ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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沖縄?怪獣王!?

 沖縄のとある場所で、一人の少女がピクリと顔を上げる。次の瞬間、周囲から影のような謎の生物達が現れた。

 少女はふぁ、と一つ欠伸をした。

 

 

「そういえば今回の遠征の目的ってなんだ?」

「あ、はい。確かシャドウの反応を感知して向かっても既に倒し終えていて、しかし報告がない。現場の怪獣娘の報告もない。もしかしたら新たな怪獣娘かもしれないとの事ですが……」

「ん?そんなの現場の奴等の仕事だろ?何でわざわざアタシ等が?」

「ゴジラは別の記憶として認識しているので抜きますが。基本的に前世の記憶を完全に持つ私達はまず暴走しません。前世の凶暴性に飲まれるという事がありませんから。一度や二度なら偶々暴走した怪獣娘の可能性も考えましたが立て続けに起こるとなると……」

 

 と、そこでゴジラがああ、と納得した。要するに、暴走しない怪獣娘が現れた可能性が高いのだ。別に探せばいなくはないだろう。しかし、こうしてモスラやバトラ、ゴジラ達のような前例が現れた今、記憶持ち、ゴジラの世界の怪獣の可能性もあるわけだ。それでこのメンツ。

 

「理解したけど、どうせならリトルも連れてきたかったな……」

 

 海は好きだ。前世ではゴジラは元々海に住んでいたからだろう。それはリトルだって同じはずだ。

 どうせなら前世以来、二人で泳いでみたかった。

 

「ゴジラゴジラ、これは何ですか?」

「ん?ああ、シーサーだな」

 

 モスラは初めてきた沖縄に興味津々なのか、目をキラキラさせながらシーサーの像を見詰める。

 

「確か沖縄の守護神だったかな……」

「守護神……成る程。私と同じですね」

 

 と、モスラはシーサーに向かって手を合わせる。守護神が守護神に祈るとは何とも妙な光景だ。

 

「……ん?ゴジラ、違うぞ。シーサーは厄除けの獣。守り神じゃないぞ」

「ん?そうなのか?彼奴がそうだったからてっきり…………」

 

 ゴジラの言葉に首を傾げるバトラ。まるでシーサー本人に会ったような言い方だ。 

 

「会ったんだよ。シーサーキングだったかガイザーシーサーだか言う奴に……俺の偽物と戦う時にな……ん、ライオンキングだったか?」

 

 名前が出てこないが、まあ気にする必要もないだろう。会うとは限らないのだ。

 

 

 

「苦!」

 

 ゴーヤチャンプルを口にしたバトラは顔をしかめるバトラ。どうやら苦手な味付けのようだ。ゴジラとモスラは普通に食べているが。

 

「良く食えんなお前ら」

「この実は本来種を作り、子を残すためのモノ。それを頂き、糧にするのです。無駄には出来ませんよ」

「本来俺は雑食性で、島にゃ人間が戦争始めるまで植物しか無かったからな。野菜は好きだ。今は肉も好きだが」

「元ベジタリアンかよ。似合わねー……」

 

 と、バトラが呆れた時、ソウルライザーが鳴る。

 

「……シャドウか、まだ観光もしてねーってのに」

「そんな場合では無いでしょう。行きますよ!」

 

 と、モスラが駆け出す。そのままソウルライドして空に飛び立つモスラ。バトラも慌てて追う。ゴジラは地図を確認すると、近くの川に飛び込む。

 ソウルライドし尾を器用に動かし川を泳いでいく。

 

 

 

 モスラがたどり着くと既に戦闘が始まっていた。モーニングスターを駆使してシャドウを倒している。しかし、戦っている怪獣娘は沖縄の怪獣娘ではない。

 

「まさか、彼女が?」

「今はそれよりシャドウだろ。ゴジラは何処行った?」

 

 と、バトラが周囲を見渡した瞬間、川の水が弾けゴジラが出てくる。前世ならその巨体故に行えなかったが、今のサイズなら川を泳ぐことも容易い。

 

「よお、手伝うぜ!」

 

 と、ゴジラは少女の背後に迫っていたシャドウを蹴り飛ばす。

 

「助かる!」

 

 そう言った少女の格好は、棘付きの手甲と肩パット。腰からは同じように棘の生えた尻尾が伸びている。おまけに背中にも棘の生えた甲羅のようなモノを付けている。

 

「…………おいアンギラス」

「なんだいゴジラ……ゴジラ?」

 

 ゴジラの言葉に思わずといった風に返した少女は、自身が発した言葉に首を傾げた。

 

「……ひょっとして、ゴジラ?」

「昔話は後だ。今は片づけるぞ」

「OK!」

 

 ゴジラの言葉にアンギラスは丸くなる。ゴジラは迷うそぶりも見せずに、アンギラスを蹴り飛ばした。高速回転を加えられた棘付きの球はシャドウを何体も巻き添えにして木にぶち当たる。木がへし折れ少女を押し潰す。

 少女は木をどけ立ち上がるが目を回したのかふらふらしている。

 

「ど、どうだ見たか~……これがゴジラと私の……必、殺技……きゅう」

 

 バターンと倒れるアンギラスに無数のシャドウが迫るがゴジラがモーニングスターを拾い力任せに振るい吹き飛ばしていく。

 

「アンギラス!」

「ま、まかせろー……」

 

 ゴジラが呼ぶとアンギラスはモーニングスターを抱えるように丸くなる。

 

「おらぁ!」

 

 先程より特大の棘付きのハンマーにシャドウ達が次々吹き飛んでいく。とてつもない威力だ。

 

「……いや、女の子振り回すってどうなんだ……」

「まあ、あの子も怪獣娘ですし…………」

 

 呆れた様子のバトラに苦笑するモスラ。

 

「見たか~……ご、合技……暴龍怪球烈鎚(アンギラスハンマー)…………うぷ、きぼちわるい」

「変な技名つけんな」




アンギラス「かわいいキングシーサーかと思った?残念、アンギラスちゃんでした!」



バーニングゴジラ「何時から沖縄の怪獣娘が一人だと錯覚していた?」

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