「……前世の記憶を持っているんですか?」
「二つ持ってるヨ……一つは人間の街にイテ卵を産んだけど全部燃やされた挙げ句ミサイルで殺さレル……二つは操られて黒い怪獣と戦ッテ尻尾で吹っ飛ばされてから光線食ラッタ記憶」
「「「「………………」」」」
黒い怪獣と言う単語に、全員がゴジラを見る。ゴジラは顎に手を当て考え込む。
「…………あ、そういや居たな。思い出した」
「ん?私と会ったコトある?」
「ああ。その黒い怪獣俺。よく戦ってた三首の奴にそっくりな奴と戦うまでに挑んできた雑魚のうちの一人だろ?」
「ざ、雑魚…………」
「まあでも、他の奴等よりは頑張ってたと思うぜ?三体同時に来たりもしたし、止めを刺す必要がないのも居たし……」
まあ雑魚には変わりなかったが。きっとDVDにしてチャプターを見ればタイトルが瞬殺にでもなっているだろう。
「……って、アナタがあの時ノ?」
「まあな」
「……怪獣娘は名前の通り女しかいないはずじゃ」
「例外だ。つか、それ知っててGIRLSにゃ所属してないのか」
と、ゴジラが言うとピグモンが説明してくれる。何でも怪獣娘は基本的に日本に多く現れるらしい。これは怪獣がそもそも日本に多く現れていたのが理由だと思われる。
外国では少ないので、そういう機関も無いのだとか。
「…………それって、大丈夫なのか?」
怪獣娘の戦闘能力は一個大隊に匹敵する者もいれば、ゴジラのように現状の科学力ではまず倒せない怪獣だっている特にゴジラなど、その力を暴走させれば大気を燃焼させ地球の地表を溶かし海を蒸発させる爆弾になるし、別の暴走方法でも地球に特大の穴を開け放射能を撒き散らす最悪の核爆弾になる。
「俺なんて急激な変化に耐えられずに死んだ世界線こそ有るが、順当な変化なら理論上無限に温度が上昇する熱線を撃てるような奴だぞ。それにゼットンだって一兆度の火球放てるんだろ?」
どういう理屈で制御されているのかは解らないが、太陽の何百兆倍のエネルギーの火の玉だ。本来なら地球なんて蒸発している。
「……ゴジゴジ、今聞き逃せ無い言葉が有ったのですが……」
「ん?一兆度の火炎弾の事か?」
「いえそれは前から知ってました。そうではなく、え……無限に温度が上昇する?」
「おう。その時は島が爆発してエネルギーが一気に上昇したせいで適応する前に死んだが……」
とは言っても一本の薔薇を怪物に、結晶を宇宙怪獣に進化させるゴジラの細胞だ。メルトダウンさえ起こさなければ耐えられるようになったかもしれない。
「……………………」
「どったの、ピグちゃん」
呆然と黙り込んだピグモンにミクラスが首を傾げる。ピグモンは『これは空想科学、これは空想科学……きっと世界も有り得ないぐらい丈夫なだけ』と自分に言い聞かさていた。
太陽を越えるエネルギーを持ったゼットンが最強の怪獣娘かと思いきや、それを越えるエネルギーを内包する存在が現れたのだ、現実逃避の一つや二つしたくなる。
「……ゴジゴジ」
「……ん?」
「アナタに怪獣王の称号を授けちゃいます」
「?どうも……」
空想科学読本によると一兆度の火球って太陽の470兆倍のエネルギーらしいです。それ食らって原形とどめるウルトラマンや地球はもちろん自身の肉体が溶けたとはいえそのエネルギーを超えたゴジラは間違いなく怪獣王に相応しいと思うんですよね