「おんや~?家族と居なくて良いんですかねゴジラさんよぉ……」
「ああ?」
GIRLS本部の最寄りの駅でバトラとゴジラが睨み合う。
バトラは前世で戦い、殺されている。しかも彼女が本来果たすべきだった役目も全う出来ずに、モスラに任せる事になってしまった。その原因は間違いなくゴジラだ。
「てめぇだってモスラと戦ってたろうが……其の癖危なくなったら協力しやがってツンデレ女め」
「な、だ、誰がツンデレだ!?」
「てめぇだよ……」
ぐぬぬと唸るバトラにはん、と鼻を鳴らすゴジラ。今回はリトルと離れている。ラドンのおかげで四六時中一緒に居なくても済み、仕事に集中出来る。
「しかし……リトルを置いていって大丈夫だったか……」
訂正。居ても居なくてもあんまり集中出来ていない。
「つーかモスラは?遅刻か?」
今回は、本来はモスラ、バトラ、ゴジラの三人で遠征するのだが未だモスラの姿はない。
「朝、『後五分だけ……』と言ってそのまま……」
「置いてきたわけか。珍しい」
てっきりモスラはバトラと一緒に来るのだとばかり思っていた。しかし来たのはバトラ一人。大方モスラならきちんと五分後に起きると思って放って置いたのだろう。
モスラに対して甘いというか。
「…………暇だ」
「知るか」
ゴジラの言葉をばっさり切り捨てるバトラ。しかし、暇だというのは自分も同意見だ。
バトラとて前世の因縁を持ち出すのは、モスラの言葉が無くても良くはないと解っている。何よりこのゴジラは前世の記憶を最近思い出した別人。前世の因縁をぶつけるのは……。
「しりとりでもするか?」
「しりとり?何で……」
「やる事無いし……しりとり」
バトラの提案にゴジラは首を傾げながら、しかし提案に乗る事にした。
「お前に考えられるまともな頭があると良いな。陸」
「…………くたばれ爬虫類」
「………………」
二人の間にビキリと空気が軋むような音が聞こえた気がした。
「今のは俺も悪いとこが有ったのを認めるが。くたばれは言い過ぎだろクソ蛾」
「我慢出来なかったんだ。悪いな、謝ってやるよ。許せ」
と、悪びれる様子もなく言うバトラの対応にゴジラの額に青筋が浮かぶ。
「誠意ってのが感じられねーな」
「何でお前相手に誠意見せなきゃならねーんだおい」
ビリビリと元怒りの破壊神と断罪の破壊神の覇気がその場を包む。周囲に居た野次馬は二人の覇気に当てられ距離を取る。駅員や警察も、覇気に当てられ近付けない。
そして、その覇気を先に解いたのはゴジラだ。
「いい加減に止めねーか、もう。お前が俺を嫌ってるのは知ってる。だから俺もお前が好きになれない。けど何も、嫌ってるわけじゃねーんだ。出来るなら、きちんと仲良くしたいと思ってる。お前も少しは歩み寄って来い……」
その言葉に、バトラも覇気を消す。
「言われなくても、アタシだって解ってるよ。ちゃんと謝る。悪かったな…………」
「何だ?やけに素直だな。可愛らしいと思うけどな」
「な!?き、気持ち悪い事言うな……お前に可愛らしいとか言われても嬉しくない!」
「いや、気持ち悪いは酷くね?」
バトラの発言に若干傷付いたような反応をするゴジラ。と、その時……
「寝過ごしましたー!す、すいません……」
と、寝癖も直していないモスラがやってきた。
「「あ」」
「……?」
「(ん)がついたな」
「モスラの負け」
「え?え?何ですか二人共……」
二人の反応に首を傾げるモスラ。しかし答えは返ってこなかった。
さて、今回の任務は沖縄へ遠征。飛行機の中で三人はトランプをしながら到着を待つ。
しかし数分もすればゴジラとバトラも飽きてきた。
「あ、ならしりとりでもします?」
と言うモスラの提案に、二人は苦笑するのだった。