ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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遊園地?怪獣王!?

「大当たり~!二等賞の遊園地チケット五枚です!」

「………………」

 

 

 

 

 

 さて、誰を誘おうか。ゴジラは手元のチケットを見て考える。

 

「パパ、遊園地ってなぁに?」

 

 ゴジラの肩に上ったリトルが頭越しにチケットを覗きながら尋ねてくる。最近の定位置だ。

 

「んー、遊ぶ園……かな…………いろんな乗り物に乗ったり、あるいは入って楽しんだりする所だな」

「!?行きたい行きたい!」

 

 リトルは上半身を前後に揺らす。ゴジラの首がガクガク動き鬱陶しさに目を細める。

 勿論連れて行くつもりだが、残りの三人分はどうするか。期限もそこまで長い訳じゃないし、短期間で二回も行くつもりはないし、残りが三枚では中途半端だ。

 一枚だけ残しても一人にしか届けられない。三人だと……アギラ達が丁度良いかもしれない。

 

 

 

 

 

「やー、悪いねゴジラ」

「わざわざありがとうございます」

「ありがと、ゴジラ……」

 

 ミク、ウィンダム、アギラはゴジラにお礼を言う。その目は入場ゲートに向けられキラキラしていた。それはリトルも同様だが。

 

「遊園地、初めて」

「マジでアギちゃん!?」

「マジ……」

「アギさん本当に今時の若者ですか?」

 

 アギラの言葉に驚くミクラスとウィンダム。二人の反応にゴジラも首を傾げる。

 

「そんなに変か?俺だって来たことねーぞ。人が多いから」

「うん。人の多い所ってなんか緊張しちゃうよね」

 

 アギラは趣味がまるで老人なので、話が合う相手が少なく今時の若者が行くような場所に来た事がない。ゴジラも人は苦手なので人気の多い所になど進んで向かったりはしない。

 

「ん?人が苦手と言う事はアギさんはともかくゴジラさんは本当は来たくなかったんじゃ……」

「人を嫌っている理由が前世って解ってからはそうでもねーよ。確かに好ましくは思えないが……」

 

 前世の記憶が今の自分と別のモノだという自覚は確かにある有るだが、少なからず影響は有る。特にゴジラの記憶の内一つは怨霊の塊だったし。

 

「ま、兎に角行こうぜ……」

「おう!目一杯楽しんじゃおー!」

「はい!」

「うん」

「おー♪」

「おう……」

 

 そして五人は遊園地のゲートを潜った。

 

 

 

 

 

「リトルは身長制限で乗れる物が限られるのか……」

 

 ジェットコースターに乗りたがっていたリトルをジェットコースター近くまで連れて行き『この線より上の子だけ』とか書かれた看板を見て落ち込むリトルを励ますゴジラ。アイスをやったら元気になったが。

 

「って、あれ……ミクとウィンは何処だ?」

「ウィンちゃんはミクちゃんに引っ張られて絶叫巡りに…………」

「…………ウィン、哀れな奴……」

「リトルちゃんは、落ち着いた?」

「アイス買ってやったらな……今は」

「ねこ!」

 

 ゴジラが指さす方向をみるとリトルが遊園地に良くある動物を模した乗り物()背に()()()やってきた。

 

「「コラー!」」

 

 係員に謝罪しその場から逃げるように立ち去るゴジラとアギラ。ドッと疲れた。

 

 

 

 閉園時間にはまだあるが日も傾いてきたのでミクラスとウィンダムを探すゴジラとアギラ。夜のパレードなどない普通の遊園地だからか、人も疎らになってきた。

 リトルははぐれないようにゴジラの手を取り反対の手でアギラの手を掴み時折ぶら下がっていた。

 

「いないな、何処までほっつき歩いてんだあいつら……」

「ウィンちゃんは被害者だと思う」

 

 と、ゴジラの愚痴を周囲を見回しながら答えるアギラ。ライトアップを見る為か、カップルは多い。逆に子供の為だろう、幼い子供を連れた家族連れはゲートに向かっている。

 ………………家族連れ?

 

「────!!」

 

 今気付いたが、自分達は端から見れば家族に見えなくないか?子供がリトルで、母親と父親が自分とゴジラ。

 その事に気付いたアギラは顔をみるみる真っ赤にさせる。父親と母親ということは、つまりあれだ。二人の関係は────

 

「あ、居た……」

「ふひゃい!?」

「ふひゃい?」

 

 そこまで思考が進みかけて唐突にゴジラに声を掛けられたアギラは何とも珍妙な悲鳴を上げる。首を傾げるゴジラに何でもないと返し、ゴジラが見付けたミクラス達の下へと向かった。

 

 

 

 

 先程想像した家族という構図を思い出し、アギラはチラリとゴジラとリトルを見る。彼等は親子のような関係であって、本当の親子ではなかったそうだ。

 ゴジラはリトルと会うまで、ずっと一人の種族だと思っていたらしい。

 リトルもまた前世の記憶を思い出しているからか、ゴジラを父と呼ぶ。しかし一度も母を求めたことはない。やはり、母親代わりは居なかったという事なのだろうか?

 と、その時だった。リトルがピクリと顔を上げゴジラの肩から飛び降りると走り出す。

 

「あ、おい!」

 

 慌てて追うゴジラ、アギラ達も続く。

 リトルは意外とすばしっこく、小さな身体を生かして人ごみをすり抜けていくのでなかなか追い付けない。やがてリトルの前に赤い髪の女性が現る。しかしリトルは、今度は避けようともせず逆に女性に向かって飛んだ。満面の笑みで──

 

「ママ!」




リトルのママ……いったい誰なんだ(スットボケ

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