「アギちゃん速い~…………って、男!?」
「………………」
追い着いてきたミクも同様に少年を見て固まる。
彼女達は怪獣娘として変身出来るようになってからだが、お互い変身している時、何となく怪獣の気配とでも言うようなモノを感じるようになった。そして、今まさに目の前にいる少年からも確かに怪獣の気配があった。
コートには背鰭のような物が付いており、尾も生えておりマスクと合わせてコスプレのようだがコスプレではない。変身しているのだ。ソウルライザーを使ったソウルライドとは違う、完全なる暴走だが、変身には変わりない。カイジューソウルが存在する証拠だ。
「グルルルウゥゥッッ!」
「はぁ……はぁ……お二人とも、やっと追い着きました……って殿方ぁ!?」
「だよね!だよね!?」
唸り声に視線を向けたレイカも驚きミクも同意を求める。少年は威嚇するように唸るだけで向かってこない。
「ま、まあいいや!先必勝!ソウルライド!」
「!ガアアァ!」
ミクが変身し走り出すと少年も反応する。ミクに向かって駆け出し、拳を構える。生前は格闘を得意とする怪獣だったのだろうか?
だが、ミクとて五百万馬力を誇るカプセル怪獣1の怪力を誇るミクラスの生まれ変わり。格闘は得意だ。が────
ドォォォォォンッ!
相手はその上を行く。野生の勘か、怪獣の本能か、咄嗟に腕を交差させ一歩下がったミクの腕に拳が掠り吹き飛ばされる。目標を失った拳はそのまま暴風を生み出しアギ達をも纏めて吹き飛ばした。
「っ~~ッ!いった!凄く痛い、なんて力!」
「パワータイプですか…………なら!」
と、レイカも変身して額からレーザーを放つ。少年に当たると同時に爆発したが少年は煙を煩わしそうに払っただけでダメージを受けた様子はない。
「グオオオォオォォォッッ!」
「──っ!アギさん、私達が相手しますから、避難を!」
「う、うん!」
ミクとレイカが少年の前に立ちはだかる。レイカがレーザーを放ち牽制しミクが一瞬動きが止まる少年を殴る。
「ぎ、ぐぅ……ヴゥ!」
ダメージは大して与えられていないが確実に意識が二人だけに向いている。その間にアキは周囲に転がっている学生達を運ぶ。全員気絶しているが生きている。骨が折れている者もいないようだ。
「よかった……」
と、アキが安心した時、背後で爆音が響く。振り返れば塀が崩れ瓦礫の中にミクが気絶していた。
「グルアァァッ!」
「きゃあ!」
視線を少年に向けると少年はレイカの足を掴み地面に叩き付けるところだった。
「ガァ!」
地面に叩き付け気絶させ、足を掴んだまま投げ飛ばす。
しかし今度は壁にぶつかることはなかった。新たに現れた影がレイカを受け止めたからだ。
「ふぃ~、危ないところだったな」
「レッドキングさん!」
それは髪を二つのロールで纏め、堅そうなアーマーを上半身と腕に付けた女性、レッドキングだ。
少年はやはり威嚇するように唸る。
「大人しくしてもらうぜ!」
「グアァァァ!」
レッドキングが走り出すと同時に少年も駆け出し、お互いの手をガシリと掴む。
「いけー!先輩ー!」
「ミクちゃん!起きたの?」
何時の間にか起きたミクが尊敬するレッドキングを応援する。レッドキングは生粋のパワータイプだ。そうそう力勝負で負けたりはしないはず。しかしその応援は無為に終わる。
「ぐ……うぅ…………」
「え?嘘……」
レッドキングが膝を突いた。そのまま抑え付けられるように腕まで曲げていく。レッドキングが力負けしていた。
「──ッ!」
と、そこへ三日月状のエネルギー刃が飛んできた。少年はレッドキングから手を離し避けると飛んできた方向を睨む。そこにいたのは白く、斑模様の入った鎧と同色のランスを持った女性、エレキングがいた。
「はぁ!」
「ぐぅ?ギアアアア!」
エレキングがランスを振るうと鞭のようにしなり伸び少年に絡みつき電気を流す。このまま気絶させる気だろう。
「…………?」
だが、異変が起きる。少年の顔から苦痛が消え怒りだけが残る。そして周囲の街頭などがガタガタと震え始める。
「ガッ!」
メキメキメキ!バギン!と音を立て周囲の街頭、フェンスが歪み、千切れ少年に向かっていく。エレキングも背後から飛来してきたフェンスに巻き込まれ少年に引き寄せられていく。
「グオオ!!」
「ッガハ!」
そのまま拳を叩き付けられ、吹き飛ばされた。アギとミクはその光景に思わず膝を突く。圧倒的だ。あの二人が勝てないなんて、自分達に勝てるはずがない。
「ギャオオオオオオオンッ!!」
少年は周囲を見渡し敵が居なくなったのを確認すると勝利の雄叫びを天に向かって吠えた。
エレキングに対して使った技は「ゴジラVSメカゴジラ」で落雷を受けた後体質改善させメカゴジラを引き寄せるのに使った磁場操作。