暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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今回、是非最後まで読んで欲しいです!

約70話のもどかしさに終止符を!

終わりではなく始まりを咲かせます。





74話 アフターの時間

 

渚side

 僕達が身に付けた大きな力の使い方を間違えて、1人の怪我人とたくさんの子ども達を支える仕事の滞り、という大きな損害を起こしてしまってからの、保育施設『わかばパーク』での2週間はあっという間だった。

 最初こそ「誰だよ」って顔で僕等を見てきた子ども達も、2週間毎日顔を合わせていれば名前を覚えて呼んでくれたり、僕等の誰が何を得意としていて何ができるのかを分かって関わりを求めてくる子も増えて、そんな子達に応えるように考えながら関わる……これが、人を育てることなんだなって感じている。

 

 今日はここの園長先生である松方さんが病院からここへ帰ってくる日であり、E組の働きの成果を見てもらう日……そして、僕が勉強を見ていたさくらちゃんの頑張りが結果となって帰ってくる日だ。

 

「渚、そろそろだよね?」

 

「うん、殺せんせーが松方さんを迎えに行って1時間……寺坂君達、まだ最後の微調整がしたいって屋根に登ってたけど……」

 

 茅野と一緒に施設の天井を見上げる……ほとんど作業は終わっているけど、監督している千葉君によれば最後の補強だけがどうしても終わらなかったらしくて、今も屋根の上では釘を打つ音が響いている。

 2週間毎日のように響く音に子ども達もいつの間にか慣れっこになっていて、今も室内の窓から「じゃいあんとぶたごりらー」って呼びかける声が……、……それが寺坂君のことって聞いた時は思わず顔を背けたのはしょうがないと思うんだよね。当然のように怒るから、ワザと怒らせてからかいに行くカルマ君と違って、面と向かっては笑わないようにしてるけど。

 

「なんということでしょう!!??」

 

「「あ……」」

 

「あ、園長先生だー!」

 

「おかえりー!」

 

 不意に僕等でも、子ども達でもない驚くような声が外から聞こえた。まぁ、木造平屋の老朽化していた建物が、2週間でここまで変貌していたなら……そりゃあ叫ぶよね。室内から子ども達が覗いている寺坂君達が作業しているところが見える窓は、ちょうど入口の通りに面した場所にあるから、わかばパークへ帰ってきた松方さんの姿が見えたんだろう、子どもたちが歓声を上げて迎えている。

 そして、僕達が2週間働いた成果を見てもらうためにも設計の担当者である千葉君や、現場監督のように動き回っていた磯貝君も伴って松方さんを玄関へ迎えに行き、室内を説明して回ることになった。

 

 この保育施設の大改造をするにあたって、使ったのはE組の裏山から間伐した木と廃材……資材が限られていたからあまり凝った作りにはできなくて悔しいとは千葉君の言だけど、子どもの数にしては窮屈で老朽化が進んでいた施設が広くて頑丈な多目的空間に生まれ変わった。もちろん、母屋は崩すことなく柱で補強する形で残してある。

 

「なんと、たった2週間で……」

 

「この子達、休まずに機敏に飛び回って……まるで鳶職人みたいでしたよ」

 

 2階の部屋は2部屋……1つは、矢田さんや倉橋さんが近所を回ってもう読まなくなった子ども向けの本を集めて収められた図書室。今までは食事スペースで勉強していた小学生達も集中出来るようにと机と椅子も準備した。

 もう1部屋は室内遊技場。木材を組んだジャングルジムや回転遊具、簡単なクライミングができる壁も設置。床にはネットやマットを敷いて、もし落ちたり転んだりしても怪我をしないよう安全性にも配慮した設計になっている。また、雨で濡れない室内設計のおかげで遊具が錆びたり腐食で脆くなることがないようになっている。

 

 次に下へ降りてガレージへ……松方さんがあの日に乗っていた自転車をしまえる場所へと案内する。しかし、僕達のせいで自転車の前輪は曲がってしまっていたから、機械に強い吉田君と電子工学に強いイトナ君が合作で電動アシスト付き自転車にリメイクした。買い出しで毎回大荷物を持って帰る松方さんのために、たくさん乗せれて重さに潰れない三輪車に改造したらしい。

 しかも、ただの電動自転車じゃない……さっき案内した回転遊具とこの自転車の充電器が繋がっていて、子ども達が遊べば大半の電力がまかなえる仕組みになっている。子どもの仕事は遊ぶこと……遊んだ分だけ園長先生を助けることになるというわけだ。

 

「う、上手く出来すぎとる!!お前ら手際が良すぎて、逆にちょっと気持ち悪いわ!」

 

 ……ちなみに、職員さん提供の園長先生思い出の古い入れ歯は、自転車のベルに再利用されていたりする。

 

「そんな匠の気遣いはいらんし!……それに、いくら物を充実させようと、お前達が子どもの心に寄り添えていなかったのなら……この2週間を働いたとは認めんぞ」

 

 そう、ここが僕達が乗り切れるかどうかで結果が変わる……E組の皆、それぞれがそれぞれのできることをして、この2週間子ども達を見てきたつもりだ。でも、僕達からしたらそれは所詮『つもり』でしかない……子ども達自身がどう感じてくれているのか、そしてそれを松方さんが見てどう判断されるかにかかってるんだ。

 

 E組のみんなが松方さんのいるガレージ前へ集まり、静かに彼の判断を待つ……と、その時。

 

「おーい、渚ー!」

 

 嬉しそうな一つの女の子の声が響いた……さくらちゃんが帰ってきたんだ。そのままの勢いで僕のところまで走ってきた彼女は、嬉しそうな表情で1枚の紙を突き出してきた。

 

「ジャーン!なんとクラス2番!」

 

「おおー!すごい、頑張ったね!」

 

「渚の言う通りにやったよ!」

 

 右上に95、と赤いペンで大きく書かれた算数のテスト……2年ぶりに学校へ登校して受けたテストの結果は彼女の言葉と満面の笑みが物語っていた。

 

 さくらちゃんはいじめにあって不登校になったといっていた……だったら原因であるいじめをされることがない時に誰にも文句を言わせないような反撃してしまえばいい。そう思って僕は、この2週間で算数だけだったけどテスト範囲まで遅れていた勉強を取り戻し、学校へは算数のテストだけ受けに行きすぐに帰ってくるという作戦を立てた。

 1日中嫌な気持ちを耐えながら学校にいる必要は無い、自分の得意な一撃を相手の体制が整う前に叩き込む……そんな僕等E組の戦い方を教えたんだ。

 

 結果は見事に成功、むしろ今まで学校に来ていなかったさくらちゃんがいきなり現れたことで集中がそがれたのか、いじめっ子達の成績はいつもよりかなり悪かったんだとか。

 

「こんな風に一撃離脱を繰り返しながら……学校で戦える武器を増やしていこう」

 

「だ、だったら……これからもたまには教えろよな」

 

「もちろん!」

 

 パッ、と明るい笑顔を見せたさくらちゃんに、初日のような暗い面影は全然見当たらない……自分でも戦える、居場所がある、力がある……そんな自信がついたことで、前に進むことが出来たんだと思う。せっかくの彼女からのご要望だし、これからも時々お邪魔させてもらえたらいいな……

 

「あ、園長おかえり!見て見てこれ!」

 

「……ふん、こんな笑顔を見せられては文句のひとつも出てこんわ。……ん?……ひい、ふう、みい、……年少の子どもらの姿が見えんが……」

 

「あ、……カルマ君、そろそろ呼びに行かないともしかしなくても一緒に寝ちゃうんじゃ…… 」

 

「やべ……絶対今日が最終日ってこと忘れてるよね……?」

 

「きしと渚ー、うたひめって今日もあの子らと一緒にいるの?だったら私も迎えに行く!」

 

「渚君、先に行ってるから、くれぐれも静かによろしく。さくら、来るならおいで」

 

「うん!」

 

 満足そうにさくらちゃんの頭を撫でた松方さんの言葉で、この場にいないあと1人のE組生が今も室内にいることを思い出した。最近違和感なく子どもの中に紛れてるし、聞こえてくる声もほとんどBGMなんじゃないかって気がしてきてたから、ついつい忘れかけてたんだよね……

 僕がカルマ君に声をかけると、彼は慌てたように、だけど極力物音を立てないように配慮しながら施設の中へと駆け戻っていった。さくらちゃんも松方さんから離れ、カルマ君について室内へ走っていく。その様子を笑って見送ったE組の集団から、唖然としながら見守っていた松方さんの元へ、僕は前へ踏み出して告げる。

 

「……えっと、松方さん。さっき千葉君達が施設の中を案内したと思うんですけど、事情があって1箇所まだ見せていない所が……できるだけ静かに、着いてきてくれますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ただ、安らかに眠れと……

夜が優しく降る……

疲れた肩を朝日が……暖めるまでは……

……ふふ、かわいい寝顔……」

 

 千葉くんが中心になって増築したこの施設、2階だけじゃなくて1階にも新しく……というか、元々あった部屋の1つを広めに改築し、補強された一角があった。ちょうど南側の窓からお日様の光が入ってきて暖かいこの場所は、幼児たちのお昼寝スペースだ。

 今まではたくさんの子どもが遊ぶスペースの一角に布団を敷いてお昼寝をしていたから、物音や遊ぶ笑い声などで幼児たちは眠れず、満足に時間も場所も取れていなかった。だけど、今では少しだけではあるけど専用のスペースが確保されていてしっかりお昼寝できるようになったし、最初にこの部屋ができてから私はほとんどの時間をこの子たちに連れ出され、外で遊ぶ以外にもここで年少の幼児たちと一緒に過ごしていた気がする。

 

 今も故郷でよく耳にしていた子守唄を口ずさみながら、最後の1人を寝かしつけたところだ。一緒に寝転がっていた体を起こそうとしたけど、子どもたちが私の制服を掴んでいて……無理に離させたら起きてしまいそうだし、ゆっくりと体を床へ逆戻りさせる。

 ちょっとしたことがきっかけで始まったここでの生活だったけど、こうやって懐いてくれるのって嬉しいなぁ……小さい子ってこんな感じなんだって、はじめて学んだ。手の届く子の頭を撫でれば、くすぐったそうに体を丸めて擦り寄ってくる……かわいいなぁ……ふぁ、あ……日差しも、一緒に寝ているこの子たちの体温もあたたかくて……私も、寝ちゃいそう……いつもの事だし、寝ちゃおうかな……あとでおかーさんたちが起こして、くれるよね……

 

 

 

 ──コンコンコン

 

 

 

「……んぅ……?」

 

 ウトウト仕掛けていた所で静かに扉がノックされた……気がする。すでに半分寝かけていた私は返事もできず、ぼーっとしたまま軽く目を擦っていると、頭の近くに誰か……2人くらいの気配が座り込んだのを感じた。誰かに頭を撫でられ、体を揺すられ、少しずつだけど意識がはっきりしてくる。

 

「……来てよかった、やっぱり寝かけてたね」

 

「……、あれ……かるま……?……あ、さくらちゃんもだぁ、……えへへ……さくらちゃん、おかえりのぎゅー……」

 

「ただいまー、うたひめ。寝そうだね〜というかもう半分寝てるでしょ?……褒めて欲しいことあるし、ぎゅーさせてあげてもいいけどさ、寝てたらできないじゃんか」

 

「さくらが学校行く前に笑顔で帰ってきたら褒めてあげるって言ってたもんねぇ。さくらも満更でもないんでしょ?……ほら、そのままだとまた眠くなるし体起こして」

 

「……うん……その、起きようとは思ってたし、起きたいんだけど……この子たち、どうしよ……」

 

「どうしようって……うわぁ」

 

「おー……ひっつき虫になってる」

 

 視界に学校から帰ってきたらしいさくらちゃんを見つけて、きっといい結果を残せたんだろうなぁとその表情から読み取って。褒めてあげたくて寝転がったまま彼女へ両手を広げたけど、少し頬を染めながら不満そうに目をそらされてしまった。確かに転がってたらできないし、カルマの言う通り寝てしまったら元も子もない。

 のだけど、さくらちゃんにも言われてゆっくり体の後ろに手をついて少しだけ上半身を起こして止めたら、なんでそこで体を起こすのをやめるの、みたいな表情をされたから苦笑いしながら私の腰あたりの毛布を指さすと、カルマもさくらちゃんも乾いた笑いしか出せないみたいだった。

 

 そこには一緒に歌って寝転んでいたらそのまま私の膝を枕に寝てしまった子、抱きついたまま寝てしまった子、服を掴んだまま寝てしまった子と、私が満足に動けない理由の子たちが引っ付いていたのだから。今日まではここまで引っ付かれたことがなかったから、不思議なんだけど……いきなりどうしたんだろう。

 

「アミーシャ、今日が俺等の最終日ってこと、忘れてない?」

 

「……、……ん?……そうだっけ?」

 

「そうだよ、しっかりしてよねー……こいつらも渚とか、他の奴らを見て今日がお別れだってなんとなく察してたんでしょ。チビだからってなんにも分かってないわけじゃないんだから」

 

「初日はあんなに不安げだったのに、最終日にはちゃんとお姉ちゃんになれたじゃん。頑張ったね」

 

 2人からそう言われて、近くで幸せそうに眠っている子たちを見下ろす……そっか、ここでこうして過ごすのも今日で終わりだってことすっかり忘れていた。

 この子たち、寂しがってくれてたのかな……そういえば、今日は朝から私がなにか他のことを考える余裕もないくらいたくさんお願いごとをされた気がする。え、もし、分かっててやってたならこの子たち天才じゃない……?

 

 そんな小さな感動を覚えつつ、本気でどう体を離そうか迷っていると、再度小さなノック音とともに渚くんと松方さんだろうおじいちゃんがそっと室内へと入ってきた。

 

「なんと、これは……」

 

「あ……、松方さん、ですよね……?ここの説明……えっと、……年少の子どもはたくさん遊ぶだけじゃなくて、たくさんお昼寝をすることも大事ですから……設計してくれた千葉くんに頼んで、この一角も整備してもらったんです」

 

「……なるほど」

 

「アミサちゃん、今日は一段と引っ付かれてるね」

 

「そうなの、どうしよう……寝たばっかりの子もいて、起こしちゃっていいものかな……」

 

 帰らなくてはならないのはわかっているけど、せっかく寝付いた子たちを起こしてしまったら夜がきつくなってしまわないか……だったら私が許可をもらってこの子たちが起きるまではここに居させてもらい動かないでいた方がいいんじゃないのか……そう思っての迷いだった。

 だけど、松方さんは何度か頷きながら起こすべきだと言って、軽く子どもたちの背を叩きはじめた。

 

「元気に走り回っとるのを見るのはいつでもできるが、こんなに安心した顔で幸せそうに寝とる子達はそうそう見れん……お前さんが子どもの目線に立って向き合った結果だろう。そんな相手が自分達の知らん間にいなくなっていたと知る方がよっぽど悲しいと思うぞ?」

 

「それもそーだね。うたひめとバイバイできなかったーって泣かれでもしたら、あたしらが悪者になっちゃうし」

 

 穏やかな笑みを浮かべながら子どもを1人ずつ起こしていく松方さんと、彼を真似て軽く揺すりながら起こしていくさくらちゃん……そっか、何も言えないままに別れたら、ずっと心の中にしこりが残っちゃうものだもんね。

 のそのそと起き出した子どもたちは、松方さんに気がつくと嬉しそうにおかえり、とかこの2週間の出来事をマシンガントークのように話していく。それらを嬉しそうに松方さんは聞いていて……私はちゃんと子どもたちが満足できるように接することができていたのかな、とちょっと安心した。

 

「さくらちゃん、おかえりなさい。いい表情(かお)してる……頑張ったんだね、おめでとう!」

 

「わ、わぁっ……もう、あたしまだ何にもちゃんと報告してないのにさ……あたしクラスで2番だったの、95点。全然できなかったのにこんな点数取れて凄く嬉しい。でも、2番なの、1番じゃなかったんだよ……それでもいーの?」

 

「なんで?そもそも苦手だった勉強で2位って時点ですごくかっこいいし、失敗があったってことはまださくらちゃんに伸ばせる可能性があるってことでしょ……?じゃあ、さくらちゃんは、このテストでまた次に挑めるチャンスをもらったんだよ。だから、まだまだ可能性のあるさくらちゃんに、おめでとうでいいんだよ……えらいね、よく頑張りました」

 

「……うん、ありがとう」

 

 立ち上がってすぐ、少しだけソワソワしてくれてたさくらちゃんをぎゅ、と抱きしめる。渚くんに対しては最近たくさん褒めてほしそうに頑張った成果を報告してるさくらちゃんだけど、私に対しては少しだけ不安を聞かせてくれる。

 私なりの解釈で抱きしめながら頭を撫でれば、顔を上げて私と目を合わせていた彼女は、お礼を言いながら頭を埋めてしまった……可愛い顔が見えなくなっちゃった、ちょっと残念。

 

 少ししてさくらちゃんが私から離れると、次は目を覚まして寄ってきてくれた年少の子たちの番だった。

 

「うたひめ、かえっちゃうのー?」

 

「わすれてたから、このままとおもったのにー……」

 

「……なんで幼児がちゃんと覚えてるのに、アミーシャが忘れてるの……」

 

「あ、あはは……ごめんね、でも帰らなきゃだから……お別れのぎゅーで終わりね、ぎゅー……」

 

「みんな、いまだー!」

 

「ひっついちゃえー!」

 

「わーい!」

 

「え。あ、ちょっとまっ!」

 

「……うたひめ、帰したくない連中の近くで座り込んだら乗られるって思わなかったのかな」

 

「思わなかったんでしょ、だからああなってるんだよ」

 

「かるま、さくらちゃ、たすけてぇ……でれないぃ……」

 

「……まったく。ほら、離してやりなさい」

 

 私は特に何かしたわけでもないと思うのに、こんなにもぺたりと懐いてくれる子がいるとなると、帰りがたく感じてしまう。だけど今の私は学生って立場だし、ここで働いてるわけじゃないからどうしようもなくて、抱きついてくれた子の頭を撫でる……頭を擦り付けるように応えてくれて、うぅ、かわいい……思わず体を屈めて抱きしめ返したらわらわらと他の子まで抱きついてくれて、し、幸せだけど出れなくなった……!

 その様子を見ていたらしい松方さんが、ぼすりと他の子どもたちを撫でるノリと同じ感じで私の頭をかき混ぜてきた。撫ぜられるままに見上げると、穏やかな表情をしている顔と目が合った。

 

「水色のガキはさくらに勉強を教えにこれからもたびたび来ると言いおった。……だったらお前も来ればいい、たまには顔を見せに来い」

 

「……はいっ!」

 

「うたひめも、またきてくれるの?」

 

「やったぁ!またおうたきかせてねぇ!」

 

「着いて来とるんだろう、クソガキ共」

 

 そういって振り返る松方さんの後ろ、この部屋の入口にはE組がそろっていたみたいで、顔を覗かせていた。

 

「お前等もさっさと学校へ戻らんか。大事な仕事があるんだろ?」

 

「「「はい!」」」

 

 松方さんはさくらちゃんや私と一緒にお昼寝していた子たちの頭を撫でながら、そう言って、背中を押してくれた。こうして私たちは、自分たちが起こしてしまった事故の賠償責任を自分たちの力でなんとか果たし、2週間の特別授業は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 だけど……それは2学期中間テストの前の日のことで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校でテスト勉強が禁止されているなら家でこっそりやればいい……竹林くんが言っていた対処法は言うだけなら簡単でも実行するには時間が足りなさすぎた。

 なにより1度殺せんせーの授業を受けてから自分なりに復習するのと、すべて自分の力で一から勉強し直すのとでは全然理解に差があって……そんな状態でテストを受けるなんて、この中学校では裸でバトルをするようなもの。

 

 結果は惨敗……1学期末テストの雪辱を果たそうと、前に比べて猛勉強したA組に勝てるはずもなく、E組の大半は順位を大きく落としトップ圏内から弾き出されてしまった。

 

「アミーシャ、結果は見た?」

 

「……全体順位表はまだ見てない。でも、悪くないと思うよ」

 

「俺も。なら……あそこでいい顔してるヤツらの顔を歪めてやって、それから勝負といこうか」

 

 中間テストの結果を受け取った私は、自分の得点と順位だけを確認してそれらをすぐに片付けた。

 名前の掲載される順位表はあえて確認しなかった……殺せんせーもE組の成績がひどく落ち込んでいることはわかっていたから、順位表を見たい人だけ前に来なさいって配慮してくれてたし、先に知ってしまうよりもカルマとの勝負の時に知りたいし公開したい、そう思ったから。

 

 早めに教室を出てからカルマと合流して、このまま帰り道にでも結果を見せ合うのかな、って考えていたんだけど……私たちの前を歩いていた渚くんたちが五英傑と言い争っている騒ぎが聞こえてきた。といっても五英傑が一方的に言い募っている、の方が正しいか……

 

「この学校では成績が全て……下の者は上に対して発言権はないからね」

 

 反論できずに押し黙る渚くんたちをみて、告げられた榊原くんの言葉に私とカルマは1度顔を見合わせる。……反論の糸口、みーつけた。

 

「へぇ、だったらあんた等は俺等になーんにも言えないわけだ」

 

「……でも、先生はきっと、『1位じゃないからだめですねー』とか言うんだろうけどね」

 

「……カルマ君、アミサちゃん」

 

 今度は浅野くん以外の4人が押し黙る番だった……彼らの順位は見てないけど、私は少なくとも4人よりも上である自信があったから、挑発するカルマのあとに続いてフォローする。

 

 家でこっそりとやる勉強……慣れない子どもとの1日を過ごしたあとではうまく身が入らなくて集中力を欠く気がした私は、今回苦手潰しを全くやらなかった。

 まず、私はテスト範囲が発表され対策授業になってからテスト範囲を勉強しはじめたわけじゃなくて、もっと前から……夏休みの時点で、かなり先取りして予習は進めてあったんだ。2週間前の時点で自主勉強の下地を作っていただけだからそこに殺せんせーの補足説明があればより完璧に理解できてたんだろうけど……今回の件でそれは無理になったから、私は苦手意識のある理科の苦手克服のための勉強を放棄してその分の勉強時間を他の4教科にあてた。

 

 カルマの場合は国語が苦手と言いつつ、全教科均等にできる。私と同じように夏休みのうちから大量に予習を進め、毎日のように復習や反復練習をかかさなかったから、1位は取れなかったけどいい順位まではいけたらしい。

 

「気付いてないの?今回本気でやったのは俺等2人だけだよ。他の皆はお前らのために手加減してた……天下の五英傑様が毎回負けてちゃ立つ瀬が無いから……ってね」

 

「なにィ……!」

 

「でも、今回は今回……次は全員容赦しない」

 

「E組とA組が同じカリキュラムの授業を受けるのは2学期の期末テストまで……つまり、私たちが同じ条件のテストを受けられるのも2学期の期末テストが最後ってことだよね……?」

 

「だからこそ、2ヶ月後の2学期末……そこで全ての決着をつけようよ」

 

「……チッ、上等だ」

 

 今回のことで、みんなはまた一つ強くなった。勝利し続けるばかりでは偏った世界しか見ることができない。敗北や挫折、間違いや失敗……それらは全て、成長するためには必要なこと。

 カルマは1学期末テストで自分の力を過信してみんなより一足早く挫折を味わった。だからこそ出てくる敗者の気持ちを気遣った弱者に寄り添う言葉がある。私はそんなかっこいいことはできないから、彼の小さくて大きな変化に静かに寄り添うだけ……信じる人について行くだけだ。

 

「じゃ、俺等はこれから大事な用があるから」

 

「あ、待ってカルマ……渚くんたち、また明日。……浅野くんたちも、またね」

 

 なにか反論されたり言葉をかけられる前に離れないと、この後にある私たちの約束がズルズルと伸びちゃうことになる……だからなのか、カルマはサラッと通常運転で煽ることは言ってるけど誰をも見下すことなく、E組が実力を出せなかった理由をすり替えたあと、私の手を引いてさっさと歩き出した。

 私は手を引かれながらも渚くんたちをふりかえって手を振り、前を向く。カルマがどこに向かっているのかはわからないけど、そこで結果を見せ合うことになるんだろう……私は中間テストの結果用紙を入れたカバンを上から握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、ここでいいか」

 

「……ここ、夏祭りの……」

 

「そ。明るい時には初めて連れてきたけど、一緒に花火を見た所」

 

 手を引かれて連れてこられたのは、今年の夏祭りでカルマと2人で花火を見た、神社の近くにある高台だった。花火の時にも思った気がするけど……忘れられているのか整備されていないのか、ここへ来るための入口には木が生い茂ってしまっていて高台への道を隠してしまっている。あの時も人はまばらだったけど、何かイベントがあるわけじゃない今は当然人の気配は何も無かった。

 前に来た時は夜だったし、花火の方に意識がいっていたから周りの景色なんてよく見てなかったけど、思っていたよりも高い位置にあったみたいで展望位置の手すりの先には小さく椚ヶ丘市の街並みが広がっていた。

 

 少しの間夕陽でオレンジ色に染まりはじめた街並みを2人で並んで見ていたけど、繋いだままだった手のひらに力が入った気がして、彼の方を向く。とうとう、勝負のときだ。

 

「お互い1番じゃないことは分かってるし、五英傑のあの4人よりも上ってことも分かってる」

 

「……じゃあ、あとは私たちの順位だけ、だね」

 

「同時にいくよ、いい?…………せーの!」

 

 

 

 

 

 ────バサり

 

 

 

 

 

赤羽業

英語98点

国語98点

数学100点

理科98点

社会98点

主要五教科合計492点

学年順位……2位

 

 

 

真尾有美紗

英語100点

国語99点

数学100点

理科94点

社会99点

主要五教科合計492点

学年順位……2位

 

 

 

「「………………、……っ、あはははっ!」」

 

 

 

 同時に表に返した中間テストの結果……そこに書かれていた5教科それぞれの点数と順位を見て、最初こそ見慣れた数字がいくつか並んでいるのに困惑して、その意味が理解できた瞬間思わず2人して顔を見合わせて笑い声をあげていた。

 さっきまでの会話から、多分私たちはお互いに2位か3位付近で連続した順位になってるんだろうとは思ってたけど……各教科の点数に差があるとはいえ、同点って。

 

「ははっ……同点の場合、考えてなかった……っ」

 

「ふ、あはっ、そういえばルール、単純な点数勝負だったっけ……っ」

 

「ということは、俺等、お互いに相手が3位だと思ってたわけか……っ。てか、アミーシャすごいじゃん、100点が2つも」

 

「その分理科の点数低めだけどね……カルマは、数学満点以外、綺麗に並んでる……」

 

「教科順位1位の数にしてたら俺、負けてたよ……くくっ、さて、この場合どうしようね?」

 

「もう、両方ともがお願いを叶えちゃえばいいんじゃないかな……?」

 

「あははっ、勝負の意味……っ!……まぁ、何もしないよりは逃げる理由付けにならないし、いいか……」

 

 勝った方の言うことをひとつ聞く、って決めてたけど、5教科全て平均的に高得点をとったカルマと、理科を捨てることでそれ以外の満点を狙いにいった私……結果を見ればどちらも勝ちといえば勝ちだよね。少しスッキリしない顔はしているけど、カルマもそれでいいらしい。

 私よりも言い出したカルマの方が私に叶えてほしい何かがあるんだと思う……だから、私は黙って先を促す。私にも権利があるのに俺が先でいいの?と少し驚いた表情で聞かれたけど、正直私は今すぐにお願いしたいわけじゃない……きっかけさえあれば、いつでも言える。そう伝えたら、じゃあアミーシャの分は保留にしてもいいんだよって……いいんだ、それでも。

 

「じゃ、お言葉に甘えて。……俺は今から、あの日のやり直しをする。だから……アミーシャの返事が欲しい」

 

「……?」

 

 カルマが言う『あの日』がどれを指すのかがわからない……この勝負を始める理由にもなった、殺せんせーやクラスメイトに邪魔されてしまったことは1回や2回じゃないし、私が躊躇って言えなかったことだって何度もある。

 答えを求められてるなら、間違えちゃ大変……でも、これだけじゃ判断できないし……なんてことを考えながら私が不思議そうに見返しているのを見て、目を閉じて笑ったカルマは、ゆっくりと話し始める。

 

「……はじめて会った時はどっかの不良に襲われてるし、弱々しいし、危なっかしいし……1人にしたらダメだって……ただ漠然と思ってそばに居たんだ。でも、アミーシャが色々と初めての経験をするたびに、俺と一緒にいるだけでもコロコロ変わる表情を見て、かわいいなって思い始めて……いつでもどんな時だって俺を頼りにしてくれて、少しずつ抱えてるものを見せてくれるようになって。……気付くのは遅かったけど、きっと出会った時から好きだった」

 

「…………ぁ……」

 

 

 

 

 

「──好きだよ、アミーシャ……誰よりも」

 

 

 

 

 

 ──告白の、やり直し。

 

 あの沖縄での夜、カルマはほとんど勢いで告白しただけで私からの答えは求めてないと言っていた。ただ、自分の思いは知っていてほしい、とも。

 人を好きになるという気持ちも、私を好きになってくれる人がいるということも、私には縁遠すぎて……なかなか私の中にある『こたえ』にたどり着かなかった。いろいろあって自覚できたけど……今度は彼の邪魔をしてしまうんじゃないかと思って、『こたえ』を返すことができなかった。

 

「……約束だよ。アミーシャの、返事を聞かせて」

 

「……、……そっか、カルマも、同じお願いだったんだね」

 

「……えっ……」

 

 カルマは隠すことが得意だ。飄々とした態度の裏側に、彼自身も気づいてるかわからない野性的な警戒心や、本心を隠し通している。

 

 カルマは頭がいい。成績だってそうだし、頭の回転が早いからたくさんの情報から色々な道筋を思い描いて形にする……それを人とぶつかるために使ってしまうことはあるけど、そこには彼なりの正義がある。

 

 カルマはイタズラとか、人をからかったり煽ったりしてその反応を見るのが好きだ。大抵は彼が楽しむためだけど……空気を変えてくれたり、いつも変わらないその態度が安心したりする時もある。

 

 そして、……やっぱり彼は優しい。誰も動けない、どうしようもなくなった時に自然と前に出てくれる。周りに流されることなく自分の正義をもって、態度を変えず、いつもの彼のまま寄り添ってくれる。私がたくさんの隠し事を抱えていても、待ち続けてくれている。今まで、私はその優しさに甘え続けていた。

 そんな彼が勝負という手段で、はぐらかしたり逃げたりできない場を作ってまで、私の返事を求めてくれている。だったら……今度は私がそれに応える番だ。

 

 おかーさんにだけ宣言した、もしこの勝負で勝ったらしようと思っていた私の願い。それは、『私の気持ちを聞いて欲しい』ってことだったから。

 

「……カルマと出会って、あなたの正義に触れて、どんな時も隣にいてくれて……いつも、私からしたらあなたはとても眩しかった。そばにいるのが心地よくて、1番気を抜いていられる場所で……だけど、ずっと、なんでそう感じるのか、全然わからなくて」

 

「……うん」

 

「E組に来てからたくさん友だちができて、私にとって大切な居場所にはなったけど……カルマといる時みたいにドキドキしたり、かっこいいって思ったり、誰にもあげたくない……私を見ていてほしいなんてことは、1度も思わなかった」

 

「!」

 

「全部……全部、カルマだけだったんだよ。今までなんでこんなふうに感じるのか、全然わからなくて……最近やっと気づいたの。……私もいつの間にか、あなたのまっすぐなところに惹かれてたんだと思う。カルマと同じ……きっと、分かってなかっただけで、出会った時から、ずっと」

 

「……アミーシャ、それって……」

 

 最初は真剣な表情で聞いてくれていたのに、私が言葉を続けるうちに予想外、とでもいうように驚いて、目を見開いて口もポカンとあけて固まっている彼が、なんだかかわいく感じた。

 だけどまだ、ちゃんと最後までハッキリ言葉にしてないんだから……私の気持ちだって、最後まで聞いてほしい。

 

「私も、カルマのことが好き……誰にも渡したくないくらい、大好き。だけど、……私は、カルマにどうしても言えないことがある。……それは、これからもずっと言えないままかもしれない。それでも……こんな私でも、そばに置いてくれる……?好きでいても、いい……?」

 

 こういう、告白、という時になんて言えばいいのかなんて、私には全然わからないし、マイナスなことは言っちゃいけないのかもしれない。だけど……私の心からの言葉は全部彼に伝えられたと思う。

 黙りっぱなしのカルマに私がだんだん不安になってきて、少し俯いて彼からの言葉を待っていると……そっと、手を差し出されたのが視界に入ってきた。反射的に顔を上げたら、そこには穏やかな笑みを浮かべている彼がいて。

 

「……当たり前でしょ。今までは1人の友達としてだった。でもこれからは恋人として……俺の隣にいてよ」

 

「……っ、うん……!」

 

 差し出された手を握り返すと、そのまま手を引かれ……彼に正面から思い切り抱きしめられた。少し痛いくらいの力だったけど、彼は何度も私の存在を確かめるように抱きしめ直していて。

 そっと私も応えるように彼の背へ手を回すと、小さく、だけど抱きしめられているからしっかりと聞こえる声が私に届いた。

 

「……正直、まだ分かってないと思ってた。アミーシャ鈍いし、ズレてるし……まだ、好きとか嫌いとか、自覚してないんじゃないかって。まだかかるんじゃないかって、長期戦も覚悟してたのに……やばい、すげぇ嬉しい」

 

 ちょうど私の頭の位置に彼の心臓があって……どくどくと、早い鼓動を刻んでいた。……いつも自信たっぷりなカルマでも、緊張してたのかな……?

 そっと彼の顔を伺おうと顔を上げてみたら、目元を手で覆い隠されてしまい視界が真っ暗になった。

 

「……?かるま、?」

 

「…………今はダメ、俺、絶対変な顔してるから。……このまま、抱きしめられてなよ」

 

 隠されると見たくなるものだけど、カルマは器用に片手で私の目を塞ぎ、片手になったことでさっきよりは緩んだとはいえ、私を逃がさないとでも言うように抱きしめ続けている。

 ……少しだけ、指の隙間から見えたカルマの顔は、彼の真っ赤な髪と同じくらい赤く染まっていて……きっと、私も彼に劣らず真っ赤なんだろうな。……自覚したらようやく私も恥ずかしくなってきて、隠すように彼の胸へ顔を埋めた。

 

 

 

 

 

 このあと、カルマが抱きしめた腕を解く時にそっと額にキスをしてきて、私が驚きすぎて額を押さえながら彼から離れようとしたんだけど、動揺してたのか足がもつれてその場にへたりこんでしまう……なんてことが起きたのは別のお話。

 

 

 

 

 





「……い……いきなり……っ」

「ごめん、つい。……顔真っ赤にしちゃって、可愛いね」

「……なんで、もう普通の顔してるの……さっきまで、顔真っ赤にしてたのに」

「ちょ、見ないでって言ったじゃん」

「……、ふふ……赤い顔のカルマ、かわいかったよ?」

「……っ……、……もう次から簡単にはいかないよ」

「……まだ赤いよ」

「……夕陽のせいだよ、そんなの。……これからは、少しずつでもああいうの増やしてくから、覚悟しといてよね、……いつかちゃんとキスもしたいし」

「え」

「え、って……何、嫌なの?」

「嫌というか……その、私ってカルマとのキス、はじめてじゃない、ようなきがして……」

「!……あれ、覚えてたの……?」

「覚えてる、というか、ぼんやりとだけど……でも、あの時のはキスっていうより、人工呼吸だったわけで……それで、その……初めてがアレなの、覚えてなくてもったいないというか……えっと……」

「……そういうの、ずるいでしょ……ねぇ、いいよね?」

「え?…………んっ……」





「はよー!昨日はサンキューな、カルマ、真尾。五英傑にガツンと言ってくれて……スッキリしたわ!」

「おはよう、2人とも。……眠そうだね、カルマ君」

「ふあぁ……はよ、渚君に杉野……さーね、俺は何もしてないし〜……」

「おはよ、渚くん、杉野くん。……えっと、カルマ……ホントに眠そうだけど、……カバン、持とうか?」

「ん〜……いや、昨日嬉しすぎて、眠れなかっただけだから……へーき」

「え、……えっと、…………うん、」

「…………」

「渚?どうしたんだよ」

「いや、やっとかなって……おめでとう、2人とも」

「「え。」」

「……?何の話だ?」

「なんでもないよ、杉野。ほら、早く学校に行こうよ……今日の朝は全員で烏間先生に報告行くんだから」

「あ、待てよ渚!お前らも早く登るぞ!」





「「…………」」

「……カルマ、私、いつも通りにしてたつもりだったんだけど……」

「……確実にバレてたね。渚君が鋭いのか、杉野が鈍いのか……ま、いつかは付き合い始めたことくらいクラス全員にバレるでしょ」

「……そう、だね……、ホントに、お付き合いすることになったんだ……」

「何?信じられないならもう1回してあげようか?……、」

「え、……、ん、……えっ!?」

「あはっ、……好きだよ、アミーシャ」



++++++++++++++++++++



アフターの時間、そして……今回やっと2人がくっつきました!

まずはわかばパーク編から。
チビちゃん達を寝かしつけているうちにウトウト……そして一緒にお昼寝、という流れは、松方さんが帰ってくるまでにもたびたびやってしまっていたという裏設定。なので渚や、カルマ……というかE組全体が「またか」という感じの反応をしてます。
幼児たちは最終日ということをオリ主が完全に忘れているようなので、思い出させる間もなく遊びに誘い、いつも通りの日を過ごせば明日も来てくれるんじゃないか……と無意識に考えて行動してます。さくらちゃんの予想通り、周りの様子を見て本能的に察してました。多分起こしてもらえずに帰ってたら、みんな拗ねます。
ちなみに前話のあとがきで書いた通り、あだ名は基本的に「うたひめ」です。ナチュラルにみんなが呼ぶのでオリ主もナチュラルに適応してました。




テストの点数は、同点という結果。点数の配分に迷いはしましたが、理科を落とすことだけは決めていたのでこんな感じに。カルマも言った通り、教科別順位1位の数……なんて条件にしていたらオリ主が勝ってました。



カルマの願いは、告白に返事が欲しいというものです。殺せんせーに邪魔され、クラスメイトの野次馬がいたり、なんなりと2人きりでちゃんと言いあえたことがなかったため、是でも否でも返事が欲しかった。
んですが、前話でオリ主が原さんと電話してる通り、オリ主の願いも同じだったわけなので……どちらにとってもきっかけになったわけです。



そして、覚えている読者さんはいますか?
『実行の時間』のあとがきで、カエデとオリ主が人工呼吸についての会話をしているのですが、オリ主は覚えてない、とは明言してないんですよね。その次の『病院の時間』ではぼんやりとした記憶を探ってます。つまり、気にはしてたんです、という伏線でした。


では、また次回をお楽しみに



歌詞をお借りしました(ファルコム音楽フリー宣言の規約上、こちらにコピーライト表記します)⬇
「空の軌跡/ 空を見上げて~ 英雄伝説 空の軌跡 ボーカルバージョン ~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation」
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