暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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劇場版暗殺教室『みんなの時間』が公開されて、それを記念してお話を何か書けないかな……と卒業前15日前をテーマにした内容だったこともあり、こちらでもそのくらいの時期を想定したお話を書いてみました。平穏で、仲のいいE組を描いたつもりです。

※映画は全く関係ありません!!
※先生達は出番ありません
※とっても小話です
※投稿日は4月1日です



★番外編・ゲームの時間

 

渚side

 卒業を控えて残り数日。暗殺期限は迫っているけど受験も終わって授業もなくなり、このE組校舎に来るのも殺せんせーへの暗殺に最後まで向き合うため。そんな状況の中誰が言いだしたかは定かじゃない。だけど〝飲み会ゲームをE組1のバカップルにやらせたらどうなるんだろう〟というちょっとした話題からE組全員(件のバカップル以外)に広まるのも、面白がった面々によってセッティングまで終わるのも、とにかく早かった、ということだけが確かだ。

 話してたのは昼食時間だったはずなのに、あれよあれよという間に話がまとまり、経緯を知らないカルマとアミサちゃんが校舎の外から帰ってきたのを見計らって全員の中心に座らせて……このあたりでさすがにカルマはこのメンツが自分達で遊ぼうとしてるのを察したみたいで、不機嫌そうな顔になってたけど、アミサちゃんはいつもと変わらず流れを読めてないらしくきょとんとしていた。

 

「「愛してるゲーム?」」

 

「そう!ただお互いに『愛してる』って言うだけで、照れたり笑ったりして返事や反応を返せなくなったら負けってゲーム!」

 

「このゲームの良いところはねぇ、やる本人も聞いてる側も誰も嫌な気持ちにならないってところよ!」

 

「『愛してる』ってワードを相手に言って聞くだけだからね」

 

「やる人達によっては『大好き』とか『かわいい』とか『かっこいい』とかは禁止、みたいないろんなルールがあるけど~、必ず『愛してる』ってワードが入ってるならちょっと長めに喋ってOKにしよっか~!」

 

「どうせなら軽いボディタッチはOKにしない?さすがに抱きしめるとかは無しで」

 

「採用採用。シンプルだし簡単、見てる方も楽しい、それに誰も不幸にならない!どーよ?」

 

「……それ、お互いに『愛してる』って言い合うだけだよね?それってゲームとして成り立つわけ?」

 

「そ、それに……みんな見てるんでしょ?そこで好きって、」

 

「『愛してる』、ね!」

 

「ぅ……愛してる、って言うの、恥ずかしいよ……?」

 

「それがいいんじゃない!」

 

「あとゲームって便宜上言ってるだけで、ただのお遊びだって!ほら無言で見つめ合うだけでもなんか笑えてくるじゃん?あれの言葉付きバージョンってだけよ!」

 

「てか、2人だったら毎日のように好きとかいろいろ言い合ってると思ってたわよ。ないの?」

 

「言ってる」

 

「即答かい;」

 

「だからゲームとして成り立つの、か……言い慣れてるからって意味だったんだ……」

 

「カルマ君はどうせことある事にアミサちゃんに対して『可愛い』とか『好き』とか言ってるんでしょ」

 

「当然。だって俺の言葉でころころ表情変えるのが可愛いんだもん。言葉1つでこんな顔見れるんならいくらでも言うに決まってるでしょ」

 

「惚気乙」

 

「腹立つけどお前らの超えてきた障害を思うと何も言えねぇー……」

 

「アミサちゃんはー?」

 

「……、……言い合っては、ない……カルマはいっぱい言ってくれる、けど、……言わなくても、分かってくれるから……ときどき……」

 

「この子の場合、全部顔と行動に出るからねぇ」

 

 カルマの言い分を聞く限り、言い慣れてるならアミサちゃんも聞き慣れてるわけで……確かにゲームとして成り立つのか微妙なところかもしれない。彼がものすごく余裕そうな反面、彼女は恥ずかしそうだけど、これ、『愛してる』って言うのを恥ずかしがってるというより、その場面を見られることを恥ずかしがってるよね?相変わらずどこかズレてる子だ。

 でも、この感じ……カルマ君はアミサちゃんが口に出さなくても察せちゃうから、彼女から愛の言葉を言ってもらうってことは少ないんじゃないかな。恥ずかしそうにしている彼女を愛おしそうに目を細めて見ているカルマに対して僕と同じことを考えたんだろう、矢田さんが前に出た。

 

「……でもさ、カルマ君は言葉にして言って欲しいとは思わないの?今ならゲームとはいえ合法的に愛してるって言って貰えるよ?」

 

「あんたアミサからの愛の言葉、欲しくないわけ?」

 

「表情とか態度でもたしかに分かるけど、言葉にするのってすごく大切だし嬉しいと思うけどな」

 

「あーちゃん可愛いだろうな〜」

 

「……よし、やろっか!」

 

「ひぇぇ、なんかすごい笑顔……」

 

「一瞬で火がついたな」

 

 さすがビッチ先生の教え子達、怒涛の交渉。いつもならアミサちゃんがちょっとでも引いてたら断固拒否の姿勢をとるカルマでも、女子達の言い分を聞いたらノリ気になったらしい。アミサちゃん自身はまだ微妙な顔をしてるんだけど、止める気はないんだろう……違うな、言っても意味ないとか思ってそう。

 

「じゃ、まずは俺からね」

 

 ニコニコと何か企んでそうな笑顔でアミサちゃんに向き合ったカルマは、不安そうな彼女の顔に右手を伸ばし頬に添えると表情を一変させ、ふわ、と僕らがあんまり見た事ないくらいキレイに笑って。

 

 

 

 

 

「……出会ったときからずっと、俺には君だけだから。……愛してるよ、アミーシャ」

 

「……〜っ」

 

 

 

 

 

 ……もうこれ公開告白、プロポーズしてるようなものだよね。やる方もちょっとは動揺してくれてもいいだろうに、見てるのがE組しかいないってこともあってかカルマは隠しも遠慮も全くしない愛の言葉をアミサちゃんに向けている。しかもじっと彼女の目を見つめて……アミサちゃんがカルマの顔に注目せざるを得ない状況を作ってる。

 アミサちゃんって、カルマの声や目もだけど、触れてもらうことそのものが好きだし、この目を合わせて見つめ合うって状況に弱いのは僕らにとっては周知の事実……勝つためとはいえカルマは策士だなぁ。

 

「うっわぁ、ここぞとばかりに自分の顔と声のよさを利用してない?」

 

「腐ってもカルマはイケメンだからね……中身は不良悪魔な厨二病だからアレだけど」

 

「イケメン腹立つわぁ……でもそれを向けんのは1人だけってあたりマジで一途だからなんか腹立ってもどっか行くんだけどよ」

 

「しかも当たり前のように照れさせるつもりで本気出してるでしょ。アミサが照れて返事できなくなったらゲーム終わっちゃうんだけどいいの?」

 

「いや……あれは合法的に『愛してる』が言えることに加えて、自分の言葉で照れてる真尾さんを見せることで僕達を牽制しようとしてるとみていいね」

 

「あれ言って欲しいんじゃなくて言いたいだけなんか……」

 

「E組に牽制してどうすんだよ、全員応援してんだから意味ねーだろ」

 

「寺坂、お前そういや席近いせいで巻き込まれがちだもんな……」

 

「あーちゃんあれで我慢できてる~?」

 

 みんな2人の様子を楽しむだけの立場なのをいいことに言いたい放題だ。かくいう僕も、親友が楽しそうで可愛い表情になってるところを見るのは微笑ましいと思ってるけど。

 そんな渦中のアミサちゃんは、至近距離での愛の言葉に対してさすがにちょっと動揺したのかピク、と小さく体を揺らして目を逸らした。頬も赤くなってるから効いてはいるんだろう……でも、そっと顔を上げたアミサちゃんはどう切り替えたのか顔は赤いままだけど自分から見つめ返して落ち着いているようにも見える。

 

「中村さん、判定は?!」

 

「……照れてはいるけど返事できないほどでは無いわね、続行しましょ。次、アミサの番よ!」

 

「あ、カルマ君、『もう1回』とかもありだからね!」

 

「お、いいねぇ。何回繰り返してもらおっかな〜」

 

「悪魔だ……」

 

 うわ、後出しでルール開示してる……し、カルマは目に見えるほど嬉しそうにアミサちゃんの言葉を待っている……そんなに聞きたいのか;まあ聞きたいよね……合法的にたくさん聞けるって言われてこのゲームに乗り気になってたくらいだし。

 アミサちゃんは余裕そうなカルマを見ても、追加ルールを聞いてもそこまで動揺してないのか、若干の赤みを残した顔のまま何か考えていたようで。決心したのか1回軽く目を伏せると、自分の頬に添えられたままのカルマの右手を両手で包み込み、ふにゃ、と溶けるような笑みを浮かべて。

 

 

 

 

 

「……愛してる」

 

「……〜ッ、……おれもうまけでいーや……」

 

「「「いや負け認めるのはっや!?!?」」」

 

 まさかの1ターンキルだった。

 

 たったの5文字。カルマのと違って全く飾らないそれを聞いた瞬間、ぶわっ、といつかのように一瞬で真っ赤になった彼は、アミサちゃんに添えていない左手で自分の顔を隠して敗北宣言をした。いや、あんなに本気で愛おしいって全面に押し出してる表情で言われたら分からないでもないけど……そうだとしても弱い。

 

「おっ前さぁ……さすがに弱すぎないか?」

 

「修学旅行の自覚した時並に一瞬だったな……」

 

「もうちょい粘る流れじゃなかった?」

 

「いつぞやのビッチ先生の課題と真逆だな。文量も照れてる方も」

 

「待った、……俺にも言い訳させて」

 

「聞いてあげましょう」

 

「なんで茅野は上からなの……;」

 

「アミーシャってさ、相手を自分に縛りかねない言葉はまだ怖いらしくて普段から本ットにこういうこと言わないんだよ。いや、でも全部顔と行動で俺のことを信頼してる、好きって見えるからそれは別にいいよ。俺としてはアミーシャになら縛られてもいいからこう、言葉にしてくれるのは嬉しいんだけど、……でもさぁ、こんな……さぁ……ッ!」

 

「あー。ダブルパンチは流石にってことね」

 

「つまりこれは……アミサ、それ演技するつもりでやった?」

 

「んーん、……あんまり近くに行くのはダメ、みたいなルールだったから、どうしたらちゃんと伝わるかなって考えてて……手だったらいいのかなって」

 

「……アミサ、これゲームだって分かってる?」

 

「……?嘘じゃなくて、ホントに好きだよって気持ちを伝えて、カルマが照れてくれたら嬉しいなってゲーム、だよね……?」

 

「〜〜〜ッ!」

 

「あ、そう解釈してたんだ」

 

「カルマはゲームだからこそ1回は確実に聞けるとは思ってたんだろうけど、真尾も普段素直に言えない分この機会をしっかり利用して言ってたってわけな」

 

「別に好き同士以外でも盛り上がるゲームってこと言えなくなっちゃったなぁ……先入観与えないためにも例も何も見せずにやらせたからなぁ……」

 

「……つまり?いつも通りなら真尾が照れて固まって可愛い顔が見れるわーとか遊びと捉えて軽くやったカルマに対して、真尾は素直に思った通りの本心で言ったからこそコイツは不意打ち食らったと」

 

 夏休み、沖縄で殺せんせーが実行したベッタベタな狙いが分かりやすすぎる仕掛けの肝試しで、唯一全ての仕掛けを真面目にこなした2人は、あの時はまだ付き合ってなかったはず。……ごめんちょっと語弊があった、……方や自覚済み、方や意識し始めた時期、だったっけ。その時ですら仕掛けで意識してたのはカルマだけで、アミサちゃんは知らない遊びを教えてもらって楽しんでただけだもんね。

 真っ赤な顔のままカルマは言い訳を色々並べ立ててるけど、要は今のアミサちゃんの言葉は演技じゃない本心からの言葉だってことが分かって我慢できなかったってこと。今の言葉が本心から溢れ出たものだって言われる前から察して撃沈してたけど、本人の口から裏付けされて更に赤くなってない?カルマからはもう言葉になってない呻き声しか聞こえなくなっちゃった。

 

 

 

 

 

 結果、素直なアミサちゃんを舐めたカルマの負け。

 

 

 

 

 

 





 ……これは、本当にあったかもしれない、これから訪れるかもしれない未来のお話。



++++++++++++++++++++



4月1日の午前中は嘘をついてもいい日、そして嘘をついたらそれがその嘘は叶わないらしい、と聞いたことがあります。
もちろん根拠はありませんし、迷信でしかないです。



……さて、今日はエイプリルフールでしたね?
このお話は嘘になるのでしょうか?
それとも本当になるのでしょうか?
書いてる作者もどうなるか分かりませんので、未来は未確定ということで!楽しんで読んでくれたら嬉しいです。

では、次の本編の更新を待っててくださいね!


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