今日は11月9日、いい靴の日ってことで番外編を書き始めたら、靴の話が最後の方にしか出てこなかった不思議。それでも靴の話と言い張ります。あれ、タイトル……。
※椚ヶ丘中学校卒業後、高校生設定
※日本の高校に進学しているか、クロスベルに帰っているかはまだ本編がそこまでたどり着いてないのですが、ここでは一緒に椚ヶ丘高校に進学した設定です
※本編通り、お付き合いを始めたのは中3の10月頃
カルマside
言い出しっぺは誰だったか。
「お前らって、デートしないの?」
その、誰かが何気なく言った言葉が始まりだったと思う。俺は男子で全く関係ない話題で話してるところに混ざるわけでもなく、かといって離れてると情報収集もできないしなーって会話が聞こえる程度の距離で窓辺に寄りかかって煮オレを飲んでたから本気で誰が言ったのか判別できなくて、何を言われたのかも分かってなかった。まず俺に対して言われてるのも気付かなくて、スルーしかけてたんだけど。
「……赤羽、何を他人事にしてるんだ。お前に言ってるんだが」
「……え?あ、俺?」
「マジで気付いてなかったのかよ……」
高校に進学してクラスメイトになった浅野君が呆れたように呼んできてようやく自分のことだって分かったけど……会話に混ざってたわけでもないのに俺に話しかけてくると思わないって。
意識を話してた男子達の方へ向ければ、今年クラスメイトになった五英傑と数人が俺の方を向いていて……誰だっけ、五英傑以外まだ名前覚えてないけど……あ、俺と同じ外部受験で椚ヶ丘高校に受かったヤツらじゃないっけ?内部生によくあるE組だったくせにーって感情も感じないし、そもそも見覚えもないし、多分そうだ。
「お前、真尾さんだっけ?うちのクラスの小動物系でめちゃくちゃ可愛いあの子、彼女だろ。普段からちょっかいかけてる浅野とか榊原とかに牽制しまくってる割にはデートしてるって話し聞かないからさぁ。俺休みの日は椚ヶ丘市内フラフラしてるけど、お前ら2人でいるのを見かけたこともダチに聞いたこともないし」
「あ、確かに。ウチの高校じゃない制服のやつと一緒にいるところとか、登下校で一緒にいるところはほぼ毎日見るけどな。そこで一緒にいれるから十分ってか?お前高校生男子の癖にドライすぎね?」
「……?2人はいつも一緒にいるからドライってことは無いんじゃないか?」
「いや普段からって意味で」
「……アミサさんと赤羽は普段からこんな感じだろう」
「ドライなとこが?」
「いや、距離感バグってるところが」
「……ん?」
「は?」
浅野君とクラスメイトで会話が噛み合ってないのは分かるけどさ、えーと、……これ、俺からのツッコミ待ちだったりする?
浅野君はあの2学期期末テストの戦いを終えてから、すごくクラスメイトととの関わりというか意思疎通というかを積極的にして、相手を手駒としてだけじゃなく知ろうとするようになった。それは椚ヶ丘高校に進学してからも変わらずで、ただ今まで当たり前のように見下すように関わることしかしてこなかったからか、天然なのか?ってくらい噛み合わないことが多々あって、それを正すのはだいたい五英傑の奴らか俺の役割になってたりする。でも、
「……これ俺がツッコミ入れんのはなんか違う気がするから誰か代わりに言って欲しいんだけど」
「諦めんなよ当事者。……あーもうしゃーねーな!浅野、こいつらは中学の赤羽達を知らないからお前の印象で話しても噛み合うわけないだろ」
「……!そうか、君達は外部生だから知らないのか……、赤羽とアミサさんは登下校どころか高校生活以外でもほぼ一緒に過ごしてるからドライどころか離れてる時を見る方が新鮮なくらいだよ。……というかむしろ今まさにアミサさんから離れてるお前はなんなんだ」
「なんなんだ、って……なんか女子に取られたから返してもらうの待ってるだけだけど?」
「……お前、待てができたのか」
「その心底意外ですって顔やめてくんない?とりあえずまだ敵意感じないし、アミーシャが大丈夫な気がするって言うから」
「普段から近くに置きたがるお前を見ていたらこうもなる。まあ、アミサさんは時折感情、……いや、心が読めるんじゃないかと感じる時があるしな。その彼女がお前を伴わずに離れたなら危険は少ないだろ、多分」
「そういえば内部生とは相変わらず相性悪いけど、外部生からはかわいがられてるね、彼女。苗字呼びしてるってことはまだ警戒してそうだけど」
「内部生からしたら赤羽による真尾さんの溺愛っぷりは有名だからね……当たり前のように一緒にいるから、そばにいない方が違和感あるし」
「しかもオマエら親公認で半同棲状態だもんなぁ」
「あー、まあ、ね」
「「「は!?」」」
確かに高校生でお互いの家を行き来したりどっちかの家で泊まってたりっていう半同棲状態なのはあんまり聞かないけど……でも俺らは特殊ケースだから大目に見て欲しいよね。アミーシャは
なんか勘繰ってそうだから男子の雑談としてハッキリ言っとくけど、ひとつ屋根の下とはいっても、まだ健全なお付き合いしかしてないからね。なんておどけて言ったら「うそだろ……」って顔で見られたんだけど、それはそれで失礼すぎない?
「でも……そう言われてみると、中1の頃から俺と渚と3人で出かけることはあったけど、俺ら2人だけで遊びに行ったことってほとんどないかも……?」
「はァ?」
「え……マジで言ってる?」
「うん。そもそも付き合い始めたの昨年の10月くらいだし、俺もアミーシャもE組だったから外部受験確定してたしさぁ。あってもほとんどお互いの家で勉強ばっかしてた」
「いや2人してアッサリ合格してただろ;ウチの試験、確実に外部受験のが難易度高いはずなのに……」
「椚ヶ丘中学校過去最難関と呼ばれるあのテストで満点叩き出した才色兼備バカップルの癖に」
「……え゛!?あの『椚ヶ丘中学校のテストに挑戦!』とかって名目で一般公開されてる過去最高難易度って言われてる化け物テストを?五教科満点??しかも2人とも???」
「この僕でさえ数学の最終問題で3点落としたテストだな……くっ」
「満点じゃないって悔しそうだけど、それはそれで君も十分化け物級なんだよ、浅野君……」
中1で出会って、彼女のあまりの世間知らずに渚と2人で色んなところに連れ出して、疎遠になって、停学中は彼女が外を拒絶してしまったからそこまで遠出をすることもなくて。3年になってからはE組の奴らと出かけることはあったけど2人っきりでどこかに行く、ということはしてない気がする。というか覚えがない。
浅野君が自分の言葉で勝手に自滅して悔しがってるのを横目に記憶をさらったけど、一緒に過ごしてる思い出はめちゃくちゃある割に……俺、本気で2人っきりで遊びに行ったりどっかに出かけたりしたこと、ほとんど無いんじゃね?
「…………」
「……そんなショック受けたような顔しないでくれよ、赤羽君。反応に困ってしまうだろう?」
「なんにせよ、デートくらいしてやったらどうだ。下手したら僕らとお茶会してる回数の方が多くないか?」
「……多いかも。でも俺もいるじゃん?」
「君がいたとしても主催してるのは僕だ。そしてアミサさんだけを誘ってるのに毎回着いてくるのもお前だ」
「何かあってもヤだし、俺抜きで元
「誘ってもないのにいつの間にかいるからだろ。アミサさんの手前いるのに断るのも、……ってお前それを狙って毎回偶然を装って来てないか?!」
「今更?」
「邪魔しに来るくらいだったら僕が誘う前にお前が誘え!そもそもの予定を埋めろ!」
「元E組で遊ぶ予定で埋まってるし、普通にアミーシャとずっと一緒にいるんだけど」
「僕は2人の予定を埋めろと言ったつもりだったんだが!?」
「すげぇ……浅野をここまでヒートアップさせてなあなあにできんのって本ト赤羽くらいだよ……」
「真尾さんは?」
「あの子はそもそもの調子を狂わせてくるから別枠」
「すげぇといえば、元E組ってほぼ全員進学先バラけてるんだろ?……それで集まってんのも仲良すぎだろ」
「あと顔合わせれば言い合いが始まるけど、お前らも実は仲いいよな?」
「「いや良くない!」」
「真尾さんがここにいたら『2人はいつでもそっくりだよね、仲良しさんだから』とかニコニコと言って2人を悪気なく沈めに来る場面だね」
「今、まさに蓮が沈めに来てるが?」
「待て待て待て、そもそも彼氏は赤羽なんだろ;なんで2人じゃない……というか真尾さんもなんで赤羽がいるとはいえ浅野達やその元E組?と一緒に過ごすことに疑問を持たないんだ;」
「「真尾さんだからね」」
「「アイツだからな」」
「アミサさんだからだね」
「…………はぁ」
「なんでその一言で説明ができるんだって言いたいけど、それで全部説明がつく気がするのもなんかムカつくな」
「……とりあえず、赤羽が苦労してるのは分かったわ」
浅野と軽い言い合いをしてて思ったけど、結局今話してるみたいな状況になっても俺とアミーシャが険悪にならないのは、アミーシャが俺しか見てないって分かってるのはもちろんだけど、人一倍警戒心の強いアミーシャが一緒に過ごせるのはE組のメンツと、既にアミーシャからフラれてる浅野君達だってこと。あと、こいつらなら絶対に手を出さない、何かあれば彼女を守ってくれるってこと。……俺は案外こいつらを信用してるんだよね。こう軽口を言い合えるようになったのも、テストを通して、本気で、殺す気で1年向き合ったおかげだ。
でも、コイツらの言い分ももっともだよね〜……放課後から朝まで、もっといえば学校でも一緒にいるような間柄とはいえ、あらためて2人っきりでデートか……色々指摘されて俺としてもあの子の新しい一面が見てみたいし、1度誘ってみようかな。
「カルマ、ただいま……っ」
「あ、おかえり。なーに、なんかいい事聞いた?」
「うんっ、あ、あのね、私……身長伸ばしてみるね!」
「……うん、がんばって?」
「……、ちょっと待てスルーすんな赤羽。……誰か通訳いないか……?」
「無理」
「パス」
「身長か……物理的に伸ばすということじゃなくて補助的なもので高くしようとしてるんだろうけど……彼女は何を聞いてきたんだろうね?;」
「さぁ?それを言った女子は赤羽君との交際の邪魔のつもりなのか、純粋なアドバイスのつもりなのか……うーん、悩ましいね;」
「とりあえずアミーシャはこのサイズでいいんだけどなぁ……」
「とりあえずでお前は何を言ってるんだ」
「……確かに赤羽と真尾はセットだなってことをやっと納得した気がするわ」
「真尾、当たり前のように赤羽を背もたれにして引っ付いてるもんな……これでデートしたことないはバグだろ」
「最初から言ってるじゃないか。この2人の距離感はバグってると」
「「納得」」
ニッコニコで帰ってきて当たり前のように俺にもたれ、俺の右腕を自分の体に回して引っ付いてるのを見れば、この身長だからこれができるのになんで身長を伸ばすって発想に?なんて疑問が湧いてくる。とりあえず可愛い言動に空いた左手で彼女の頭を撫でてれば、相変わらず色々足りない俺らの会話に周りが混乱してるのがわかる。
といっても、俺の反応を聞いても詳しく説明しようとしないってことは、俺が理解してなくても問題ないってことだから聞かなくていいかなって。そんで多分ほぼ榊原の言ってることで合ってると思うからツッコミ入れるのはスルーした。……この感じ、今まで会ってた女子達からなんか吹き込まれたんでしょ、理由は知らないけど。本人が楽しそうだからいいんだよ。
ま。これでもし、悪意があるなら容赦しないけどね。
◆
そんな事があって数日経った休みの日。言われっぱなしなのは癪だし、周りに対して変な誤解とか広めたくないし、……単に俺自身も恋人になったからこそ2人っきりで出かけてみたかったし。俺は元
なんか用意があるとかで昨日はそれぞれの家に帰宅してたから、俺は家を出てそのままアミーシャを迎えに行く。チャイムを鳴らせば、いつぞやのように一切外を確認せずに扉の前に気配が……アミーシャの正体を考えれば大丈夫だと分かってるけど、でもやっぱり確認して欲しいと思うのは仕方ないと思わない?案の定なんの警戒もなく扉を開けた彼女の頭を軽くはたき、ちょっと痛そうに頭を擦りながら隣を歩き出した彼女の全身を見て……何か違うなって、思う。
「……なんか、デカくない?」
「んふふー、……新しい靴、買ってみたの。これで身長伸びたでしょ?」
そう、ちょっと照れたように得意げに笑う隣の彼女の足元を見てみれば、確かに見た事がない厚底の靴を履いていた。今日の服装もアミーシャの故郷である東方のテイストだけど、その件の靴の雰囲気も足首にリボンを巻くスタイルのもので服装とあんまり違和感がない。若干目線が近くなってるので違和感を覚えたけど、すぐに気が付かなかった。
これか、あの時の謎の『身長を伸ばしてみる』の正体は……いや、それにしてもだいぶ分厚くない?え、15センチ?相当高いけど転……ばないか、アミーシャだもんね。
「急にどうしたの。別に今まで俺と一緒にいる時に身長気にしたこと無かったじゃん」
「んと、クラスの女の子たちにね、恋人との理想の身長差は15cmだって教えてもらって……私とカルマの身長差って30cmくらいでしょ?内功で体型は変えれるけど、身長は骨が関係してくるからそこまで変えれないし、こういう靴でなら、その、身長差……う、埋めれないかなぁって……」
「……ふふ、うん確かに。ちょっといつもと目線違ってこれはこれで新鮮だね」
「えへへ……」
あぁもう、健気だなぁ。多分、あの女子達から聞いて彼女なりに色々考えて実践してみたんだろう。今この時まで黙ってたってことは、サプライズで俺と理想の身長差になりたかったってことでしょ?こういう素直にとりあえずやってみようとするところがアミーシャらしい。
「アミーシャの人嫌いもだいぶ解消してきたよね。まぁ、まだ苦手な人はいるだろうけどさ」
「うん……でも、でもね、外部生の子たちはね、中学の私のこと知らないから……E組のみんなみたいに接してくれるの。まだちょっと怖いけど……内部進学した人たちよりはへーきだよ」
「……もしかしてそれ聞いてる最中に、内部生も合流したりした?」
「!……なんで、分かったの?」
「ん、なんとなくね」
軽く振った話題に自分から『内部生』というワードで反応を返してきたから推測できた、とは言わないでおく。アミーシャなりに俺に伏せておきたいかもしれないし……でも、ちょっとでも嫌な思いをしてるかもしれないなら、彼女が言える範囲でいいから一応会話を把握しておきたい。
俺が見た目不良にしか見えないこともあってまだ女子からは遠巻きにされてて、アミーシャの味方をしてくれる人からも情報は入ってきづらいんだよね。五英傑の荒木が中学時代の部活のツテを使ってかかなり情報通だからそこまで困らないけどさ。俺からしたらアミーシャとE組の女子以外はどうでもいいし来なくていいんだけど、あの1年で自由に盤面を動かすには情報が大事だって嫌という程学んだから。
「ちなみにその内部生って何言ってたか覚えてる?」
「え?え、と……、身長差がありすぎてカルマがかわいそう、とか、私とタイプが違いすぎて釣り合ってないとか……何がかはよく分かんなかった。でも、どうにもできないことしか教えてもらえなかったことに変わりないから、とりあえず隣を歩く時くらい靴でごまかせないかな、って……」
……これ、アミーシャから聞き出さなければ女同士の恋バナ、いい話で終わらせられたんだろうな。その女子達、明らかに嫌味というか、アミーシャ自身ではどうしようもないことを言って俺と上手いこと引き離そうとしてない?陰湿な女子がやりそうなことだ。
ちょっと怒りが湧いて表情に出そうになったけど……ちょっと大きめに深呼吸して怒りを飲み込む。アミーシャの声色がそんなに気にしてないところを考えれば、全くダメージになってないんだろうし、彼女のことだから俺に大きな感情の動きがあればすぐに察してしまうだろうから。……それに。
「でも、ここまですれば自然とフラついても不自然じゃないし、甘えやすいでしょって、外部生の子が慌てて言い返してたんだけど、どういうことなんだろ……これ、お店に売ってたってことは普通に履くものなんだよね?フラつくようなものだったら履かなきゃいいし、作られないよね……?」
「そうだね。ま、無視しといて問題ないと思うよ」
アミーシャに話した女子、この子の身体能力を侮ってたねー……ご愁傷サマ。
今年から廃止されることになった椚ヶ丘中学校3年E組、その最後の生徒達が超生物を殺すための暗殺訓練を受けていた、というのは関係者だけが知る国家機密だ。
俺は履かないから分かんないけど、あの山道を下る時に毎回『ヒールで登山なんて時間かかるに決まってるでしょ!』ってキレてたビッチ先生を思えば、普通、こんなに靴底が高かったりヒールが高かったりする靴はそう簡単に履きこなせないと思う。多分アミーシャに色々吹き込んだ女子達は、片や用意したところで履けるわけが無いとバカにし、片や上手く歩けないことを利用して甘えるようにと親切で言ったんだろう。
誤算だったのは、その対象がアミーシャだったこと。
彼女が初めて履いたのだろう15cmはある厚底の靴を全く危なげなく履きこなすなんて夢にも思わなかっただろうな。今年一緒の学年になっただけの生徒が、彼女が対超生物としても、真の意味でも暗殺者だなんて知ってるはずがないんだから。あと、直接的な嫌味じゃないのと味方した外部生のおかげでアミーシャに伝わってないってコンボ付き。残念でした。
「……でも俺、入学してまた身長伸びたから、多分俺とアミーシャの今の身長差15cm以上あるよ」
「!?えぇ、ちょ、ちょうどいいと思ったのに……」
「いいじゃん、今日の服にも似合ってるし。かわいいよ」
「……!……えへへ、ありがとカルマ」
「今日の行き先、映画とショッピングセンターにしちゃったけど平気?歩けなくなったらちゃんと言ってよね、慣れない靴だと靴擦れしたっておかしくないんだから」
「だいじょぶだよ、……今日の、2人でのおでかけ楽しみだったんだ。計画してくれてありがと、カルマ」
「……別にー?俺ら、まともに2人で遊びに出たことないなって思っただけだから。……E組で集まるのもいいけどさ、これからは2人だけでちょっとずつでもいろんなところに行こうよ」
「……うんっ!」
……なんだ、こんな些細なことで、こんなに喜んでくれるんだ。アミーシャはまだまだ世界が狭くて知らないことだらけで、彼女の方から俺とどうしたい、どこに行きたいって欲はなかなか言わないけど……こんな簡単なことで、笑顔が見れるんだね。渚と一緒に連れ回してた時から知ってたはずなのに、あの1年が濃すぎたこともあってすっかり忘れちゃってた……全然できてなかったや。
「ほら手。甘えてくれないの?」
「……ころんじゃったら嫌だから、手を繋いで欲しいな?……って言った方が、カルマは嬉しい?」
「それ俺に確認したら台無しだからね?あとアミーシャならどんな靴履いてても転ばないだろうなって信頼しちゃってるしねー……意味無いかも」
「言ってみただけ、だよ。……ふふ、私とカルマのいつも通りがいいな、……一緒に歩こ?」
「仰せのままに、お姫様……なんてね」
軽口を叩きながら2人で手を繋いで歩き出す。危なげなく歩く足取りで少しだけ近くなった頭がぴょこぴょこ揺れていて、全身でこれからが楽しみなことを表現してくれている彼女。進学して変わったこともあるけど、変わらないこともある……俺達の場合は今年からのクラスメイトからの後押しと、俺のことを考えてちょっとだけ踏み出したこの子の勇気でできた今日という日。
きっかけって本ト些細なことで生まれるんだねー……せっかくだし今日以降はアミーシャの行きたいところとかも上手く引き出してあげよう。それが俺の役割だ。
さて。どっかで野次馬してるかもしれない人達に見せつけるためにも、このままデートはしっかり楽しませてもらおうかな。……一応牽制しとくか。
「……俺達が着いてってるの、赤羽にバレてねーか?」
「確実にバレてるね」
「ついに2人のデートを見つけたからってトークに送ったのに集まってそうそうにバレてたとか……、すぐ隠れたのになんで気付くんだよ!?」
「まぁ、普段から警戒心の塊だからなアイツ」
───ピロン
「……ん?なんかチャットが……あ。」
《業:着いてきても別にいいけど
合流するつもりは無いからよろしく
「「「…………」」」
「確定だな」
「ねぇ、ピンポイントで俺に連絡来るとかある〜?;」
「お前が全体に連絡入れたことすらバレてんじゃん」
「まあ、俺らからの発破とあの女子の嫌がらせって状況を上手くデートに使ってるみたいだし、ここでお開きにしてもいいんじゃね?」
「そうだね、休み明けにまた話を聞けたらいいんじゃないかな」
「よし、帰ろうぜ!なんなら俺達だけで遊んでくるか?」
「いや、俺らが良くても浅野は行かないだろ。な?」
「……」
「どうしたんだい、浅野君」
「浅野?」
「……赤羽だけじゃないらしい」
「「「はい?」」」
《Amixia:学秀くんたち、かくれんぼしてるの?
「「「……なんなんだよ、あのカップル怖ッッ!?」」」
「俺が気付くんだからもっと気配に敏感なアミーシャが気付かないわけないよね」
「この通りに入る前から着いてきてるけど、……学秀くんたち、私たちに用事があるわけじゃないんだよね……?」
「多分ね〜」
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まだ本編がここまでたどり着いてないので、『もし椚ヶ丘高校に2人が進学してたら』のIF話でした。
普段はバッチバチにトップ争いをしてるだろうけど、人として変わった所もある浅野君となら、こんな日常とすごしてたらいいなという思いで名無しの外部進学生を登場させてみました。
オリ主が気にして無さすぎるので、いらんことを言った女子に対してカルマからの報復はないと思いますが、素直に外部生の女子に報告するオリ主や、全く相手にしないカルマに「ギリィ」しててくれたらいいなぁとは思います。
内部生からしたら、見下してた2人がトップに返り咲いたので苦々しく嫌がらせしようとしてたけど、外部生からしたらそんなこと知らないだろうから……な話にしたかった。キーアの力からとっくに外れてるので、内部進学生はともかく、オリ主が外部生の女子と仲良くなりつつあるのは本人の努力って裏設定があります。