ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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俺?怪獣王!?

 アギとミクはただ震えて少年を見る。

 先輩怪獣娘をあっさり倒した少年にどう対応すればいいのかまるで思いつかないからだ。が、少年は唐突に倒れる。纏っていた黒衣も光に溶けるように消え平凡な服装へと代わった。

 

「………え?」

「へ、変身疲れ?」

 

 ミクが恐る恐る近付こうとする。少年は動かない。

 ミクが少年に手を伸ばした瞬間、ミクの手に飛びかかる者がいた。

 

「痛!?」

「シャー!」

 

 先程の猫だ。ミクの前に立ち少年を背に毛を逆立て威嚇してきている。

 まるで少年を守ろうとしているかのように。

 

「………あ」

 

 怪我こそしているものの、重傷者はいない学生達。向かってくるまで様子見だった少年。少年の足にすり寄っていた猫。アギはこれらのピースを組み立て、一つの可能性を導く。

 

「大丈夫。ボク達は、その人を虐めに来た訳じゃないよ」

「フー!……にゃ?」

「その人が暴れてたから、止めに来ただけ。この人はさっきまで暴走してたんだ。でも、重傷者はいない。その人は優しい人なんだね。だから、ボクも酷いことしないよ」

「……………にゃう」

 

 アキの言葉を理解したわけではないだろう。しかしアキの目を見て敵意がないと判断したのか離れてくれる。

 

「ありがとう」

「……にゃ」

 

 猫は短く答えると何処かに行ってしまった。後に残されたのは気絶しているエレキング、レッドキング、レイカ。

 

「……ん、うぅ……」

 

 と、どうやらレイカが起きたようだ。アキはレイカとミクにそれぞれレッドキングとエレキングを抱えるようにお願いして、改めて少年に向き直る。

 黒く艶やかな髪。線の細い、それでいて力強さを感じる顔立ち。改めてみると野性的な美少年だ。

 これから彼を抱えるのか。つまり背負い、密着するのか。

 生憎アキに男性経験は殆ど……否、全くない。しかし趣味は老人臭いとはいえ年頃な女の子だ。触れあうと考えるとドキドキする。

 結局背負い、耳元を擽る彼の吐息を意識しながらGIRLS本部まで戻った。

 

 

 

「この子がここ最近不良退治をしていた怪獣娘さんですか~。娘……娘?」

 

 ツンツンと少年の頬をつつく赤い癖っ毛をツインテールにした幼い見た目のピグモン。基本的に、というか今まで女性にしか観測されなかったカイジューソウルを宿す存在。興味深そうに観察していた。

 

「まあ何事にも前例はありませんからね~。ベムベムの時も宗教が立っちゃったぐらいですし」

「前例はない……」

 

 確かにその通りだ。どんな事だって初めてがあり、それが前例になる。

 

「でもそうすると怪獣娘という呼び方は適切ではありませんね~。う~ん……ま、後9人くらい見つかって10人になったら考えましょう」 

「それで良いの……?」

 

 と、アキが呆れると不意に少年がうなる。瞼がゆっくり持ち上がり、金色の瞳が周囲を見渡す。

 

「………ここは、何処だ?」

「ここは国際怪獣救助支援組織、通称GIRLSですよ~」

「……………」

 

 ピグモンの言葉を聞いた少年は顎に手を当てふむ、と考え込む。そしてああ、と手を叩いた。

 

「怪獣娘とかいう奴らを保護している。でも、なんで俺がここに?」

「それはですね~、君もどうやら怪獣娘同様にカイジューソウルを持っているみたいだからですよ~」

「………は?」

 

 

 

 

「俺が変身して暴れていた、か………なる程ねぇ」

「信じるの?」

「ここ最近の不可思議現象に説明が付くからな。しかし、そうなると俺はお前等を傷つけたわけか」

 

 と、少年はレイカとミクを見て頭を下げた。

 

「意識が無いとはいえすまなかった。傷跡などが残ったら言ってくれ。俺にできる範囲でなら責任をとる」

「え?あ、いや!き、気にしなくて良いって!」

「そうですよ……私も、GIRLSにくる前は時折吠えたくなったりしましたし、それが抑えられなくなった状態、みたいなものでしょう?」

「わかるわかる。あたしもねー、なーんか暴れたくなることあるんだよねー。そういう時はひたすら走ってたね」

「だが、もし傷跡を残してそれが原因で婚活に支障をきたしたら……」

「じゃあその時は君が結婚してあげれば良いのでは~?」

「ああ、解った。その時は責任を持って結婚しよう」

「へ?」

「は?」

「え?」

 

 ピグモンが中々引き下がらない少年に冗談交じりで言うと少年はあっさり返し三人が硬直する。そしてミクとレイカが瞬時に赤くなった。

 

「え、ええ!?ちょ、ま……け、けっこ!?」

「け、けけけけ、けけっこ……結婚!?」

「まあ結婚出来なければの話だ。二人とも優しいみたいだから、きっと直ぐに素敵な相手が見つかるさ」

「「………………」」

「二人とも顔真っ赤」

「これが天然……」

「ピグモンさんには言われたくないと思う」

 

 

 

 

「改めて自己紹介だな。俺は黒慈(こくじ)ユウラだ。よろしく」

「よろしく。えっとね、GIRLSでは基本怪獣の名前で呼び合うんだ。ボクはアギラ、アギって呼んで」

「あたしはミクラス!ミクって呼んでねー!」

「ウィンダムです。ウィ──」

「ダム子!」

「ウィンです!」

「私はピグモンですよ~…………それとですね、ユウラ君……非常に申し訳ないんですが、あなたの怪獣名が分からないんですよね~」

 

 自己紹介が終わり、後はユウラの怪獣名を知るだけだと思ったがピグモンが申し訳無さそうに言う。

 

「え?でもピグモンちゃん。ここには色んな怪獣の資料が残っているんですよね?」

「はい~。始まりの怪獣、ウルトラマンと初めて戦った怪獣から最後の怪獣まで資料に残されているはずなんですが、特徴的な背鰭、磁場を発生させる、レッドン以上の怪力、これに該当する怪獣が見当たらないんです~。見た目の特徴なら襟巻が余計なジラースっていう怪獣がいるんですけどね~」

「ええ、じゃあ呼び方どうするのさ~」

「ん?そんなの生前の記憶で人間達がつけた名を使えば良いんじゃないか?ゴジラって……」

「はい?」

「ん?」

「…………怪獣だった頃の、記憶があるんですか?」

「少しだけ」

 

 名前は思い出せないが、人間の女が俺をそう呼んでいた記憶がある。と、ユウラが答えると四人とも唖然としていた。

 

「……普通、怪獣娘に前世の記憶はありませんよ~」




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