魔物と戦うために訓練してて戦うために身に付けたって理由がしっくり来てて……」

 

「導力器の見た目も違うしさぁ。真尾が普段使ってるやつは赤いもんな、カバー」

 

「カルマも気にしてたけど、リーシャさんの《銀》とアミサの《銀》を並べて見たことがないし、今実際に見ても体型全部を隠してる服装で小柄ってことくらいしか印象に残らなかったから……《銀》さんがアミサより大きく見えるから余計に意識の外だったわね」

 

「そもそも大人の男だと思ってたしな……」

 

「それはそう……すぐにイコールで結びつかなかったわ」

 

「そうだ、先生達は知ってたの?」

 

「し、知らない知らない!私は今初めて知ったし、なんなら私と親交のあった《銀》がまさか2人いたなんて思わないわよ!ビックリしたんだから!」

 

「……アルカンシェルの観劇をした際、リーシャさん本人から《銀》の当代はリーシャさんであり、アミサさんは身内なだけで裏稼業とは無縁だと聞いてました。しかし少し前に聞いた≪碧の大樹≫で破壊に関わった当事者だという点、自分とリーシャさんを同列に扱うアミサさんの発言、そして極めつけに進路相談での肯定。それらがあって、私はアミサさんも《銀》であると確信しましたね。……烏間先生は、」

 

「……導力器(オーブメント)を持ち込んですぐ、烏間先生にだけは私の肩書きである《銀》当代の影のような立場だってことは明かしてたの。最初こそ《銀》として暗殺に加わって欲しいって政府から要請も来てたけど……元々当分の間は身を隠せるようにってお姉ちゃんが断ってくれてたし、日本政府も《銀》が2人いることを知らないし。……そもそも、もう【E組の真尾有美紗】として契約してたから、《銀》として直接暗殺に関わるつもりはなかった。……でも、イリーナ先生と仕事したことがあるのは私で、偶然とはいえE組に在籍してるって縁もあって、……いろいろと、しがらみに囚われて自由に動けなかった自分が許せなくて。だから烏間先生を通じて防衛省と【E組の生徒を守るためなら力を貸す】ってことで改めて契約したの」

 

「じゃあ、私が一緒に仕事をしたことあったのは、リーシャじゃなくて……アミサだったのね」

 

「うん。直接は言えなかったけど、ここでイリーナ先生と会えて、ホントに嬉しかったんです。……あの時、手紙を預かったっていうのはウソ。私が手紙を用意して、違和感の少ないタイミングで渡しただけ。イリーナ先生の記憶に残る接点を作り出すことで、私と《銀》との差を明確化したかったから……えへへ、気づかなかったでしょ、今まで」

 

「……ええ。でも、そういう事……私という、《銀》を知る人物がアミサのことを《銀》だと思えない状況にしたことで、万が一同一人物だと誰かがたどり着きそうになっても否定する根拠になる。私を利用して生徒達にバレにくくなるよう仕向けてたのね」

 

「実際誤魔化されてたしね、俺ら」

 

「そうなんだよなぁ、《銀》を知るビッチ先生が違うって言うならそうかーってなってたもんな」

 

「それに、お姉ちゃんが当代の《銀》だから嘘はついてなかったし、ここでみんなが納得してくれるならそれでもよかった。みんなにはさいごまで言うつもり、無かったから。卒業したら、私はみんなとは別の道を進むから。《銀》としての私じゃない……E組の私は、ここでおしまい。真尾有美紗はここに、全部置いていきたかったから」

 

 

 

 

 

「…………、……は……?」

 

 

 

 

 

 怪訝な声を出したのは誰だったか。ティオさんのクラフトで少し回復したのか、アミサちゃんは僕らを交えて穏やかに会話を続けてたのに、その、「真尾有美紗はここで捨てていく」という言葉でピタリと、空気が固まった。

 

「……なにそれ。ね、どういうことなのアミサ……」

 

「別の道って何……?おしまいって……何?」

 

「あんた、……まさか、あたし達の前からいなくなろうとしてるっていうの?」

 

「……だって、そうでしょ?今でこそ、こうやって普通の女の子みたいに学校に通わせてもらってるけど、私はみんなと違って人殺しなの。なんの罪も犯してないみんなとは最初から立ち位置が違う」

 

「みたいって……、あ、アミサちゃんは普通の女の子だよ……っ」

 

「それに人殺しなわけ、」

 

「人殺しだよ。……思い出したの、全部。毎日、たくさんの悲鳴と、泣き声ばかり響いてたあの場所で、私は何をされてたのか。たくさんの子どもの犠牲によって溜まった実験の成果が利用されて、私に植え付けられた力がなんなのか。……私が、あの場所で何をしてきたのか」

 

「……ッ、それは……」

 

「私があの場所で生き残ったのは、都合のいい力を発現できたからでしかない。無詠唱で、代償(リスク)なしで、想像力次第でいろんな使い方に応用できる《幻》の力を使える都合のいいお人形。……私は、ただ言われた通りに意味も分からないまま、数え切れないくらいたくさんの人を、殺した。《銀》としてだって、技術や歴史を継承してからも、ただ、仕事をこなすために人に手をかけた」

 

 感情の起伏のない、平坦な声色で話すアミサちゃん……多分彼女は本心を話してるし、嘘はついてない。本気で、E組から、僕らの近くから離れようとしてる。リーシャさん達が止めないあたり、独白のように吐き出す凄惨すぎる彼女の過去も、全て真実で……聞いてるだけの僕の心も共感するように重くなる。

 ただ、同じくらい不安を掻き立てるのは、アミサちゃんが人の死に関わってきたことをどこか他人事のように話してること。そして、こんなにたくさん話すところなんて今までに見たことも聞いたこともない、ということ。まるで、僕らが何もできないことを強調するかのようで、口を挟まれないように話し続けてる、というか。

 

「そんなの、……生きるために命令を聞いて、仕方なく殺してきたんでしょ……?アミサちゃんの罪じゃないし、アミサちゃんはただの被害者なんじゃないの!?」

 

「それに《銀》としての殺しだって、言い方は悪いけど必要悪ってやつだよ。夏休みの殺し屋達と一緒だ、犯罪者と一括りにするのはおかしいに決まってる!」

 

「そーだよ、快楽殺人的に手を出してるんなら別だけど……公的に依頼されたものを依頼者の代行をしてるようなもんなんだから違うだろ!」

 

「……そかな、……みんな、優しいね。……でも、私がやったことには変わりない。……それにね、実験の前に何度も何度も()()()を飲まされてから、ずっと何も感じないの。気づけば私も鉄の匂いと赤でいっぱいになってるのに……いいことかも、悪いことかも、私が何をしてるのかも、されてるのかも……何も、分からなかった。こっちに来る前までも、今も、私は何がしたいのか分からない……とっくにあの場所で、私はね、人として壊れてるの。ただ、その場に都合のいいように動くだけのお人形……だからかな、私と違って生きてるみんなの中にいるとね、あったかいのに、すごく苦しいの」

 

「「「…………っ」」」

 

「……そんな顔、しないで。契約だから、卒業まではE組にいるよ。でも、今までと同じではいられない。……私には、私の仕事がある、から」

 

「真尾さん、それは……」

 

「先生たちが認める限り、私はE組の生徒……そうでしょ……?だったら、さいごまでちゃんと生徒としてここにいる。E組の真尾有美紗として殺せんせーをねらい続け、《銀》としてE組への危険な火の粉は私が払う。……ただ、それだけ」

 

「「「…………」」」

 

 何を言ってもアミサちゃんには僕らの言葉を受け入れる気がないように思えてくる。自分は人殺しだから、自分は人として壊れてるから、僕らと一緒にいるのが苦痛だから、と、全てにおいて違和感はあるけど、彼女は頑なに僕らと一緒にいることを拒絶している。

 これはもう、彼女の気持ちを変えることはできないのか……E組だったらここで先陣を切るのはカルマ君だったりするんだけど、そのカルマ君ですらなんて声をかければいいのか声を出しあぐねているようだし、先生達も何を考えてるのかだんまりだ。万策尽きた、のかな……

 

 

 

 

 

「……ねぇ、アミーシャ。もしこの子達と一緒にいるのが辛いなら、レン達と一緒に向こうへ帰りましょう?」

 

 

 

 

 

 少しだけ長い沈黙を破り、全てにおいて空気を変えたのは、アミサちゃんの背後から彼女を支えていたレンさんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウソをつく時は、ホントを混ぜると信ぴょう性が増す、とは言うけど、まったくウソをつかず、ホントのことでも全部は言わない……黙ってるだけっていうのも、それは全部ホントってことになる。そしてその『ホント』がみんなの嫌がるものだったら……きっと迷わずに信じて、私から離れてくれるはず。だからほとんど本心のそれを告げてしまえばみんなは黙って顔を見合せていて……ああ、これで、いい。……これで、……よかったんだ。

 あとはここを離れてからの私の身の振り方かな……そう、みんなから目を逸らした時に背後からレンお姉ちゃんから提案を投げかけられた。

 

「お姉ちゃんたちと、……一緒に?」

 

「ええ。アミーシャはたくさんの人の命を奪って、のうのうと平和な光の世界で生きるってことを()()()()()気にしてるみたいだけど。そんなことを言ったら私だって《結社》の執行者としてたくさんの命を殲滅してきたわ。だけど私だって今はジェニス王立学園に通ってるただの学生、今のアミーシャと同じ立場よ。ヨシュアだってそうよ、レンより暗殺者としての潜入任務が多かったし裏の世界で異名が付くほど人を殺して生きてきた。それでも、今は遊撃士として人を助けてるわ。リーシャも凶手……殺し屋だけど、並行してアルカンシェルのアーティストとして、見る人を感動させる光の世界で生きることを決めたわよね。………あ、悪者はどっちってなったら明らかに私達の方よ、必要悪と邪魔者を全部殲滅してきた私達とは立場が違うもの」

 

「レン、言い方言い方。過去がどうあれ今は違うでしょって風にまとめればいいのに……」

 

「まぁ、間違ってないから、うん……」

 

「……レンお姉ちゃんたちと私とでは……規模が、違うでしょ」

 

「まぁね、そこはそうかもだけど」

 

 それは、知っている。レンお姉ちゃんはあの地獄のような場所からヨシュアお兄ちゃんたちに助け出された後、そのまま《身喰らう蛇》っていう組織で保護されて、組織の幹部である執行者として活動していたこと。ヨシュアお兄ちゃんが同じように執行者という立場として、都合が悪かったり邪魔だったりする人たちを消す暗殺者だったこと、……全部、私が大陸を出るまでの旅で教えてくれたから。リーシャお姉ちゃんは当たり前だけど、ね。

 そんなお姉ちゃんたちと、私が同じ立場?……分かる部分も確かにあるけど、結構違いすぎるものもあるんじゃないかって思ってしまう。

 

「それでもレンはアミーシャを見捨てるつもりはないし、当然荒療治のためとはいえ、こちらの世界に引き込んだリーシャも離れるわけがない。だからあっちに戻れば、ここへ来る前の元の生活に戻るだけ。なんの気兼ねもいらないわ……なんなら卒業を待たずに契約だって破棄しちゃってこのまま私達と帰ってしまえばいいんじゃないかしら」

 

「それに、僕も君と同じように自分が壊れていると感じる時期があったんだ。どんなに自分が死にそうな場面であっても恐怖を感じなくて、誰かと関わっていても全て他人事にしか思えなくて……僕の家族が死んでから……10年以上も泣き方を忘れるくらいにはね。同じような経験をしたからこそ、分かってあげられる面もある……アミーシャさえ望むのなら、僕の経験が力になれるはずだ」

 

「…………」

 

 ……そっか。そう言われてみれば、レンお姉ちゃんたちとだったら、E組のみんなのような眩しすぎる世界よりも生きやすいかもしれない。同じ世界を経験してるからこそ、耐えられなくなった時に力になってくれるかもしれない。

 こんな、私が望むとおりになるような1、2もなく飛びついてよさそうな提案だったのに、……私は何故か即答できなかった。迷う必要も、躊躇う必要もなく、答えが出てるはずなのに……思いとは違って、なぜか、口が動かなかった。……それを見ていたレンお姉ちゃんが小さく笑った。

 

 

 

「ただ、今のを聞いてなお……彼らはあなたを手離すつもりが無いみたいよ」

 

「………え………?」

 

 

 

 お姉ちゃんが視線で示す先には、さっきまで迷うように私から視線を外していたはずのE組のみんなが、いつの間にか真っ直ぐと私を見返していて。

 

「たっく……チビがちっせーことで悩みすぎなんだよ」

 

「は?決して小さくはないでしょ。アミサは私らが一生知り得ない地獄から生還した上でずっとそれを抱えてたのよ。自覚無自覚を置いといて、それを小さいでまとめるとか……ねぇ?」

 

「寺坂が言いたいことは分からんでもないが……さすがに俺も狭間に同意だわ。お前もうちょい言葉選べ?俺らも惑わされるくらいには真尾なりに相当必死に訴えてきたことだぞ」

 

「情緒も風情も何もねーよな。でも意外と寺坂って懐に入れた身内には最後まで付き合おうとする人情があんだぜ、当然俺らもだけど、真尾もその一員だ。知らなかったかよ?」

 

「さすが単細胞、何も考えてない」

 

「だーーっ!お前らこういう時は味方だけしろよ!……ともかく、だ!お前が既にたくさん人を殺してきただァ?じゃあそこのビッチはどうなるよ、血を浴びてるのも手を染めてきたのも同じじゃねーか!それに対して俺らは軽蔑したか?してねーだろ!」

 

「……ッ」

 

 最初に口火を切ったのは寺坂くんだった。なぜか寺坂組の他の4人が、寺坂くんをグサグサと言葉のナイフで遠慮も何もなく刺してるんだけど……なんで、仲間割れのようなことをしてるんだろう。

 ただ、彼の言うことは、正直指摘されるかもしれない、とは思ってたことだった。直近、同じような事例でE組から離脱しようと決心しかけていたイリーナ先生を、私以外のE組で引き止めるってことがあったらしいから……だからとはいえ、まさか彼からそれを言われるとまでは思ってなかった。……それだけだと、思ってたのに。

 

「あーちゃんがプロじゃない私達よりお姉さん達を信用して頼りたくなる気持ちはすごく分かるけど〜……だからって私達の近くから完全にいなくなっちゃうなんて、そんなのやだよっ!」

 

「まだアミサちゃんと友達になって1年も経ってないんだよ!まだまだこれからもっと仲良くなりたいのに……家庭の事情とかならともかく、そんな、生きる世界が違うってだけの理由で一緒にいられなくなるなんて、受け入れられるわけないよ!」

 

「同い年の殺し屋?だからなんだよ、言っちゃ悪いがそれは俺らが嫌悪するような犯罪者じゃなくて、国から依頼を受けることもある、普段は人の目につくことがないってだけの1つの進路であり職業!むしろかっこいいだろ!」

 

「アミサちゃんって本トにズレてる時はズレてるよね。私達が今何やってるか忘れたの?そこの超生物の暗殺よ、ガッツリ同じことしてんじゃん!」

 

「まぁ、数とか対象とかは全然違うけどね……それでも、同じは同じよ」

 

「その通り。それに先生はアミサさんと出会ったばかりの頃に言いましたよ。一度E組に入ったからにはあなたは私の生徒、見捨てるという選択肢は先生にはありません、と」

 

「ほら素手の殺し屋も言ってただろ、殺しの依頼が来るくらい偉くなれって。そうでもなきゃ俺らがお前に殺される理由もないじゃんか」

 

「どんな見た目でも、コンプレックスでも、趣味でも、言動でも、境遇でも……誰にでも肯定的に向き合えるお前が、その程度のこと1つで俺らから嫌われると思わないでくれ」

 

「千葉の言う『その程度』もだいぶ範囲が大きいのね」

 

「でも、そうだろ?」

 

「ええ、その通りだと思うわ」

 

 寺坂くんのそれを皮切りに、みんなが口々に話し出すのは想定外だった。

 

 誰もが私から目を離さない。

 

 誰一人、嫌悪の感情を向けてこない。

 

 誰もが私に手を伸ばし続ける。

 

 ……誰もが、

 

 

 

「……んで、」

 

 

 

 ──────私を、このE組という輪の中から外す選択肢はないという意思をもっている。

 

 

 

「なんで、……なんでッ!?なんでみんな拒絶してくれないのッ!?なんで怖がらないの、嫌がらないの、離れてくれないのッ!!?」

 

「「「!!!」」」

 

 もう、ホントを隠していたいっていうウソで固めて、自然にフェードアウトしてしまうことは不可能だった。何を言っても、何をしても私の願いが叶わないと察するしかなかった。

 

「私、殺せんせーのこと殺そうとしたの、無意識だったんだよ……!?いつ、暴走するかわかんない、こんな、制御しきれないのに……ッいつみんなを傷つけるかわかんないんだよ!?こんな危ないの、一緒にいたら……っ」

 

「……やっぱりアミーシャが気にしてるのはそっちだったんだ」

 

 衝動だった。もうどうにもならないと悟って、嘘の裏に隠した本心をただ叫ぶしかなかった。もう、汚れきってるんだから殺すことに抵抗があるわけじゃないし、《幻》を操ることだって私の手段のひとつなんだから、そこはいい。でも、手を下すのなら私がわたしであるときにやりたい。じゃないと、命を奪う行為に納得できないし責任をもてないから。

 なのにどうだ?私が私を見失ってる間に、私は殺せんせーに、みんなに何をしようとした?過去に、用済みになったからと制御訓練の一環の的として、いらなくなった死体を逃がさず、焼却するために使わされていた、私に発現したSクラフト級の大技を、広範囲で巻き込んで、……すぐそばで、私を助けようとしてくれていたみんなを巻き込んで……ッ!

 

「アミーシャは、人殺しの自分が光の世界で生きることを否定し、逃げようとしてるんじゃない。だってそれをしたらリーシャさん達の生き方を否定することになるから、身内を何より大事にするアミーシャがするわけないよね。……アミーシャは、俺らを傷つけるかもしれない()()()()が怖いんでしょ。だから俺らの前から逃げようとしてるだけじゃなく、俺らが罪悪感なくアミーシャから離れられるようにしてたんだ」

 

「どこまでいってもアミサちゃんは優しすぎるよ。それでいて自分に全然優しくないし、むしろこの期に及んでどうでもいいとさえ思ってるでしょ?結局はまた自分のことじゃなくE組の気持ちだけを優先してる……じゃあアミサちゃんの気持ちは誰が見つけて、助けて、守ってあげるの?」

 

「だって、……だっ、て……っ」

 

「それができるのが僕らで、そして僕らが助けたいと思ってることなんだよ」

 

「出会ったばかりのアミーシャを知らない時だったら人殺しと一緒のクラスなんて無理だ、そういう奴が1人くらいはいたかもね?でも残念ながらさぁ……今はだーれも、アミーシャを拒絶するような奴はE組にいないよ。むしろ迎える気満々でしょ、お前ら」

 

「「「当然!」」」

 

 

 

 

 

 E組を、みんなを守りたい。そう思う、他でもない、私自身がみんなのことを傷付けるかもしれない。それを避けるためだったら私は、みんなから距離を置くという選択肢を迷わず取れるのに。

 

 

 

 

 

「なぁ真尾。もう時効だろうから言うけどさ、なくしたキーホルダーを探してた時、カルマと渚以外の俺らに初めて助けを求めてくれたの、覚えてるか?あの時はまだ男子とはほぼ関わりがない中で、時間はかけてたけどちゃんと自分で考えて、お前なりの言葉で俺らを頼った。お前ちゃんと考えてたんだよ!つまりあの時点で既に真尾は何も分からない人形なんかじゃない、自分の意思がある1人の人間だったんだ」

 

「ね、アミサ、気付いてる?3年E組の一員として今日まで一緒に過ごしてきて、4月頃のアミサと比べて、話し方がすごく上手になってるってこと。目を見れるようになって、人との会話を楽しむようになって、誰かと一緒にいることが好きになって、いつの間にかイタズラにも参加して、一緒に笑えるようになった。アミサは小さい頃の壊れたままじゃない、みんなと過ごすことで人らしさを取り戻して絶対に成長してる」

 

「何も分からない、何も感じない、何も考えない人は見てるだけで参加もしなければ入り込もうともしないただの傍観者だ。真尾は何度もE組を思って行動して、助けてくれた……それは誰かに命令されてやってきたことじゃない、衝動だったとしてもお前が自分で動いた結果だ。ただ意思をもたずに使われるだけの物でも道具でもない、お前は、真尾は人間だ!」

 

「そもそも暴れて散々やらかしてくれた律とイトナを普通に迎えたクラスなんだよ。仲良しこよしでなんとなく一緒にいるE組じゃない、ここは殺意で繋がる教室なんだから、それでいいじゃん!」

 

「それにもし、アミサが自分を見失って私達を殺しに来たとしても……私達は私達にできることをして、絶対に死んでなんてあげないわ。アミサじゃなくても、このクラスの誰かが道を外しかけるようなことがあれば、みんなで迎えに行く。全員そのくらいの覚悟はとっくにできてるの。なんなら先生達の力もしっかり借りてでもとっ捕まえてやるわ!」

 

「アミーシャが思うより、俺らはみんな弱くない。もう、俺らがお互いを無関係の他人だと思うには一緒にいる時間が長すぎたんだよ」

 

 

 

 

 

 それなのに……なんでカルマは、渚くんは、……みんなは、口を揃えて私を迎えようとするの?

 

 

 

 

 

「だから……そう簡単にあんた達に渡すつもりないけど、いいよね?」

 

「はは……すごいね。これが、アミーシャがE組に来てからみんなと作り上げた居場所か。俺達の想定以上に強固に結ばれた絆だと思うよ」

 

「ええ、邪魔なんてできないわ。しかも目的があって作った仲間とかではなく、アミーシャちゃんの人となりでできた関係っていうのが尊いわよね」

 

「もし、これでみなさんがアミーシャちゃんを諦めるようであれば本格的に連れて帰っちゃうのもありだと思ってましたけど……もう、私達じゃ手が出せないですね」

 

「ホントにな。それに……これが人が人であるための可能性でもあると思うぜ」

 

 ロイドお兄ちゃんが、エリィお姉ちゃんが、ノエルお姉ちゃんが、ランディお兄ちゃんが。言葉は発してないけど、お姉ちゃんたちがみんな、E組の言葉を聞いて少し笑いながら認め、引いていく。この場の空気が私ではなく、E組のみんなを後押しするような……そんな流れになっている気がする。

 

「……っ、……なん、で……?ここまで言えば、捨ててくれると思ったのに……っ、無理だって、突き放して、くれるって……ッもう、諦めてよぉ……っ」

 

 ……なんで?私はこんなことになるなんて、望んでない。私の危険性を1番分かってくれるはずの人たちが引いてしまったら、もう誰にも頼れないじゃないか。

 

「うふふ、なんだか懐かしくなってきちゃったわ。まるでエステルとヨシュアがレンを捕まえたあの時みたい……」

 

「ふふん、2人して考えが甘いのよ。レンもアミーシャも、頭がいいくせに人の可能性を無視しすぎだわ。恋愛友愛関係なく、人が人を好きになったら、その人と一緒にいることに理由なんて必要ないの。相手の事情を知ってそれでも一緒にいるって決めた相手だったら、尚更ね」

 

「アミーシャ、彼らを見た上で僕の経験上のアドバイスをしてあげるよ」

 

「……ヨシュア、お兄ちゃん……?」

 

「こういう時はね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……諦めて受け入れるのも1つの選択、だよ」

 

「……え……?」

 

「さっきも言ったけど、僕は君と同じように大切な人達を突き放して、最悪自分を捨て駒にしてでも1人で全部終わらせようとしてた。僕自身は感じない焦りや恐怖で躊躇うような足手まといがいたら、計画に狂いも出すし何より危険度が増す。そう思って全部置いてきたのにさ……、たった1人だけ諦めてくれなかった女の子がいてね。僕が無意識下で裏切り続けてたことを含めて全部真実を告げて突き放したっていうのに、僕の情報を集めて全国を駆け回って共感者を増やして?昔の同僚達と戦って組織的な事件を解決して回って?そんなことしてたかと思えば《結社》の上層部にたった1人連れ攫われて?軟禁されてたはずなのに地上8000アージュ(メートル)もの高みで飛行戦艦の外側にぶら下がってまで逃げ出して?複数人もの武装兵に立ち向かって殺されかけて?……もう一度、安全な場所に返そうとしたのに最後まで追いかけてきて……僕が、いつまでも壊れたままの僕じゃないって事に気付かせてくれた。もうここまでされたら、僕には諦めるしか選択肢になかったよ」

 

「……はぁ……ねぇエステル?私、後半知らなかったんだけどそんなことしてたの?」

 

「あ、あはは……武器は取り上げられてなかったし……レン達執行者がレーヴェ以外出払ってるのも分かってたとはいえ1対数百人なんて勝てるわけないから、とりあえず軟禁されてた部屋から逃げるためにも奇策に打って出てみたら上手くいっちゃって……」

 

「頼むから奇策でそんな身を張らないで欲しい……」

 

「まったくよ」

 

「さ、さすがにもうしないってば;」

 

「………………」

 

 きっと、頑なだったんだろうヨシュアお兄ちゃんの心の氷を溶かして、人らしさを思い出させたのも。悪意ばかりが自分の意思のないところで勝手に回る世界で生きてきたから何も信じられなくなってたレンお姉ちゃんを受け入れて、心を救い出したのも、エステルお姉ちゃんなんだ。軽口を言い合う3人を見てふと、それを羨ましいと思う自分がいることに驚いた。

 ……私が、そんなことを思うのは。人に期待するのは。願ってしまうのは……間違ってる。……間違ってるはず、なのに。

 

「クスクス……今は私がアミーシャを捕まえてるけど、きっとこの役割は私以上に適任がいるわ、……そうよね?」

 

「抱えられるか不安のあったアミーシャの過去を知って、事情をE組のみんなが共有した今……これまで以上に自信を持って一緒にいたいって言えるようになったんじゃない?」

 

「当然でしょ」

 

「………………ぁ………………ッ」

 

 今の今まで私を支えてくれていたレンお姉ちゃんのあたたかさが離れていったことで、心のどこかが寒く感じた。思わず追いすがるようにお姉ちゃんの方に体を向けている間に、背中側へ移動してきた彼の存在に思わず体が震えて。どうしても視線が向けられなくて、背を向けたまま俯いていれば、私へ触れないままにすぐ近くへしゃがんだんだろう音と気配だけが感じられる。

 

「アミーシャだってもう、本トは分かってるんでしょ。俺らが誰も引く気がないことも。それをアミーシャが覆すことができないことも。アミーシャ自身が、とっくに俺らを選んでるってことも」

 

「!」

 

「だって俺らを捨てて消えるのを決めてるっていうならさ、レンさんが提案した時点で一緒に帰るって即答しててもおかしくないでしょ。なのに、アミーシャは躊躇った。……アミーシャも、どこか期待してたんじゃないの。E組が見捨てないでいてくれるってさ」

 

「そんな……そんなこと、な───ッ」

 

 私の背中側からレンお姉ちゃんと代わって新しく包み込んできたのは、私よりずっと大きくて、安心する、少しだけ低いのにあたたかい慣れた体温。私に回される腕は少しだけ力が入っているけど、こんなの、抜けられないほどじゃないのに……彼からの『離れていかないで』という感情を痛いほどに感じて、振りほどこうと思えなかった。

 

「何度だって言ってあげる。俺らは、……俺は、どんな手を使ってでもアミーシャを絶対に離さない。ずっと一緒にいたいし、隣に居続けたい。置いてかれるなら追いついてみせる……俺は、後ろじゃなく、対等でいたい。対等であるためにもアミーシャの今だけじゃなく、過去も抱えたかった……今、その全部を知れたってことだよね。……やっと、本トの意味で手が届いた」

 

「…………っ」

 

「相当苦労して手に入れた、俺にとっての譲れないものなんだから。……一度掴んだからには逃がしてあげないに決まってるでしょ」

 

「……っ、ぅ……、みんなも、カルマも、……なんでよぉ……」

 

 ぐわっと押し寄せてくるようなわけの分からない衝動に押されて、勝手に言葉(本音)が溢れてきた。

 

「ひぐ、うぅ……、……かった……こんな、苦しくなるくらいならッ、みんなのあったかさなんて、知りたくなかったッ!」

 

「……うん」

 

「……こわいよぉ……頭の中も、何もかも、ぐちゃぐちゃなの、わかんない……こんな私なんて嫌い!諦めてくれないみんなも、助けてくれないお姉ちゃんたちも嫌い!みんな、みんな大っ嫌いッッ!」

 

「「「…………ッ」」」

 

「……、……うん」

 

「……、でも、……でも……っ」

 

 私のホントを、我慢しないで、隠しもしないで、ただ、勢いのまま叫ぶように吐き出す。嫌いって言った瞬間、みんながショックを受けるような悲しい感情が見えて……言わなきゃよかったって思ったけど、止められなくて。

 だけどそんな中でも全部飲み込むように、静かに私の言葉を受け止めるカルマの相槌に、少しだけ荒れていた想いがフッと、不思議と凪いだ、気がした。だからこそ、こぼれ落ちたんだと思う。

 

「でも、……嫌いだけじゃないの、大好きなの……ッずっと、みんなと一緒にいたいの、……ずっとッカルマの隣にいたいのッ……もう、ひとりは、やだぁ……ッ」

 

「……やぁっと、本トの願いを言ってくれた」

 

 気持ちをすべて吐き出して、壁を全てなくした跡に残ってた、最後のホント。今まで、私が押し込めて蓋をして見ないようにしてた……言うつもりは最後までなかった、だけど、もう隠すものが全部なくなったから、見せるしかなかった言葉。これだけは、誰にも譲れないホントの想い。

 

「これからもE組が一緒だよ。こんだけ濃い経験一緒に積んできたんだからさ、この縁がそう簡単に途切れたりするわけないでしょ。それにリーシャさん達もだし……大人になったら俺がアミーシャをお嫁さんに貰うんだから。……これからもずーっと俺が一緒に歩いてく、だから絶対1人になんてしないよ」

 

「ッ!」

 

「嫌な思い出の方が多いだろうけどさ。全部思い出せたってことは無意識に使ってた気配や感情を読んでたのも、意識的にできるようになったんじゃない?……ど?俺が嘘言ってるように感じる?」

 

「……う、ぅ、っ……」

 

「……ね、だから……信じてよ」

 

 読まなくても声色から、仕草から、ウソなんてまるでない……全部本音で、ホントの気持ちなんだってことが伝わってくる。思いっきり首を横に振ってみせれば嬉しそうに、それでいて懇願するかのように静かに願われて……もうこれ以上、みんなを、この人を突き放すことはできなかった。

 

 

 

「……───ッう、んっ……うんっ!」

 

 

 

 軽く回されていた彼の腕の中で体の向きを変えて正面から抱きつき直せば、それを待っていたかのように私を抱き寄せる力が強くなる。もしかして、私が向きを変えるのを見越してゆるく抱きしめてたのかな、……なんてずるい人なんだろう。

 勝手に涙が流れてきて、しゃくり上げる泣き方になって上手く声が出ない、話せない。それでも私の言いたいことが分かるのか私を肯定する彼の相槌に余計涙が止まらなかった。なんとか無理やり返事だけしたあとは、私の涙が彼の服に吸い込まれていくのを気にもしてないで撫で続ける、彼の手に縋って泣くしかなかった。

 

 

 





「本ト、真尾の本音を引き出して繋ぎ止めるためとはいえE組全員+保護者がいる前でよくやるわ……」

「しかもアレ、演技ゼロの紛うことなき本心しか言ってねーもんな」

「公開プロポーズですかっての……」

「ここぞとばかりに甘えるなよカルマ!僻むぞ!」

「それはそれでなんか違わない?」

「……でも、あれこそウチの名物バカップルだよね」

「あの2人にはああしててもらわないと、なんでかこっちが調子狂うもんね」

「よかった、これで安心……だよね?」





「…………」

「えっと、エステル?どうかしたの?」

「えっ!?あ、いやー……その……アミーシャを説得するために、さっきヨシュアがあたし達の話、出したじゃない?」

「そうだね。あまりにも僕と状況が酷似してたからちょうどよかったし……アミーシャがここに残ることを選んでも、僕達と帰ることを選んでも、僕はE組の彼らの仲間意識を侮っちゃダメだし諦めてくれないんだから大人しく捕まって歩み寄るべきって方向に持ってくつもりだったからさ。……それがどうかしたの?」

「……E組の子達も。カルマ君も。言ってることがもうデジャブがすごくて……あの時は必死だったし自分で思った通りにヨシュアへ言いたくて言った言葉だからなんの迷いもなかったのよ?でも……」

「でも?」

「客観的に聞くとかなり恥ずかしいわね……!?あたし、あ、あんな小っ恥ずかしいことヨシュアに対して言ってたの!?……ホント、二人きりでよかったわ……っ」

「……そ、そこに照れてたんだ……でも、あそこで君が僕を引き止めてくれなかったら今の僕は絶対にないからさ。お日様みたいに眩しい君がいたからこそ、君を道標に僕は迷いを断ち切ることができた。感謝しかないよ、……ありがとう、エステル」

「……!ヨシュア……」

「(あっちはあっちで……)」

「(……やっぱりバカップルだ……)」

「(というかヨシュアさんがエステルさんしか眼中に無いのがめちゃくちゃ伝わってくる)」





「……さ、もうそろそろ仮眠室に戻りましょう。今日は大事をとって仮眠室でワジさんについててもらった方がいいかと」

「それはそう!アミサちゃんもうちょっと休んできなさいよ!」

「専門の人についてて貰えるなら安心だよね」

「そうそう、疲れとか云々よりその体調で起きてるのもとっくに限界なはずなんだから」

「「「……ん?」」」

「え、カルマ、今なんて……?」

「だってアミーシャどう見ても熱あるじゃん。さっさと寝かせなきゃ悪化させ……、……え?」

「「「はぁっ!?」」」

「ちょ、ちょっと待ってください!?……、……あの、アミーシャ……?軽く触れただけでもかなりの高熱だと分かるんですが、なんでここまで調子が悪いのに言わないんですかっ!?」

「ひぇ、え、え?だってこのくらいなら動けるししゃべれる……」

「動ける=元気、じゃないんですよ!これレンさんがだいぶ最初に言ってましたよね!?というかレンさん絶対熱に気付いてましたよね!?」

「あら、むしろみんな気付いてなかったの?転んだのを支えた時から服越しでも相当体温高いし、それを見越して《エナジーサークル》をかけたんだと思ってたんだけど。それで全く回復しないほどの高熱なのを分かってて、この子が無理やり起きてるのを全員が許容してるんだと思ってたわ」

「はいぃぃ!?!?」

「レンさんは気付いてて放置してたんですか!?」

「うふふ、カルマが気付いてるのは分かってたし、どうせ終わり次第ベッドに戻されるのも分かりきってたもの」

「だからってですね……!」

「そ、れ、に。……自分で決着をつけたいでしょう?こういう時のアミーシャが私達の言うことを素直に聞くわけがないじゃない。だったらやりたいようにやらせてベッドに放り込んだ方が簡単でいいわ」

「レンったら……はぁぁぁ〜……」

「……私達含めて、みんなに嫌な信頼の仕方されてるわよね、アミサちゃんって」

「……今更ながらにさ、夏休みの訓練に風邪ひいて熱出してたはずなのに俺らの指導に《銀》として来てた真尾が、マジで体調不良を悟らせるとか以前の問題だったんだって実感したわ」

「あの時も私とカラスマそれぞれから連絡が来て、断ればいいのに動けるから行こうって思っちゃったんでしょうね……カラスマは知らなかったわけ?」

「……カルマ君が訓練に向かい上手く離脱できたから、今から指導に入るとしか言われた記憶がないな」

「はーーーーーっ、もう本トこの子はぁぁあッ!」

「あ、あわわ……そ、そんなにダメだった……?」

「ダメだったんじゃなくて、そもそも体調悪い時は動いちゃダメなんだよ……寝ててよ……」

「……あの時も相当な高熱だったからちゃんと寝てくれてると思って、ガマンして訓練に参加したのに……絶対あの指導を無理やりしたから悪化させて旅行直前まで長引かせたんでしょ」

「……ぅ、えと……」

「しかもプールでの訓練だったし、確実に追加で水浴びてるじゃん。高熱で足元も覚束ない体調のはずなのに水浴びてそのままとか、どんだけなことしてるか分かってる?」

「……、…………、の、のーこめんとで……」

「それが答えじゃん」



++++++++++++++++++++



E組がオリ主を説得する場面を書きながら、「なんか、どこか既視感あるなぁ……」と思ってたんですよね。みんなで説得する場面を書いてる段階でピンと来ました、SCのエステルがヨシュアを連れ戻した海辺のシーンじゃないかと。パクったつもりは一切無かったんです、あまりにも境遇というかポジションというか状況がそっくりすぎて、セリフに似てるところが多い気がするのはご容赦ください……!内なるファン心が溢れ出た結果なのかもしれません……!!!orz

……ので、それを補完するようにバカップルに思い出して貰っときました←
とか言ってたら零の軌跡やthe3rdのレン関連の場面にも似てる気がしてます。一切何も見ずに書きあげた後に色々確認して頭抱えましたが、全く一緒じゃないのと、これでしっくり来てるのでこのままいかせてください……!



《魔弓》のエンネアが《教団》の洗脳と実験の果てにロッジの兵士をさせられていた公式設定があるので、ただ人体実験があっただけでは無いんだろうと解釈させてもらっての、オリ主の過去でした。
6歳のヨシュアが姉や親、隣人の死、自分の手で命を奪ってしまった経験などから心を壊してハーモニカ以外に興味を無くし、食事も受け付けなくなるほどになったのなら、2~6歳のオリ主がそれ以上に人の死に直接関わった上に心身ともに傷つけられてたとしたら、後遺症はそれ以上だろう……と、考えてます。奇しくもビッチ先生がロヴロさんから助けられたように「血を血で洗い流し日常とすることで自分を守る」ことをリーシャと父親は選んだ形になりました。結果、人として持ち直しはしたもののだいぶ歪で不安定なオリ主に成長してるわけです。



オリ主に《幻》の異能が生まれた裏話として、前提にこれ以降の作品に《影》を操る異能を持つ《教団》で生まれた女の子がいるんですね。ここからオリ主にも異能や特異体質があってもおかしくないだろう……からスタートし、
・誕生日:2月29日(4年に1度しか存在しない)
・《銀》:幻属性縛り
・11番:数字として、『研ぎ澄まされた直感、強い感受性、スピリチュアルな目覚め、転換』などの意味がある
などから肉付けしていった形です。
ハッキリ言ってなんでもできますが、なんにもできません。なにせオリ主は経験が無さすぎるために想像力が全くないので……むしろ殺しに全振りな世界で生きてきたので、そういう使い方しか知りません。もし、今後なにかいいきっかけがあれば……何かが発現するかもしれませんね?



それではまた次回、そろそろ暗殺教室sideに話を戻したいのですが、もうちょっと続く予感がしてます。クロスオーバーらしいお話が終わりに近づくのがさみしい……!!!
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