「…………はぁ」
マガオロチはため息を吐いてどこか遠くを見つめている。
「はぁ………」
「どうしたマガオロチ?」
「あ、ゴジラか………いや、その……そろそろ時期が近づいてきてな。はぁ……」
ため息を吐きながら自分の髪を弄るマガオロチ。その目は逃れられぬ宿命を背負った者の目をしていた。
首を傾げるゴジラ。
「と言うわけで、なんか知らんか?」
「あー……もうそんな時期かー」
と、グラキが机に突っ伏しながら言う。
「母さん、トラウマになってるもんねー」
と、パンドンが眉をしかめる。
「?妾は知らんが何かあったのか?」
と、ゾーアが首を傾げる。
「うーん、まああったねー。あれは怖いよ」
と、顔を青くするバッサー。
「ママ、大丈夫かなぁ……」
と、心配なのか涙目のジャッパ。
「まあまあ最初は勝てるから良いんじゃないですかwww」
と、笑うゼッパンドン。
「帰ったら慰めなきゃ……」
と、ゼットン。
結局何一つ解らないのだが………。
「まあ近々お母様が赤黒い彼奴に髪を斬られたあげくボコボコにされるんですよ。首締められたりビルに叩きつけられたりwww」
「………ほう」
その言葉にゴジラはスッと目を細める。そしてゆっくりと立ち上がる。
「少し用事が出来た………ちなみにだが、赤黒い其奴は何処にいる?」
「手、伝う……」
「おや?カチコミですか?良いですねぇ。私も手伝いますよぉ」
「ま、まま待て!おいこら、ガイを倒すのは俺の役目なんだぞ!」
「あ?」
と、誰かが邪魔してきたので睨めばゼッパンドンだった。
「………パンドン、説明」
「あ、うん。実はゼッパンドンちゃんはお母さんを痛めつけた人のことが好きみたいで………」
「どんな男だ?」
「えっと……無職の風来坊で立ち入り禁止のテープを無断で越えたりお風呂に入れなくなってジャッパちゃんを苛めて食べようとしたアイスが食べれなくて私を苛めて女の世話になるヒモ男……かな」
「よし、塵一つ残さずこの世から消してやろう」
「ふざけるな!ガイを倒すならまず俺から倒し────」
次の瞬間ゴジラの拳骨を食らい倒れ伏すゼッパンドン。完全に目を回していた。
「赤黒い奴……赤黒い奴………いねぇ」
「いませんねぇ……」
「…………いない」
三人で探すも赤黒い彼奴らしき人物は見つからなかった。赤黒いおっさんなら居たが別人らしい。何でも浮気が奥さんにばれてダークグレーと言い訳するも許されず身を隠してるらしい。
ヒモではないらしいので別人だろう。
「あ、そこの如何にも就職してなさそうなハーモニカの兄さん、この辺りで赤黒い奴見なかったか?」
「いや、見てないが」
「そうか、邪魔したな」
桜遊のリクエスト
もしもゴジラがガールズの誰かと幼馴染だったらpart1
ゴジラの設定。
少しの間捨てられることなく両親に育てられていたが両親が蒸発し、幼馴染みの家に厄介になっている。
アギラ√
「王手」
「む………こっちだな」
「おお………」
縁側で将棋を指す二人。アキとユウラ。
「ユウラ、また喧嘩したんだってね」
「………何だ?お前も説教でもするか?」
「うん、王手」
「……………」
再び王手を取られ、また自分の言葉にあっさり返され不機嫌そうになるユウラ。
「ユウラはスッゴく強いよ?それでも、人間が嫌い。なのに自分からは手を出さなくて悪いことをした人だけ懲らしめてる」
「……………」
「でもさ、それはユウラが、暴れるための言い訳だよね?良くないよ、やっぱり」
「……ッチ」
「助けるのは悪い事じゃないよ。でも、やりすぎてちゃ同じ。ユウラの大嫌いな、弱い者いじめが大好きな奴らになっちゃうよ?ユウラは違うでしょ?」
「ふん……」
ユウラは無言で顔を逸らすと飛車を動かす。
「……あ」
積んだ。
離れていく背中を目でおいながら、はぁ、とため息を吐くアキ。次の日からユウラによる怪我人の中で病院送りになる不良の数がグンと減った。
「………ボクの幼馴染みって、ツンデレだなぁ」
ピグモン√
「岡田さんってさ、中等部の黒慈君と付き合ってるの?」
授業も終わり今回は掃除当番ではないため後は帰るだけだったトモミはその言葉に飲んでいたコヒーミルクをぶふっ!と吹き出した。
「………はい?」
「口吹きなよ。いや、だってさあ………」
はい、とハンカチを渡してくる友人曰く、自分は告白されても断ってばかりだし札付きの不良として有名なユウラの手綱を握れる唯一の存在であるし、付き合っていると噂になっているのだとか。
「ゆー君が不良?授業にもきちんと出てて、成績も優秀なのに?似合わないですね………」
「えー?だっていっつも喧嘩してるよ?」
「ゆー君はあんまり人間が好きじゃありませんからねぇ……むしろ嫌い。でも理由のない暴力はしませんよ。私との約束ですから」
実際ユウラと喧嘩したことのある相手は不良だのチンピラだのヤクザだの強盗だの闇金と、まあそういう相手ばかりだ。助けるためではなく暴れる理由として選んでるだけだが。
「でもそれならさぁ、この前告白してきた野球部の加藤先輩、どうしてフったの?イケメンだし、彼氏居ないんならちょうど良いじゃん」
「甲子園は観戦する分ならともかくわざわざ行きたいとも思いませんし……」
「えー?あんなイケメンとつき合えるんだよ?形だけでも合わせてあげれば良いじゃん」
「それこそ相手に失礼ですよ。それに………ん?」
「ん?なんか騒がしい………」
騒ぎの中心。そこには二人の少年がいた。
「んで、何でしたっけ………えっと、下等センパイ?」
先輩と呼びながらその言葉には微塵たりとも経緯がこもっていないのが丸わかりの箒を持った黒髪の少年黒慈ユウラ。中等部と高等部を繋ぐ外通路の掃除を幼馴染みの説教が面倒故に仕方なくやっていたら他の奴等にサボられかなり苛ついていると高等部からやってきたのは高等部の野球部のエース。
「岡田さんにフられたんだ」
「はぁ、ざまあみ……そいつはお気の毒に」
「お前が束縛するからだ!」
「………は?」
「岡田さんは言ったんだ……『今は弟みたいなゆー君がせめてまともな人間になれるように忙しいので、誰かと付き合う気はないんです』って」
「声真似きめぇ………つか、彼奴余計なことを……」
ボリボリと頭をかくユウラに加藤はギリっと歯噛みする。
「お前みたいな奴が、あんな良い人の人生縛って、恥ずかしいと思わないのか!?本当は恋だってしたいのに、お前のせいで……」
「面倒な断り方しやがって……帰ったら彼奴のプリン冷凍庫に移してやる」
と、もの凄い剣幕で騒ぐ加藤の事など見えてないかのように振る舞うユウラに、加藤がブチリとキレ持っていた硬球を投げる。が───
「………へ?」
ユウラが箒を振るうとシュッ!と音がして頬を何かが斬り、ガシャン!と言う音が後ろから響く。
恐る恐る振り返ればかなり離れた金網が大きく歪みその中心にはシュルシュル音を立てて煙を上げ回転する硬球が。
「………トモミに告白する奴はよぉ……君のために優勝して見せるだの君のために絵を描いただの……ためにためにうるせーんだよ。お前のそのパターンだろ?」
「な、なんだ!」
「他人より秀でた所がなけりゃ隣に立つ勇気もない。その程度の想いでいちいち告白してんじゃねーよ」
「う、うるさい!お前が、岡田さんに迷惑をかけてるのは変わらないだろ!」
「いちいちフらなきゃならねー告白してくるてめーらこそ迷惑なんじゃねーの?少なくとも彼奴は、告白されたから付き合うなんて事はしねーよ。だからてめー見たいに話したことすらない友達どころか他人の告白なんてまずうけねー。なのに気を使って断る理由を考えて……今回はこれか」
はぁ、とため息を吐くユウラ。そのまま中等部の校舎に入った。
「ごめんなさい。まさかあんな事になるなんて」
「普通に無理って一言言えば良いだろうが。傷つけたくないなんて、フる側が贅沢言うな。断られて傷つく覚悟もなく告白する奴が悪い」
帰り道、ユウラに謝罪するトモミ。どうやら今回の騒ぎを見ていたらしい。
「でも勇気を出して告白してきた人にごめんなさいなんて………」
「誰が謝れなんて言ったよ?フることの何が悪い。さっきも言ったが無理と断れ。自分に自信が無くて自分の長所で残せる功績だしてくる奴なんて謝ってやる価値もねぇ」
「ゆー君はどうなんですか?自分に自信、ありますか?告白する時、何をしてみせるとか言わないんですか?」
「言わねーよ。仮に好きな相手が出来たとして、一々条件なんて出すか。良く聞く優勝したら付き合って、何てのは優勝出来ない自分に価値なんてないと思ってる証拠だろ?笑えるな、そんな奴が誰かと付き合いたいなんて」
「…………」
「好きな相手にはただ好きだから付き合えで事足りる」
『それこそ相手に失礼ですよ。それに────』
「それに私、好きな人居ますもんね~」
エレキング√
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
き、気まずい!
それがこの場に集まったオタク女子達の心情だった。
彼女達は所謂不女子だ。今回、高校最後の思い出として自分達でも同人誌を書くことにしたのだが………。
「……………」
何故か男子がそこにいた。部員仲間の一人の湖上ランの家に居候中の黒慈ユウラと言うらしい。
「どうかしら?素直な感想を聞かせてほしいのだけど」
「下手くそ」
素直すぎる。軽く気ずついた。
「まずコマ割がなってない。どうでも良いシーンが男でるだけで大きくされてるし、女性キャラだけのシーンだと小さい。次にストーリーが分け解らん。完全オリジナルだから多少のアラは見逃すつもりだったけど出会ったばかりの男共のこの友情は何だ?これなら最初から知り合いにした方が良い」
高校生なのだから当然Rー18ではないが、まあ内容はやはりというか当然というかホモォなあれだ。それを男子に冷静に、真顔に評価されかなり傷つく。
「す、すごいね湖上の幼馴染み」
「私が育てたからね」
結局完成したのはコミケにギリギリ印刷が間に合う前日たった。かなりギリギリだ。
「おいラン……なんだこれ……」
「コスプレよ」
「そういうことじゃ………いや、もう良いや」
「?ため息なんて、疲れてるのね」
誰のせいだ、と出かけた言葉を飲み込むユウラ。同人誌は何気に売れたとだけ書いておこう。
「いやー、全部売れて良かった」
「かっこいい売り子さんがいたからねー。ありがとうユウラ君!」
「おう……」
サークルの王子状態のユウラは疲れたのか特に振り払ったりはしない。数日ほど話せば人間嫌いのユウラでも、少しぐらいは寛容になるのだろう。
「………ねえ湖上、ユウラ君私にくれない?」
「あ、ずるい!私も!」
「ダメよ。それはユウラの意志だもの」
と、ユウラを引き離すラン。そのままユウラの腕を放漫な胸で挟み友人を威嚇するように睨む。ユウラも特に振り払おうとする様子もない。疲れていると言うより、そもそも突き放す気がなさそうだ。
これには勝てそうにないと諦めることにした。
「……いい加減に歩きにくいんだが」
「良いじゃない。疲れてるのよ」
「……もう好きにしろ」
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