「ここが秋葉原の電気街通りデス!」
「人が多い、電磁波も多い………帰って良いか?」
「来たばかりデスヨ?」
まあ電磁波の方は感覚を切り替えれば良いのだが、人混みというのは苦手だ。
ただでさえ人嫌いのゴジラが人の欲を煮詰めたような秋葉原、相性最悪だ。
呼び込みのメイドにアニメグッズを大量に購入した男、パソコンのパーツを見て仲間達とテンションを上げて騒ぐ一段、キングジョーを見てヒソヒソ好奇の視線を向ける男達。
「そういやお前有名人だったな」
「まあ握手会で列が出来る程度にハ」
握手会、と其処まで考えゴジラはあることを思い出した。
「すまんキングジョー、手を繋いでくれ」
「え?」
「お前は落ち着く」
「………へ?」
「核の気配がするからな。触れ合ってれば食欲に集中できる」
「絶対嫌デス」
「………そうか」
そこまで拒絶されれば傷つくが無理強いをするつもりはない。ゴジラは歩き出すキングジョーに続くように歩き出した。
「おお!まさか裏通りのジャンク屋でこんな掘り出し物があるなんテ!」
キングジョーはジャンク屋で見つけた電子盤に満面の笑みを浮かべていたがゴジラの存在を思い出しハッ!と顔を赤らめる。
「そ、それで、見つかりましたカ?」
「いや、機械屋にはいねーみたいだな」
「まあ考えてみれば宇宙のスーパー技術の塊ですしネ、わざわざ地球の機械なんて見に来ませんカ」
「いや、メカゴジラなんかも頭脳コンピューターを地球人に修理させてたんだぜ?あの時代でそれだ、この時代なら良いの揃ってるだろ。そもそもアポロだってファミコンスペックって話しだし」
「そう言われるとここの機械で宇宙船のメインコンピューター作れそうな気がしてきましタ。そういえば私の前世、キングジョーも地球で改造されたらしいデス」
そして何故か別々の怪獣娘として転生しているらしい。ゴジラ達は統合されているが此方の世界では基本的に同じ存在を改造したり、進化させたりすると別々に生まれる。
ちなみに先日あった仁科エミリと仁科カレンはメフィラス星人とメフィラス星人二代目らしく、メフィラス星人は地球を諦め帰ったのに転生してるとか。
「ゴジラはこういうのに興味ありませんカ?」
「コンピューターね……プログラミング系のバイトはした経験がねーな」
「カスタムは中々楽しいデスヨ?」
「楽しい奴には楽しいだろうよ……それより腹減った」
「さっきケバブ食べたばっかりじゃないデスカ………」
因みにケバブとはトルコ料理だ。ゴジラは塊丸ごと買おうとしたがキングジョーに止められていた。
「お帰りなさいませご主人様にお嬢様ー!」
ミニスカートのメイドに出迎えられゴジラは固まる。
「ほらほら早く席に座るデス。あ、ポイントカードお願いしマス」
「ここハアデリーナ、ペギラ達と最初にお出かけしたお店なんです。その縁で良く……あ、ゴジラ。ここに呼んで欲しい呼び方を書くデス。ちなみに私はクラランデス!」
「ご主人様は此方に久し振りのお帰りですよね?」
「あ?」
「そう言うやり方なんですヨ」
キングジョーの言葉にゴジラは紙に文字を書く。それを受け取ったミニスカメイドは笑顔のまま固まる。キングジョーがチラリと覗くと『気安く話しかけるな』とだけ書かれていた。
「ゴジラ~、こう言うの良くないデス」
「ちっ、じゃあ『黒慈さん』で……」
「ワオ、他人行儀………」
こういう店に来てここまでこんな対応できるのむしろ勇気があると思う。
「『お絵かきオムライス』に『目を見ながら混ぜ混ぜスパゲティ』……『萌え萌えステーキ』『にゃんにゃんハンバーガー』……『キュンキュンカルボナーラ』?……駄目だ、何一つ想像できねー。モスラ見たいな料理でねーよな?」
「前半はメイドさんがしてくれるんデス」
「じゃあオプション無しで全部もってこい」
「……………」
メイドカフェのキッチンは荒れる荒れる。作っても作っても催促される。追いつかない。
客も一つの席に注目していた。やってきた料理があっと言う間に無くなり皿がつまれる。まるで大食い選手だ。
「ガイちゃん!オプションは良いから『あーんオムライス』運んで!」
「は、はい!」
と、藍色の髪のメイドがオムライスを運んでくる。新人なのか机の位置を把握仕切れておらずワタワタと進みながら、自分の足を絡めてずっこけた。
「チッ」
ゴジラが立ち上がり避けると、ゴジラの座っていた椅子が半熟卵とケチャップライスで汚れる。
「あ、す……すいませ──…………あー!」
「?あ……」
突然ゴジラの顔を見て叫んだ少女に一瞬何事かと顔をしかめたが、アホ毛が似合う少女を見た瞬間ゴジラも気付く。顔見知りだ、現世の。
「店長!早退します!」
言うが早いか少女は窓から飛び出した。店の所有物であろうメイド服で。
「キングジョー、それ好きに使え!」
ゴジラは諭吉の詰まった財布をキングジョーに投げ渡すと同じく窓から飛び出す。外から悲鳴が聞こえてきた。そりゃそうだ、ここ三階だもん。
残されたキングジョーは財布を見る。次にゴジラが自分をほっぽりだして女を追いかけるために出て行った窓を見る。
「………………」
キングジョーはぷく、と頬を膨らませる。
「…………あのー、注文が残ってるんですがどうしましょう?」
「今の分で会計お願いシマース。私はこれからゴジラを追うノデ」
「……この近くに、おジョーさんの気配がする。何処だ?あそこか!」
と、スーツ姿の男がとあるビルの窓を見た瞬間ミニスカメイドが降ってきて顔を踏んづけられる。
「あ、ごめん!」
メイドはそれだけ言うと人間とは思えない身体能力で電柱や街灯、壁を蹴りパルクール選手さながらの動きで人を避けて走り去る。
「待てこら!」
気絶した男の顔の直ぐ横に着地した長身の男は地面を蹴り高く跳ぶ。その時の衝撃で立ち上がろうとしていたスーツ姿の男は再び尻餅をつく。
「何だ、撮影?あ、おジョーさん……」
ビルの向こうへと消えていった二つの影を見ながら首を傾げる男。と、その時ビルの入り口から彼が探していた気配の持ち主が現れる。
「アナタは、握手会に来てくれる………あの、女の子とそれを追いかける男を見ませんでした?」
「あっちに行きましたよ。それより、こうして会えたのも何かの縁。良ければ私とコーヒー………あれ?おジョーさん……?」
男は周囲を見回すがキングジョーは何処にも居なかった。
もしもシリーズ
ポジテンさんのリクエスト
もしもゴジラがごちうさの世界に行ったら。
「………チノちゃんチノちゃん」
「何ですかココアさん」
ココアは席の一つに座りコーヒーを飲みながら本を読む男を見ながらふと、チノに声をかける。
「あの人何であんなに沢山の真っ黒な兎を連れてるの?」
「懐かれてるそうなのです。名前を付けるのは面倒なので全部セルヴァムと名付けてるそうです」
「頼んだら触らせてくれるかな?」
「私もこの前マヤとメグの三人で触らせてもらったのです」
「すいませーん!その兎さん達触っても良いですかー!」
と、早速兎を触らせてもらいにいくココア。
「……好きにしろ」
「ありがとうございます。所で、セルヴァムってどんな意味ですか?」
「妹の名だ」
「外国人さんなんですか………?───あ」
と、そこでココアはハッとする。妹の名、それをペットに付けたら紛らわしいことになるだろう。それなのに、わざわざペットに名付けるという事はきっとその妹は、もう───
「母さんには『呼ぶ時紛らわしいから別の名を付けろ。兎も娘もどっちも寄ってきて大変なんだよ!』って昨日文句言われたな」
どうやら普通に紛らわしい思いをしてるらしい。
「ゴジラ?ああ知ってるぞ!凄く怖い目つきしてただ者じゃない気配を纏ってたから、初めて来店した時つい銃を向けてしまって、それから…………」
「リ、リゼちゃん!?顔が青いよ、大丈夫!?」
「まあ、何とか許してもらえたけどな………」
「ゴジラさんに会いたいなら千夜さんの所で会えますよ。ゴジラさんのお母さんが和菓子好きで、ゴジラさんは学ぶためにそこでバイトしてるんです」
「というわけでこれが新しいにメニュー何だけどどうかしら?」
「やり直し」
「ひどいわ!私が一生懸命考えた名前なのに………」
「そりゃこんな訳わかんねー名前で売れるかよ。せめて写真を撮れ写真を……この前母さんに店の商品名まんま言ったらポカンとされたわ」
「来るんじゃないわよ!それ以上近づいたら舌を噛むわ!」
「よおチビ、セルヴァム達に遊ばれててくれてサンキュー」
「チビって言うなぁ!ていうか私は玩具かよ!」
「えー!?この子が一番年下なんですか!?」
「ああ、一番大きいが一番下だ」
「そうなんだ………シンちゃん、ココアお姉ちゃんって呼んでも良いんだよ!」
「シンちゃん、今日も色々大きいですね……どうやったらそこまで」
「………?」
「微笑ましいのぉ」
「ふん、兎に憑いてまで孫を見続ける心配性な貴様には孫可愛さでそう見えるか?ワシの孫、あれが食えるかどうか見定めてるぞ」
「チノォォォォ!逃げるんじゃああ!」
「余りに父を困らせないでください」
「さて、ワシは兎に冗談を言っただけだが?」
ゴジラ
黒兎やたら懐かれる体質。年齢不詳。
セルヴァム
ゴジラの末妹達の名前にしてゴジラに懐く兎達の名前
母親
時折兎とチェスを指す姿を目撃される年齢不詳の美女(此方の世界ではゴジラより先に生まれているため年上)。
シン
一番若く一番デカいゴジラの娘
チノ
シンの体型にあこがれている
ココア
ゴジラの娘や妹達を妹扱いしようと考えている。成果はなし
リゼ
トラウマ持ち
千夜
雇い主の孫。自慢のネーミングを悉く却下されている
シャロ
チビ。セルヴァム(兎)達の遊び相手