ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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スカウト?怪獣王!?

「うし……こんなもんか…………どうした?」

 

 長く延びた髪の毛を項辺りで結んだゴジラはボーッとしているラドンに気付いた。

 

「あ、ああ!いや、何でもない……」

「?そうか……」

 

 首を傾げながらも部屋から出ていくゴジラ。昨日のモスラとバトラと言い、一昨日のアギラと言い、そんなに変だろうか?

 

 

 

 

「……ん?」

「どうしたのお姉ちゃん」

 

 とあるカフェで、仁科エミリはピクリと顔を上げ、首を傾げた。そんな姉に妹のカレンは不思議そうに訪ねる。

 

「今、この店に怪獣娘の反応が有ったんだけど……」

「て事は今入ってきた人が怪獣娘?別に、GIRLS本部に近いんだから可笑しくないんじゃ────あれ?」

 

 と、入ってきた人物を見たカレンは姉同様に首を傾げる。

 『男』だった。怪獣()と名が付く事から解る様に、女しか確認されていない筈なのに…………いや。

 

「そう言えば前にそんな連絡ピグモンさんから来たかも」

「何それ、私聞いてないわよ?」

「お姉ちゃんによろしくって言われてたの忘れてた」

「………………はぁ」

 

 妹のマイペースっぷりに思わず溜め息が漏れた。

 しかし成る程、男の怪獣娘か……娘で良いのかは置いといて、怪獣娘の例に漏れず整った顔立ちをしている。

 

「あれお姉ちゃん、もしかして年下がタイプ?だから告白されてもずっと振ってたの?」

「………………」

 

 取り敢えずこの妹を黙らせたい、と思ったが不意に少年の金の瞳と目が合う。

 

「────」

 

 探る様な瞳、恐らく此方の視線に気付いたのだろう。が、特に興味を持たれなかったのか直ぐに目を逸らされた。ふぅ、と知らず知らず溜め息が漏れる。

 驚いた、あんな目をする人間が居るのか。人間というか、少年か。途轍もない膨大な時間を過ごしたかの様な瞳だ。その奥に、燻る憎悪も見えた。あれは自分に向けられたものじゃないし、燃え滓の様にあくまで燻っているだけだが何が有ったのだろうか?怪獣娘と言う事が原因で差別でもされていたのだろうか?

 

「あ、そう言えばあの人やあの人の世界の怪獣娘って全員記憶持ちなんだって。あ、あの人の世界って言うのはね、あの人達こっちの世界の歴史には居ない怪獣で……」

「そう言うのは全部報告して欲しかったわ……」

 

 この妹は一々言葉数が少ない。しかし成る程、だからこそ年に合わない老齢な雰囲気と、前世由縁のあのほの暗い輝きを持っているのか。それに加え、どこか子供が抜けきらない様な気もする。精神年齢は高くとも、()()()()の精神年齢は見た目通りか、前世の記憶故に育ち辛く少し下なのかもしれない。 

 

「…………良いわね」

「え?やっぱり年下が──!?あいたー!お姉ちゃんがぶったー!」

 

 いい加減実力行使に出た。

 カレンの叫び声に少年は再び此方に興味を向けたのでニコリと笑みを浮かべ歩み寄る。

 

「初めまして男の怪獣娘さん。私は仁科エミリ。デザイナーよ」

「……仁科…………《NISHINA》か?」

「あら知ってるの?意外。うち、基本的には女性向けだと思ったんだけど」

「娘の一人の普段着が《NISHINA》デザインなんだよ。ファッションは良く解らねーが、取り敢えず可愛くなるの着せてる」

 

 『うち、女児服まで作ってたっけ?』と疑問に思うが知ってくれているのなら好都合だ。

 

「良ければウチでモデルをやらないかしら?」

「女装なら中目ぐ──トトに頼め」

「まず話を聞いてくれないかしら?」

 

 

 

 星江カナはカロリーを気にしながらお菓子を食べる。

 菓子を口に運ぶのを止めると指を拭きダンボールにギッシリ詰まった手紙を一枚一枚読んでいく。嬉しそうな顔をする事も有れば、悲しそうに顔をしかめたりもする。と、その時トントンとドアがノックされる。

 

「はーい」

『カナ、私よ』

「あ、エミリさん。どうぞ入ってください」

 

 ガチャリと扉が開き自分の専属デザイナーにして雇い主のエミリ、その妹のカレンが入ってくる。此処までは何時も通りだ。が、見知らぬ男が一人居た。

 黒髪金眼の整った顔立ちの男。背はかなり高いが年は自分とそう変わらないだろう。

 

「エミリさん、そちらの方は?」

「GIRLS所属の怪獣娘、ゴジラよ。本名黒慈ユウラ」

「怪獣…………?え、でもその人…………」

 

 どう見ても男だが……。あ、ひょっとして────

 

「男だけど怪獣娘なのよ。名前が思い付かないからそのまんま使われているそうよ。ちなみに後一人男の怪獣娘が居るそうよ」

「あ、そうなんですか。てっきり髪の毛の子かと……」

「髪の毛?」

 

 と、カナの言葉にゴジラが振り向くと髪の毛を体に巻き付けた女の子が居た。

 

「サラツヤー」

「セルヴァム!?お前、何時の間に!?」

「「「気付いてなかったの!?」」」

 

 これには3人揃って驚いた。カフェ辺りから当たり前の様に居たし、てっきり変わった親子の習慣なのかと思ってた。エミリがゴジラの見た目で娘が居る事を驚かなかったのは彼女が居たからだ。

 

「にーちゃ髪の毛サーラサラ」

「離れろ!クソ、何か頭が重いと思ったら……」

「いや気付こうよ」

「まあ私達怪獣娘って普段から少なからず怪獣としての力が有るし、元々怪力の怪獣だったら気付かない……かしら?」

 

 それにしたってゴジラは鈍すぎやしないだろうか?彼女達に大して全く警戒していないのだろうか?

 

「それでこの人はどうしてここに?」

「二人で撮影をして貰おうと思って」




faisさんのリクエスト
もしゴシラ一家がオーバーロードの世界に転移したら


 森の中を四つの影が走る。内二つは村娘の姉妹、それを追うのは武装した騎士。
 足をもつらせ転ぶ姉妹。姉が必死に妹を庇おうとする美しい光景見せるが自分達の行動を正義と疑わない騎士の剣は鈍らず振り下ろされ───ることは無かった。

「……ねえ、なんでいじめてるの?」
「な──!?」

 何時の間に現れたのか茶髪の幼女が振り下ろされそうになっていた剣を片手で止めていた。肌は一切傷を負っておらず、小さな指に捕まれた剣はピクリとも動かない。

「な、何だ此奴!?」
「構わん!殺せ!」



 パンパン手をはたく幼女。その前には積まれた二人の騎士。少女はよし、と頷き姉妹に振り返る。

「けがしてない?だいじょうぶ?」
「う、うん……貴方は……?」
「わたし?わたしはバガンだよ!」

 にっこり笑う幼女。少し警戒心が薄れる、とその時幼女が不意に姉妹の後ろを見る。何だろうと振り返るとそこには闇が鎮座していた。

「……え?」

 見たことがない光景に唖然とする姉。その闇の中から、この世の者とは思えぬ者が現れる。
 白い、陶器のように白い骨。その骨が生きてるように歩いていた。ローブを纏い杖を持った姿は魔法使いのようだ。

「ア、アンデッド………」

 その後ろには全身鎧に身を包んだ女性らしき影もある。


「ねえおじさん、おじさんは人間なのにどうして骨なの?」
「え──」
「か、下等生物がぁぁぁ!人間、人間だと!?至高にして至上のモモンガ様を貴様等下等生物と同格に扱うなどなんたる無礼!その愚行、あの世で悔いろぉぉぉぉ!」
「おい、人の孫に何をしている貴様………」


「よお母さん、いきなり襲って来やがった奴らの殲滅終わったぜ」
「フィリウスか、良くここが解ったな」
「天をつく光りの柱が見えたからな。村人達が礼をしたいとよ」


「そこに転がってる騎士が死のうと村人がいくら殺されようと、俺の知った事じゃない。が、今こう言ったな?周辺の者全てを鏖にしろと………降り懸かる火の粉は払う主義何でな」
「ふん。大きくでたものだな……天使達を突撃させろ!」
「シン、撃ち落とせ」
「うがあああ!」


「てめぇこれ、俺や母さんやシンやバガンまでならともかくリトルやミニラ、セルヴァム達が怪我するじゃねーか!」


「何で突然死んだんだ?」
「何者かに監視でもされていたのだろう」




「良い女達連れてんじゃねーか。先輩に敬意払って一人ぐらい貸──」
「…………」


「手足が変な方向に曲がってるぞ……何者だ彼奴………」


「くたばれ囓歯類がぁ!」
「お、落ち着けよゴジラさん!」
「どうしたであるか!?」
「俺はハムスターが大っ嫌いなんだよ!」
「ひぃぃ!助けて欲しいでござる!」
「インフィニット熱線の威力でスーパーモードみたいに腕にためたエネルギーをスパイラル熱線の要領で回転を加えて消し飛ばしてくれる!」
「封印しろそんな危険な技……はあ、バガン、フィリウスを止めろ」
「おとーさんハムハムいじめちゃめ!」


「ではワシはハムハムの登録に行ってくる。む、しかし……何という毛並み…………モフモフ……」


「この痴女知り合いかンフィーリア」
「痴女だなんてあんまりだわ!お姉さん傷ついちゃった、なぁ!」
「よっと」


《全てに死を、死を振りまけ………》
「……………」
「あ、こらシン!何でもかんでも口に含むな!あーあ、せっかく金になるかもしれなかったのにかみ砕かれてバラバラじゃねーか」
「ごめん、なさい……」



「吸血鬼、案外雑魚いな……噂は宛にならねーな」
「しかし奴の言っていたモモンガとは誰のことだ?」
「知らね。そいつ探してたらしいけど」
「人探しの割に人騒がせな。そのモモンガとやらにあったら不在時の部下の行動もしっかり管理するよう言い含めなくては」



「貴方一人でこの私を倒せるとでも?」
「ああ、言うね。折角の寒空だ、暖めてやるよ……」
「この力………一つお聞きしたい。骸骨の魔術師を知りませんか?」
「母さんがこっち来た時そんな奴ぶち殺したって言ってたな」
「………そうか、貴様か………貴様等か。その罪深き血、もはや残せると思うな!」
「……ああん?焼き尽くすぞ虫螻」


「やりすぎだ馬鹿者がぁ!見ろ、町の一部が溶けて跡形もないではないか!」
「ま、まあまあその辺で……ゴジラ様がいなければ被害はより深刻になったわけだし………付かぬとをお聞きするがゴジラ様とはどの様な関係なのだ?」
「母だが」
「そうか、母……良かった」
「あ、おとーさん居た!」
「お父さん!?」
「なんだこの仮面、さっきからやかましいな………」



「む?この穴蔵、来たことがあるぞ」
「知っているのかアース殿」
「何故普通にいるんだ貴様。確かあれは空間を歪め逃げ出そうとした骸骨に、空間を無理矢理押し広げた時少しだけ見たんだったか………」


「どうも統治者を失ったばかりらしいな」
「指揮系統が滅茶苦茶だ。しかしその襲撃者も後処理を怠るとは……何匹かは外で暴れているだろうな、迷惑この上ない」←統治者とNo.2を殺したのは此奴
「後任を決めてりゃ良かったろうに」←後任を殺した犯人


「成る程ここはお前等の住処だったか。住処を荒らされる屈辱は知っている。反省しよう……すまなかったなセバスとやは。どうか命ばかりは見逃してくれ。そうすりゃ、お前等を殺さずに住む」
「私達に勝てるとでも言いたいのかしらミジンコが……」
「ナーベラル、あの人……強い」
「シズの言うとおりよ。見下す前に、キチンと見なさい。ゴジラ、とおっしゃりましたね。ここは我等の主君が残した大切な場所。此度は知らぬ身で、何も手を着けていないからそちらの四人も見逃しましょう。どうか地上にでたら伝えてください。我等の地を侵すな、と」
「良いだろう。侵した奴らを殺そうが、俺は知らん。好きにしろ」


「獣どもぉ!人の娘にきたねぇ涎つけやがって、絶滅する覚悟は出来てんだろうなぁぁぁ!」
「おお、あの強さ……まさしく神人だ!」
「プレイヤーが光臨なされた!」


「君は強いね。私より強い……私と子供作らない?」
「寝言は寝ていえ」

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