ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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捜査?怪獣王!?

「猫の死体の不法投棄ねぇ……」

 

 ゴジラ新聞読みながら朝飯のハムを口に含む。死体が腐るのは時間が掛かるはずだ。ましてや白骨化など。相当臭いもしただろう。

 つまり有り得ない事だが、一日以内で白骨化した事になる。

 

「……白骨化、ねぇ」

 

 ゴジラは片手で片目を押さえ呟く。嫌な思い出が有る。

 だが放っては置けないだろう。アレはあくまで、自身の身となる原料を集めていただけで、結果としてゴジラが焼き尽くしたが、海を汚すヘドロの塊になった為に敵対しただけだ。進んで人を襲うとも戦う事になるとも思えない。前世なら。いや、そういえば笑われた記憶も……。

 まあしかし、あれに明確な意志は無いはずだ。種族目的である自身の強化を目的にしていた……と、思う。

 しかし今は人間として生まれ、自我を明確に持つはずだ。善意を持つこともあれば、当然悪意を持つこともある。

 

 

 

 

「ゴジラは私の相棒だ。離れろコウモリ擬き……」

「ふん。私には子も居るのだ、お前こそ離れろ針鼠」

 

 ゴジラはそれぞれ両腕に引っ付く二人の女、ゴジラが教育係を任されたラドンとアンギラスを見る。

 リトルはまだ幼いため正式な職員にはなれないのでピグモンが面倒を見ている。

 

「私なんてゴジラに何時も頼りにされていたんだぞ!」

「私とてゴジラと一つになった事も有る」

 

 しかし先程から周囲の視線がキツいような気がする。何だろうか?とゴジラが首を傾げていると前から人影が近付いてきた。避ける気は無さそうなので道の端に逸れたのだが向こうからわざわざぶつかってきて、いてーいてーと肩を押さえる。

 

「おうこら兄ちゃん、骨折れちまったじゃねーか。詫びとして金払え……何なら、そっちのどっちか貸し────」

 

 ゴジラのつま先が男の腹を捉え、打ち上げる。街路樹の上に落ちた男はそのままバキバキと枝を折りながら茂みに落ちる。

 

「女は物じゃねーんだ。此奴等の意志を無視しててめーに渡すわけねーだろ。次此奴等を物扱いしたらぶち殺すぞ」

「す、すいませんでしたー!」

 

 男は大慌てで逃げていく。骨は折れてないようだが元気な奴だ。と、ゴジラが感心しているとゴジラの両腕を掴んでいた二人が離れる。

 

「?もういいのか?」

「あ、ああ……」

「大丈夫……」

 

 顔を赤くして俯く二人に首を傾げながらゴジラは再び歩き出した。

 

 

 

 

 さて、ある少女は下駄箱に何時ものように入っていた罵詈雑言手紙に紛れていた便箋の中身を確認しながら廃工場に向かっていた。

 伝えたい事が有るとの事で待ち合わせ時間もそろそろだが。と、建物の中に入りキョロキョロ周囲を見渡して居るとギイィと音を立て扉が閉まる。

 

「うわ、本当に来たよ。気持ち悪!」

「告白されるとでも思ったのかよ!」

「………………」

 

 ゲラゲラ下品な笑い声と共に複数の男女が現れる。少女と同じ学校の制服を着た、少女の同級生達だ。

 

「お前さあ、今日も学校来ていい加減にしろよ。お前に来られて安心出来ない俺達の気持ち分かってんの?」

「あんたのせいでさぁ、私の友達毎日不安で寝れないとか言ってんのよね。つーかどうやって警察を誤魔化したの?あ、ひょっとしてその身体売った?」

 

 再び下品な笑い声が響く。少女は赤い左目をスッと細め周囲を見渡す。その目には戸惑いも恐怖も無い。その反応に、顔をしかめる男女達。

 

「まあでもさぁ、そんな胡散臭いラブレターに呼ばれるぐらいだし、男に飢えてんでしょ?あたし等が紹介してやんよ」

 

 と、ギャル風の女子が言うと見覚えのない男達が現れる。中年から、少し年下まで選り取り見取りだ。

 

「わー、さすがクラス一の援交上手だねぇ。男の知り合いが沢山いて羨ましいよぉ……あ、でもぉ、そんな気持ち悪い目をした男とは知り合いにすらなりたくないなぁ」

 

 ようやく口を開いたと思ったら出たのは懇願でも謝罪でもなく、嘲るような笑み。

 男達の表情が憤怒に歪むが少女は全く気にしない。

 

「っ……この、社会のゴミの分際で…………!」

「ところでさ、さっきから…………」

「?」

「息苦しいと思わないぃ?」

「「「────!?」」」

 

 次の瞬間、少女に近付いていた男達が倒れる。男達だけではない、少女に近い順に、次々と喉を押さえ倒れていく。

 

「かひゅ……!?か、はぁ…………!?」

 

 喉を鑢で擦るような激痛が襲い、更に目も開けていられないほどの痛みが走る。

 

「あ、あんだ……なに、じだ…………」

「これからするんだよ。でも大丈夫だよぉ、殺すまではしないからぁ。ちょっと耳の穴を溶接して、眼球を溶かして、喋れないように舌も溶かすだけだからさぁ。なぁに、安心してよぉショック死しないように気を使ってあげるよぉ……嬉しいぃ?嬉しいよねぇ……猫を殺しても自分達は殺されないんだからぁ。ただこの痛みは絶対にトラウマになっちゃうねぇ、ひょっとしたら音も光も無い世界で何時ボクの気が変わって君達を殺しに来るのかと、残った触覚に何かが触れる度に怯えるようになるかもねぇ……」

 

 ケタケタ笑う少女の顔に、ゾグリと背筋が凍るような怖気が走る。

 

「ち、ちが……わだじじゃ……な、ほがのやづが…………」

「そうなの?でも何で知ってるのぉ?やる事を知ってたんでしょぉ?止めなかったんでしょぉ?」

「………………」

 

 顔を青くしていく少女に、少女は躊躇う素振りも見せずに近づく。

 

「そういえば何時だったかボクが何の反応も示さなくてつまらないなんて陰口言ってたねぇ?喜んでよぉ、今日がその反応を示す日だ……」

 

 と、少女の手が眼前に迫った瞬間、重たい鉄の扉が吹き飛ぶ。少女が振り返るとそこには三人の人影が有り、その内一つの人物には見覚えが有った。

 

「…………ゴジラ」

「よお、お前は……ヘドラか?」

「…………そうだよぉ」

 

 人の犯した罪により生まれた二匹の怪獣、放射能と毒ガスという、人が行ってきた罪をそっくりそのまま返していた二匹の怪獣の生まれ変わりが、その場にて再会した。




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