暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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今回は、学園祭2日目の終わりに向けて進めつつ、オリ主の身内たちが来たことによるオリジナル要素がほとんどです。

ここで悩みがひとつ。
ロイドさんのクサい台詞ってどうやればできるんだろう。
詩人になりきればいいんだろうか……
迷走してますが、これで。

今回もよろしくお願いします!




90話 学園祭の時間~2日目・後編~

 

渚side

 アミサちゃんのお姉さん……リーシャさんと、その同僚であるイリアさんとシュリさんが、この椚ヶ丘学園祭という外部の人が出入りできる機会を利用してアミサちゃんを訪ねてきた。

 僕とカルマ君、殺せんせー、律の4人だけは、リーシャさん達アルカンシェルの3人と直接面識があるからまだ耐性があるけど……さすがは超有名アーティスト、名乗っていないにもかかわらず正体に勘づいたそれ以外の人達、E組のクラスメイトとお客さんの間にザワザワとした動揺が広がっている。

 

 そんな周りに、帽子をさらに目深にすることで無反応を決め込むシュリさんと、恥ずかしそうにしながら律儀にお辞儀をしているリーシャさんに対して、舞台上の顔と全く同じで何の躊躇いもなく手を振ったりかけられる声に応えるイリアさんは、さすがすぎるプロ意識だ……あ、木村君がサイン頼んでる。

 

 そしてその向こう、リーシャさんが誘ったらしい年齢も見た目もバラバラな……正直なんの繋がりがあるのか全くわからない男女7人は、アミサちゃんの周りに集まって、何か話してるみたいで……あ、別に仲違いとかそういうのじゃなさそうだからね?

 

「ほら、せっかく可愛いのにそんなに泣いたら顔がぐちゃぐちゃだろ……これ使って涙拭いて」

 

「というより、そんなに泣くということは……もしかしてアミーシャ、私達の状況知ってたんですか?」

 

「え、まさか……一応みんな、徹底して隠してたはずでしたよね?情報操作についてはティオちゃん筆頭にフランやヨナ君、レンちゃんも協力してくれてたし」

 

「だって……だって……っ!……リーシャお姉ちゃんたちしか元気なことわからなくて……調べたらティオさんもエリィさんもランディさんも、みんな、バラバラで……ロイドさんとキーアちゃんは特に危ないって……ワジさんとノエルさんだってぇ……ッ」

 

「……おう、俺等が隠してた事、お前は全部しっかり把握してたのがよーく分かったわ……つーか調べちゃったのな」

 

「アミーシャちゃんだけならギリギリ関わらせなくて済むかもって思ってたけど、中途半端に関わった後から隠してたせいで、余計に心配させちゃったのね……」

 

「私だって一緒に戦ったのに……あんな突然留学が決まったとか言われても、信じられるわけ、ないでしょ……?」

 

「うん、まぁそうなんだけど……検問敷かれる1歩手前で切羽詰まってたし、あれくらいしか言い訳できなかったんだよなぁ……」

 

「だからってそれだけで調べられる行動力がすごいんだよ。相変わらず流石の情報集積力だね、アッバスに見習わせて……いや、むしろウチに欲しい技術だ。……どう?将来騎士団とか。僕直属の従騎士ならいろいろ融通効くよ?」

 

「ワジさん1人には渡せませんよ?アミーシャはリーシャさんの家族であり、私達全員の妹分です。それに彼女は──」

 

「!ね、ねぇねぇティオ、キーアはー?」

 

「……!そうでした、ありがとうございます。キーアは特務支援課自慢の娘ですよ。……さてアミーシャ、だいぶ気持ちが落ち着いてきたところで、そろそろ他人行儀は寂しいのですが……」

 

「そうよね、前みたいな口調でいいのよ?」

 

「……ぐすっ……でも、……でも、私だって……もう15歳だもん……」

 

「大人になりたいってこと?」

 

「……ん、」

 

「それでも俺達の妹分であることには変わりないし……ほら、元に戻した方が俺達がここにいるって実感できるんじゃないか?」

 

「それに……私達が、アミーシャちゃんにそうして欲しいな。だめ?」

 

「……うー……、……、……その、……お兄ちゃんたちも、お姉ちゃんたちも、……アミーシャのこと、ぎゅーってしてくれたら、考える……じゃ、だめ……?」

 

「~~~~ッもう、当然いいに決まってるじゃない!いくらでもしてあげるわ!」

 

「事件再びです……!!これは封印されしキーアペンギンと並ぶ凶悪さ……ッ!」

 

「ふわあぁ~~~ッ私も混ぜてください!!」

 

「キーアもー!」

 

「わ、わぁっ!……ちょっとだけ、苦しいけど……みんな、みーんなあったかい、……えへへ、よかったぁ……」

 

「い、いつかのデジャヴだ……」

 

「今回に関してはキーアも一緒になって参加してるけどな」

 

「跳ね飛ばされなかっただけマシだと思っとけばいいんじゃない?」

 

 ……ホント、なんというか……家族とか親戚とか、それくらい近しい間柄の中で行われるやり取りに近いというか。きっとアミサちゃんはクロスベル自治州にいた頃から、リーシャさんだけじゃなくて、あの人達にもああやって愛されてきたんだろう……それなら昔から時折見せていた、誰かを探すような寂しそうに笑う表情の説明がつく。

 僕はあの集団の女性陣にもみくちゃにされるが如く抱きつかれているのに、心の底から幸せそうに笑うアミサちゃんを見て、どこか安心感を覚えると同時に、あんなに幼い表情の彼女をほとんど見た事がないということに気が付いた。カルマ君も僕の隣であの様子を見ながら、何やら考え込んでいるみたいだ。

 

「ふふ……ああいう所があの子は幼いですよね」

 

「ッ!?り、リーシャさんっ!」

 

「……っ……リーシャさん、改めてお久しぶりです」

 

「はい、お久しぶりですナギサさん、カルマさん、それとリツさんも。ふふ、通信で顔を合わせて以来ですね」

 

『はい、お久しぶりです、リーシャさん!』

 

 急に声をかけられたと思ったら、僕のすぐ隣に気配を消したリーシャさんが立っていて驚いた……カルマ君ですら気付いてなかったのか、若干肩を揺らして返事を返すまでの反応が遅れていた。リーシャさんは僕等の様子に気づいているのかいないのか、何事も無かったかのように僕等に挨拶し、スマホにいる律にまで自然な流れで声をかけていて……、ってこれがリーシャさん的には通常運転なのかもしれないけど、まだ心臓はバクバクと早鐘を打っている。

 流石というか、先に落ち着きを取り戻したのはカルマ君の方で……切り替えるようにふる、と軽く頭を振ると、リーシャさんの方へ向き直った。

 

「リーシャさん……アミーシャが幼いって、どういう……」

 

「……アミーシャとずっと一緒に過ごしてくださっているお二人なら、感じたんじゃないですか?あの人達の中にいるアミーシャは気を抜いていて、完全に体も心も預けている幼子のようだ、と。あの子は母親の存在を知りませんから、キーアちゃんのことを娘として接するあの人達に出会うまで、身近な人への甘え方を学ぶ対象もいなかったんです……姉である私では、母親にはなれませんから」

 

 ……つまりリーシャさんは、あの人達がアミサちゃんの親代わりのようになって愛情を注いでくれたんだって言いたいのかな。僕等はアミサちゃんが母親と過ごした記憶がないのは知ってたし、本当なら主に母親から与えられる親の愛情……僕も最近になってなんとなく分かるようになってきた母さんの思い、のようなもの……も、わからないのは十分察していた。

 僕やカルマ君と一緒に過ごしている時でも時々何かを求めるような、甘えているような幼い表情を見せていた彼女だけど、それは僕等2人、もしくはどちらかと居る時だけ。それでもかなり頻度は少ないし、カルマ君と2人の時はどうなのか僕は知らない……それに、言い方は悪いけどE組のみんなが居る前ではほとんど見た事がない。そんな表情をいとも簡単に引き出したあの人達は……本当になんなんだろう。僕の疑問が顔に出ていたんだろう、小さく笑ったリーシャさんが言った。

 

「……多分、身内だからこそ知ってることを聞きたいと思われてるでしょうし、色々と気になることがあると思います。それらを含めてお話したいことがあるんですが……えっと……みなさんもうすぐお店、閉められますよね?」

 

「……へ?はい、あの、確かにもうすぐ切り上げますけど……」

 

「学園祭の時間はまだ4時間くらい残ってるのに……どうして、」

 

「さっき、メニュー表を見せてもらったんですけど、看板メニューのどんぐりつけ麺を始めサイドメニューのほとんどが売り切れでした。お客さんが来ても何も言わずに受け入れているってことはまだ料理は出せるのでしょうけど、謳い文句である新鮮な山の幸を取りに行く様子もなく、商品の売り切れを伝えているということは、店仕舞いに向けて動いているんだと思ったんですが……違いましたか?」

 

「い、いえ!あってます!……たったそれだけで……」

 

「ふふ、偶然です。それで……その、店仕舞いの後ってお時間、取れそうですか?」

 

「うーん……」

 

「……その顔、ずるくない……?」

 

 僕等とお客さんの動きを見て、メニュー表も確認しての判断って……リーシャさん達がここに来てからそんな時間ほとんどなかったと思うのに、すごい洞察力だ。なんにせよ、店仕舞いするまでは僕等もE組の一員としてこの出店の店員だ。終わった後も売り上げや集客数の集計とかも出さなくちゃいけないし、知り合いとかお世話になった人だからって僕等だけ勝手に抜け出すわけにもいかない。

 リーシャさんはいきなり言い出したことですから無理なら構わないって付け足したけど、そんなアミサちゃんと似たような顔で困ったように眉を下げた表情を見せられて、忙しいので難しいです、なんて言えるわけがないんだよね……。確認のためにカルマ君の方を見てみれば、僕と同じようなことを考えたんだろう……小さく呟いた彼と目が合った。

 

「僕等だけの一存で決めちゃっていいのかわからないので、みんなと……あと先生達にも相談してきていいですか?」

 

「一応学園祭(コレ)、外部の人が入場OKとはいえ、学校行事だし……俺等だけ勝手なことできないんだよね」

 

「はい、ぜひそうしてください。学校側も、他の方達も都合があるでしょうし……コロセンセーさんも、一般の方々に見られない方がいいですよね」

 

「「…………ん?」」

 

「……え?」

 

 ……おかしい、なんか僕等とリーシャさんとの会話が噛み合ってない気がする。今までの会話の流れからして、リーシャさんは僕等2人と何かを話したいんだよね……?だったら僕とカルマ君、2人の都合さえつけばそれでいいはずだ。

 それがなんで殺せんせーが一般人に見られるとまずいって話になるんだろう?殺せんせーの存在を外部に知られているって事実はこの際横に置いておく……アルカンシェルへ観劇に行った時にリーシャさんは会ってるしね、人間(仮)バージョンで。

 

「……えーっと、リーシャさん、なんで殺せんせー?」

 

「僕等2人と話したいってことじゃ……?」

 

「いえ、そうではなくて……あれ?……すみません、私の言葉が足りませんでした。アミーシャがお世話になっていることを含めて、E組の皆さんとお話できたらと思って。もちろんコロセンセーさんも一緒に」

 

「……、なるほど、そーいうことね。……てか、当たり前のように同席を求められる殺せんせー(国家機密)……リーシャさんこの事知ってんのかな……

 

「だ、だったら尚更皆にも聞かないと。E組の出店が終わったからって本校舎に行こうとしてる人もいるだろうし」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 ……どうやら言葉足らずというか、大事な部分を伏せて話してしまうところは、姉妹そろっての癖だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の涙がおさまってきた頃、話しかけるタイミングを見計らっていたんだろう……メグちゃんと磯貝くんがメニュー表を持って近づいてきた。そうだ、ロイドさんたちとのかなり久しぶりの再会で忘れかけてたけど、ここはE組の飲食店……せっかく来てもらったのだから、E組(わたしたち)自慢の料理を食べてもらわないともったいない。……といっても、ほとんど品切れだけどね。

 

 渡されたメニュー表を見ながら料理を選ぶ特務支援課の人たちは、写真の上に貼られた売り切れの文字を見て、もっと早く来ればよかったとか、学生主体の店で売り切れが出るなんてすごい等と口々に言ってくれて、代表して注文を取りに来てくれていたメグちゃんたちを照れさせている。

 ちなみにリーシャお姉ちゃんはカルマと渚くんの2人と何かお話中……イリアお姉さんとシュリさんは、……なんて言えばいいんだろう、周りの人たちにファンサービス?をしている最中で、みなさんが3人の分も一緒に注文してくれるらしい。まだ提供できるものの中で何を食べようかとみなさんが悩む中、さっさと選び終わってメニュー表から顔を上げたワジさんは、何かに気づいたように私の頭……正確にはヘッドドレスに付いてるネコミミに手を伸ばしてきた。

 

「そういえばさっきから気になってたんだけど……アミーシャ、キミ1人だけエプロンじゃなくてメイド服って何かあったのかい?こんなのまで付けて」

 

「そうだよ!もしかしてみっしぃ?それともみーしぇ?でも色違うよねー?」

 

「それな!アミ姫に似合ってるけど、何かあったんならおにーさんに言ってみろ〜?」

 

「あ、や、その……クラスメイトが……こういうお店にはマスコットが必要だからって……」

 

「「「マスコット?」」」

 

「あはは……すいません、うちのクラスにメイド喫茶に通うくらいオタクな男子がいまして……彼曰く、猫耳メイドは正義だ、の一言でコレに……」

 

「ついでにその他欲望に忠実なやつが男女含めて数名な。あと真尾は昨日、本校舎の方で宣伝ステージに出てくれたんで、その衣装も兼ねてるんです。それ繋がりでマスコット=看板娘でいけるんじゃないか、というのが俺等の考えで……あ、これその一部始終です」

 

「へぇ……、あれ、この曲こっちのやつじゃない?」

 

「本当だ……え、これアミーシャが歌ってるんですか?……初めて聞きました」

 

「キレーな声!元気なのと、消えちゃいそうな……」

 

「こんなに歌うまかったのね……リーシャさんは舞姫だけど、アミーシャちゃんは歌姫を目指せそうね。ほら、あの時の≪蒼の歌姫(ディーバ)≫に匹敵しそうな……」

 

「いやでもあれはオペラだろ?さすがに分野が違わねーか?」

 

 マスコットとはなんだそれ、な反応を見せたみなさんに対して、注文をとるために残っていたメグちゃんと磯貝くんが私の代わりに説明してくれた……いつかは聞かれると思ってたけど、なんて説明すればいいのか迷ってたから、かなりありがたい。ついでに歌ってるところを見せてるのはちょっと照れる……んだけど、なんか別の話に脱線してない……?

 最初に猫耳に反応したワジさんはといえば、手持ち無沙汰なのかなんなのか、一言返事をしたあとは、私の頭を撫でつつ時々ネコミミに触れていろんな角度に変えて遊んでいる。

 

「ふふ、アミーシャちゃんはここでいろいろ大事にしてもらえてるのね」

 

「引っ込み思案なアミーシャちゃんが人前に出られるようになったなんて……っ、成長したね、えらいえらい!」

 

「……アミーシャ、頑張ってるんですね。……そうだ、そのまま今後の戦闘でも猫耳つけませんか?私とお揃いですよ、ほら!……ハッ……違いますね、用意しておけば付けてもらえるということでは!?」

 

「そういえばティオのエイオンシステムも猫耳だもんな。……2年ぶりだし普段着が体のラインが出るのばっかりだから、ふわふわした服装はめったに見れないし新鮮だとは思ってたけど……うん、花を探して飛んでる蝶みたいだ。手元に捕まえておきたくなるくらい可愛いぞ、アミーシャ。似合ってる」

 

「最初は恥ずかしかったけど……エリィお姉ちゃんも、ノエルお姉ちゃんも、ティオお姉ちゃんもありがと、なの。ロイドお兄ちゃんは2年前より髪が伸びてがっしりして見慣れないけど……みんなを導く大きな光なとこは変わんない。心をぽかぽかにするイケメンさん、だね」

 

「はは、なんだそれ。

 

 

 

 

 

ところでなんで俺はいろんな所から睨まれてるんだ?」

 

 エリィお姉ちゃんはふわりと安心したような笑みを浮かべ、ノエルお姉ちゃんは私の髪型を崩さないようにしながらも感動したように頭を撫でながら私の成長を認めてくれた。ティオお姉ちゃんはお揃いの猫耳をさして「次に一緒のパーティに入る時はぜひ」って推してくれてるし、ロイドさんは今更かもしれないけどと前置いて私の容姿を褒めてくれた。

 前と変わりない光景……ホントに、夢みたい……だいたい2年くらい前……私がまだクロスベルにいた頃のありふれた日常のようで。自然と浮かんできた笑顔にロイドさんも返してくれてたんだけど。

 

「この天然タラシが……!」

 

「あの思わせぶりな褒め言葉を普通に受け取るアミーシャも大概だけどね。お互いなんにも考えてないんだろうけど」

 

「すごいのは2人とも全部本心から話してるってことよね……ここにリーシャさんも入ったらどうなるのかしら」

 

「天然が集まるとどれだけ大変なことになるのか、よーく分かりますね……収集がつきません」

 

「それが分かってるなら止めてやれよティオ助……」

 

「めんどくさいです」

 

 ニコニコと私たちが笑い合っている途中、私からは見えない位置でエリィさんたちに威圧?視線?呆れ?よく分からないけど……何やらを向けられていたらしいロイドさんが、いきなり顔色を悪くして頭を抱え始めた。

 私には唯一聞こえた声から、ロイドさんを除いた特務支援課のみなさんの仕業だということしか分からなくて、ロイドさんのいきなりの変化にただ首を傾げるしかなく……

 

「…………あの男」

 

「か、カルマ君、抑えて抑えて。あの人、カルマ君がアミサちゃんの彼氏って知らないだろうし、見た感じ妹を褒める感覚だから!多分!」

 

「ふふ、ロイドさんが中身までかっこいいのはずっと変わらないですね。人に興味をもたないアミーシャもすぐに懐くくらいでしたから」

 

「リーシャさん、ほのぼのと煽らないでください!っあ、カルマ君!?……あーもう、行っちゃったし……」

 

 ……ロイドさんが『いろんな』ってぼやかし、エリィさんたちのことを名指ししなかったのは、エリィさんたち以外からのどこからかハッキリしない威圧もあったからで。

 それが離れたところからこのやり取りを見ていたE組……主にカルマからのものだってことも、渚くんが天然なお姉ちゃん共々なんとか間に入って止めようと奮闘していたことも、もちろん知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アミーシャ、俺にもこの人紹介してよ」

 

「あ、うん!この人はロイドおに、……ろ、ロイドさん。カルマにも話したことのあるよね、クロスベルでお世話になった人なの」

 

「へぇ……どーも、ロイドおにーさん?クロスベルではアミーシャがよくしてもらったみたいで」

 

「あ、ああ……え、今の殺気って君……?」

 

「アミーシャ、1回烏間先生達にリーシャさん達が来たこと話してくるから、こっちのお姉さん達といてよ。久しぶりに会ったんなら甘えといで……あ、お兄さん達はそろそろ料理できるみたいだしあっちで待っとけば?」

 

「え、あ、うん……?え、ロイドお兄ちゃんたちは別?え?」

 

「うん、この人達は、今から先に席を取りに行くから。アミーシャはお姉さん達といてね」

 

「う、うん……?え、でも席ってほとんど空いて……」

 

「席取りに行きますよね?ロイドおにーさん」

 

「せ、席取ってくるよ……行こう、ワジ、ランディ」

 

「何ロイド、またキミは敵を作るような事したの?」

 

「俺、彼からこんなに敵意を向けられるようなことしたっけ……」

 

「自覚ねーならどうしようもないわな。ていうか俺等までアミ姫から引き離されるって完全お前きっかけの巻き添えじゃねーか!」

 

「……、……ロイドさんたち男性陣、行っちゃいましたけど……とりあえず私達はアミーシャちゃんを預かりましょうか。というかあの赤髪の人、流れるようにロイドさんからアミーシャちゃんを回収しましたね……」

 

「というよりロイドにすごい刺々しい視線向けてない?もしかして彼って……ねぇ、ティオちゃん」

 

「……驚きました……あの人、アミーシャに向ける感情、というか愛情がめちゃくちゃ大きいです……その分ロイドさん含め男性陣に対する敵意もすごいですけど」

 

「……こっちに1人きりにして少し後悔もあったのだけど……いい出会いがあったのね」

 

「………………」

 

「キーアちゃん?」

 

「う、ううん!なんでもないよ!……うん、なんでも……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルマside

 

「なるほど、アミサさんのお姉さん……リーシャさんからの申し出ですか。わざわざ国外から訪ねてきてくださったんです。こんな機会滅多にないでしょうし、後片付けが終わってから皆さんで会いましょうか」

 

「マジか!!」

 

「やった、リーシャ・マオと話せる……!」

 

「リーシャさんが私達に何を話したいのかはわからないけど、どうせなら私達もリーシャさんの知らないアミサちゃんの姿を教えてあげたいよね」

 

「律、今までに撮ったアミサの写真とか動画の記録、整理しといてくれる?」

 

『わかりました、おまかせください!』

 

 リーシャさんからの断りにくすぎるお願いを受けて、彼等の接客をアミーシャと磯貝達に託した俺と渚君は、まだキッチンで監督しつつ、今できる所まではと集計する生徒を手伝っている殺せんせーと、遅れて様子を見に来た烏間先生に事の次第を報告しに来ていた。

 早く店を閉める分A組には絶対勝てないし、既に終わった空気が流れていたこの場所に、普段お目にかかることのない有名アーティストに会えると活気が戻る。かく言う俺も、面と向かって会話できる機会はあの時(アルカンシェル観劇)以来だからだいぶ楽しみだ。

 

「ただ……1つ、頼まれたことがあって……僕等がリーシャさんと会うことをアミサちゃんには内緒にしておいてほしいらしいんだ」

 

「何で?」

 

「さぁ……?リーシャさんが言うには、タイミングのいい所でキーアちゃん……ほら、あそこでアミサちゃんにくっついてる黄緑色の髪の子が連れ出してくれるらしくて」

 

「なーんか、個人的に話したいことがあるらしいよ?」

 

 渚君の言葉に釣られるように、話を聞いていたみんなが窓の外を見る。リーシャさんが呼んだ客人達が料理を食べているテーブルを囲み、そこで楽しげに会話しているアミーシャ達の姿があった。よくよく見てみると、アミーシャの右手はキーアという少女と繋がり、左手はリーシャさんの腕に絡んでいる……今生きている唯一の家族と言っていたし、一緒にいられる時間はそばにいたいんだろう。

 もうほぼ売りきったし、さっさと集計作業を終わらして時間を作ろうと、俺等が手を動かし始めたあたりで、じっと静かに俺等のやり取りを聞いていた烏間先生が殺せんせーに声をかけた。

 

「……1つ、いいか?」

 

「はい、どうぞ烏間先生」

 

「……真尾さんのお姉さんがE組の生徒と会いたいというのはまだいい。遠く離れたところで住まざるを得ない事情があったらしいからな、世話になっているクラスメイトや俺達教師陣と話しがしたいというのも理解できる。だが……何故彼女の口からお前の存在が出てくるんだ、国家機密

 

「ヒェッ……えー、そのー……、…………」

 

「……………………」

 

「……………………、に、逃げるが勝ち!!

 

おいッ

 

「……『縁』かぁ」

 

「烏間先生はあのタコと関わったのが縁の尽きだね〜」

 

 どったんばったんと狭い教室の中を飛び回る殺せんせーと、それを追いかける烏間先生……、逃げる超生物と追う人外()教師のやりとりなんて俺等生徒に止められるはずもなく、ついでに烏間先生にヅラ疑惑をかける嘘までバレたようで激しさをましていく一方だった。

 そりゃあそうだよね、元々先生じゃない防衛省の烏間先生は、殺せんせーがE組に来て毎回何かしら事件を起こすってだけでも心労すごそうなのに、俺等皆色々と濃いから気苦労もすごいんだろう……あ、俺がその筆頭生徒なのは自覚済みだよ?ていうか国家機密なのに、人間に変装してたとはいえ存在を外部に自分でバラしちゃうってどうなの。

 

「ちょっと先生達!うるさいし色々飛んでくし埃舞うからやめてよ!」

 

「にゅやっ!?す、すすすすすすみませんんんんっっっ!!!ぎゃ、か、かすっ!?」

 

「お前が逃げなければいい話だ」

 

「そうしたら確実に当ててくるじゃないですか!」

 

「ほう、よく分かってるじゃないか……そこに直れ!」

 

「イヤです!」

 

 ……ま、でも先生達らしいよね。

 

 少しの間、片岡さんを始め何人かの生徒が殺せんせーと烏間先生の乱闘に文句を言ってたんだけど、ふと何かを思い出したように烏間先生が動きを止めた。

 

「……そうだ、このタコのせいで忘れるところだった。……赤羽君」

 

「……、……え、俺?」

 

「ああ。外で言付かったんだが────、────」

 

「…………え」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちのお店は学園祭2日目の途中ではあるけど……予想外の客入りによって材料が売り切れたため、早めに店を閉めることになった。実質このあとは自由時間となる。

 元々、カルマと渚くんとカエデちゃんと一緒に本校舎の最後の追い上げに勤しむ出店を見に行こうって話してたんだけど……せっかくお姉ちゃんたちが来てくれたから、できたら一緒にいたいな……。それに、私の自慢の家族を友達を仲間を……E組のみんなにも紹介したいし。

 

 校舎の外に出していた飲食スペース用の机と椅子を手分けして片付け、看板も仕舞って本格的に終了……そろそろ教室に戻ろうか、ということになってE組校舎に歩き出した時だった。

 

「……っ、?」

 

 くんっ、と制服をつままれて引っ張られる感覚に足を止める。何かに引っかかったのかと振り返ってみれば、そこには私の制服を掴んでこちらを見つめているキーアちゃんの姿があった。出店の片付けが始まってから私はE組のみんなと撤収作業におわれてたし、その間特務支援課のみなさんはそろってこの山を見て回ってたみたいだけど……ってあれ、キーアちゃん1人だけ……?

 

「……キーアちゃん?どうか、したの……?というかお兄ちゃんたちは……」

 

「あ、……あのね、アミーシャ。キーア、アミーシャと話したいことがあるの。少しだけ、時間もらえる……?」

 

「え?えと……うん、もう終わりだし、だいじょぶだと思うけど……一応みんなにも、」

 

「ううん。もう、E組の先生にはアミーシャを借りたいってお願いしてあるの。んーと……黒い髪の男の人。みんなより大人って感じの」

 

「黒い髪の大人……烏間先生かな……」

 

「かなぁ?課長みたいなスーツ着てたよ!で、雰囲気はアリオスみたいに暖かいのに、ダドリーみたいにカチカチで、なんか怖かった!」

 

「……ふふ、なら、へーきかな……どこで話そうか?」

 

「あ、待ってね。あと1人呼んでるの」

 

「…………え」

 

 このE組に黒髪でスーツ姿の人なんて烏間先生くらいしかいない。ダドリーさんみたいなって……あの人は捜査一課なこともあって厳格だったからな……確かに雰囲気だけなら似てるのかもしれないけど。なんとなく頼ってしまいたくなる人柄って部分で、アリオスさんはわかる気がする。その烏間先生に伝えたのなら、多分いいはずだ。

 わざわざ呼び出すんだし、静かな場所の方がいいだろうと校舎裏とか、グラウンド横の木陰とかに案内しようかとしたら、またキーアちゃんに止められた。あと1人……?不思議に思っていると、校舎の中から出てきて私たちのところに駆け寄ってくる1つの姿が……それは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カルマ……?」

 

「……呼んだのは、キミ?」

 

「うん。そろったし、行こ?……誰も、誰も来ない所がいい。これから話すことはアミーシャと、アミーシャの大事な人……カルマに、関係することだから」

 

 

 

 

 





「……、まだ、……アミーシャが、生きてる。……未来は変わってる……?」



「…………でも、ここはロイド達のために、キーアが因果律に干渉して書き換えた未来のその先に位置するセカイ……これからも、なんて保証はできない」



「……ううん、そんなこと、どうでもいい。まずは、……謝らなくちゃいけない」



「キーアは…………今回はキーアのためじゃないけど、」



「…………また、人の心に干渉してしまったから」



++++++++++++++++++++



学園祭2日目です。営業自体は終わりましたが、オリジナルのお話はもう少し続きます。次回の場面としては、キーアとオリ主&カルマ、リーシャ&特務支援課とE組生徒達というくくりが大きなお話になると思います。

最初のリーシャと渚、カルマの会話の意味は、オリ主はリーシャ達アルカンシェルのメンバーや特務支援課の前では素を出して甘えに行けるけど、E組のクラスメイトの前では警戒心や疑心暗鬼を捨てきれていなくて、実は素の姿というより気を張り続けていたんだよ、ということ。
色々な理由から、なんの疑いもなく信じるのは表面ではできても内面の奥底では出来ていなかったという。次回、これについても触れると思います。
でも、リーシャの天然具合に全部もっていかれました。拙宅のリーシャは、無自覚にカルマの嫉妬を煽ってます。渚君頑張れ()

渚君のお母さんとの和解場面は、小説の中では申し訳ないですがカットで。でも、その代わりのオリジナル部分を差し込みました。


次回は、クロスオーバー先から章タイトルをお借りして、インターミッション。内容自体は学園祭じゃないのですが……時系列的には学園祭の2日目なので、題名も学園祭の時間です。

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