ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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再開?怪獣王!?

「どおらぁぁぁ!」

 

 ゴジラが指を爪のように曲げ振るえばシャドウ達があっさり引き千切られていく。

 ゴモラはシャドウの上をピョンピョン跳ねながらマリオのように倒していき、レッドキングは一匹のシャドウを振り回しぶん投げる。エレキングはランスを振るって一気に倒していた。

 

「とりゃとりゃ!」

「はぁぁ!」

 

 ミクラスは両手にシャドウを持ち地面に叩き付け、ウィンダムは屋上からレーザーで狙撃する。アギラはフードに付いている角を使い突進して倒していく。

 

「弱い……けど、数が多いな」

 

 尻尾で薙ぎ払い、背鰭で切り裂き、爪で引き裂き、蹴りで吹き飛ばしながらも、一向に減る気配の無いシャドウにゴジラが愚痴を零す。

 

「頑張れ頑張れ!」

 

 ピグモンは戦わないらしい。箒持って追い掛けるだけでシャドウは逃げ出しそうだが。

 

「これだけ大量にいるって事は、シャドウの巣が何処かに有ると思うんだよね~」

「こいつら巣を作るのか……」

 

 ゴモラの言葉にシャドウの生態に少しばかり興味が出たゴジラ。てっきり発生する類なのかと思っていた。

 

「……ん?」

 

 と、その時ゴジラのソウルライザーが震える。通信機能も有ったがまだ登録した人数は殆ど居ないはずだがこんな時に誰だろうか?

 確認するとゼットンだった。

 

「何々、巣は破壊した…………マ・ジ・?と……」

 

 ゴジラが返信すると山積みのシャドウと共に自撮りするゼットンの写真が送られてきた。

 

「……巣の殲滅は終わったってさ。残るはここにいる奴らだけ」

「おおそうか!わかった!」

 

 巣が無くなっている事に気付いたのかシャドウ達が狼狽える。ゴジラは一体を引っ掴みぶん投げ一気に倒す。

 と、その時ソウルライザーが震え『WARNING PIGMON』と言う文字と両手を広げて慌てる絵が浮かび上がる。

 

『そっちに強いシャドウ反応が!シャドウビーストが、出ます!』

「シャドウビースト?」

 

 アギラが復唱すると同時に路面に亀裂が走る。そして、そこから巨大な影が飛び出して来た。

 恐竜と機械が融合したような個体、百足のような個体、そして……

 

「よりによってこのタイプかよ……」

 

 蜻蛉のような個体。ゴジラは生前の記憶を思い出し顔をひきつらせる。勿論生前覚えている個体に比べれば形も大分違うし、大きさも小さい。顔だって普通の蜻蛉だ。本当にただ偶然このような形になっただけだろう。

 しかし蜻蛉にはあまり良い思い出はない。

 

「というわけでさっさとくたばれ!」

『キシュィィィィィッ!!』

「!?速!」

 

 ゴジラが拳を振りかぶるがトンボシャドウは高速でゴジラの背後に周り、尾の先端に付いている針を突き出してきた。

 

「──っ!こういう攻撃方は同じかよ!」

 

 すんでの所で身を反らして躱すと仕返しとばかりに身体を回転させながら尾を振るう。

 ドン!とゴムタイヤをぶつけ合ったような鈍い音が響きトンボシャドウが吹き飛んでいく。

 

『キシァァァァァァァァッ!!』

「はっ!確かにはえーが、彼奴ほどじゃねえ!」

 

 吹き飛ばされながら方向を変え襲い掛かって来るトンボシャドウの攻撃を避けて殴る。中々の硬度だがゴジラの腕力なら問題ない。

 

『ギャァァァァァァ!!キシャシャシャァァァァァ!!』

 

 トンボシャドウは悲鳴を上げ、自分を殴り付けたゴジラに向かって針を伸ばす。が、ガキィン!と音を立てゴジラの歯で止められる。

 

出直(へなお)してこい!」

 

 そのまま首の力のみでぶん投げる。そして、ゴジラの背鰭が発光し、熱を放つ。しかしそれ自体が攻撃ではない。余分な熱を排出しているだけだ。

 必要な熱は口内に集められ、口内が青白く光る。

 

「がぁ!」

『────!』

 

 ゴジラから放たれた巨大な熱線に飲み込まれ消え去った。

 

「……お疲れ」

「うお!?」

 

 フシュウと口内から白煙を吐き捨てているとアギラが後ろから声を掛けて来た。気付かなかった。

 

「凄いね、ボクたちは3人掛かりでも勝てなかったのに……」

「ん?でも残りの二匹は……」

「片方はゼットンさん」

「私がやった」

 

 と、何時の間にか現れたゼットンが無表情ながら何処か誇らしげに言う。

 

「ま、ともあれ……お疲れ」

「うん。ゴジラも……」

「……お疲れ」

 

 と、お互いに軽く慰労し合う。その時だ──

 

「お時間よろしいでしょうか?」

 

 ふわりと空から着物姿の美少女が現れる。動きやすそうに改造された振り袖を着た、優しそうな顔の少女だ。オレンジの髪を靡かせ微笑むその顔は男なら誰でも見蕩れそうだが、ゴジラは顔より彼女の振り袖に目を奪われていた。

 

「そ、その模様は……お前、まさか……」

「お久しぶりですね。その様子では、前世の記憶もお持ちのようで」

「ゴジラ、知り合い?」

「知り合いというか、何というか……」

「生前の自分を負かした相手だよな?」

 

 何と言おうかと迷っていると今度は黒い着物を着た美少女が現れる。髪は短く切り揃えられ、跳ねている。黄色いメッシュが幾つか有り、額には角が生えている。

 少女の着物は先の少女よりさらに動きやすいように改造されくびれた腰がよく見える。そしてその少女の振り袖の模様にも見覚えがあった。

 

「お前まで……って、待てやこら。前世の俺は負けてねーぞ。生き残ったのは俺だ」

「はぁ?どの道負けてんだろうが」

「二体一で苦戦しただけだっての。また喉笛噛み千切ってやろうか?ああん?」

「おーやってみろ黒トカゲ」

 

 ゴジラ自身前世の記憶は記録を見ているようなモノだが、前世であるという自覚はある。罵倒されればイラつくし、何よりこの女は敵意を持って絡んで来ている。苛立たないわけが無い。

 

「ゴジゴジ、めー!」

「バトちゃん、落ち着いて……」

「「うるせぇ!黙ってろ!」」

「「はい?」」

 

 睨み合う二人を諌めようとした少女とピグモンだったが苛立っていた二人は思わず叫ぶ。

 

「「……あ」」

「「はい?」」

 

 二人を顔を青くして、ピグモンと少女が影を作りニッコリ笑う。

 

「「ご、ごめんなさい………」」

「全くもう。ところでお二人は……?ゴジゴジのお知り合いのようですが……」

 

 ピグモンは嘆息しながら隣に立つ少女に問い掛ける。すると少女はニコリと微笑む。

 

「私の名はモスラ。もちろん人としての名もありますが、GIRLSの流儀では怪獣だった頃の名で名乗ると聞いたので……」

「おや、てことはモスランは怪獣娘なのですか?」

「はい。そちらはバトランことバトちゃんです」

「合わせなくて良いから……バトラだ。生前、そこの黒トカゲと戦った怪獣だ」




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