ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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過去?怪獣王!?

「…………」

「………………」

「──ッ!」

 

 人が離れていって、何とも歩きやすい。と、現実逃避するアギラ。人が離れる理由は怯えているからだ。アギラではなく、アギラの服の裾をつかみ付いて来るゴジラザウルスにだ。

 人が近付く度にギロリと睨み付けている。ゴジラも基本的に人が寄せ付けない目を普通の人間に向けるが、逃げ出すほどではない。子供の見た目で人が逃げ出すほどの目をするゴジラザウルスに何度か注意したが直る気配は無かった。

 

「…………おとと」

 

 取り敢えず日用品を買おうとショッピングモールを歩いていたが不意にガクリとバランスを崩す。原因は言うまでもなくゴジラザウルスが立ち止まったからだ。

 

「………………」

「……?」

 

 視線の先を追うとどうやらココナッツの販売をしているらしい。外国人の売り子がナイフで割ったり、錐で穴を開けたりして渡している。

 

「…………食べたいの?」

「ああ」

 

 コクリと頷くココナッツを持った店員は一度客に触らせていた。『こんなに堅いんだよ』というアピールだろう。ゴジラザウルスも目の前にココナッツを差し出され、引っ手繰った。

 ゴリィ

 

「……へ?」

 

 店員が目の前の光景に固まる。何とゴジラザウルスはココナッツを皮ごと噛み砕いたのだ。

 溢れるココナッツミルクをゴクゴク飲み干し果肉をやはり皮ごと食っていく。と、アギラの視線に気付き首を傾げる。

 

「…………食べる?」

「ボクは、良い……」

「……美味しいのに」

 

 文字通り残さずココナッツを食べ切ったゴジラザウルス。未希やモスラ曰く、食性は雑食らしい。

 

 

 

「じゃ、ゴジラ。変身解いて」

「ん」

 

 ゴジラの体が光り、次の瞬間にはダボダボのGIRLSの制服を着ていた。合う服が無かったので変身していたのだ。そうすれば合った服が現れるから。

 

 

 

「どう?」

『おばあちゃんが初孫と初めて服を買いにいって選んだみたいなセンスですね~』

 

 テレビ通話でゴジラの格好をピグモンに見せると老人臭いと言われた。結局店員に服を選んで貰った。

 

 

 

「…………」

「…………」

 

 現在ゴジラの子供達とゴジラザウルスが見詰め合っている。

 

「パパ、小さい……」

「私よりおっきい!」

「ボクより小さい」

「おとーさん縮んだ!」

「「ちっこい」」

「!!?」

 

 子供達に囲まれたゴジラは混乱していた。しかし攻撃しない所を見るに何と無く記憶の断片が残っているのかもしれない。

 

「可愛い……」

「むぐ!?」

 

 シン・ゴジラの豊満な胸に顔が埋まりジタバタ暴れるゴジラザウルスだが振り解けずミニラやリトル、バガンも抱き付いてくる。

 四人まとめて抱き締めるシン・ゴジラ。ミニラ達もシン・ゴジラに向かって抱き付くので余計に逃げ出せない。

 

「「…………」」

 

 ミドリとレオはそっと服の裾を掴む。

 

「むぐぐ!」

「…………皆、そろそろ離れて。ゴジラが窒息しちゃう」

「──!!」

 

 アギラがゴジラザウルスを救出すると直ぐにアギラの後ろに隠れる。

 

「ふぅん。本当に童になっておるのか……ほれ、良く見せてみろ」

 

 と、ゴジラ・アースが頭撫でようと手を伸ばすとゴジラ・アースの位置から隠れる様に移動した。

 

「…………ふ」

「ママ落ち込んでる?」

「おかーさん落ち込んでる!」

「元気出して?」

「いいこいいこー」

「落ち込んでない」

 

 そんなゴジラザウルスの態度に苦笑するゴジラ・アース。セルヴァム達が駆け寄り慰めていた。

 

「【帰還】……何を騒いでいるの?」

「………あ」

 

 ピグモンは帰ってきたスーパーメカゴジラを見てハッとする。集まり過ぎて目立ってしまった。よりによってスーパーメカゴジラに…………。

 

「【捕か──」

「させんわ」

 

 ドゴォ!と音が響き渡りスーパーメカゴジラが壁にめり込む。

 

「ふん。ワシの世界の奴とは大違いじゃな」

「きゅう……」

「助かりましたアースさん。やっぱりメカキンちゃんやビオビオには知らせない方が良かったですね」

 

 ピグモンはホッと一息付く。日頃から愛情表現が行き過ぎているあの三人が今の抵抗する力が無いゴジラを見てどんな事をするか。

 

「安心してくれ。ゴジラは私が守るから」

「サンサン何時の間に…………?」

 

 何時の間にかゴジラを抱き締めていた三式機龍にもはや驚くのも止めたピグモン。ゴジラザウルスは不思議そうな顔で三式機龍を見ていた。彼女は自分の死後の可能性らしいし、感じるものでも有るのかもしれない。

 

「安心してくれ。君は私が何に代えても守ってみせる」

「離せ……」

「あ、ごめんね…………」

 

 

 

「ふぁ……」

 

 夜九時、ゴジラザウルスは眠そうに目を擦る。

 

「もう、こんな時間か……寝よっか。上と下、どっちで寝る?」

「…………一緒に寝て良い?」

「…………え」

 

 

 

 子供特有の暖かい体温を感じながら、アギラはゴジラザウルスの頭を撫でる。

 何と言うか、本当に子供になってしまっているのだなと思う。気持ちの制御が仕切れず感情を吐き散らす。でもそれは、そう言う感情が有る前提だ。

 

「…………ゴジラは、人間が嫌いなの?」

「大嫌い」

 

 即答だった。余程嫌いなのだろう。

 

「理由、聞いて良い?」

「…………俺、昔は一人島に住んでた」

 

 教えてくれるらしい。

 

「仲間はもう居なくて、親も直ぐに死んだ…………大して広くもない島で、俺はずっと一人だった。でも彼奴等が突然やってきた」

「彼奴等?」

「人間。別に、住むぶんにはどうでも良かった。騒がしくしたから、騒がしい方の群を追い出してやった…………んで暫くしたら、俺は海の中に居た」

「海……?」

 

 脈絡がない、と思ったが以前話してた過去にあった。確か、未来人にテレポートさせられたんだったか……。

 

「あんな事出来る生物は居ない。でも人間は、何かを飛ばす棒や爆発させるものも持ってた…………彼奴等ならきっと出来る筈だ……」

 

 実際、未来とは言え人間の仕業だった。

 

「その後、海の底を移動してると、人間の気配がした。そして何かが落ちてきた……」

「何か?」

「そう、何か…………それで……それで俺はどうなったんだっけ……?」

 

 そこから先は、きっとゴジラになったのだろう。だからゴジラザウルスの彼は覚えていない。

 

「…………いや、そうだ……思い出した。その後俺の姿は変わってた。別物になってた……もう仲間に会えても、きっと仲間だと思ってもらえない」

「……ゴジラ」

「だから殺したんだ。彼奴等を、殺して殺して……そしたら彼奴が居た」

「彼奴って?」

「俺の島に来た人間達の群の、片方のリーダー……俺は其奴を殺した……」

「…………憎かったの?」

 

 アギラの質問にゴジラザウルスは目を伏せて黙り込んだ。そしてゆっくり目を開く。

 

「…………憎くなかったよ、彼奴は」

「どうして?」

「覚えてたから。動けなくなってた俺の為に取ってきてくれた木の実の味を、傷口に集ってた虫を取ってくれた事を、水で洗ってくれた事を…………」

「そっか……ゴジラは、昔は大好きだったんだね。人間が……」

「好き……?俺が彼奴を?」

「だから裏切られて、苦しかった。憎かった……違う?」

「…………解らない…………でも、寂しかった。とても…………」

「…………良かった」

 

 アギラはそう言ってゴジラザウルスを抱き締める。憎んでいるだけじゃない。人を好きになる事が出来る人だ。誰かを大切に思える人だ。

 そういうゴジラだから、好きになれた。好きになった人が、そうやって人の痛みを解ってあげられる人で良かった。

 

「大丈夫だよ、ゴジラ……誰も彼もが、君を傷付ける訳じゃない。もし傷付けられそうになっても、ボクが守るから」

「…………うん、お姉ちゃん」

 

 ゴジラザウルスはそう言って目を閉じ、スゥスゥ寝息を立て始めた。

 

 

 

「おーい、おーい起きなよ……」

「………………」

 

 ゆっくり目を開くと見知らぬ少女が居た。悪戯っぽい笑みを浮かべた少女。ゴジラザウルスの顔を覗き込んでいる。

 

「…………誰だ?」

「そっちこそ誰だ!」

「…………」

「なぁんてね。私は貴方の事知ってるよ。思い出しかけた貴方が見てる夢だからね」

 

 クスクス笑う少女にゴジラザウルスは懐かしさを覚える。

 

「いっつも泣いてばかりで、名前も居場所も教えて貰えなかったから出て来ちゃった」

「……?」

「今度はちゃんと答えてほしいなー子猫ちゃん。君の名前は?お家は何処?」

「…………俺は」

 

 

 

「…………ん」

 

 アギラが目を覚ますと目の前にゴジラの顔が有った。

 

「────!?」

 

 ビクリと目を見開きベッドから落ちるアギラ。その音にゴジラを眉をしかめ唸ると状態を起こして額に手を当てる。

 金色の瞳が眠たげに開き周囲を見回す。

 

「…………アギラ?何してんだ」

「も、戻ったんだ…………」

「戻った……?」

 

 どうやらゴジラザウルスになっている間の記憶が無いらしい。

 

「ううん。何でも無い…………お帰り、ゴジラ……」

「?良く解んねーけど、ただいま。んな安心しきった顔しなくても帰って来るさ。俺はゴジラで、GIRLSは俺の家なんだから…………」

「そっか…………あの、ところでそれ……」

「ん?うわ、何だこりゃ!?」

 

 ゴジラの黒い髪の毛が子供から大人に成長した事に合わせたかの様に伸びていた。

 

 

 

「いやー、一日で戻れて良かったですね~。しかし髪まで伸びてしまいましたね~」

「鋏を何本か駄目にした。悪いな……」

「じゃあその髪、ずっとそのままですか?」

「まさか。怪獣娘なら或いは切れる奴が居るかもしれねーし、心当たりが有るんで探す」

「そうですか」

 

 

 

「ヤッホーゴジラ。うわ、本当に長くなったねぇ……切るの勿体ないかも」

「ガッツか……そうは言っても鬱陶しいんだよ。頭重いし」

「…………それはその子達のせいじゃない?」

「あ?」

 

 ガッツの言葉に振り返ると髪の毛にセルヴァム達がぶら下がっていた。

 

「かみー!」

「ながなが!」

「真っ黒くろ!」

「くろすけ!」

「…………」

 

 重いのは彼女達が原因らしい。

 

「て言うか引っ張んな!ぶら下がるだけなら兎も角何で引っ張る!」

「ビオ姉が髪の毛欲しいって」

「スー姉も言ってた!」

「メカメカキンキンも!」

「…………そうか」

 

 ゴジラは疲れた様に溜め息を吐く。

 

「で、その髪の毛どうするの?普通の鋏じゃ切れないんでしょ?」

「ああ。だから、ガイガンを探す」




もしもゴジラが髑髏島向かったら


「というわけでしてー、未開の島が発見されました。もうしかしたら第一世代の怪獣が生き残っているかもしれません。調査に向かってください」
「第一世代つーとあれか……巨大な、怪獣本来の姿」

 ゴジラの言葉にピグモンはコクリと頷く。

「まあ色々きな臭い連中も動いているので、気をつけてくださいね~」
「つか、何で今更?調査に国が動くレベルの島ならとっくに発見されてそうなもんだけどな」
「発見されてたしても、その報告が国に伝わる前に国の一大事でも起きたんじゃないですかね」
「ああ、怪獣か……そりゃ、一々島の調査に乗り出してる場合じゃねーか」

 大方古い資料の整理中に見つけたのだろう。そして調査計画が再開された。
 しかしその情報をどうやって手に入れたのだろうか?

「GIRLSには資産家が協力してたりしますからね~」
「よーするに『国より先に俺らに得させろ』ってことか」
「でもそれはキチンと言って貰わないと解らないですよね~?」
「………良い性格してるな、ほんと」
「それと、何もそういう資産家ばかりではないので安心してください♪」


「嵐の壁だー!思った以上にでかいよ?どうするのゴジラ!?」
「ミクラス。嵐ってのはようするに強い風だ。風なら、別の衝撃をぶつけてやればいい」
「うわぉ……嵐を吹き飛ばしちゃった………」
「元々特殊な気流の流れだ。時期に復活する。全力で抜けろ」


「うん。良い島だ……自然豊かで、命に溢れてる」
「この時代にこれほどの環境が残っているなんて……それに、感じます。この島の人々は自然と共にいる」
「………人間が居るのか」


「何だぁ、今の爆音。噴火じゃねえなぁ……」
「ゴジラ、殺気漏れてる………ほら、ココナッツあげる」
「……悪いな、アギラ」


「でかい、サル?」
「ゴリラに似てますけど骨格が異なる……兄様、どうかした?」
「ん、いや……昔戦った奴に似ててな。まあ彼奴は顔が猿よりだったしもうちょいでかかった気もするが」
「取り敢えず、第一世代怪獣発見って報告した方がいいのかな?」


「助けに行かなきゃ!」
「やめとけ。向こうは生粋の軍人。俺等民間人ににゃきっと直ぐ命令してくるぞ。何より俺はアメリカ軍が大っ嫌いなんだよ」
「見捨てるの?」
「向こうは武装集団だ。わざわざあの猿に向かわなきゃ平気だろ……向かったなら向こうが悪い」
「でも……」
「俺等は正義の味方じゃないんだよ………」
「………………」
「………わーったよ。ミクラスは護衛してやれ。何名かは散らばったメンツを探してミクラスにつき合ってやれ」
「「「了解」」」
「俺はあの猿と会ってみる」


「でっけぇ牛だな。今日の夜飯は決まりだな」
「殺して大丈夫?自然を荒らしたらあの猿がくるんじゃ……」
「喰うための殺しにゃ関与しないだろ。あの猿だって何かを食うときにゃ殺してるはずだしな」


「おらぁ!」
「流石センパイ、アタシも負けてられないなー」
「にしてもなんだこれ、蜘蛛?蟹?竹?」


「嬢ちゃんら、何で崇められてんだ?」
「自然と親和の高い奴等みたいだしな、アタシやモスラが何者か感じ取ってんだろ」
「楽にしてください。私は、この地球の守り神ではありませんから」


「何だ、その蛸くれんのか?悪いな」
「グウウウ」
「んー、生か。ちと焼くか」
「ウゴゴ」
「ああ、わーったわーった。お前のも焼いてやるよ」
「ゴホホ」
「焼きやすく千切れって………それと、そこで隠れてみてる奴出て来い」


「何をするんだ!?」
「平和な島に何の躊躇いもなく爆弾落とすような連中に武器渡して置くわけねーだろ。プラスチックに、ナパーム………よくもまあ………手榴弾か……どうするコング。ちなみに威力はこんぐらい」
「グルルル」
「OK、手榴弾はセーフな。じゃ、これ空高く投げろ。消し飛ばす」


「今のは、ゴジラの熱線……?使うような敵がいたんでしょうか?」


「よっと……何だぁこの蜥蜴?喰わねーのに殺気ばかり放ちやがる」
「ウホ」
「………へえ、殺すのが好き、ねぇ。ちょっと穴蔵潜ってくる」


「ちょっと!何いきなり撃とうとしてんの!キモくても生き物だよ!」
「うるさいガキ共だ。さっきもゴリラを殺すななどと、化け物どうし余程仲良くしたいと見える」
「オレらだって人の驚異になるってんなら戦うさ。けどあのゴリラは縄張りを守っただけ。人類の驚異と判断するには弱すぎる」
「あの化け物が人類に敵対しないと何故いえる!」
「敵対するとも言い切れねーだろうが!」


「よっと。お姉さんこういうのはアタシ等に任せなって」
「ヘリを軽々と……」
「ふふーん。アタシは怪力が売りだからねぇ」


「船のエンジンが付かなくてもいざとなったら私がヒパルからダイジョーブ」
「ジラさんならこの人数でも大丈夫そうですね……幸い、浮きそうな大型船もありますし、借りれるか交渉してみます」
「怪獣娘ってのは、無茶苦茶だな」


「こっちは部下を殺されているんだ!敵を討つ、それが──グフ!」
「よし、この荷物縛っとけ」
「あ、ゴジラお帰りなさい。コングさんは?」
「一緒に蜥蜴皆殺しにしてきた。喰うために殺す、なら襲ってきた個体をぶち殺すだけだったが殺したいから殺すつー人間みたいな動物だったからな」



「以上が報告書だ」
「第一世代の怪獣、そんなに残ってたんですね。でも怪獣にしては小さい……あくまで巨大生物、何でしょうかね……?」
「さあ?それよりお土産の蛸足でたこ焼き作るんだけどピグモンもこねー?」
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