ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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子供?怪獣王!?

「ゴジラ、どう言うこと……?」

「ゴジラさん!アナタという人は…」

「認知してあげなよ!」

 

 アギラ、ウィンダム、ミクラスの言葉に目を白黒させるゴジラ。何故起き抜けに詰め寄られ認知云々言われるのだろう。というか何を認知しろというのか。

 

「ゴ~ジ~ゴ~ジ~……」

「ピ、ピグモン?」

 

 戸惑うゴジラにピグモンが笑顔で近付いてくる。ただし額に青筋が浮かび顔には影が差しているが。

 

「これはいったいどう言うことですか~?」

「何の話だ?」

「惚けないでくださーい!子供が居たなんて聞いてませんよー!」

「…………は?」

 

 ますます意味が分からない。子供?と、ゴジラが混乱していると少女がゴジラの胸に飛び込んできた。

 

「パパ~♪」

「…………ふぁ?」

 

 ゴジラが突然の父親発言に固まっていると少女の全身を緑の光が包み込んだ。この光景は見覚えが有る。怪獣娘の変身する時の光景だ。

 やがて光が収まるとそこには変身した少女がいた。

 緑の革製のパーカー。フードの縁には牙のような物が幾つも付いており、頭の横に位置する場所にギョロギョロした目のような飾りがあった。

 パーカーの背には背鰭が付いており、同様の背鰭がスカートとパーカーの隙間から覗いた尻尾にも付いていた。

 その姿は、ゴジラの変身姿に酷似している。

 

「…………お前、リトルなのか?」

 

 ゴジラはその姿に目を見開き、思わずといった風に呟く。すると少女はニパーと微笑む。

 リトル……三枝未希と言う少女が呼んでいた名前。まあベビーだったりもするが。

 兎に角そう呼ばれていた、前世の自分にとって我が子同然だった存在。

 

「いやでも待て、おかしいだろ!お前、前世の記憶有るんだよな!?」

「……ゼンセ?」

 

 リトルはコテリと首を傾げた。

 

「?ひょっとしてこの子は、ゴジゴジの前世のお子さんなんですか~?」

「あ、ああ……」

「「「ああ」」」

 

 ピグモンの言葉とゴジラの肯定に納得する一同。しかしゴジラは納得しない。出来ないことが一つあった。

 

「イヤだとしても精神年齢おかしくないか?お前、人間に換算すると中学生ぐらいにはなってたろうが。もう放射火炎だってきちんと吐けてた筈だ。何で変身した姿も精神も巻き戻ってんだよ……」

「……?」

 

 ゴジラの記憶が正しければ、リトルはゴジラの二周りほど小さなゴジラそっくりな姿まで成長していたはずだ。しかし今の変身した姿はその前の、人間にリトルと呼ばれていた時代の物だ。

 

「……お前、どの程度まで記憶が有る?」

「ん?記憶……?」

「……あー……その姿になる前はどんな時だった?」

「えっと……蟹みたいな、奴らが虐めてきて、でもパパが敵を倒してくれて、その後パパが消えちゃって……私がおっきくなってて……んー、後は忘れた」

 

 蟹みたいな…………十中八九幾つも存在するゴジラの記憶の中に存在する死の記憶の一つで、死ぬ直前に戦っていた相手だろう。

 つまりこの少女にミニラとしての記憶は無く、自分と違い、あくまで一つの歴史から来ているのだろうか?

 

「パパ抱っこ~」

「ん、後でな……」

 

 しかしそうなるとこの精神の幼さはどう言う事なのだろうか?

 ゴジラと共にいたリトルである事は間違いない。そういう記憶を持っているのだから。なのに精神が見た目相応。チラリとバトラ達を見る。

 その視線に込めたのはお前達もこうだったのか?という質問。この質問に二人は首を左右に振る。

 前世の記憶を思い出した時点で精神は過去の、成熟した頃のモノに戻っていた。決して精神が肉体年齢に影響されたことはない。

 

「んー……でも考えてみればゴジゴジと同じなのでは?ゴジゴジも前世の記憶は有りますが精神は引き継いでませんよね?」

「俺やリトルだけの特徴って事か?だとしたら俺達の種族にしかない特徴?」

 

 思いつくのは核エネルギー。しかし資料によると原子力で動くロボットの怪獣娘もいるらしい。ていうかロボットの怪獣娘ってどうなのだろう?機械なのに魂とかあるのだろうか?

 

「…………しかしゴジラの特徴なぁ……ああ、人間に、世界に拒絶されてるとかなんてどうだ?」

 

 ゴジラがふっ、と笑うとモスラ悲しそうな顔をする。

 破壊神などと呼ばれ、人間は自分を倒すために未来から使者がやってきたりその未来の機械を使った兵器がやってきたりその改良型に自分とよく似た奴と戦おうとしている時に襲われたり……。

 後は最も古い死の記憶だと溶かされたし、その死した自分の亡骸を使った機械とも戦ったりした。

 

「……ん?」

 

 不意に組んでいた腕の袖をクイクイと引っ張られる。目線を下に下げれば泣きそうな顔のリトルがいた。

 

「抱っこぉ……」

「…………はぁ、これで良いか?」

 

 ゴジラが両脇を抱えて持ち上げてやるとリトルはキャッキャッ!と笑う。

 

「高ーい!」

「そうかそうか、こうすりゃもっと高いぞー」

「きゃあああ♪」

「「「………………」」」

「────ッ!」

 

 ニヤニヤとミクラス達が見ているのに気づき固まるゴジラ。普段無表情のアギラも微笑ましそうに見てくる。

 

「ゴジゴジは良いお父さんですね~」

「うん。きっと子供も良い子に育つ」

「………………」

 

 ピグモンとアギラの言葉に居心地が悪そうな顔をするゴジラ。ピグモンはよし、と頷くとゴジラに向かってビシッと指を指した。

 

「上官命令です!ゴジゴジは今日からリトルちゃんと過ごしましょう。まあ勿論仕事で一緒には居れない時もあるでしょうが、その時は私達で面倒を見るのでご安心を!それで良いですか、リトルちゃん」

「うん!」

「……拒否権は?」

「ありますよ~。でもでも、拒否するんですか?」

「…………」

「……?」

 

 ゴジラが視線をピグモンからリトルに向けるとリトルはニッコリ微笑み返してきた。

 

「断らないけど」

「でしょうね~。ではでは、私はこれからちょーっとやることがあるのです」

 

 

 

 次の日、大手会社の社長が怪獣娘化した子供を捨てたことがネットで曝されニュースになった。情報提供者はネットアイドル『PIGUMIN』という仮面を付けた謎の少女らしい。

 

「…………やっぱ敵に回さない方が良いな、あの人」

 

 てか、少女?と首を傾げたゴジラは次の瞬間寒気を覚えた。




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