「……きゅう」
気絶したバガンを背負いGIRLSに向かうゴジラ。キングギドラは自分とゴジラの遺伝子を持つと言う子供をジッと見詰める。
「…………抱きたいのか?」
「な!?そ、そんな────」
「ほら、起こすなよ?起こしたら噛むぞ」
勿論ゴジラが。とは言えそんな事を知らない周りは微笑ましげに三人を見詰めていた。
「…………」
取り敢えず受け取っておく。まだ気絶しているし、大丈夫だろう。
「軽……」
キングギドラが怪獣娘だと言うのもあるが、思っていたよりずっと軽かった。まあ子供など抱いた事が無いのだからそもそも重さなんて解らないが。
「……軽い、けど何か重いですね」
と、千年竜王に代わりポツリと呟く。
怪獣娘たる彼女達からするとこの程度の重さのモノは何度も持ち上げた事が有る。だと言うのに、不思議とズシリと重みを感じた。
「…………む、確かに。何だ、この妙な感覚。この程度の重さなら持ったと言う実感すら湧かぬ事が有ると言うのに」
「そりゃ、バガンが生きてるからだろ。命の重みって奴だ……」
「…………お前、顔に似合わず時折臭い事を言うな」
「黙れもぐぞ……」
照れ隠しなのかギロリと睨んでくるゴジラ。未だスーパーモードとやらは解けていないのでその気になれば文字通り瞬殺されるだろうが不思議と怖くなく、むしろ笑えた。
「…………んぅ」
「ッ!?」
不意にバガンが呻き思わず手を離し飛び退きそうになるキングギドラ。が、落とせばそれこそ起きるのでギリギリで耐える。
「お前持ち方が下手なんだよ。もっと負担が掛からない様に、尻を持て。んで、支える為に背中に手を回せ」
「こ、こうか……?」
ゴジラに言われた通りに抱き直すとバガンはすぅすぅ寝息を立て始める。
「……は、はは……ちゃんと寝たな」
気持ち良さそうに寝るバガンに微笑みを浮かべる皇帝。
「わ、私も…………」
「私にも抱かせてください」
帝王から劣兵、劣兵から千年竜王、千年竜王から帝王と代わる代わる主導権を代えバガンを抱くキングギドラ。ゴジラはそんな光景を見て微笑ましそうに笑った。
「──って違う!」
「うお!?どうした急に、静かにしろよ。バガンが起きるだろ」
スーパーモードも解けた頃、GIRLSの門前にきて『がー!』と吼えるキングギドラ。ゴジラが非難する様に睨み大声に驚き「うみゅう」と唸っていたバガンをキングギドラから奪い背中をぽんぽん叩くゴジラ。
「す、すまん……て、違う!そうじゃない、何で我等は普通に可愛がっているのだ!?」
「遺伝子引き継いでるしな。その辺を本能的な部分で理解してんじゃねーの?」
「本能……?」
「てか、お前そんなに騒いで良いのか?絶対病院から抜け出してるだろ」
「そうなんですよ~。全く困ったものですよね~」
「ふん。別に構わんだろ、傷などとっくに…………ん?」
振り返るとニコニコ笑ったピグモンが居た。
「確かに怪我はもう平気なんでしょうが、心配掛けて~。これはもうお説教ですよ~……」
「ま、待てピグモン!我は……」
「言い訳は聞きませーん!ん?ゴジゴジ、その子は?」
と、キングギドラを連れて行こうとするピグモンだったがゴジラが抱き抱えているバガンに気付く。
「……まぁた新しい子供ですか?」
「ああ。前世では俺とギドラ、両方の遺伝子を引いた怪獣、バガンだ……」
「…………ん?」
ピグモンが笑顔で固まる。
「ふぁ…………おかあさん、おとうさん、おはよう………ん?えっと……誰?」
「ゴジゴジとギドギドの遺伝子を植え付けられた怪獣、ですか……に、しても随分と精神が幼いですね」
「器こそ年を取ってるが俺とギドラの細胞植え付けられた生物がまともでいられるとでも?全くのベツモンに変異してるよ。で、生まれて直ぐ操られて俺が殺してるから……」
「精神年齢が群を抜いて幼い、と……」
ゴジラの言葉にバガンを見詰めるピグモン。しかしまた前世で争っていたなど……ゴジラは自分の細胞を持つものと戦う宿命にでも有るのだろうか?いや、ミニラ達は違うらしいし、ゴジラの細胞によって変化した生物とか…………。
「…………それにしても、ギドギドの…………しかもラドラドと違って両者の遺伝子をちゃんと引いてる…………と、そういえばこの子がギドギドを襲ったんですよね?バガンちゃん、どうしてギドギドを……お母さんを襲ったんですか?」
「……襲った?」
ピグモンの言葉に首をコテンと傾げるバガン。ピグモンはムッと顔をしかめる。傷こそ治ったが、ギドラの怪我は酷いものだった。それを心当たりが無いなど……
「あー、ピグモン……バガンは悪気が無いんだ。てか、襲った自覚も無い」
「?どう言う事です…………?」
「バガンは強いからな。遊んだつもりなんだよ……でも、強過ぎる」
「…………それは、つまりバガンちゃんはギドギドを傷付けるつもりは…………」
「無いだろうな」
「………………」
蟻と遊ぶ子供が、蟻を殺したとしてそこに殺意が有るかと言われれば否だろう。
「……?」
バガンはピグモンの視線に気付き首を傾げる。
「?わたし、おこられてる?」
「まあそうだな……お前はお母さんを傷付けたからな……」
「…………?」
「お前は力が強いからな……まずは力の使い方を覚えなきゃならない。そうじゃないと沢山、沢山人を傷付ける………人はどうでも良いか。お母さんやお父さんを傷付ける事になる」
「余計な一言を付け足さないでください」
ゴジラの言葉に呆れながらもピグモンはバガンと目を合わせる。
「良いですかバガンちゃん、バガンちゃんはとっても強いんです。誰かを傷付けるつもりが無くても、傷付けてしまうほど…………だから、その力を使いこなせるようにならなければなりません。それは力を持つ者の責任…………解りましたね?」
「…………うん!解んないけど、解った!」
もしもシリーズ
そこらへんのタワシさんのリクエスト
もしも怪獣娘達が全員ヤンデレになったら
「ゴジラとの合同任務、久し振りだね」
「ああ、確かにな……」
アギラはニコニコとゴジラの横を歩く。普段表情が僅かにしか変わらないアギラにしては珍しい。
「ね、ねえゴジラ……この後、仕事終わったら──」
「あ、おーいお兄ちゃ~ん♪」
と、そこへザンドリアスがやってきてゴジラに抱きつく。
「と、ザンドリアスか……今日は非番か?」
「うん。でもお兄ちゃんが仕事してるなら私も頑張っちゃうかな~。ね、ついててって良いでしょ?」
「ん?まあ別に良いが………」
「………ッチ」
「ん?」
不意に舌打ちが聞こえた。アギラの方から聞こえたが振り返ってみたがアギラはザンドリアスを仲良く話していた。気のせいだろうか?
「アギアギったら、勝手にゴジゴジと共同任務なんて嘘ついて~。これはお仕置きですよ♪」
「だから、我は別にアヤツの事など……!」
「えー?折角二人の間に子供も出来たんだし、攻めるなら今しかないって」
「そうですね。ゴジラは元々國に徒なす仇敵。これを機に共に暮らし四六時中監視するべきです。ラドンが邪魔ですね」
「うふふ。これをゴジラに食べさせて、うふふふ」
「モスラの奴、また変な毒物を………ま、間違いなくゴジラに距離を取られるだろうしな、どうでも良いか」
「今日はアギちゃんゴジラとデートだってさ………どうするウィンちゃん」
「そうですね。取り敢えず画鋲とか………」
「ゴ、ゴジラさんの細胞……口内上皮…………ゴジラさんの、唾液……ん、はぁ………」
「ふ、ふふ……兄さん、ああ……兄さんの香り…」
「憤慨。ゴジラの周りに邪魔な女が多すぎる。いっそ二人で邪魔されない海の底に……」
「やめろ」
「頼むから」
「………この二匹、邪魔だな」
「【獲得】ゴジラの服……新鮮な臭い……はぁ、はぁ……」
「エレキング先輩、今日はゴジラさんは……」
「……マガジャッパー、アナタゴジラに良く頭を撫でられてるわよね」
「え?はい……なんか、ゴジラさんは私やマガバッサーさんを見てると頭を撫でたくなるそうで………えへ、えへへ」
「………殺す」