「……試験か」
ゴジラはピグモンから聞いたGIRLSの正式入隊テストを思い出しながら呟く。
筆記の方は先輩であるゼットンから教わっていたので問題ない。
「…………ん?ウィン……」
「え?あ、ゴジラさん……」
というわけで町をぶらついているとオロオロしているウィンダムが居た。
ゴジラがウィンダムの前の建物を見るとどうやらそこは映画館だったようだ。人気の映画なのか「劇場版お前にピットイン!『ラストピット』」と書かれたポスターが幾つも貼って有った。
ゴジラがスポーツアニメだろうかと首を傾げている中ウィンダムは混乱の極みにあった。正直、彼とはどう接すれば良いのか解らない。
年頃の男女でもあるし、彼に一方的に打ちのめされてもいる。
ザンドリアスの場合は彼女が酷い目にあって居るのを見て同情してしまったので仲良くなれるのに時間は掛からなかったが、彼の場合は……。
「……映画か、この前の詫びだ。奢る」
「へ?そ、そんな!悪いですよ……!」
「悪いことをしたのは俺の方だ。ふむ……なら俺も観よう。確かここは毎週カップル料金で五百円引きされるらしいからな。俺も久し振りに映画が観たい。俺とカップルの振りをしてくれないか?」
「……そ、そう言う事なら……」
「ルールはさっぱりだけど面白い映画だったな」
「そうですね…………」
ゴジラはピットボールという初めて見る球技ながら楽しめた。まさかああも魅せてくるとは。前世の影響で人間の汚い部分から見るゴジラでも感動した。
「しかし、スポーツアニメなんて男子のイメージが高いのに、意外と女性客も多かったな」
「え!?あ、あははは!そうですかね?あ、おまぴとのグッズが売ってます!」
「…………?」
言えない。腐った方向で女子に人気などととても言えない。
ウィンダムはおまぴとのグッズを早速買い漁る。先日ソウルライザーを再発行したばかりなのでかなり痛い出費だが趣味に全力なのが彼女のやり方。
「……ん?」
ふと見ると自分と同じように多くのグッズを籠に入れている少女を見付けた。長く波打った黒い髪をした少女だ。右目は前髪に隠れており赤い左目だけが見えている。目の下には隈が刻まれている。
「ふへ、ふへへへ……尊いぃ……」
「…………」
「!」
目が合った。そしてお互い同時に理解した。同志だ。同じ腐臭を放つ同志がそこに居た。
ガシリと無言で握手をする。
「映画観たぁ?観たよねぇ、この時間に買いに来てるもんねぇ……面白かったよねぇ」
「ええとても。諏訪さんの骨折のことを聞いてしまい悩んでいたんですが勇気を出して良かったです。諏訪さんのあのシーンで一巻のあのシーンがガーッて脳内に……」
「おいウィン、知り合いか?」
「……あ、いえ。そう言うわけでは──」
「………………」
話が盛り上がっているとゴジラがやってきた。
「あ、そうだ。よろしければご一緒に食事でも……あら?」
ウィンダムが振り返ると少女が髪に隠れていない方の目でゴジラを凝視していた。
「……お知り合いですか?ゴジラさん」
「いや……?」
「……ゴジラ?貴方ぁ、ゴジラなのぉ?」
「あ、ああ……一応怪獣娘扱いでな。怪獣名がゴジラ」
「へぇ……そっか…………そっかぁ…………」
少女はニヘラと笑みを浮かべる。
「じゃあねぇ、お姉さぁん……また会おうねぇ。ゴジラもまたねぇ……」
「…………変な奴だな」
「わ、悪い人じゃないと思いますけど」
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