ここ数日で部屋に大分人形が増えた。
幾つかは壊れてゴジラが持って行ってしまったが、それでも10数個残っている。
「おかあさん、あそぼう!」
そう言って熊のぬいぐるみを持ってくるバガン。今日、ゴジラは用事が有ると朝早く出て行った。
カレンダーを気にしていたし、仕事かと思ったがピグモンが知らない様だし違うのだろう。改めて自分はゴジラの事を何も知らないのだと思い知らされた。
「と言う訳でお前等、何か知らんか?」
と、アギラ、モスラ、ラドン、アンギラスを前に質問を一つするキングギドラ。
ちなみに集めた後の第一声がこれだ。つまり主語が無い。全員首を傾げる。
「おかあさんはおとうさんのことをきいてるの」
と、バガンが教えてくれる。ああ、と納得する一同。
「「バカ親父」」
と、モスラの膝に座ったミドリとレオが言う。迷い無く言った。モスラが「こら」と怒っていたが「ぶー」と唸り顔を逸らすだけで訂正はしなかった。
「全く…………そうですね、ゴジラは……何時も独りでした。寂しがり屋で、そのくせ乱暴者で、自分から奪った者達が自分から奪った物を持っているのが許せなくて、悔しくて、暴れてばっかり……でも、そのくせ優しい所も有るんですよね。私が
そう言ってミドリ達の頭を撫でる。ミドリ達は助けられたと言う言葉を、特に否定しなかった。
「ああ、あの時我が甚振っていた時の話か?しかしアレは────」
「知ってますよ。私より、貴女の方が壊しがいが有っただけ。でも、助けて貰えて私は嬉しかった」
「…………私なんて毎度リンチされてるのにねぇ」
帝王から劣兵に変わりはぁ、と溜め息を吐く。リンチに参加していたモスラとラドン、アンギラスは慌てて謝る。
「…………ボク、場違いじゃない?」
アギラの言葉にアギラの肩に乗っていた猫が「にゃー」と鳴く。
「…………アギさん、さっきから気になっていたんですけどその猫は?」
「ああ、この子?ゴジラが初めて会った時、不良から助けてた猫でね、何度も餌あげたりしてたら飼おうと思って…………名前はナナだよ」
「なー」
猫はアギラの言葉を理解しているのか、自己紹介する様に一声鳴いた。
「あ、何その猫。可愛い!」
「あ、ガッツ……」
と、そこへガッツがやってきてナナに気付く。ナナはさっとアギラの膝の上に隠れてしまった。
「あれ……」
「ごめん。ナナはボクかゴジラ以外に懐かないんだ。元々、人間に苛められてた猫だから」
「そうなんだ……」
見るからに落ち込むガッツ。撫でたかったのだろうか?
「……ふむ、その猫。やはりこの世界で知り合った中で一番ゴジラと親しいのは貴様か?」
「あ、だから誘われたんだ」
「…………どーかな、私かもよ?」
キングギドラとアギラのやり取りにガッツがま「ふふん」と呟く。
「……何で?」
「ゴジラの自称親友について知ってる?」
「「「…………?」」」
「この前ゴジラ教えて貰ったんだ。中目黒って言うんだって、その人。私だけ、教えて貰ったの……私、だけ」
「…………」
と、自分で言って照れたのか赤くなるガッツ。アギラが「むぅ」と唸る。
「…………でも、じゃあ前世で人間嫌ってたゴジラが人間に優しく出来るのはその人のおかげなんだね」
「「「「………………」」」」
アギラの言葉に全員アギラを見て固まった。具体的には『何言ってんのこいつ』と言いたげな顔をしている。
「え?あれ……ボク変な事言った?」
「やー、その……ゴジラは私達に優しいけど、普通の人には優しくなくない?」
と、ガッツ。
「まあ、前世より大人しいのは認めますが……」
と、モスラ。
「容赦無く暴力を振るっておるしな」
と、キングギドラ。
三者三様に違う台詞だが、ゴジラが人間に優しいと言うのはあまり賛同出来ない様だ。
「まあ、確かに子供とかには寛容かもしれないけどさ」
「ううん。優しいよ……だってゴジラ、人を殺した事も無いし、手を出すのは悪い人だけだもん」
「あ、まあ言われてみれば…………でもそういう人の方が嫌いってだけで」
「人間の中には肩がぶつかったから、だけでも酷いのに顔が気に入らない、暗いから、皆がやってるからって…………そんな理由で平気で人を殴れる人が居るんだもん。ゴジラは十分優しいよ」
「…………そう言われると、そうですね。私も人間社会に溶け込んだから解ります」
モスラは自分が何度か喧嘩やイジメの仲裁に入った学生時代を思い出した。理由を聞けば、「気に入らない」と言う理由だけの喧嘩も有れば「オタクだから」と言う理由で苛められてる者も居た。
「まあ……人間嫌いにしては確かに……そう考えると優しいのかも……」
そう考えるとそこらの不良の方がよっぽど人嫌いに見える。
「となるとその中目黒とやらはゴジラに取って特別なのかな?」
「「女だったりして」」
ミドリとレオの言葉にピシリと空気が凍り、子供組の視線が二人に集まる。二人は『しまった』と言う様にお互いの口を手で押さえる。
「へー、ここがユウラの働き先か」
「だから下の名前で呼んでんじゃねーよ中目黒」
「「「「「………………」」」」」」
ゴジラと、聞き覚えの無い声を怪獣娘達の優れた聴覚が拾う。全員が無言で立ち上がり一階に向かう。
「……中目黒、南無……」
「シンちゃん、縁起悪いよ……」
「「骨は埋めてやろう」」
「ミドリちゃん達まで……」
「?」
残された子供達は首を傾げたバガンを除いた全員が中目黒に同情した。
「ん?なんだお前等、揃って出掛けんのか?」
ゴジラは本部に入ると同時に出くわしたアギラ達を見て尋ねる。こんな大規模に動くとなると事前に連絡が有りそうだし、遊びにでも行くのだろうか?
「あ、ユウラの同僚だね?挨拶しなきゃね」
「だから何度も言わせんな」
そう言ってゴジラはドカ!と
「はじめまして。ユウラの親友、中目黒透。孤児院の皆にはトトって呼ばれてたよ♪よろしくね」
中目黒(な
もしもシリーズ
もしもゴジラがToLOVEるの世界で居候してたら
「よーリト、またストーカーか?あきねーな」
「ストーカーじゃねー!」
「いやストーカーだろどう見ても。一々いやらしい妄想とかしてるし………俺の娘に毒牙向けたら、一応世話になってるから殺さないまでも引っこ抜くからな」
「美柑、風呂に入ってたら痴女が進入したんだがどうすりゃ良いと思う?」
「きゅう………」
「と、取り敢えず服着せてあげたら?」
「ララ様を返してもらおう!」
「な、何なのこの人達……!」
「………珍妙なロボットの次は黒スーツか……」
「珍妙!?」
「しかも窓やぶってくると来た………お前等、殺すぞ」
「ごめん、私結婚したい人がいるから」
「………何がどうすれば好きでもない女に告白したあげく振られるんだ?面白い人生歩いてんなリト」
「うるせー……てか、お前はどうなんだよ。あんな可愛い子にプロポーズさらて」
「まあ、一言で言うなら………どうでも良い。てか俺子持ちだし」
「さあユウラとやら、貴様がララ様に相応しいかいざ勝負!」
「よっと」
「ぐはぁ!?」
「なぁ、お前さあ。俺にゃぜってー勝てねーからもう諦めろよ」
「私には、指名があるのだ………」
「………なんだかなー。お前、ララが好きなくせにバカだろ。少しはこいつの思いを考えてやれよ。王族だろうと、まだガキだぞ。自由にいきたいって思うさ」
「………ユウラ」
「───?何だ、今の悪寒」
「下等な地球人め、ララの婚約者は俺だ!そう、この俺ギ・ブr──」
無言のハラパン
「何やってんだリト」
「と、盗撮魔が……頼む、ユウラ。美柑に内緒でヌカ・コーラ買ってやるから」
「任せろ。殺してくる」
「殺すなよ!」
「えーん!ユウラ~、台風のせいで林間学校行けないよー!」
「そうか。じゃ、ゆっくり出来るな。何かやりたいゲームあるか?備えて買ってこようぜ」
「むー!ユウラのバカー!」
「………………」
「ううっ。私のメカが通じないよ~」
「何やってんだバカが」
「ユウラ!?」
「美柑にお土産頼まれた。俺にも林間学校行く理由ができて、あれが邪魔なだけだ」
「なあリト、何で肝試しで帰ってきたら仮装してんだ?」
「聞かないでくれ……お前はどうだった?」
「怖がると思うか?」
「僕の名はルン、僕の方がララちゃんに相応しい!」
「そうか、じゃあ貰ってけ」
「はい!黒慈君より早く答えます!」
「黒慈君より速く……速!?」
「黒慈君、君より速く食べ終わったぞ!」
「美柑が作ってくれたもんだからな、味わって食うのは当然だろ」
「人として負けた……」
「てか、お前朝からうぜーな。ララをかけてだがなんだか知らねーが、いい加減殺すぞ」
「なあリト、お前何で好きな女の前で男とキスしてんの?」
「お前がぶんなげて来たんだろうが!」
「ちょっとそこのアナタ!二年B組(以下略)付き合ってあげても(以下略)」
「……………」←路傍の犬の糞を見る目
「良かったなリト、この誕生日プレゼント……ビオランテよりよっぽど良い子そうだ」
「コロット風邪?宇宙の風邪か……」
「私が宇宙人なのには驚かないのね」
「気づいてたからな。ほら、俺は先生の中で唯一あんたの頼み事は聞いてやってたろ?」
「てっきり私に気でもあるのかと」
「ぷっ」
「あれ、いま笑われた?」
「なんだお前、鯛焼き食いたいのか?ほれ……」
「………恨みはありませんが消えてもらいます」
「殺し屋ってのは元を絶たなきゃ沸いてくるもんだ。つーわけでさっさと依頼主を教えろ」
「お断りします」
「そうか。じゃあし──」
「あれ、ユウラさん。何してんの?」
「逃がしてやるからさっさと失せろ……美柑、今日の夕飯なんだ?」
「ひゃはは!ガマたんの粘液は都合良く服だけ溶かすんだもん♡」
「よ……」
「ぎゃああ!?」
「ゴジラの服が解けてない……?」
「当たり前だろリト。変身中の俺の服は他の怪獣娘達と違って皮膚が変化した姿なんだ。だから服装だってある程度変えられるし剥がれた服から怨霊が肉を持とうとできる。で、皮膚である以上あのカエルの粘液は効かない。さて、取り敢えずこのチビはマントルの中にでも沈めておくか」
「あいつルンとか言ったか?良かったなリト、お前のことを好きな女が増えたぞ」
「嬉しくねーよ。てか、増えた?誰かいるのか?」
「はぁ、だからお前は鈍感なんだよ。何時か刺されるぞ」
「御門、ヤミの様子がおかしいから治せ。タダでだ」
「いきなりね……でもこの子、あなたの命を狙ってるんじゃないの?」
「狙ってるだけで脅威じゃねーし」
「はっはっはー!中々やるじゃねーか黒慈ユウラ!」
「ちったあ地球の環境気にしろややクソちび!」
「現在進行形で山壊してるてめーが言っても説得力ねーんだよ!ま、そこまで言うなら場所変えるぞ」
「その後宇宙船に乗って辺境の星に移動して喧嘩の続きしたんだが、コイツの奥さんに滅茶苦茶怒られた」
「何で飛びかかってヤミの胸もんでんだリト?あの体制からそれとか、いろいろおかしくね?とうとう法則越えたかお前のセクハラ術」
「強いな、リトハンマー。人を人とも思わぬ所業だ………」
「ち、違うの!お化けが怖くて!」
「よお静、これで静かになったな」
『はい。ユウラさんが皆殺しにしてやると言った時はどうなることかと……』
「ああ、紹介しとく。こいつはお静、人気のないところを探してここに来た時あった幽霊だ。ん、どうした皆?」
『……固まってますね?』
「あれ、リト、ララ、その他……何してんだ?」
「ユウラ!?何でオキワナ星に……!?」
「御門の手伝い。そこらのバイトよりよっぽど出してくれてな。それにここの恐竜、中々うまいぞ」
「何でララとヤミが戦って、お前は何時もの様に女に飛びかかってんだ?」
「好きでやってんじゃない……」
「よお御門、こいつらお前に用があって丁度怪我してるみたいだから薬塗ってやってくれや。死ぬほど染みる奴……」
「こいつら……何で貴方が?」
「どこで聞きつけたのか、俺の細胞とお前の技術をあわせようとしてたみたい何でな。襲ってきたから半殺しにした。拷問はお前の好きにやれ」
「リト、お前またセクハラしてんのか?」
「ま、また!?常習犯なのね、ハレンチだわ!離れなさい!」
「御門、ミニスカメイドとか年考えろよ……」
「………」
「さっさと元の世界に返してもらうぞマ………マジックトウコ?」
「マジカルキョーコだよ。それよりユウラ君、この子のこと好きなの?」
「ララの事?別に何とも思ってないけど?」
「………へ?あの、良いの……そんな事言って……」
「適当な嘘つくよりましだろ。ところで、この世界は俺の本気に耐えられるのか?」
「へ?ちょ、何このエネルギー量!?」
「ん?誰だっけお前等」
「のぞきー!」
「あ?人んちの風呂勝手に入って何言ってんだお前等……」
「ああ、ララの妹の………ナモか」
「ナナとモモだ!」
「で、どっちがどっち?」
「モナ、人の布団に進入したあげくセクハラ扱いたぁどういうつもりだ?」
「ナ、ナナです……」
「モモです」
「すごーいユウラ!あの二人が大人しくしてる」
「恐怖でな」
「えっと……?」
「……私はモモです」
「何だ、セリーヌの変化は人型になる成長だったのか……子育てについてなら任せろリト」
「よおリト、両手に花か?お前、何時か刺されるぞ…」
「はじめまして、キョーコって言います」
「どーも。何か混じってんな、ハーフ?」
「!?」
最終回
「お前、テンパって言葉につまった揚げ句大勢に告白するとか………阿呆だな」
「そういうお前はどうなんだよ!告白する時緊張せずに言えるかよ!」
「今んとこ好きな奴いないしなぁ……じゃあ練習……ヤミ、好きだ……ほら簡単だろ?」
「お前何時か刺されるぞ」
「は?」