暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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ありがとうございます!

毎週月曜日に投稿できてる……!
楽しみに待っていてくださる読者様、いつもありがとうございます。今のところ、次が投稿される前に常に2話分ストックがあるように回せてますがいつまで続くかこの流れ。口に出したのでそろそろ尽きるかもしれません()

今回はあの後、オリ主がどうなったかのお話。

よろしくお願いします!



★134話 彼等の時間

 

渚side

 

「……おい、アイツは寝たか?」

 

「ちゃんと寝てくれたんでしょうか……」

 

「こっそり寝たフリとかしてません?」

 

「後ろに着いてきてるとかないですよね?」

 

「おいおい……E組の子達にすら『無理無茶』『安静』って点においてはホント信用されてないなぁ;」

 

「ここまで口を揃えて『寝てない』って思われてるのは相当よアミーシャちゃん……;」

 

「はは……;」

 

 『みんなと一緒にいたい』、『カルマの隣にいたい』、『ひとりぼっちはいやだ』。これらは時々アミサちゃんが憧れるように言うことはあったけど、一度も『ずっと』みたいな先を望む言葉は彼女の口から聞いたことがなかった。E組から離れることが僕らのためになると信じていたアミサちゃんが、何も取り繕えなくなった最後にやっと吐き出した本心。いつか終わりが来る、叶わないって諦めて自分の希望を、未来を願おうとしなかった彼女が、初めてこれからを望む言葉を泣きながら吐き出した。

 泣き止んだ彼女はカルマ君にくたりと体を預けていてちょっと眠そうだな、とは思ってたけど、泣き疲れたのかと思いきや最初から結構な高熱だったとはさすがに思わないって……しかも動けるから動いたって。どこまでも彼女らしいけど切実にやめて欲しい理屈に全員呆れるしかなかった。当然、速攻メルカバの仮眠室に運び込まれたわけで。

 

「ベッドに寝かせたらしんどかったのを自覚したみたいだよ。さっきまで『寒くて気持ち悪い』ってぐずって泣いてたけど、病気じゃないし一晩しっかり寝たら明日には熱も下がるんじゃないかな」

 

「いえ、それはしんどかった自覚をしたんじゃなくて、私達やみなさんがこっちにいるのに違う場所で寝なきゃいけないことに対する抵抗だと思います……」

 

「ちょっとくらいは体調不良で泣いてるのもありそうですけど……あの子の場合、ほとんどこっちに戻りたいって抗議だよね;無理でもこっちで寝てたい、みたいな」

 

「体調悪いことよりも一緒に行動することを優先するからね、あの子……倒れるまで悟らせてくれないんだもん」

 

「み、みなさんなら許してくれる、一緒にいさせてくれるってアミーシャちゃんなりに甘えてるんですよ、きっと。連れてく時も1人は嫌ってちゃんと言ったのに別にするの?って顔してましたし……起きたらいないのが怖い、みたいな感じじゃないですかね?」

 

「カルマ君もよく言ってるけどやっぱ顔に全部出てるよねぇ」

 

「ね、あーちゃん寂しがりだから。教室戻る時に寝てても顔だしてこ〜?」

 

「そだね!……あ、だから寝かせるだけなのに運んでるカルマ君だけじゃなくって、リーシャさんとキーアちゃんも着いてったんですね」

 

「そういうこった。人選的に他が着いてくよりアミ姫も安心すんだろ」

 

「それもあって僕は治療だけして先に戻ってきたわけだしね」

 

「あー……そういやあの相談の後2人ともベッドに放り込まれたって言ってましたね……気配慣れっていうか警戒はしないで済むのか」

 

「見る?キーアとカルマとアミーシャが3人で爆睡してる写真」

 

「「「見ます!!!」」」

 

「……え、これ本人?」

 

「別人みたいな雰囲気出してますけど」

 

「……うわ、……うわぁ……」

 

「うわぁって;」

 

「いやだって……何この優しい世界」

 

「あらあら、いつも警戒心MAXのカルマ君が安心しきった寝顔ねぇ。アミサちゃんとキーアちゃんも幸せそう」

 

「原さん言っちゃったよ……みんな一応ぼかしてたのに;」

 

 ハンカチで金色のメダル……何かのゴブレットのような紋様が描かれたそれを軽く拭うワジさんが仮眠室で休んでるはず……と、思いたいアミサちゃんの様子を話してくれるけど、誰一人信用してないのがすごい。……まぁ、かくいう僕も疑ってるけども。

 アミサちゃんの容態としてはワジさん曰く、精神的負担からの発熱だそうで、薬を使うよりは心を休めるほうを優先すべきだと、心と精神に働きかける《法術》というもので治療をしてきたらしい。それと並行して、彼女が近くにいても緊張しないで寝れるのが分かってるキーアちゃんとカルマ君を寝かしつけ役に放り込むことにしたんだそうで。後半すごく雑で適当な対応な気がするけど、アミサちゃんには効果があるだろう。同い年の女の子に申し訳ないけど、小さい子に対する対応をする方が素直に言うこと聞いてくれること多いからなぁ……ついでにカルマ君も、写真みたいに警戒せず言葉通り休んでくれるといいんだけど。はは、無理だよねー……;

 

「ただいまー!あ、なんか見てる、キーアも見るー!」

 

「お、来い来い!3人とも可愛いぞ〜っ」

 

「ホント!?わぁい!」

 

「キーアちゃんおかえりなさい」

 

「あら、カルマ君とリーシャさんは?」

 

「カルマはなんかベッドに顔伏せて悶えてたから置いてきた!確か恋人同士がフタリノセカイ?になってたら邪魔しない方がいいんでしょ?でもリーシャはそれ見てニコニコしてたから別にいいかなって」

 

「こらキーア、そんな言葉どこで覚えたんだ?」

 

「あーんしあってるエステルとヨシュアを見てたランディが言ってた!」

 

「あ、あんですってー!?」

 

「はっはー、そりゃ俺なら言ったかもしれん!」

 

「お前か;」

 

「見てたなら!声かけてよランディさんッ!!」

 

「だから外では誰が見てるか分かんないって……」

 

「あ、あたしだけのせいにしないでよっ!ヨシュアだって外でも人前でも相当恥ずかしいこといろいろ言ってくるんだから大概よッ!」

 

「そういう君は頭で考える前に行動に移しすぎ。誰とでも距離が近いんだよ、僕がどれだけ……」

 

「はいはい、周囲を気にしないどころか忘れて2人の世界に入るあたりアミーシャ達のことは言えないわよ、2人とも。さっきE組の子達やカルマがアミーシャへ向けてた言葉に勝手に照れて勝手にやってたのだってみんな見てるんだから、言い訳できないでしょ」

 

「「う……;」」

 

「「「……;;」」」

 

「(……レンさんに詰められてるお二人は置いとくとして)」

 

「(とりあえずなにをやったんだ真尾は……)」

 

「(……ま、まぁ、カルマからヘルプは来てないしいいんじゃない?)」

 

「(むしろキーアの言い方的に喜んでるもんな……)」

 

「(……あ、ヘルプは来てないけど『アミーシャがかわいすぎる』ってメッセージならだいぶ前に来てたや)」

 

「(じゃあ放置でいいな)」

 

「(というかリーシャさんはそれでいいんだ;)」

 

「なかなか寝るのに抵抗してる感じかい?」

 

「んー、どうだろ。キーアがこっちに来る前、最後の方は話し方ぽやぽやしてたし、だいぶ眠そうな顔もしてたから、もうちょっとだと思うんだけどなー」

 

「……前みたいに睡眠薬を使ってるわけじゃないし、まだかかる気もするね。カルマはこの後授業もあるだろうから回収した方がいいかな」

 

「えっとねー、それなら……」

 

「……あれ、なんか雑談中?」

 

「あ、帰ってきた」

 

「あんまりにも寝付かなかったら、ある程度まで落ち着かせてリーシャに任せるって言ってたよ。……って言おうとしたら帰ってきちゃった」

 

「だね。まぁ、アミーシャが彼を離したんなら、一応寝ることも受け入れたんだろう」

 

「おかえりーカルマ君。そろそろ教室戻るよ」

 

「ふーん、了解」

 

 先に元気いっぱいで帰ってきたキーアちゃんがこの場に存在する2組のカップルのいろいろを目撃してる……;本人にその気は無いんだろうけど、毎回ちょうどいいところに居合わせてるんだろうな。……でもキーアちゃんって確か縁や因果を見れたはずだから、実はそういう場面に引き寄せられがちな体質だったり……うーん、ありえないって言いきれないかも。

 そうこうしてるうちに、キーアちゃんの話とも僕のスマホに来たメッセージとも雰囲気が別人のようなカルマ君も戻ってきた。なんていうか、普段通りに切り替わってるというか……心配も焦りもなく、浮かれてもなく、というか。まあ彼が何年もずっと欲しがってた情報(もの)をついに手に入れられたから今は精神的に余裕があるんだと思うことにしよう。……ん?あれ、カルマ君って朝からこんなに薄着だったっけ……?登校してすぐ今日のことあったから全然覚えてないんだけど、いつもの黒いカーディガンって今日は着てなかったっけ?

 

「はは……さて、アミーシャが回復したのを確認したら、そろそろ俺らも帰らないとな」

 

「「「!」」」

 

 呆れるような、それでいて安心したように笑うロイドさんが言ったことでハッと意識がカルマ君から戻った。そうだ、外部講師の形で来てくれた彼らは、期間限定でこっちにいてくれてるんだった。

 

「そうね、だいぶ長い期間滞在させてもらったから、向こうで溜まってるだろう仕事を片付けなくちゃ」

 

「特務支援課のビルも一度掃除しなくては。さすがにホコリが溜まってそうです」

 

「その前に、課長に報告だよっ!『導力通信だけじゃ分からんから直接報告に来い』って前に言ってたし」

 

「いつの間に連絡してたんだ……;」

 

「ロイド達が全然報告しないからでしょー?」

 

「あたし達もそろそろリベールの方に戻らなきゃね」

 

「そうだね。レンは交換留学前の最終調整に入るんだっけ」

 

「ええ、最後に打ち合わせて諸々用意するだけだけどね」

 

「私もそろそろ警備隊に報告へ戻らないと。ワジさんは騎士団に?」

 

「うんそうだね。僕の目当てだったものも無事に回収できたし、一度持って帰らないと……アッバスに押し付けた仕事も最終承認しないといけないしさ」

 

 元々の目的だった僕らへの戦闘指南も終わり、アミサちゃんの諸々も済んだ彼らは、クロスベルへ、リベールへ帰らなくてはならない。最初から分かってたことのはずなのに、約1ヶ月の間、ほぼ毎日のように誰かが教室に通ってくれていたから、いなくなるのは……すごく変な気分だ。

 穏やかに帰った後のことを相談しあう彼らを見て、こういう締め時に先陣を切るのは、E組だとやっぱり彼だよね、と僕らは迷うことなく全員で磯貝君の方を向いた。一気に注目されて少し狼狽えた磯貝君は、

 

「みんな当然のように俺を見るけど片岡もいるだろうに……」

 

 とだけ呟いて、……磯貝君をすぐに見た僕が言うことじゃないけど、それは本トにそうだと思う;さすがにバツが悪いと思ったのか、片岡さんは「私も一緒に前に出るから……」とフォローに入ってくれた。さすがイケメグと呼ばれる学級委員の片割れだ。

 

「E組一同、起立!約1ヶ月に渡るご指導、ありがとうございました!」

 

「「「ありがとうございました!!」」」

 

「訓練もですが、向こうの文化を始めアミサのこともたくさん教えて貰えてとても嬉しかったです。私達自身の糧にすると共に……これで残り4ヶ月、彼女のことを責任もってE組の仲間として向き合えます」

 

「……丁寧にありがとう。俺達の伝えたことはコロセンセーへの暗殺に活かすだけじゃなく、君達自身の今後に役立つこともあるはずだ。上手く活用してくれる事を祈ってるよ」

 

「「「はい!」」」

 

「あ、できたら帰る前にもう1回挨拶させてください。参加できなかったって知ったらほぼ確実に真尾が拗ねるんで;」

 

「はは、たしかに;」

 

 磯貝君の号令に合わせて全員で頭を下げる。ロイドさんの言う通り、彼らから学んだことは殺せんせーに対する暗殺の為の戦闘技術が中心だけど、物事の考え方、情報の扱い方、疲れにくい体運び等、普段の生活でも役に立ちそうなこともたくさん教えてもらった。

 そして、大事なクラスメイトのことも……こういう時こそ休んで欲しいけど、アミサちゃんの事だから明日には学校に来るんだろう。ただ、彼女が僕らの本質を感じ取れることがわかった今、僕らの中に無意識で迷いがあると彼女の方から離れていってしまうかもしれない。もしかしたら4月より前のように、人を警戒してばかりの彼女に戻ってしまうかもしれない。……それでも、受け入れたいと思ってるのも本心だから、これから彼女にとっての本トの居場所になれるといいな。

 

 

 

 

 

「あ、そーだ!私、お姉さん達とキーアちゃんにお願いしたいことあったんだった〜!」

 

「キーア達にー?」

 

「ヒナノちゃん、どんなお願いかしら?」

 

「えへへ、あーちゃんが元気になったら、みなさんが向こうへ帰る前に写真を撮って分けてもらえませんかっ!?」

 

「しゃ、写真か……?」

 

「ん?そりゃ俺達全員の集合写真ってことか?」

 

「何かに使うんでしょうか……」

 

「あ、えーっと……1枚でもみなさんの元気な姿があればあーちゃんが寂しくないようにいつでも見返せるから〜……って建前もありますけど、本音としては私達、もうすぐ2学期末テストなんです!その、いろんなことを解決してきたみなさんだったらご利益ありそうだから、お守り代わりに待ち受けにしたいな〜って!」

 

「あぁ、そういうことか!」

 

「ちゃんと本音があるあたり潔いいね、嫌いじゃないよ」

 

「エリィ、ランディ、ティオ、キーア、俺達は構わないよな?ノエルとワジはどうする?」

 

「せっかくなので私もご一緒していいですか?」

 

「うん、僕も一緒に写ろうかな」

 

「あたし達もいいわよね!リーシャさんは……あれ、写真に写っていいのかしら?」

 

『うーん、そうですね……()()()の装束だと今後みなさんを巻き込みかねないので、ただのリーシャとしてなら大丈夫かと。……ふふ、妹のことも、私の事情も気にしてくださってありがとうございます』

 

「じゃあ、俺達だけじゃなくE組のみんなとも写真を撮ろう。君達さえいいなら俺達も思い出が欲しいからね。今日のところは……リーシャはこのままアミーシャについてるだろうけど、他のみんなは最後の授業参観をしつつE組と交流させてもらう形にしようか」

 

「あ、じゃあ今日だけあたしもE組ってことで、コロセンセーの授業受けてみたいわ!」

 

「勉強に興味のない君が何を言い出すんだって思ったけど……コロセンセーさんやカラスマさんがいいなら僕も前から興味があるんだよね……」

 

「僭越ながら私も。みなさんからすごい成長できたって聞いて気になってたんです」

 

「授業()()どころか授業()()になってないか?」

 

「ヌルフフフ、もちろん構いませんよ、ぜひ参加してください!」

 

「いいんですか……」

 

 

 

 

 

「……ティオ姉さん。前に聞いた導力器の調整についてもう少し教えてくれ」

 

「前……あぁ、以前少し話したやつですね」

 

「なぁに、技術的な話かしら?」

 

「いえ、導力技術について話題にした際、戦術導力器の整備そのものは専門の設備で行うということと、その、イトナさんとリツさんが理解できてしまうのでつい内部構造やそれによる動作についての講義を行いまして……興味をもってもらえたみたいです」

 

『ティオさんの元で色々教えていただいた時に、アミサさんの戦術導力器の整備をこちらの設備でできないかと相談させていただいたんです!ほら、私もですが、機械って定期的なメンテナンスが必要ですよね?』

 

「リーシャ姉さんが、アミサの戦術導力器は二世代前のものだと言っていた。ということは使い始めて結構経ってるのにろくな整備ができてないだろうと思った」

 

「正直、戦術導力器は専用の道具がないと完全には整備できません。クオーツの生成なんて以ての外……ですが、導力部以外のパーツの調整くらいならこちらにある工具で何とかなるかもしれません」

 

「ちなみに俺の家は携帯の精密機器を作る工場だ。今は稼働してないが俺が使える工具は結構ある」

 

「なるほど精密機器……でしたら細かい調整でも意外と何とかなるかと。専門の技術者から話を聞けると1番いいですが……」

 

「ふぅん……データ処理なら役に立てるけど、機械いじりはそこまでできないわ。……でもヨシュアだったら少しくらいなら覚えがあるかもしれないから呼んできてあげる。ついでに繋がるか分からないけどティータにも連絡してみるわね」

 

「できないんじゃなくて、そこまでできない、なんだ……」

 

「本ト、レンさんってハイスペックですよねぇ」

 

「その、ティータ、さん?というのは?」

 

「うふふ、私の親友で、リベール王国で導力飛行船の技術を確立させた《導力革命の父》と名高い技術者の孫娘よ。あの子自身も天才的な技術者だし、何より同年代だからあの子以上に適任はいないでしょ?」

 

「リベール王国って天才ばっかいます??」

 

 

 

 彼らともうすぐお別れになる、それが分かったからこそ倉橋さんやイトナ君を始め、みんなが教室へと足を向けながらほぼ今日が最後になるだろう交流を楽しんでいる。エステルさんの思いつきで希望する人は一緒に僕らと授業を受けることになりそうで……ちょっとドキドキしてきた。

 ふと、まだ彼がついてきてないのに気が付いて振り返ると、前原君や岡島君、中村さん、不破さん達数人の男女に囲まれながらさっきも見てたモニターを手に、少し口元が緩んでいるカルマ君の姿が。

 

「───で、どさくさ紛れに俺ら全員の前で将来真尾を嫁に貰う宣言したカルマ君よぉ。アイツのこと寝かしつけてきたんだろ?ちゃんと寝たの確認できたのか?」

 

「……ああ、うん……かわいかったよ……寝たかと思ってもなんかまだ抵抗してるなーと思えば珍しく『いっちゃやだ』ってわがまま言ってくれてさぁ……熱のせいで涙目だし……、……正直リーシャさんいなかったらちょっと危なかった」

 

「……いやお前の感想聞いてねぇんだわ質問答えろよ;」

 

「おーい教室戻るって言ってんだろ、しゃべりながらモニターガン見すんな。持ってくんなよカルマ;」

 

「お前は色んな意味で通常運転すぎるわ;」

 

「とりあえず手ェ出さなかったのはよく我慢した!」

 

「……キーアちゃん、アミサちゃんって本トに寝そうだったの?カルマ君の言い方だとまだまだな感じがするんだけど……」

 

「んー?えっとねー、アミーシャ、ヤダヤダってずっと言ってる割にはカルマの服の端っこを指先だけで摘んでてね。頑張ってわがまま言ってるのに結局遠慮してるのがかわいすぎるってカルマがにやけてたよ!ちょっとだけど自分から求めてくれたのが嬉しいんだってー!」

 

「……そっかー、わがまま言えたのかー」

 

「それでもまだ迷ってるのあの子らしいねー」

 

「たしかにかわいいなそれは」

 

「……とりあえず誰か、真尾がちゃんと寝たかどうかを教えてくれよ;ここまで誰も答えてくれないんだが;」

 

「諦めたねみんな……」

 

 最初のワジさんから始まって、本トに誰も質問に答えてない;いろんな意味でみんながみんな諦めた結果なんだろうな……あとはリーシャさんが残ってるからもういいかともなってそう。

 一応見て分かれば……くらいの軽い気持ちでカルマ君が見てる仮眠室を映すモニターを横から覗いてみたら、顔は見えないけどカルマ君の黒いカーディガンを抱きしめて布団に潜りもそもそと体勢を変えているアミサちゃんの姿が……うん、寝てないねこれ。……あ、だからこっちに戻ってきたカルマ君はカッターシャツだけだったのか……ちょっとでも安心できるようにってアミサちゃんに貸したと、なるほど。……ずっとモニター見てたい気持ちは分からないでもないけど、カルマ君、サボらないでよ?;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、アミーシャが元気になってE組に復帰したのを確認してから向こうに帰るってE組のみんなには言ったんだけど、肝心のアミーシャ本人には言ってなかったよな……」

 

「……カルマ君って、あんなに笑顔で怒るんですね……」

 

「そこに関しては僕達の落ち度だね……例えリーシャさんに伝えていたとしても止められなかったと思うよ……」

 

「いや、それでもまさかリーシャを振り切って教室に来るなんて誰も思わねぇって;」

 

「来ても明日だろうと思ってましたもんね……」

 

「カルマやイトナが再三動く前に待て、自分達を信じて頼れって言うわけだよね。だって今でさえ自分の体調を放置してとりあえず動いてるんだから」

 

 みんなが下校してしまう前までには微熱に下がって、それを確認した私はすぐに仮眠室のベッドを降りた。今日はもう教室に行っちゃダメってお姉ちゃんは言ったけど、お姉ちゃんもロイドお兄ちゃんたちも今日をほぼ最後にして帰っちゃうんでしょう?E組にみんなが揃うのが最後かもしれないなら、そこに私もいられないなんて……絶対嫌。そう思って。

 みんなが帰っちゃう前にってお姉ちゃんを振り切って教室に走ったら、殺せんせーには「なんで寝てないで来てるんですか!?」と叫ばれて、みんなには言い方は違えど声を揃えて「バカ」と言われ。それらに対して言い訳する前に、ものすごくいい笑顔なのに一切目が笑ってないカルマに捕まり席に連れてかれ……

 

〝俺、寝てなって言ったはずなんだけど〟

 

〝ね、熱下がったから……〟

 

〝何度〟

 

〝さんじゅう、ななどはちぶ……〟

 

〝それ下がったって言わない〟

 

〝さ、最初の39度よりは、さがってる……よ?〟

 

〝微熱でも熱よりだからダメ。しかも低い風に言ってるけどほぼ40度だったくせに何言ってんの?〟

 

〝れ、れーてんにども低か〟

 

〝は?〟

 

〝あうぅ……〟

 

〝……リーシャさんは?〟

 

〝……ダメって言うけどみんないなくなっちゃうのヤダから……先に……〟

 

〝ダメって言われてんじゃん、リーシャさんが合ってるでしょ。……で?歩いてくるならまだしもこの感じリーシャさん撒くために走ってきたんじゃないの……とりあえずもっかい熱、測ろっか?〟

 

〝ひ……っ、来る前、測っ〟

 

〝測ろっか?〟

 

〝……ぅ……ぅん……〟

 

 カルマの膝の上に乗せられ、腕を回して固定されて一切動けない状態のまま、淡々と正論をぶつけられる形で怒られた。そのままの体勢で殺せんせーに体温計を挟まれた結果、案の定38度以上に上がってて……それを確認して無言になったカルマがめちゃくちゃ怖かったのは言うまでもない。

 

〝………………〟

 

〝……か、かるま……?〟

 

〝……今、〟

 

〝……?〟

 

〝今、ここで、みんなの前で俺に強制的に意識落とされんのと、さっさと自分から寝るのとどっちがいーい?〟

 

〝……、……へ……?〟

 

〝あ、聞こえなかった?じゃあ強制シャットダウンということで、〟

 

〝ま、まって、まずなんでその2択なっ、なんで近づいてくるのッ!?ひぇ、なめた……ッ!?〟

 

〝どっかの誰かさんが誘惑してくるのを耐えてる俺えらくない?ごほーびがてら寝かせれば一石二鳥じゃん〟

 

〝なん、なんでそうなるのっ!?わたっ、ゆーわく、してなッ〟

 

〝〝〝……;;〟〟〟

 

〝あぅ、ぁ、た、たす、たすけてぇ……っ〟

 

〝〝〝!〟〟〟

 

〝あー、……カルマ、そのくらいにしてやれ〟

 

〝えー、なんで止めんの?今まで見てただけだったじゃん〟

 

〝真尾がちゃんと自分の意思を出したから、だな〟

 

〝……ちぇ、はいはい。あ、でも下ろすつもりはないから〟

 

〝まぁ、うん、そのくらいはな……;〟

 

 さらに深い笑みを浮かべてるのにこめかみに青筋を立てながら、平然と顔を近づけてくるカルマの口元を両手で押さえて阻止しようとしたらその手のひらを舐められるわ、元々カルマの膝上で固定されてるから自由がほとんどないわ、急にその二択になった理由が全くよく分からないわともう何が起きてるのか私はちんぷんかんぷんで。とりあえずカルマがものすごく怒ってることと、どうやるつもりなのか強制的に気絶させる目的でキスしようとしてることだけはハッキリ分かって抵抗してたらここまで見てるだけだったみんなが止めに入ってくれた。……みんな曰く、私が目線でも態度でも顔に出すのでもなく、ちゃんと言葉に出して助けを求めたのがほぼ初めてに近いからだって。

 ちゃんと平熱まで熱が下がれば、陽菜乃ちゃんたち何人かに渡すものがあるからみんなでもう一度E組に行く、だからもう寝なさいと……今日はもう何があっても人に任せて絶対安静だってカルマだけでなくE組、先生たち、お姉ちゃんたちみんなから言われてしまった。……ここでカルマから『絶対安静』の意味まで笑顔でこんこんと詰められてもう泣きたい。泣いてたかもしれないけど。それくらい怖かった。

 

「……だって、みんな最後って言うし……キーアちゃんと、エステルお姉ちゃんと、レンお姉ちゃんと、ティオお姉ちゃんと、ヨシュアお兄ちゃんと、エリィお姉ちゃんと……私も一緒に授業受けたかったんだもん……」

 

「んふふー、すーっごく楽しかったよ!リュウやアンリと一緒の日曜学校も好きだけど、コロセンセーの授業も好きーっ!正解した時にプニョンって撫でてくれたの嬉しかったなぁ〜」

 

「あたしからしたらミドルスクールの子達の勉強が難しすぎてパンクしそうだったわよ……普段からあんな難しいのやってるの……?」

 

「難しいって言ってる割にはちゃんと理解してたじゃないか。勉強嫌いのエステルが身についてる時点でかなりすごい先生だと思うよ」

 

「確かにだいぶ難易度は高かったですが、コロセンセーさんの教え方はすごいと思います。アプローチの仕方も覚え方もすんなり入ってきてビックリしました」

 

「割と何となくで解いてたことの根拠というか仕組みとかがわかって、他のことにまで応用できるのが面白かったわね」

 

「ふふ、日本のミドルスクール生はこんな感じの勉強をするのね。あの子達の中だとカルマがやっぱり1番頭がいいのかしら?ちょっとアプローチが違った時に彼と討論するのが1番楽しかったわ」

 

「レンさんだけ、なんか楽しみ方が違うと思うんですが……」

 

「……ずるい……」

 

「ずるいって;」

 

「ずるいもなにもアミーシャが最初からわがまま言わないでちゃんと寝てたら熱も下がって、最後1時間くらいは一緒に授業受けれたかもしれないのに……」

 

「全くです。さっきリーシャさんから聞きましたけど、お二人以外が教室に戻ってもお昼くらいまで寝てなかったそうじゃないですか。それだけロスしたら体が休まるわけがありません」

 

「……!!」

 

「今気づきました!……じゃないんだよ;」

 

「そーいうところだろ、カルマがキレてるのって」

 

「アミーシャがカルマさんの腕の中で一瞬で寝落ちた瞬間、怒りたいのと呆れたいのと同時に『俺がやっといてなんだけど信頼置きすぎ……』ってすごく複雑そうでしたよね」

 

 私が教室に着く前に参加していたらしいお姉ちゃんたちは、しっかり殺せんせーの授業を楽しんでいたらしい。ティオお姉ちゃんやレンお姉ちゃんはまだしも、5歳くらい年の離れたエステルお姉ちゃんたちにとっては学生時代とか結構前だったと思うのに……向こうではやらない学びがあったからためになったって?そ、そうなんだ……

 その間私はといえば、早く元の体調に戻すためにも寝ると決めた後も、カルマの膝の上から下ろしても離してももらえなくて……仕方なく落ちないように寝れそうな体勢を探すしかなかった。基本どんな体勢でも支えてくれるって思いつつ、それでも頭の置き所とか迷ってたんだけど……ふと彼の心音が聞こえて……なんとなしにそれを聞いていたらすごく気持ちが落ち着いて。もっとしっかり聞きたくて目を閉じたらいつの間にか眠っていて、目が覚めたらもう私の家だった。……心音を聞いて寝落ちるとか、我ながら単純すぎると思う。

 

「まぁ、明日迎えに来た時に少しでも熱があったら置いてくと言ってましたし。……もう、わがまま言わないでちゃんとゆっくりするでしょう?」

 

「……うん」

 

「じゃ、アミーシャちゃんの熱が完全に下がったらヒナノちゃん達と約束したし写真を撮りましょうか。どんなのがいいかしらね?」

 

「うーん、とりあえずご所望の集合写真と……彼女以外の子達もいろいろ見たいって言ってたし、無理のない範囲で多めに撮っておこうか」

 

「渡しに行ったついでにE組のみなさんともたくさん思い出の写真を撮りましょうね!私も見返したいです!」

 

「もちろんアミーシャが今後寂しくならないようにも、ね」

 

「……!」

 

 写真かぁ……言われてみればみなさんと撮った写真は1枚も持ってないことに今更ながら気づいた。あるのはアルカンシェルの観劇に行った時に撮ったお姉ちゃんたちの踊る写真だけ……陽菜乃ちゃんたちが提案してくれなかったら考えもしなかったな。

 私たちだけじゃなく、E組のみんなとも写った写真はきっと宝物になる、し、……この機会に個人スマホでくらい殺せんせーとの記念写真が撮れないかなって思ってたりする。前にも思ったけど、残像ばっかりなんだもん。

 

「私達と一緒に向こうへ帰る気は無いんでしょう?公演もあるし仕事も入るかもしれない……もう頻繁にこっちに来られないわ。それでも彼らといることを選んだのなら、やれるだけやってみて。あなたはあなたの《銀》となればいいのだから、アミーシャだけの道をまずは卒業までに見つけるといいと思う」

 

「私だけの、道……」

 

「ただ、少しでもおかしなことがあったらリツの通信を利用して僕らを呼ぶことが条件だよ。むしろリツやE組の子達の判断で連絡入れてくれてもいい……ああ何も連れ戻そうとしてるわけじゃない。《教団》でのことを思い出して身体的にも精神的にもズレが出てることに違いないし、正直意図的に花束を届けた存在がかなり気になる。経験上、何も無いとは思えないから……いいね?」

 

『お任せ下さい!私もですがE組のみなさん、先生方とも必ず共有しておきます!』

 

「……うん。私、ちゃんと見つけるよ。流されるだけでも、目の前のことだけでもなく、ちゃんと、私がやりたいって思えること。……E組にいたら、見つかる気がしてるの」

 

「ああ、それがいい」

 

「多分、アミーシャちゃんが自覚してないだけで、みんなはあなたのやりたいことや好きなことに気付いて応援してると思うわ。だから、あの子達と一緒にいれば絶対に見つかる」

 

「ええ。……ふふ、アミーシャが見つけるあなただけの道、楽しみにしてるね」

 

 ワジお兄ちゃんが気にしてるあの花束を贈ってきた誰か。正体も目的も全く分からないままだけど、明らかに私が《教団》の被害者ってことを知っていて尚且つ複数人宛にしながら私だけに狙いを定めた贈り物だったから……夏休みの鷹岡さんの時のように、得体の知れない恐怖はある。私が思い出して終わりならいいけど、……きっと、これで終わらない。何か根拠があるわけじゃないけど、これはあくまでも花束を贈ってきた犯人の下準備かきっかけ作りだろうって気がするから。

 だとしても、私がみなさんと帰るのではなく残ることを決めた以上、私はE組の私として向き合わなければいけない。あの過去をホントの意味で乗り越えるためにも、みんなと一緒に、彼の隣に立ち続けるためにも、……負けたくないから。……同時に私の進む道もちゃんと向き合わなくちゃいけない。《銀》として裏の世界だけじゃなく、光の中で生きる道をやっと受け入れられる気がするから……E組にいれば、きっと見つかるって信じられる。スマホで笑う律ちゃんを撫でながら、私はそう確信できた。

 





「そーだ!アミーシャに聞きたいことあったの!」

「なぁに……?」

「キーアと、アミーシャと、シュリの3人で3つずつ分けたのに、ホワイトストーンが1個しかお部屋にないでしょ、どうしたの?お揃いだったのに……」

「あぁ、ミシュラムのビーチで俺たちが拾ったあれか。……3つずつってそんなに分けられるほど拾ってたのか;」

「ロイドが水晶玉サイズ見つけた後も、3人で探してたの!そしたら小さめだけど同じくらいの大きさのをいっぱい見つけたから3人でわけっこしたんだぁ」

「へぇ、……それが1つしかないと。アミーシャが無くしたり捨てたりすると思えないんだけど……」

「あ、あのねっ……実は、カルマと渚くんにあげたの」

「……へ?ナギサ達に?」

「う、うん。2年前のクリスマス当日に、カルマの誕生日がその日だってことを知って……その時の私がすぐに渡せるものって言ったら、それくらいしか思いつかなくて。誕生日プレゼントと、クリスマスプレゼントってことで、2人に……」

「へぇ……」

「ふふ、宝物をあげたくなるくらい、その頃から大事な人達だったんだね」

「う、……うん……2人とも、私にとってはヒーロー、だから」

「なーんだ、ならいいやー!捨てちゃったとかだったら嫌だったけど、カルマとナギサなら大事にしてくれてるだろうし」

「ご、ごめんね、キーアちゃんに相談しないであげちゃって……、あの、ね。残り1個にはなっちゃったけど、キーアちゃんともシュリさんとも、それにカルマや渚くんとも繋がってる気がするの……だから、私は渡してよかったと思ってて……」

「んーん、今教えてくれたからいーよ!怒ってないし、ステキな理由だもん!やっぱりアミーシャは優しいね!」

「繋がり……か。……はは、分かる気がするな」

「それにホワイトストーンといえば……大事にすればするほど、持ち主の気持ちも宿るだろうしね?」

「アミーシャもキーアのように思いの強い子ですから……」



++++++++++++++++++++



これにて、オリ主の過去話や来日組とのクロスオーバーは一旦一区切りです。ようやく出したかった内容を一気に放出できて作者的にもちょっと満足感があります!……まだまだ出したりない場面や設定流れがあるので終わりませんよ?!
写真撮影の場面は端折りますが、E組の面々に彼らとの集合写真諸々が行き渡ってるだろうと思っておいてもらえれば!……イラスト書きたいですが人数……( ‘ᾥ’ )



オリ主がキーホルダーを無くした時以来じゃないですかね、ヘルプを言葉でちゃんと伝えたの……ちょこちょこと目線や態度で困り感は出してましたが、頼むってことはホントしない子なので……;今回クラスメイト達は「またバカップルがなんかやってる」くらいでオリ主がキャパオーバーするか、カルマがシャレにならないことをしない限りは見守るだけのつもりでいましたが、かなり珍しく助けを求めたので間に入ることにしました。



第一部でも話題にあげていたイトナ君導力技師への進路もおもしろそう。器用だろうから有り合わせでなんかできそうだし、それこそティータがここに入ったら物作り組みんなでなにか壮大なものを作ってくれそう。彼女も混じえてちょっとお話やりたいと思いつつ、人数多すぎて作者がキャパオーバーしそうなのでやれそうならまたの機会に……あるかな……?



それでは、次回から暗殺教室の時系列に戻って期末テストに向けて動き出します!よろしくお願いします!


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