暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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14話 テストの時間+‪α‬

 そして、ついに中間テストの日がやってきた。

 

《中間 3ーE 1時間目 数学》

 

 ────コン、コン、コン、コン、……

 

「ゲフンゲフン……あー、E組だからって、カンニングなどするんじゃないぞー。俺たち本校舎の教師がしっかり見張ってやるからなぁー」

 

 テストは、全校集会と同じで全校生徒が本校舎で受ける決まりがある。つまり、普段違う校舎で過ごす私たちE組だけが慣れない場所、慣れない環境というアウェイでの戦いとなる。しかもテスト監督の先生が延々と音を立てたりワザとらしい咳払いをしたり……露骨に集中を乱してくる嫌がらせ付きだ。

 ……個人的に最悪なのは、テスト監督の先生が大野先生(前の担任)なこと。私の席は一番後ろだし、先生(あの人)は前の椅子にふんぞり返っていてテスト中に立ち歩かない分、そうそう近くに来ないからまだいいといえばいいけど……それでも視界に入るし、目が合った時なんて最悪すぎる。

 

 ……と、問題に集中しなくちゃ。────っ!

 

「うわぁぁあ!」

 

「ナイフ一本じゃ殺せねぇよ!」

 

「どうすんだよ、この『問4』!!」

 

 ……私はこの椚ヶ丘中学校に入るまでは、日本にある学校へ通ったことがない。だからもちろん、学校で授業を受けることも、授業の集大成としてのテストを受けるということもやったことがなかった。だから私にとっての知っているテストと、問題構成……という意味ではこの椚ヶ丘のものが毎回当たり前ではあるのだけど、

 

 ────グオォォォオオォオ!!

 

 まるでテストから得体の知れない怪物が飛び出てくるかのような錯覚を覚える……問題文は全体的に言い回しが難しくて、関係ないミスリードを招く言葉が散りばめられている。全部使って難しい公式に当てはめなければいけない、……かと思えば、実際解くのに必要な要素はほんの僅かで式も必要ないくらい簡単だったりする。

 入学してから何回も受けてきたこのテスト……分かってはいたけど、他の学校とは比べ物にならないくらいきっと凶悪なレベルなんだろう。

 

 テストを受ける(問スターに対峙する)みんなの鉛筆が止まっている(足が動かない)

 

 後ろにはまだ強敵が潜んでいるかもしれないのに。

 

 こんなところで止まっているわけにはいかないのに。

 

 ……攻略の取っ掛りが掴めない。

 

 このままだと、この問題に、殺られる!

 

 

 

 

 

 ────ちゃんと教えましたよ?

 

 

 

 

 

「!」

 

 ……殺せんせーの声が聞こえた、気がした。なんか、不思議な感覚……鉛筆(ナイフ)を持つ私の右手をせんせーの触手が支えてくれているようで。……そっか、この場所に殺せんせーはいなくても、教えてくれたっていう事実は一緒にいる。

 

 ────ほら、1箇所ずつ見極めて

 

 ……カリ

 

 ────どうです?それを繋いでみれば

 

 ……カリカリ、カリ

 

 ────なんてことない相手ですねぇ。

     さぁ、料理してしまいましょうか!

 

 ………解ける。まるで料理をするように、レシピを読むように、必要のない言葉、難しい言い回しを省いたその先に、問題文の重要なところが見えてくる。

 

 みんなの手が動き(ナイフが閃き)出した。

 

 分からなくて止まった時は問題文(敵の様子)を確認。

 

 これなら……解る(殺れる)

 

 みんな、きっと殺せんせーの声を聞いたんだろう。いつの間にかE組全員の手が迷いなく動き始めたことで、邪魔をしながらふんぞり返って監督していた先生(あの人)は立ち上がって、「ありえない、おかしい」とでも言いたそうな顔で私たちを見ているのが分かる。私だって、今までも普通に問題には取りかかれていたけど、今まで以上に取っ掛りがつかみやすくて……どんどん殺っていけるのが楽しくて、鉛筆の動きは止まらなかった。

 

 次も、……よし!

 

 これだって、……行ける!

 

 

 

 

 

 次……!!?

 

 

 

 

 

 『問11』にたどり着いた途端、教室の中でほとんどの音が消えた(見えない何かに殴り殺された)。私も一瞬戸惑いはしたけどなんとかその躓き(攻撃)に気づいて、問題を解いた先(避けた先)に見えたものは……、……あれ……?……見たことあるし、手を止めることなく解き始められた(ダメージを与えられた)、けど……

 

〝もうちょっと!あ、ついでにこっちもやっちゃいましょう〟

 

〝せんせ、ここ範囲外……〟

 

〝いいんです!アミサさんは範囲が終わったんですから、ついでですついで!〟

 

 

 

 

 

 …………これ、範囲の中にある問題だったっけ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはいったいどういうことでしょうか?公正さを著しく欠くと感じましたが」

 

 数日後、採点が終わって返ってきたテストを手に、みんな、沈んだ表情をしていた。クラス全員50位以内に入る学力をもつという暗殺をする上での第二の刃……それを達成できるどころか、みんながもっていた全部の実力を出せないままに、テストが終わってしまったから。

 

「伝達ミスなど覚えがないし、そもそもどう考えても普通じゃない」

 

 ……数学のテスト中に感じた違和感は、当たっていた。

 

「テスト二日前に出題範囲を全教科大幅に変えるなんて!」

 

 ……あの『問11』から先は、全て私たちに伝えられていたテスト範囲を大幅に超えた内容、もしくは変更された内容を出題されていたのだ。……そして、それは数学だけの事じゃない。その後の国語も、英語も、理科も、社会も……全部。

 当然伝えられていた範囲だけを勉強していたE組は、範囲と違う、意図的に外された物に対応できるはずがない。……これが理事長先生の言っていた、『E組校舎にいてはどうにもならないこと』なのだろうか。烏間先生が聞いた話では、変更範囲を伝えられた本校舎の生徒たちには、理事長先生自らが変更範囲の授業を行って対応したというのだから……、まさか、E組(私たち)の評価を、意欲を落とすためだけのために、ここまでするなんて。

 

 烏間先生は教室の中で窓の方を向きながら本校舎に電話をかけ……電話を切ったあとは無言で首を横に振る。壁にもたれて立っているイリーナ先生は目を伏せたままで。殺せんせーは黒板の方を向きながら目に見えて落ち込んでいて……このままじゃ、第二の刃を取らせることのできなかった殺せんせーは、この教室から出ていっちゃうかもしれない。どうしたら引き止められる?なんて声をかければいい?いい案がすぐに思いつかなくて、私は自分の答案に目を落とす。

 ……あれ……ちょっと待って?E組みんなが、E組校舎にいたからこそ何もできなかったって状況に、理事長先生はしたかったのかもしれないけど……私のこれ、……とその時、隣から肩を叩かれて反射的に顔を上げる。

 

「……アミサちゃん、ちょっと見せて」

 

「!」

 

「……だよね、だろうなって思ってた。じょーできじゃん……ね、ちょっと手伝ってよ……久々に、さ」

 

「……ぁ!……うん、久しぶりに2人で……遊んじゃお」

 

 私の答案をのぞきこんでいたずらっぽく笑ったカルマくんは、私にも自分の答案を見えるように傾ける……なるほど、これは私とカルマくんに限っては理事長先生の思惑から外れた例外になれたみたい。カルマくんの目線をおって、彼のやりたいことが分かった……多分、自分では見えないから分からないけど私もいい(イタズラな)顔、してるんじゃないかな。

 できるだけ音を立てず静かに席を立ち……2人でナイフを構える。クラスメイトはみんな顔を上げてないから誰も気づいてない。私たちの標的(ターゲット)は、今、こっちに背を向けて落ち込んでいる……

 

「……先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見すぎていたようです。……アミサさんがあんな状態になってまで、先生達では集められない情報を聞き出してくれたのに……先生はくだらない意地でそれを無駄にしました。……君達に顔向けできません」

 

 ……………殺せんせー!!

 

 ────ヒュヒュッ!

 

「にゅやっ!?にゃっ!?………、……な、」

 

「いいの〜?顔向けできなかったら、俺らが殺しにくるのも見えないよ?」

 

「……うーん、当たらない、ね……。もうちょっと細工しなくっちゃ……」

 

「カルマ君!アミサさん!先生は今落ち込んで……!!」

 

 言うと思った。カルマくんと同時に目を合わせてニヤッと笑いあうと、2人で一緒に持ってきた自分たちのテストの紙束を教卓に投げる。それを見て、私たちが何を言いたいのかを理解した瞬間に、殺せんせーは固まった。

 

「俺ら、問題変わっても関係ないし」

 

「……えへへ、第二の刃、ちゃんと取ったよ」

 

赤羽業

英語98点

国語98点

数学100点

理科99点

社会99点

主要五教科合計494点

学年順位……4位

 

真尾有美紗

英語99点

国語98点

数学100点

理科97点

社会98点

主要五教科合計492点

学年順位……5位

 

「うお、すげぇ……2人して数学100点かよ!」

 

 私たちの動きを見ていたクラスメイトたちは、いつの間にか席を立って私たちの周りに集まり、私たちのテストをのぞきこんでいた。ちょっとだけ恥ずかしいけど……きっと私でもクラスの役に立てたよね?

 

「……俺らの成績に合わせてさ、あんたが余計な範囲まで教えたからだよ。だから出題範囲が変更されても対処できた」

 

〝はい、アミサさんもカルマ君も、もうちょい行きましょう!ここもいいですねぇ!〟

 

〝!!ば、バレましたか……!もういっそ、まとめます!ほら、アミサさん机引っつけて!〟

 

「……私なんて、授業の分以外にも……追加で課題出されてたもん、範囲外の理科。苦手な理科でこんなに点数取れたの……はじめて」

 

〝……あぁ、それとアミサさん。カバンの中のプリントはチェックしておきましたよ〟

 

「あー……そういやお前らの席だけ異様にバッタバタしてたもんなぁ……なんで机動かしてるんだって思ってたし」

 

「自分のことで必死で、何やってたのかまでは知らなかったけどね」

 

 これで、E組の中では唯一……私とカルマくんだけは本校舎復帰の最低ラインである学年順位50位以内を超えることができたわけだ。むしろほとんどA組が占めるトップ争いにまでくい込んでみせた……これなら本校舎の生徒に、教師に、成績で文句をつけさせることなんてできない。

 

 …………だけど、

 

「だけど俺、E組(このくみ)出る気ないよ?前のクラス戻るより、暗殺の方が全然楽しいし」

 

「私も、E組(ここ)にいたい。やっと見つけた私の居場所なの……友だちができた、今度こそ信じられる先生ができた、それに私を認めてもらえた場所だから」

 

 ここが私の……私たちのいる場所だって決めたから。暗殺を楽しみ、毎日の生活を楽しみ、勉強もできる……そんな夢みたいな場所。そんな場所から出ていこうなんて、バカでもなければ考えないよ。

 ……さて、自分の意思を伝えるのはここまでだ。あとは、殺せんせーをノせるだけ。

 

「ていうかさぁ、俺らが点数取れたのって殺せんせーのおかげだよねー(棒読み)」

 

「それに、E組は成績最下位クラスって勝手に言われてるけど、そんな人……このクラスにだーれもいないのにねー……?」

 

「ねぇ寺坂〜、E組最下位ってお前だったよね。学年順位は何位だったわけ?」

 

「はぁ?……めんどくせーな、んなの、15、9位……っ」

 

「「「ッッ!!!」」」

 

 そう、みんな50位以内に入れなかったってことに落ち込んでて気づいていないみたいだけど、成績下位と私たちのような別件(素行不良やテスト未受験)などを含めたその他諸々の理由で集められたE組27人は、3年生187人の内、E組の最下位で159位……下には28人もの他クラスがいる。つまりE組以上の人数を下にしてみせたのだ。

 みんなも慌てて自分の点数や順位を確認し直して、何人かは歓声を上げる人もいた……だって、2年生最後のテストの時より順位、総合点数が上がっている人もいるはずだから。問題を解ききれなかったのに正答率のアップや順位があがった……これって、殺せんせーの出した条件(学年順位50位以内)はクリアしてないけど、見方を変えればかなりの成果が出たって言っても間違いじゃない、よね?テスト範囲の変更という妨害があったというのに、ここまでの結果を出したのだから。

 

「……で、どーすんのそっちは。全員50位以内に入んなかったって言い訳付けてここからシッポ巻いて逃げちゃうの?」

 

「E組全員の学力の底上げ……これって、十分すぎる功績……ですよね?なのに逃げちゃうなんて……」

 

 

 

「それって結局さぁ……殺されんのが怖いだけなんじゃなーいの?」

「それって……みんなが強くて殺されるのが怖いからなんですね?」

 

 

 

 ……ピキピキッ

 

 

 

 私たちの向ける笑顔の挑発に対して、無言で、黄色い顔に怒りマークが浮かんだ殺せんせー。よし、殺せんせーをノせるキッカケはできた、あと、少し後押しがあれば……!

 ここまで来れば、他のみんなにも私たちが何をしたいのかが伝わったのだろう。片岡さんが前原くんを小突き、発言力のある彼にみんなの皮切りを促す……すぐに理解した彼はワザとらしく手を頭の後ろにやって、煽るような口調で言ってくれた。

 

「なーんだ、殺せんせー怖かったのかー!」

 

「それなら正直に言ってくれればいいのに!」

 

「ねー?『怖いから逃げたい』って!」

 

 

 

 …………ピキピキピキピキッッ!

 

 

 

「にゅやぁぁぁぁあああッッッ!!!逃げる訳ではありません!!!」

 

「へー、じゃあどうすんの?」

 

「にゅへ?……き、期末テストで、あいつらに倍返しでリベンジです!」

 

 さっきまでの落ち込みようはなんだったのかってくらい、見事な手のひら返しに、思わずみんなは笑い出した。

 

 ……中間テストでE組を取り囲む分厚い壁を実感した。1人では、私たちだけではきっと超えることの出来ない高い、分厚い壁。だけど、みんなはきっと心の中で胸を張った……自分がこのE組(このクラス)の一員であることに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、そういえばなんだけどさー、さっき殺せんせー聞き捨てならないこと言ってたよねー……?」

 

 ……で終われば平和だったのに、あれ、おかしい、なんか寒気がする。教卓の前でみんなに囲まれたまま、ゾクッとした嫌な雰囲気……視線?を、背中に感じて思わず固まる。気のせいだよね……え、今ってみんなで笑顔になってこれからも頑張るぞーって流れじゃ、

 

「 ……ねーぇ?アミサちゃーん?」

 

「……ぇぁっ」

 

 き の せ い じゃ な か っ た 。

 

 しっかりと背後から肩に手を置かれた上に名指しされて思わず身体が跳ねる。そろっと振り返ると、にこにことした笑顔のカルマくんがいて……あの、心做しか、みんな、カルマくんというか私たちから距離をとってませんか……?

 

「……え、な、なに……?か、カルマくん……顔、笑ってるのに、なんか……怖いよ……?」

 

「んー?別に怒ってないし、アミサちゃんがちゃんと答えてくれたら俺、怒る気ないけど?」

 

「そ、うなら……いいの、かな……?」

 

「……いや真尾、そこで納得するな;」

 

「どう考えてもあれは怒る気だろ;」

 

 周りがなんか言ってくれてるけど、カルマくんの笑顔は全然変わらないし崩れてくれないし、そもそも周りを気にしてすらないように見える……。

 

「で。『アミサさんがあんな状態になってまで、先生達では集められない情報を聞き出してくれたのに』って……何?」

 

「え、えと……えと、……り、理事長せんせと……お話しした、だけで……」

 

「……だけで?」

 

「う……それを、殺せんせーと烏間先生とイリーナ先生に、おしえた、だけ……」

 

 だけって言いながらカルマくんの圧に負けて少し追加しちゃったけど……あの時にやった事といえば、大人の会話は腹の探りあいって言うし、私だけなら変わるかもって考えて、理事長先生からなにか情報を引き出したくて接触して、それを持ち帰って先生たちに報告した……だけだから、……間違ってないよね?うん、そのはず……

 

「……うん、まぁいいや。じゃあ『あんな状態になって』って何?」

 

「…………」

 

「ん?なぁに、聞こえないけど」

 

「…………、…………い、」

 

「い?」

 

「い、いわなきゃ……だめ「ダメ」Σ!?」

 

「……めちゃくちゃ食い気味だな;」

 

「あの、カルマ君、真尾さんが泣きそうなんですけども;」

 

「いやでも確かに実際何があったのかはめちゃくちゃ気になるから言って欲しいとこではある」

 

 意図的に私が答えなかったとこをスルーしてくれない上に突っ込まれちゃった……しかも速攻でダメって言われた……。誰か助けてくれないかなと周りに視線は向けてみたんだけど、カルマくんをなだめようとしてくれてる人はいれど、質問を止めようとしてくれる人はいない。むしろ言うまでこの囲みから出してくれない空気をひしひしと感じていて……みんなが心配してくれてるのはわかってるんだけど、これは私が1人で動いた結果なわけで、正直、言いたくない。

 

 で、でも、このことを知ってる人はほとんどいないから黙ってれば切り抜けられるはずであって、

 

 

 

 

 

「アミサさんはですねぇ、過呼吸を起こしたんですよ」

 

 

 

 

 

 殺せんせー!?!?!?!?

 

「え、あの、殺せん、」

 

「えー、なになにどういうことなの?」

 

「まっっったく。カルマ君と渚君を介さずにE組のクラスメイト達と話せるようになったのはつい最近だというのに、あの時は未だあなたがトラウマを抱えている相手であるあのラスボスと、しかもたったの1人で対峙するとか何を考えてるのかと思いましたよ」

 

「ホンットにそうよ!ノックもせずに教員室に駆け込んできたかと思えば、まともに立ってられずに過呼吸起こしたままその場に崩れ落ちておいて……で?何があったのかと思えば理事長に直談判?バカじゃないの?そういうのはね、大人の仕事なの」

 

「はぁ……真尾さん、明らかにストレス性の過呼吸になってることに気が付かず、そのまま無理矢理話そうとするんじゃない。……というかここまでしっかり『E組校舎にいてはどうにもならない事』という情報を聞いたにもかかわらずスピード勝負に拘ったコイツにも非はあるがな」

 

「それに関しては大変申し訳ありませんでした;」

 

 殺せんせーを皮切りに、今まで見てるだけだったイリーナ先生と烏間先生まで乱入してきて、ものの見事に全部バラされた。カルマくんは、今は話してる先生たちの方を向いているけど、先生たちが話す(バラす)たびに彼の雰囲気に影がさしていくように見えるし、周りのクラスメイトたちもそれは……みたいな空気になってきている。

 烏間先生は殺せんせーに対してジトっとした目線を向けてくれているけど、私にはいろんな言いたいことがありそうな空気が刺さっていて。……これは、詰んだかもしれない。

 

「……へーーーーーーーぇーー??」

 

「ごっ、ご……ごめんなさいぃぃぃぃ!!!」

 

 こうなる気がしたから、言いたくなかったのに!!!勢いよくぐるんと振り返ったカルマくんは笑顔なんだけど、明らかに青筋がたってるというか、口元がひくついていて怒ってるようにしか見えない。私は、もう反射で謝っていた。

 

「まったくさー、俺の知らないとこでなーにしちゃってんの?」

 

「だ、だって、だってぇぇ……」

 

「……ま、しょうがないよねぇ」

 

「だな。真尾なりの考えはあったんだろうけど、自分のトラウマ源に自分から突っ込んで行ったあげく自分で首絞めてるわけだし」

 

「あれは庇えん;」

 

「……というか真尾さん、あんな大声出せたんだ……」

 

「……ね、ビックリ。ビックリついでにだけど、カルマ君って真尾さんに対してだとあんな風に怒るんだね……」

 

「他の奴だったら煽るか傍観してるだけのくせに」

 

 ……大泣きまではしてないけど、淡々と叱ってくるカルマくんに対して涙目になっていたのは、言うまでもない。

 

 

 

 

 

「でも、でも……っ!渚くんもいたもん!!」

 

「ちょっとアミサちゃん!?」

 

「へー……そー……なーぎさくーん?」

 

「待ってってば僕だって理事長先生が来てたことは知ってたけどアミサちゃんがそんなことしてたのは知らなかったんだけど!?過呼吸起こしたアミサちゃんしか見てないんだから僕に飛び火させないで!?」

 

 

 

 

 

++++++++++++++++++++

 

 

 

 

 

「……まぁ、何はともあれテストは終わったので!」

 

「「「第1回E組女子会をはじめましょー!かんぱーい!!」」」

 

 テスト返却後の予定外のお説教()も終わり……みんなが助けてくれない理由も、カルマくんが私を心配して怒ってくれてるのも分かっていたので甘んじて受けたけど、やっとのことで解放してもらえた時にはフラフラになっていた。

 そんな私を回収してくれたのは茅野さんで、あれよあれよという間にセッティングされていたのは、いつの日か約束していた女子会……というもの。メンバーは茅野さんが集めてくれていて、突然のお誘いだったけど都合のついたE組の女の子……私、茅野さん、中村さん、岡野さん、速水さん、倉橋さん、矢田さんというメンバーでファミレスにやってきた。

 

「私プリン〜!」

 

「茅野ちゃん、決めるの早っ!ほんとプリンとか甘いスイーツ好きだよねー……んー、私はこのパフェにしよっかな」

 

「あ、じゃあひと口!私のあげるからっ!」

 

「このケーキもいいな〜、迷っちゃう!」

 

「真尾ちゃん、どれにするか決めた〜?」

 

「え、えっと……ど、どれがいいかな……」

 

「……真尾、私と分ける?」

 

「!……うん!」

 

 渚くんやカルマくんとなら何度もおでかけしてるけど、女の子だけで一緒にお出かけは初めてで……女の子だけのこの雰囲気は、教室とはまた違った賑やかさだ。最初はオシャレなカフェとかなら人もあんまりいないし、いいんじゃないか?って意見も出たんだけど、多分……ううん、絶対このメンバーだと騒いじゃうから、少しくらい騒いでも問題ない場所ってことでここに来ることになったんだ。まだE組以外の人がいる場所では緊張してしまう私のことをみんなは分かってくれていて、少しでも楽にいられるようにって私は席の真ん中でみんなに囲まれている。

 E組の人たちだけじゃないこの場所(ファミレス)に最初はガチガチに固まっていた私だったけど、みんながみんな世話を焼いてくれて、一口ずつスイーツの交換をして、たわいもないお喋りをして……いつの間にかいつもE組にいるのと同じような感じがしてきて私は安心していた。

 

 でも、だんだん不安になってくる。みんなが話している内容は、世間知らずでいろんなことに疎い私でもついていけるものばっかりで。教室でみんなが話しているのを聞いてると、私の知らない話とか、難しい話とか、渚くん曰く下世話だって言うようなことが話題になってるような気がするのに……みんな、ついてけない私を気にしてくれてるんだ……でも、楽しめてるのかな?

 

「それでね、真尾さんも……」

 

「あ、あの!……えっと、み、みんながしたい話題、話して……?」

 

「……?どゆこと?」

 

「私……まだついていけない話、多いでしょ?女子会って、女の子が集まってみんなが楽しむもの……なんだよね?なんか、私がいるから私でもついてける話題ばかりな気がして……その……」

 

 うまく言えないけど、私がわかるような簡単な話ばかりではなく、よく教室で話しているようなファッションとかお店とかそういう話題の方がみんなが盛り上がれるんじゃないか、そう考えていた。私は、混ざれなくてもみんなが楽しそうに話すところを見るのも好きだから全然いいのに。

 私の、言葉が上手く見つからなくて詰まりながらの説明は分かりにくかったと思う……けど、それを聞いていたみんなは、一度無言になって顔を見合わせたあとに、「やっぱり分かってなかったか」って中村さんが……って、え?

 

「真尾ちゃんのことだからそんな気はしてたけどさ、……なーに言ってんの。確かにこれは男子に邪魔して欲しくなかったから名目上『女子会』ではあるけど、これ、あんたの歓迎会も兼ねてるんだからね」

 

「……、……え、え?」

 

「私らはさ、2月の終わりからE組になって一緒にいたり元々本校舎にいた時から仲が良かったりしたけどさ……あんたは途中参加な上、あんまり話したことなかったっしょ?」

 

「こうやって時間を作って、早く女子の間だけでも慣れて欲しくって。でも人がいっぱいだと真尾さんまだ上手く交流できないだろうし……だったら男子がいない間に構い倒せばいいのかなって!」

 

「だから、今日はホントに真尾ちゃんが主役。私達にお世話されて、構われてればいいんだよ〜」

 

「むしろいつもは、ほとんどをカルマと渚に独占されてるんだから、たまには私達が独占したっていいでしょ?」

 

「……私達だって、構いたい」

 

「ちなみに、今日来れなかった人達も合わせて、全ッ然足りないから、女子会その2その3も計画するからね!ちゃんと来なさいよ!」

 

「………ぁ、……うんっ!」

 

 ……みんな、こんなこと考えてくれて計画してくれてたんだ。みんなからかけられた言葉はとにかく優しさで一杯で……『自分から』が苦手でなかなかできない私の代わりに、みんなから近づいて、きっかけをくれたんだ。

 その後は、ドリンクバーのジュースを混ぜて遊んだり(ファミレスでは初めてやるけどカラオケの定番みたい)、先生たちの話題……例えば烏間先生のカッコよさ(倉橋さんが力説してくれた)やイリーナ先生の女磨き(矢田さんが最近交渉術とか経験談を聞きに片岡さんと一緒に通ってるんだって)、殺せんせーの最近の奇行(これはカルマくんや渚くんが見つけたものを私が提供した)とかを話して、なかなかに盛り上がってからの解散となった。

 

 帰り道、私は女の子のみんなへ返せるお返しを考えていた。みんなは私に対して色々考えて計画してくれた。そして、実行もしてくれた。だから、私にもできる『私から』関わる方法……何か、ないかな……

 

 

〝アミサちゃん〟

 

〝真尾さん〟

 

〝アミサさん〟

 

〝真尾ちゃん〟

 

 

 …………!……見つけた、かもしれない。

 

 

 





 ────ガラッ

「おっはよー、真尾ちゃん!」

「あ、おはよ〜、昨日は楽しかったね〜!」

「………よ……、……っ」

「ん?」

「どうしたの?」

「……お、おはよ……、……その……莉桜ちゃん、陽菜乃ちゃん」

「「!」」

「……ん、おはよ、アミサ!」

「お〜、アミサちゃん名前呼び〜っ!私もするねっ!」





「……私も」

「……凛香ちゃん?」

「…………っ……(ナデナデ)」

「わ、わ……えへへ……」



++++++++++++++++++++



「カルマくんや渚くんは私を『アミサちゃん』と呼ぶ」
→「他のみんなは『真尾さん』って苗字で呼ぶし、私も苗字で呼んでいる」
→「名前で呼ばれる方が嬉しい」
→「呼んでみよう」
という思考回路でした。



今回は中間テストと+αとして以前「毒の時間」で茅野と約束していた女子会を実現させました。
中間テストは原作の説得(という名の煽り)だけじゃなくてなにか付けたそう、とした結果こうなりました。描写はされていないけど、原作を読む限りこういう事なんじゃないでしょうか?


そして、リニューアル前はサラッと流してましたが、ちゃんとオリ主はしかられました。ここは前になかった描写なので、実はこんな感じだったんだよーというのを補完できてたらいいなと思ってます。


女子会のメンバーは作者の独断と偏見で決定してます。
そして、ここのお話以降は女子については名前呼びをすることになります。名簿の時間、卒業アルバムの時間を参考にしてお互いの呼び名は考えていますが、間違えている時もあると思います。その時はそっとご指摘いただけると嬉しいです。


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