暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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オリ主とカルマがお付き合いを始めて、死神事件を経て、それから少し経ったくらいのお話。

※今回女の子同士の会話ではありますが、少し下ネタが入ります。そこまで直接的なことは書いてませんが、しっかり性教育のような内容は入ります。ご注意ください。



82話 恋愛相談の時間

 

 2学期中間テストで主要5教科の総合点数勝負をして、勝った方のお願いを叶えるという勝負をした私とカルマ。結果はまさかの同点だった上に、お互い相手にお願いしたいと思っていたことは『告白の返事が欲しい』『気持ちを伝えたい』っていう、ちょっと意味合いは違うけど本質的には全く同じことだった、なんて奇跡が起きて、晴れて私たちは恋人同士になった。

 ただ、そのすぐ後にイリーナ先生が死神に騙される形で私たちと敵対し、E組の生徒、先生全員が巻き込まれた大きな騒動が起きたから、私たちは俗に言う『恋人らしいこと』なんて全然ないまま死神に立ち向かうことになって。いろいろあったし、むしろ私がみんなから離れて関わらないままにいつの間にか全部終わってたから何事も無くとは言えなかったけど、なんとか無事に解決した。

 

 

 

 今日はその死神事件から数日経ったくらいの1日。

 

 

 

「次、理科だから移動だよ」

 

「あ、待って……」

 

「慌てなくていいよ、待ってるから。……ん、行こ」

 

「うん、…………?」

 

「どうかしたの?」

 

「う、ううん!なんでもないというか……なんか、この辺がモヤッとするというか、違和感というか変な感じしたんだけど……なんでだろ……」

 

「手ぇ繋ごうとして心臓がモヤッとするって何。俺、さすがに変なことしてないと思うんだけど」

 

「……うん、だからよくわかんなくて……」

 

 事件のあった日から数日経ったということは、E組のみんなに報告することになった日を除けば、恋人になったと自覚して一緒に過ごし始めて何日か経ったことになるんだけど……なんていうか、何がってハッキリ言えないんだけどモヤッとすることが数回。

 最初こそ体育祭の時に感じたようなヤキモチ?に似てる感覚だなって思ったけど、そもそもE組のみんなは私たちをセットにしがちだから、誰かに取られるかも……なんてそんなことは思う必要も無い。それにモヤッとするタイミングは、いつものように私が置いてかれないように手を引いてくれたり、頭を撫でてくれたりする時が多くて……嫌なことどころかむしろ嬉しいことをしてくれてるはず、なのに、……なんでこんなにモヤッとするんだろう。よく分からないまま、私は普段通りカルマの隣で1日をすごしていた、つもりだった。

 

「アミーシャ、やっぱり今日なんかあった?」

 

「……、……へっ、なんで……?」

 

「いや、なんて言うか、1日上の空というかなんか考え込んでること多いし、いつもより反応鈍い気がするし。……まさかまだケガを引きずってるとか、」

 

「え、えぇ……そんなことないと思うんだけどな……ケガだって目の前で治したとこ、カルマも見てるでしょ?」

 

「……まぁ、そうなんだけど」

 

 放課後になって。いつものように荷物を片付けていたら隣で椅子に座ったままのカルマが、こっちを見ながらなんの脈絡もなく聞いてきて首を傾げる。私、軽く変な気分のことは相談したとはいえ、それ以外はいつも通りにしてたつもりだったんだけど、そんな変だった……?

 ちなみにケガは死神のアジトにいるうちに、みんなが見てる前でアーツで治すところを見せたから、隠してることなんてほんとに無いんだけど……

 

 怪訝そうな顔をされながらも、ホントに心当たりがなくて何も話せないままでいれば、カルマも私が答えようがないんだって察してくれて。そのまま2人して席を立てば、クラスメイトのみんなから『また明日ね』なんて声をかけてもらって、何人かからは『いつも通りのお前らだなー』とか『お前達らしいわ』なんてお言葉ももらった。

 

「……………………『いつも通り』……?」

 

 何故か引っかかったその言葉。……あ、もしかして……なんて、その言葉に引っかかった理由を少し考えてみたら、ようやく私が何にモヤモヤしてたのかが分かった気がする。分かったけど……答えは私の中に1つもないし、すぐに出せないやつだし、カルマに聞くのも……嫌な気持ちにさせてしまいそうで、ちょっと聞けない内容かもしれない。なぜって、私がモヤモヤしてたのはカルマとの恋愛についてのことなのだから。

 

「ねぇ、アミーシャ……本トに平気?」

 

「……、……んー……」

 

「……できたら変な答え出す前に相談して欲しいんだけど」

 

 ……相談。カルマが心配そうに、でもちょっと呆れた感じに言った一言が、すごく名案に思えてハッとした。

 

「……そっか、分からないなら聞けばいいんだ」

 

「そうそう、分かんないこととか腑に落ちないこととかあるなら一緒に考えるからさ、俺に、」

 

「よし……ちょっと今からイリーナ先生のとこ行ってくるね……!遅かったら帰ってもいいからっ」

 

「……、……うん、いってらっしゃい……」

 

 そうだ、1人で考えて分からないなら誰かの考えを聞いてみるのもいいのかも。おあつらえ向きにE組には私と同じように恋愛をしている人が、ハニートラップなんて愛を武器にしている専門的な達人がいるじゃないか。嘘でも恋人を作って仲良く過ごしてたーってイリーナ先生言ってたし、何か分かるかもしれない。

 カルマが何か言いかけてた気はしたけど、とりあえずはこのモヤモヤを解消してこようと思って、教室の前で別れた。思いつきだから確認してないんだけど、イリーナ先生教員室にいるかなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いつ見ても思う。アレ、ワザとか?」

 

「いつでもアミサちゃんは本気だね……でも今回に関しては、多分自己完結した上にカルマ君に関係する内容だから本人には聞けないとかなんじゃない?」

 

「……アイツ、配慮とかできたのか」

 

「本トに配慮してたらカルマ君を置いてかないとも思うんだよねぇ……」

 

「……ねーえー、渚君とイトナー、俺の相談も乗ってくれない?」

 

「あ、おかえりカルマ君……」

 

「アミサのあの期待を裏切らない空気の読まなさに関しては無理だぞ」

 

「さすがにカルマ君の相談ってアミサちゃんのああいうとこじゃなくて、アミサちゃんが1日変だったってことじゃないの?」

 

「あれ一応空気読んでないわけじゃないと思うんだよね……ガチで俺が声掛けたの気づいてないのと、アミーシャの中で決定事項だから何も考えずに動いちゃったパターン。あと、俺が相談したいのはアミーシャが変だったことより……結構深刻かもしれない」

 

「……そんなに?」

 

「お前がそんな複雑そうに言うのはよっぽどなのか……他の男子集めるか?」

 

「そこまでじゃないけど。……あのさー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イリーナ先生、相談があって……、あ」

 

「ん?いらっしゃいアミサ、私は別にいいけどいつものメンバーもいるわよ」

 

「やっほ、さっきぶりー」

 

 こういうのは思い立ってすぐに動く方がいい。そう思ってイリーナ先生の予定も確認せずに教員室の扉を開けたけど、そこにはイリーナ先生だけじゃなくて、メグちゃん、莉桜ちゃん、桃花ちゃん、陽菜乃ちゃんという、私を除いたいつものメンバーがクッキー片手におしゃべりをしていた。

 ……あ、そっか、私は行かないってお返事しちゃってたけど、今日は元々集まる予定あったんだっけ……

 

「こっち座る?今烏間先生も外行ってるし席空いてるよ」

 

「ん?カバン持ってるし帰るとこだったの?」

 

「あれ、あーちゃん。今日はカルマ君と帰るからこっちこないって言ってなかった〜?」

 

「あ、そういうこと……多分、なんか用事というか優先したいことあってカルマ君置いてこっちに来たんだね……」

 

「彼氏優先してこっち断っときながら彼氏置いてこっち来ないでよ……本トそういうとこよアミサ……」

 

 すぐ近くの椅子を引いてくれたメグちゃん含め、イリーナ先生以外のみんなにも歓迎してもらえてるのは分かるんだけど、サラッとカルマを置いてこっちに来たことに気づかれてる……やっぱり置いてきちゃったのまずかったかな。でも、これまでにも色々を気を使ってくれてるカルマ本人にコレを聞くのってちょっと気後れしちゃうというか……それを言ったらイリーナ先生に聞くのも勇気がいるんだけど。

 でもって、私のイリーナ先生に聞こうと思ってた質問ってすごく個人的なやつなんだよね。みんながいるとこで聞いていいものなのか……

 

「みんなもいるなら明日にした方がいいかな……」

 

「何よ、乗りかかった船なんだから吐き出してきなさい。どーせカルマ絡みの相談なんでしょ」

 

「う。……そう、なんだけど……、」

 

「1人で悩ませといたらアミサの場合変な結論に着地しそうだから、ここでぶっちゃけていけばいいじゃない」

 

「カルマ君に言えないってことは、カルマ君本人に関係することなんでしょ?黙っておいて欲しい部分は黙っとくし、必要なら本人に繋いであげるからさ」

 

「ビッチ先生1人よりあたしら含めて5人の方がいい解決案出るかもよ?」

 

「どうせカルマ君もあーちゃん置いて先に帰るわけないんだから教室でゲームでもしながら待ってるって!」

 

「……みんな、聞きたいだけじゃない……?」

 

「そうとも言う」

 

「E組全員で応援してきた名物カップルなんだから気になるんだよ〜」

 

 イリーナ先生たちがいろいろ言ってるけど、これは何を言っても理由をつけて話すまで帰らせてもらえないやつだ……相談に乗ってくれるのも本心なんだろうけど、恋バナってやつがしたいだけな気がする。

 ……ああもう、みんながいることを忘れてここに来た私の失敗だ……負けた気分でメグちゃんが引いてくれた椅子に腰かけて、イリーナ先生に聞くつもりで持ってきた質問を言ってみることにした。

 

「で、何が聞きたいのよ?」

 

「あ、あのね……お付き合いって、何したらいいのかな……?」

 

「……ん?」

 

「カルマ君とってことよね……?」

 

「アミサ、もうちょっと前後の説明つけて」

 

「えっと……、私、カルマとお付き合い始めた、でしょ……?だから私たちの関係って、友だちから恋人って名前が変わったけど……その、お付き合いした日から今日まで一緒にいて、お付き合いする前までとやってること何にも変わらないなって……」

 

「「「あー……」」」

 

ついに気付いたか、今までの距離感バグに

 

……莉桜、連絡入れといて

 

あいあいさー

 

「……?……えっと、それで、前にイリーナ先生は外国の言語を覚えるためにその地域の恋人を作ってきた……って言ってたから、恋人になったらどんなことするのかとか知ってるのかなって……」

 

「「「…………」」」

 

 反応を見ている限り……5人とも私の言いたいことが分かってるような気がする、だったらイリーナ先生だけじゃない時に言ってみて正解だったのかもしれない。ちょっと答えに期待ができそうでワクワクしながら返事を待っていると、言いにくそうにしたメグちゃんが1つ指を立てた。

 

「……よし、とりあえずほとんど意味ないと思うけど1個ずつ確認しよっか。アミサ、カルマと手を繋ぐことはある、……というか毎日のように繋いでるわよね」

 

「うん」

 

「即答……もちろん頭を撫でられたり抱きしめられたりとかも……」

 

「さっきここに来る前にもされたし、いつものことかな……?」

 

「……うん。……うん、とりあえず止めずに続けよう。2人で一緒に学校に来たり、帰ったりすることは」

 

「行きは2人の時と、渚くんが一緒のことが多いかな……学校から帰る時は、渚くんと杉野くんとカエデちゃんとひなたちゃんが一緒のことが多いけど、途中からはお家まで毎日2人で帰ってるよ。週に何回かはイトナくんもいるけど」

 

「じゃあお互いの家にあがることは〜」

 

「学校帰りにだいたいカルマが私の家に来ることが多い、かな……でも私が行くこともある……かな」

 

「……手作りの料理」

 

「ほとんど毎日作りあってる。……私が作ったり、カルマが作ってくれたり、イトナくんが作ってくれたりしてる……」

 

 5人から1つずつ質問されることに正直に答えていく。全部日常のように私たちはやってきたことだけど、これがなにか関係するのかな。

 ただ、話せば話すほど、メグちゃんとイリーナ先生が額に手を当てながらため息つくし、何故か莉桜ちゃんがスマホになにか打ち込む量が増えてくし、陽菜乃ちゃんと桃花ちゃんが2人で困った顔で顔を見合せながら小さい声でなにか相談し始めちゃって……。なんか、まずい回答しちゃったかな、全部隠さず正直に答えてると思うんだけど。

 

「……最終確認だけど、今までした質問の内容って、付き合い始める前からやってるのよね?」

 

「うん、そうだよ……?」

 

「……アミサ、今あげたことがたいていの世の中の恋人が、というか……初めて恋愛をした中学生くらいの子達が、恋人になって『から』少しずつし始めることよ」

 

「……、……へ?」

 

「いやいや、へ?じゃなくて。最初からみんなに言われてたでしょ、あんた達最初から距離感バグってるから、付き合う前からいきなり恋人同士の距離感でスタートしてんのよ。今あげたこと全部、恋愛経験者同士ならまだしも、普通なら恥ずかしかったりドキドキしたりしてできないからね?」

 

「アミサはこんな質問してくるくらいだし初めての恋でしょ。カルマもあんだけの一途さを見せられちゃあ、アミサが初めて恋愛する相手なんだよね。カルマはカルマで意識してもらうことに必死になりすぎて距離感測りかねたんだろうなぁ……」

 

「まず何やってもあーちゃん鈍すぎて気付かないしね……」

 

「で、時々アミサちゃんも意識せずにやり返すからどっちかが一方通行でやってるわけでもない、と」

 

「関係性の名前が変わったとしても、そりゃあ何か変わるかって、 ほとんど行動を変えようがないわよね。もうできることほとんどやってるんだもん」

 

「……そ、そうだったの!?」

 

「「「そうなんだよ……」」」

 

 私的には結構衝撃の事実!って感じだったのに、イリーナ先生筆頭に5人ともが呆れた目を向けてくる……あ、だから前から距離感、とか付き合ってないんだよね、とかみんなによく聞かれたのか。メグちゃんにいろいろ注意されるのも、おかーさんにも思春期どこに置いてきたのって言われたのもこういうこと……?

 今までは何のことかって思ってたけど、あれ、もしかして教えてもらう前の私って、はたから見たら結構恥ずかしいことしてた……!?

 

「つ、つまり……ぎゅーってしたり、頭撫でてもらったり、は、普通はしない……?」

 

「自分より小さい子相手ならまだしも、アミサちゃんは同い年だし、15歳くらいの年頃同士の男女では、付き合ってなかったら普通はしないかな……というか、男子に触れられる時点で恥ずかしいって思うはずなんだよ、本トなら」

 

「カルマも止めたり逃げたりする時あったでしょ。修学旅行の夜とか、プールとか……あれが普通の男の子の反応なの。それで逆に意識して貰えないからって開き直るアイツもアイツだけど」

 

「体も中学生になる前と比べて変わってきてるしね。ほら保健でもやったけど、胸が大きくなってきたり、体つきが変わってきたり……あと女の子の日、とかさ」

 

「う、うん……」

 

「そういう体の変化合わせて、精神的にも変わってくる……はずなんだよ、本トは!アミサちゃんは変わってないんだけどね!」

 

「思い出せない子ども時代を、やっと自分を出せる環境になった今、取り戻そうとしてるのかもね〜……ビッチ先生も安心できる環境だからって自由にしてるしいいこと、なのかなぁ……」

 

「陽菜乃?そこでなんで私も引き合いに出すのかしら」

 

「だって自分で『私は大人だー』って事ある毎に言うけど、ちょいちょい子どもっぽいんだって。悪いけどその辺あーちゃんと一緒だよ」

 

「う、完全には否定できないわ……」

 

「でもアミサの場合は家に家族がいないっていうのも大きいんだろうなぁ……そういうお母さんから教えてもらうようなこと、誰にも教えてもらえなかったわけだし」

 

「あと精神的に不安定な時に出会って、1度心も壊して頼れる人もいないって時に、唯一頼れたのがカルマだったんでしょ。メンタルやられてる時って人の温もり求めるもんだしねぇ……」

 

「……………、考えたことなかった……し、思ってもなかった……」

 

「とりあえず、今日聞きに来たのは大正解ね。アンタ自身が世間とのズレを確認できたし、ちょっと他の男子との距離感おかしかったところも今後少しは意識できるでしょうし」

 

「アミサの距離感と危機感のなさは小学生並みだからね……いいキッカケにはなったか。……カルマと溝ができないことを祈っとくわ」

 

 聞けば聞くほど、私はこっちの家庭と違う環境で生きてきたんだなってことを実感する……お姉ちゃんがよく『アミサは人に興味がない』って言うくらい、私は昔からなんでか人との関わりを避けちゃってたから……それも、思い出せない6年間の間に原因があるのかな。思い出せないんだから考えても分からないんだけど。

 私の意識が子どもすぎたってことが確認できたわけだけど……結局どうすればいいんだろう。このまま前と変わらないなってモヤモヤしたまま隣にいていいのかな……

 

「アミサからしたら、私の『恋人』って経験談から話を聞きたかったのかもしれないけど、アンタのような子どもの恋愛と大人の恋愛は違うのよ。だからアドバイスを求めるならこっちの4人の意見を参考にしなさい」

 

「といっても……まぁ、ハッキリ言っちゃえばすでに恋人らしいことはしてるんだからそのままでいいと思う、が結論なんだよね。これ以上は2人の問題だから踏み込めないし」

 

「そうそう。あとは……ちょっと2人きりって時間を増やしてみるとか?付き合い始めた割には登下校とか、意外とカルマ君以外の人が一緒にいる時間あるんだなって思ったもん。ちょっとした時に長めの2人きりの時間を作るのもいいと思うけどな」

 

「アミサ自身が今、ちょっと性差というか、今までの行動に気持ちが伴ってなかったことを自覚できたから、次にカルマと手を繋いだり抱きしめてもらったりすることがあれば、また感じ方が違うんじゃない?それでも変わらなければまた相談してよ」

 

「それに、別に慌てなくていいと思うんだぁ……だって私達まだ中学生だよ?まだまだ大人になるまで長いんだから、きっと変わってくるって!カルマ君とだって、もしかしたら別れるかもしれないし、ずっとこのままかもしれないし」

 

「まぁ、アミサちゃんの場合はあれだけ執着されてるんだから、カルマ君が離してくれない気もするけどね……」

 

「「「そだね……」」」

 

「ま、世の中には友達みたいなカップルもいるし、逆に距離感測りかねてちょっとギクシャクしてる恋人も、家族かって感じのやり取りしてる彼氏彼女もいるわけだし……ビッチ先生だって大人の関係からアプローチしてるしね、みんなバラバラなんだよ。いいんだよ、それで」

 

 ……そっか、人それぞれ……バラバラでいいんだ。みんなが言う『恋人らしい行動』はみんなの思うことであって、私たちの今の関わり方も私たちからすれば私たちらしい『恋人らしい行動』ってことで間違ってないし、これからお互いにどうしたいってことも出てくるかもしれないから……これでいいんだ。

 そう考えれば、モヤモヤしてた気持ちが晴れて、なんだか納得した気がした。ふと、時々スマホを操作していた莉桜ちゃんが顔を上げて、思い出すようにどこかを見ながら話し出した。

 

「それでも大きい変化が欲しいって言うなら、もうやれて()()()()行為とかだろうけど……カルマも高校に入るまでは手ぇ出さない宣言してたし、そういう方面で変わることは無いよねー、ほぼ確実に」

 

「中村さん……。まぁアミサのことだし分かって……」

 

「そういう行為……?」

 

「ないわよね。うん」

 

「……やっぱり聞いてくるよね」

 

「……えーと、さすがに言いづらいかな……」

 

「というか流石のアミサちゃんでも、この歳まで分からないってことは無いよね……?中1くらいの保健体育でやったもんね?」

 

「もうこの子には濁しても伝わらないんだから直接的に言葉に出しましょ。セックスとかそういうのよ」

 

「……、……ッ!?!?セッ……ッ!?!」

 

「ビッチ先生……;」

 

「でもよかった、流石に分かったか」

 

「ちなみに学校で習う前ってどういうふうに赤ちゃんが生まれるって思ってたの?」

 

「……ぎ、銀の翼を持つ天使がキャベツ畑に連れてくるって……」

 

「わーおファンタジー……」

 

「私小さい頃から『お腹の中から生まれるのよ』だったなぁ」

 

「私も。地域特有なのかもね」

 

「なんにせよ……いい?アミサ。今言った通り大きな変化が欲しいならそういう行為は手段の1つではあるわ。だけど、中学生は体ができあがってないんだから絶対軽率に手を出しちゃダメよ。愛を確かめる行為として否定はしないしできないけど、どうしたって負担もリスクも大きいのは女の方なの。その辺はカルマも……というかカルマの方が分かってるだろうからちゃんと考えてくれてるはずよ」

 

「ビッチ先生が言うと重みが違うなぁ……」

 

「前にお布団で一緒に寝ようとしたとか言ってたけど、あれもカルマ君がかわいそうだからやめてあげてね。心配だったり心細かったりしたんだろうけど、ちゃんと我慢してくれてるんだから」

 

「ダメって言ったの、そういうこと……?」

 

「アンタは思考が子どもっぽかろうが自分がちゃんと女として魅力的だってことを自覚しなさい」

 

「そういうこと。中学生男子を舐めちゃダメよ〜?まだ大人にはなってなくても、しっかり男には違いないんだから。……まぁ、強いて言うならキスまでね、……というかせっかくこの私が実践通して仕込んでるんだからそれくらいは実践してきなさい!」

 

「ビッチ先生、せっかくここまでいいこと言ってたのに……」

 

「てか自分は間接キス止まりのくせに」

 

「うっさいわね!!」

 

 ……そっか、お付き合いして……これからどうなるかはまだまだ先のことだから分からないけど、もしずっと一緒にいるとしたら、……そ、そういうこともするかもしれなくて……ということは、いろんな場面でだいぶ軽率なこと、してたんだな、私。

 ……私も、ちょっとは気をつけよう……気をつけれるかはわかんないし、あんまり自信ないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───カタ、

 

「……ん?……ふふ、おかえり」

 

「……あ……お待たせしました……ごめんね、結局待ってもらっちゃった」

 

「いーんだよ、一緒に帰りたくて待ってたんだから」

 

 イリーナ先生含めみんなにいろいろ相談にのってもらって、教員室を出る前に『アミサ(わたし)でもできること』のアドバイスをもらってから、もしかしてがあるかもとそっと教室を覗いてみたら……1人、教室に残って音楽を聴いてるのか片耳にイヤホンをつけて目を閉じてる彼が。……帰ってもいいって言っておいたのに、ホントに待っててくれたんだ。

 扉に手をかけて軽く軋む音で私が教室を覗いてることに気づいたのか、目を開けてこっちを見ると、笑顔を浮かべながら手招きをしてくれるカルマに誘われて教室に入る。

 

「悩みは解決したの?」

 

「した、ような……どうにもならないような……」

 

「なにそれw……その悩みってさ、俺が聞いてもいいの?」

 

「!……その、」

 

 ……教員室を出る前に、みんなに言われたこと。

 

〝アミサ、ここに来る時にカルマ置いてきたんでしょ。どーせ教室で待ってるし、多分アイツは何悩んでたのって聞いてくると思うから、ちゃんと答えてあげなさい〟

 

〝え、でも……、……〟

 

〝……もしかして、今に不満があるって思われそうで不安?〟

 

〝……うん……いつも、たくさん考えてくれてるの知ってるから……それで、今の感じが変わらないのが不安って伝えたら、嫌じゃないかな……って〟

 

〝……ふふ、逆だよ、そういうことを言葉にしてもらえるのって絶対嬉しいはずだよ。だって、今のままじゃ足りないって言ってもらってるようなものだもん……アミサちゃんだって、もっと好きって気持ちを伝えてって言われて嫌な気持ちにならないでしょ?〟

 

〝!〟

 

 ……内緒にすることもできる、けど……ちゃんと、伝えよう。私1人のことじゃない、私たち2人のことなんだから……それに、少しだけ、欲張ってみたい。

 

「……カルマと恋人になったけど、……お付き合いする前と、やってること変わってないなって……それでいいのかなって、思って……」

 

「!……そ。……ふふ、俺等って本ト気が合うねぇ」

 

「……?何が……?」

 

「なんでも。でもそっかぁ……足りなかった?もっと俺の気持ち、いろんな方法で伝えた方が安心する?」

 

「いろんな……、……ッ!?え、あ、た、足りないとか、そうじゃなくて、その、今もいっぱいもらってるのに、これ以上もらったら私、もっと欲張りになっちゃうしッ」

 

「あは、何想像したんだか。欲張ってくれていいのに……それに、慌てなくても俺等まだ始まったばっかなんだから、これからまだいっぱい時間はあるでしょ。俺等のペースで少しずつ進めばいいんだよ」

 

「!……、……うん」

 

 ……言い出すまでは反応がちょっと怖かったけど、カルマはなんかすごく嬉しそう……それに、私たちなりの付き合い方でいいって言ってくれた。それに、時間はいっぱいあるって言葉が……これからもずっと一緒って言ってくれてるみたいで……すごく、嬉しい。……みんなのアドバイス通り、ちゃんと伝えてよかった。

 直後。席を立ちながらニヤーッといたずらする時のような表情を浮かべたカルマ。……え?

 

「それに……やっと、時間をかけて捕まえたんだから、そう簡単に逃がしてあげるわけないしね」

 

「……え」

 

「ほら、帰るんでしょ。アミーシャ待ってたらいい感じに2人きりになったし、これでいつもと違うんじゃない?」

 

「え……?」

 

「あ、いつもみたいにただ手を繋ぐんじゃなくて、恋人繋ぎで帰ろっか……でも手を繋いだり抱きしめたりするのは普通はしないからやめた方がいいんだっけ?」

 

「……え、なんで……?」

 

「あ、ちゃんと高校入るまでは体に手は出さないよ、アミーシャ小さいしさ、我慢しとく。……その分、キスくらいは口に深いのしたいなーって思ってるけど」

 

「なん、え、……ッ待って、なんで私がみんなと話した内容知って……?!」

 

「さぁてねー」

 

 すごく、デジャヴというか……さっき、話したばかりの内容をポンポンと言われてる気がするんだけど、……ううん、これ絶対気のせいじゃない。明らかにイリーナ先生の所で私が相談した内容とか、みんなが言ってた内容をカルマが知っている。

 ニヤニヤと玄関に向かいながら歩く彼の手にはスマホ……の、誰かとのメッセージアプリのトーク画面。……そういえば、イリーナ先生のところにいた時、1人だけ、ずっとスマホになにか打ち込んでる人、いなかったっけ。……まさか。

 

「……ッり、莉桜ちゃんのスマホッ!まさかカルマにあそこで話したこと全部教えてたの!?!?」

 

「さぁ?俺は中村から『遅れた性教育が始まったから教室で待ってなさい』って言われただけだけどなー?」

 

「せっ……ち、違わないけど違うよッッ!?」

 

「なんだっけ、銀の翼を持つ天使がキャベツ畑に運んでくるんだっけ?」

 

「なんでそれ教えてるの莉桜ちゃん!!!!」

 

 私の悩みどころかあそこでの会話全部が普通にバラされている……!ていうかカルマは知ってて聞いてきたってこと!?

 恥ずかしさで顔に熱が集まってくる中、慌てて下駄箱に向かうカルマの後を追いかけるけど、どんどん投下される知られるとまでは思ってなかった話の数々……だから!なんでみんな内緒のつもりの話を1番内緒にしたい人にバラしちゃうの!?

 

 楽しそうにスマホを私の届かないところまで掲げながらトーク履歴を遡るカルマを、わーわー騒ぎながら追いかける私……カルマが2人きりって言ったのと、この衝撃で私はすっかりとんでいた。

 

 

 

 

 

「……行った?」

 

「行ったね。あー、あの2人というかアミサって本トつっつきがいがあるわぁ!」

 

「心配する必要なんてないのにね。変わってないように感じたって、私達からすれば2人はずっと特別に想いあってるんだから」

 

「というかバラしちゃうんだ、こっちの会話全部伝えたの。内緒にした上で楽しむとかしそうじゃん」

 

「カルマのことだから、悩みを言えなかったら黙ってるつもりだったんじゃないの?でも、素直に私達のアドバイス通りに話したから、代わりに秘密をバラしたとか」

 

「あー……ありそう」

 

「あーいう初々しすぎる子見てると頑張んなきゃって思うわね。私も絶対カラスマをオトしてやるんだからッ!!」

 

「むっ。隙をみて略奪してやる……ッ!」

 

「誰が好きとかそんなのまだ無いけどさ、あの2人とかビッチ先生見てるとちょっと恋愛するのも羨ましくなってくるよね」

 

「わかる〜!でさぁ……」

 

 3年E組の教室から、下駄箱に向かう途中に、さっきまでいた教員室があるんだよね。まだ、みんな帰ってないんだから……みんなに聞かれてること。

 後日、イリーナ先生のところに集まった時、この時のことを当たり前のように掘り返されたのは、また別のお話。

 

 

 

 

 





「……あのさー……、俺とアミーシャ、恋人になれたわけじゃん?……だけど、今までと変わらなすぎてこれでいいのかってちょっと悩んでる」

「贅沢な悩みだね……」

「さて、帰るか」





 ───ピロン

「……一応、ちゃんと深刻な悩みだと思ってたんだけどね。……ん?」

【中村(2)】



《RIO :アンタとの恋愛について
    悩んでるって相談に来たんだけど
《RIO :とりあえず、距離感バグについて
    自覚させるけどいいわよね?
《RIO :あと、遅れた性教育も始まったから
    帰らず教室で待っててやんなさい
    あ、悩みの内容については
    本人に聞いてやって
    カルマにとっちゃ嬉しい内容のハズよ

「…………へぇ」

《業:ふーん、楽しみにしとく





《RIO :あ、一応音声も繋いどいてやるわ
    今話してる内容なら
    文字に残すより直接聞いた方が
    いいと思うし……イヤホンあるわよね?
《業:あるよ
《RIO :『通話を開始しました』



++++++++++++++++++++



進路の時間に進む前に、ちょっと恋愛小話を。
空の軌跡にも、家族から恋人になった主人公とヒーローがいるわけで、だいぶ年月もタイプも違うとはいえ、オリ主とカルマもちょっと似たような感じなのかなぁと思って書いてみました。主に、距離感が最初から家族のようでそこから関係性が変わってるあたりが。

今後にどう影響してくるかはわかりませんが、これを通していろいろ感じ方とか接し方に変化が出るかもしれませんし、開き直って変わらないかもしれません。そこは、キャラクターの動きに任せます。



オリ主合流前にカルマがイヤホンしてたのは……


では、次回は進路の時間です!


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