そしたら更新スピードが下がる可能性が。
黄泉川宅で団欒している上条当麻。
それを遠くから見つめる瞳が八つ。
彼に向ける目は愛しさを。
彼のそばに居る女に向ける目は憎悪。
学園都市には風紀委員という生徒たちが所属する自治部隊が存在する。
普通であれば彼女たちの行っている行為はストーキングに属するものである。
しかし、それを検挙するはずの風紀委員がその行為を行っている。
「凶悪な犯罪を犯す可能性がある」という、虚偽の報告書を用いているため彼女たちが拘束されることはない。
「ねぇ、みんなも当麻のこと好きなの?」
「そうですの、私はあの方を慕っておりますの」
「私もです。だってあんなことされたら、ねぇ…」
「私男の人って苦手なんですけど、当麻さんなら大丈夫だったんです」
「そ、…今は手を組みましょう。取り返さなきゃ話は始まらないわけだし」
「そうですね」
「そうですの」
「はい!」
やはり、彼が幸せを手にするのは一筋縄では行かない。
「それじゃ行きましょ」
「えぇ…」
そう言って彼女たちは黄泉川宅に向かって歩みを進める。
現在時刻、午後9時半。
名門常盤台中学の学生寮はすでに門限を超えている。
恐らく寮監が阿修羅の如き顔で怒り狂っているだろう。
だが、そんなことを忘れてしまうほどに彼への気持ちが強いのだ。
それ故に、彼に恋人ができる。
自分以外の女と居る。
それが、許せないのだ。
そして、これこそがアレイスターの取る手段。
御坂美琴及び白井黒子、初春飾利、佐天涙子の生活する寮には連絡が行っているだろう。
そして、今から起こるであろう事象も闇に葬られるのだろう。
それが学園都市理事長、特別自治地区の長たる者だからこそ成せることである。
ピンポーン、
『はい、なんでしょう?ってミサカはミサカは、ってお姉様?』
「あれ、打ち止め?黄泉川先生の家じゃないの?」
『一緒に住んでるんだよ?ってミサカはミサカは、ってあなたも…』
『おい、オリジナル…何の用だァ?』
「一方通行…?何でアンタが…」
『ンなこたァどォでもいィンだァ…用件をさっさと言え』
「…まぁ、いっか。ねぇ、当麻居るでしょ?」
『上条ォ?……いねェよ』
「何言ってんのよ、居るのは分かってるの」
『オイオイ、第三位様はストーカーなンですかァ?』
「いいから出しなさいよ!」
『…ダメだなァ』
「なんでよ!?」
『ンなもン、自分が一番分かってンだろ?』
黄泉川宅にこんな相手が居るとは思ってなかった美琴は、苦虫を噛み潰したような顔をする。
一方通行相手に口で勝てるとは思えない。
能力でも勝てない。
後ろにいる涙子たちにもその焦りは伝わっているようで、心配そうな目…いや、違う。
急かすような目で見てきている。
「ただ話がしたいだけよ?私以外にも当麻のことが好きな子がいるから、一度きっぱりしておきたいの」
『……ちょっと待ってろォ』
なんとか、一方通行の説得に成功した。
だが、問題はまだある。
どうやって当麻を連れて行くかだ。
普通にやっては一方通行に追いつかれる。
能力で眠らせようにも当麻の右手は能力が効かない。
そんなことを考えてると、
『…御坂、か?どうしたんだ?こんな時間に』
「ちょっと話があんの、降りてきてくれない」
『なぁ、その前に一ついいか?』
「何よ」
『なんで俺がここにいることを知ってるんだ?』
「……アンタのことは何でもお見通しだからよ」
『そんな分かりやすいですか、上条さん!?』
「いいから、降りてきて」
『……わかったよ』
あと数分で当麻はここにくる。
彼女たちが待ちわびた瞬間がくる。
エレベーターが動き出す。
……一階に着いた。
もうくるのだ、当麻が。
「話ってなんだ?」
来た、当麻が来た。
「中学生がこんな時間に出歩いて、更には教師の家に来るなんていい度胸じゃん」
当麻と共に、黄泉川愛穂まで来た。
ここまで、邪魔をするつもりなのか。
彼女たちはそう思い、
「私たちは、当麻にだけ話があるので先生は戻っても大丈夫ですよ」
「そうですよ、すぐ帰りますし!」
「……ちょーっと話があるじゃんよ、当麻はここで待ってて」
「何言ってるんですか?」
「いいから来るじゃん」
そう言い、愛穂は彼女たちを外へ連れ出した。
目的が分からない、彼女たちは困惑してる。
当麻と話があるのに愛穂に話があると言われたからだ。
「ここに来たってことは、もう知ってるってことじゃん?私と当麻が付き合うことになったって」
「…はい」
「最近の子供は情報が回るのが早いじゃん。…そのことで、当麻に話があったんでしょ?」
「…はい」
「あいつは、モテモテじゃん。私はそんな中から選ばれたじゃん」
「…何ですか?自慢ですか?」
「違うじゃんよ、…私は教師。生徒には厳しくするべき。そして、生徒との恋愛は禁止されてるじゃん?」
「そうですよ!だから早く別れてください」
「いやじゃんよ、だって大好きだから」
「ふふ、既成事実を作ればこっちのものです」
「話を聞け、…私はその、警備員だから忙しいじゃん?だから、当麻を欲求不満にさせちゃうかもしれない」
「何が言いたいんですか?」
「もし、当麻自身が許可を出したなら、お前たちなら愛人になってもいいじゃんよ?もちろん、正妻は私じゃん」
「私たちがそれではいって言うと思うんですか?」
「そうですの!私が一番じゃなきゃ嫌ですの!」
「そうですよ!私が一番!」
「私はいつでも見てるんです、いつでも会いに行ける私が一番なんです」
「そうか、じゃあこの話はなかったことにするじゃん」
「「「「ちょっと待って下さい(の)!!」」」」
これは、いいんじゃないか?
でも、一番が。
愛してもらえないよりは。
もしかしたら奪えるかも。
彼女たちは、相談している。
まさかこんなことになるとは思っていなかったからだ。
この話を蹴ればチャンスはない。
この話を受ければチャンスは増える。
「わかりました、その話乗ります!」
「「「乗ります(の)!」」」
「うん、当麻呼んでくるから1人ずつ言ってみるじゃん」
「「「「はい!」」」」
「ちょっと当麻にも話してくるじゃんよ」
そう言い残しマンションに入っていく愛穂。
これから当麻に話すことは、下手したら自分も嫌われるかもしれないことなのだ。
そんな、何とも言えないような気持ちで当麻の元に向かう愛穂は、いつもの教師の姿なんて面影もない。
「お、愛穂。話は終わったのか?」
「………」
「愛穂?」
心配そうに愛穂を見つめる当麻。
これから言われることを微塵も想像してない顔。
「ねぇ、当麻」
「どうしたんだ?」
「当麻は、すっごいモテモテじゃん。だから、この先色んな娘に誘惑されるかもしれない。私自身学校での仕事やら、警備員の仕事で忙しいじゃん。だから、当麻を欲求不満にさせちゃうかもしれないじゃん」
「欲求不満?なんだ、それ?」
「な!?それを私に言わせるの!?……その、そういう行為だよ」
「な!?そんなこと気にしなくてもいいだろ?!」
「だから!だったら、私の目の届く範囲だったら、…愛人、作ってもいいよ?」
「(な、なんでせうか目の前にいる天使は!!?)愛人って、俺は愛穂が居れば充分だぞ?」
「でもさ、当麻のこと好きな子はいっぱい居るわけだし…」
「何言ってるんでせうか、さっきも気になったけど上条さんのこと好きな人は愛穂ぐらいだよ」
やはり鈍感である。
今世界中にいる上条勢力の女性たちは溜め息をついてることだろう。
それは置いておこう。
「いるんだよ、さっきの子たちも当麻のことが好きだと思うじゃん」
「え!?あいつらが!?」
「そんなだと、背中から刺されるじゃん?」
「あいつらが、…じゃあここに来るときの御坂も」
「ん?何かあったじゃん?」
「えっと…、キス、された…」
「私もまだなのに!?」
そう言って落ち込んでしまった愛穂。
普段キリッとしてる彼女がしょぼんとしているのはとてもかわいい。
そして当麻は、ほんの少し考えた後、
「愛穂」
「…?」
「んっ、」
「んちゅ、むっんぅ…」
「…んっ、ふぅ」
「ぷぇあ、…ほぇ?」
「その、自分からしたのは初めてだから」
「………」
唐突にキスされ思考停止してしまった愛穂。
ポーッとしてて愛らしい。
「愛穂?大丈夫か?」
「……うん」
「それで、さっきの話だけど…」
「……うん」
「愛穂はいいのか?」
「しょうがないことじゃん」
「うーん、分かった。本当に俺のことが好きなら、愛穂に相談してどうするか決めるよ」
「…私のファーストキスをあげたじゃん?浮気は良いけど本気はだめじゃんよ?」
「分かってるよ、浮気っていうかなんていうか。まぁ、本気にはならないよ。俺が好き…いや、愛してるのは愛穂だけだから」
「うん!」
新しく書き始めたので、さらに更新遅くなるかもしれません。